Nickelodeon Kart Racers
【にころでおん かーとれーさーず】
ジャンル
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レーシング
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対応機種
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Nintendo Switch プレイステーション4 Xbox One
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開発元
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GameMill Entertainment
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発売元
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Maximum Family Games
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発売日
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2018年10月23日
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定価
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39.99ドル
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レーティング
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PEGI:3
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備考
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日本未発売
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判定
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なし
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ポイント
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ニコロデオン版『スーパーマリオカート』 ボリューム、難易度共に子供向け レースゲームとしては遊べるが……
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Switch版はダウンロードコード封入版の販売につき、中古購入時は要注意!
概要
子供向けアニメチャンネル『ニコロデオン』のキャラクターを用いてプレイできるレーシングゲーム。
わかりやすく言えば、『マリカー』の亜流に位置する作品である。
iOS/Android版は日本語に対応している。
システム
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基本的には、この手のパーティーゲーム寄りのレーシングゲームとしてはオーソドックスな操作スタイルであり、ハンドリング及びアクセルとブレーキ、ドリフトぐらいのシンプルな操作。シフトチェンジなどはオミットされている。
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もちろん、この手のジャンルでは定番のアイテムも存在しており、コース上のボックスに触れることで入手できる。
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操作面で特徴的なのは「スライムダッシュ」というユニークなアクション。
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コース内には随所に「スライム」という緑色の物体が落ちていたり、あるいはプール状になっていたりする。一見障害物っぽいが、上を走ってもスピードは落ちない。この上を通過するとスライムゲージが蓄積され、一定以上溜まっていると任意のタイミングで加速することが可能。
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コース内では、ジャンプ台で飛び上がってグライドしたり、スライムの海に突っ込んでボートモードになったりすることもある。
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本作の水場は全てスライムの海なので、上を走っている間は常にスライムゲージが蓄積する。そのため、スライムダッシュが頻発できるなど、バランスはかなり変わる。
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キャラクターにはそれぞれマシンがあり、さらに出走前にパーツを組み替えてステータスを調整できる。
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新しいパーツは、コース上に落ちているコインを集めて購入するか、もしくは経験値を貯めてレベルアップすることで手に入れることができる。
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参戦キャラは『スポンジ・ボブ』から「スポンジ・ボブ」「パトリック」「サンディ」、『ラグラッツ』から「トミー」「アンジェリカ」「レプター」、『ヘイ・アーノルド!』から「アーノルド」「ヘルガ」、『ミュータント・タートルズ』から「ミケランジェロ」「ラファエロ」「レオナルド」「ドナテロ」の12名。
評価点
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レースゲームとしてはとりあえず破綻はしていない。
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後述するように、かなり問題点は多いが「普通にレースゲームをする」だけならば致命的な問題点はなく、操作性などは良好。
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スライムダッシュにより任意のタイミングでダッシュできる、というのは類似のゲームでもあまり類例がなくユニークな点ではある。
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一部コースでは「スラローム」や「強制リタイア」というルールが追加される。前者はスラロームを連続で通過できないと失格になり、後者は一定時間ごとに最下位のキャラが強制的に脱落していくもの。なかなか緊張感がある。
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オートアクセルのオプションがあり、オンにしておけばアクセル不要なのもありがたい。
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ルール自体は9つのカップに3種類の難易度、フリーランにタイムアタック、対人戦と一通りのモードは用意されている。
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キャラクターのモーションはそれなりによく出来ており、画面の下で状況に応じて色々とセリフを発してくれるなど、キャラゲーとしては嬉しい要素もある。
問題点
コースについて
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一見すると、全24コース、9つのカップが用意されており種類だけは多そうに見えるが……
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まず、隠しの3カップは最初から出現している6カップ24コースのリミックスでの総集編である。それ自体はあって良いかもしれないが、1つのカップにつき8コース連続で走らなければならず、途中中断もないため結構ハードなチャレンジになる。
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そして、24コース中8コースは全てスライムの海に満たされた特殊コース。流石にシチュエーション被りが多い気が……。
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そして残りの16コースは、
8コースのスタート地点を変えて逆走にしただけ。
つまり、実質的に本作において通常シチュエーションのコースは
たったの8つ
しかない。
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逆走でコースの流れ自体は変わるため、ものすごく単調……とまではいかないが、手抜き感は半端ない構成である。
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コースの構造があまりにヌルい。
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全体的に、コースの幅が広めで単調、かつヘアピンカーブのような箇所もほとんど見られない。また、柵がない転落箇所も数えるほどしかなく滅多なことでは落ちたりしない。
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コース特有のギミックもほとんどない。全コース共有のダッシュパネルやジャンプ台、スライムの雨を降らせるスイッチなどがあるぐらい。せっかくコースの背景などは各作品の個性が出ていてよく出来ているのに、コースの中身が印象に残らない。周回でコースが変わる箇所もあるが、それでコースの印象が大幅に変わることもあまりない。
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そもそもニコロデオンという放送局自体が子供向けであることを考えると、低難易度の調整自体は間違いではない。とはいえ、もう少し高難易度なコースも用意した方が良かっただろう。
アイテムについて
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スライムダッシュシステムがあるためか、なんと
ボックスから手に入る加速アイテムがほぼ存在しない
という大胆な調整。それ自体は思い切ったチャレンジと評価できなくもないが……。
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問題なのは、他のアイテムが大体攻撃系で、なおかつ
あまり役に立たない
ことである。本家とも言えるマリオカート同様、本作でも順位によるアイテム出現率調整システムがあるが、1位の時に哺乳瓶(前方に投げるだけの攻撃アイテム)が頻繁に出るなどもザラにある。
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マリオカートと違い、「後ろに投げる」システムがないため1位の哺乳瓶は本当に邪魔なだけ。緑の甲羅のような壁で跳ね返る仕様もなく、前方に直進して壁に当たって消滅するのが関の山。
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せめてバナナの皮に相当するシャボン液や後ろに投げるどんぐり爆弾ならまだマシだが……。
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全体攻撃アイテムもあるが、エフェクトが地味かつ効果も微妙である。1位だけを狙うトゲゾーこうらもどきもあるが、やはりクラッシュ時間が短くあまり戦局に影響はない。
キャラクターの性能差について
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本作では各キャラクターに固有のアイテムがあり、ボックスから時折出現するようになっている。
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……が、こっちも多くのキャラクターが単純な攻撃アイテムになっている。特に、パトリック、レプター、レオナルド、ミケランジェロは細かい性能や使用可能回数の差こそあれ全員「前に向けて放つ飛び道具」で共通。
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前述のようにコース構造が甘いため、性能面では基本最高速度重視のカスタムで問題ない。加速は多少あった方が立ち直りなどで有利だが、ハンドリングはドリフトの性能が優秀なこともありほぼ不要。
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最高速が優秀で、なおかつ固有アイテムがいつ引いても腐らない「ブーストが3回できる」という効果であるアンジェリカが非常に使いやすいバランス。一応どのキャラでも普通に攻略はできるが……。
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なぜかキャラクター性能は選択画面ではなく、選択後のカスタマイズ画面まで行かないと確認できない謎仕様。そのため、キャラクターの性能比較が非常にやりづらい。
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また、パーツの組み換えも「パーツとキャラクターのトータル性能」しか確認できず個々のパーツそれ自体の性能がわからないため、「このパーツを組み込んだらどのステータスが上がってどのステータスが下がるのか」を確かめづらい。
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そもそも根本的な問題として、全4作品の12キャラというのは仮にもオールスターゲームとしてはあまりにも寂しい。
その他
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BGMは出来そのものは悪くはないが、1ループが短くあまり各コースのイメージに合っているとも言えず、さほど印象には残らない。悪印象でないだけマシかもしれないが……。
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せっかくのユニークなルールである「スラローム」や「強制リタイア」は一部コースに存在するのみ。せめてフリーランではオプションで全コースに対応させても良かっただろう。逆にこれらのルールのコースを通常ルールで走れないのも微妙なところ。
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シングルプレイでは「チームプレイ」というこれもユニークなルールがあるが、中身はぶっちゃけ地雷。
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全ての出走者がランダムに二人ずつのチームに振り分けられ、チームごとの合計スコアで競う、というものだが、レースゲームのルールの関係上味方の順位を引き上げるようなことは非常に困難。弱いCPUがチームメイトとして当たると、自分がどれだけ1位を取っても追い上げられる危険性がある。ルール全体としてみると、「誰が相方に付くか」の運ゲーに近い。
総評
レースゲームとしては、色々とアレな問題点が多くクソゲースレスレな代物である。キャラゲーとしても使用可能キャラの狭さなどガッカリな点が多い。
ただ、難易度の低さについては対象年齢を考えればまぁ納得はできる範疇であり、「普通に走らせる」分には普通に走らせられるため完全にクソゲーかと言うとそうも言い切れない微妙なラインの完成度。
なんだかんだ言ってそこそこウケたのか、続編『ニコロデオン・カートレーサーズ2』まで発売されている。続編は普通に日本語に対応しており評判も悪くない様なので、今から本作を遊ぶメリットは「ほぼない」と言っていいだろう。
余談
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なんでスライムなのかぱっと見でわかりづらいが、これはニコロデオンのシンボルがグリーンスライムだからである。
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市販のスライムにニコロデオンのロゴがあるのもこのためである。
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実際、ニコロデオンの子供向けアワード「キッズチョイス・アワード」などでは参加者がグリーンスライムを被るのが恒例行事になっているとか。
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本作でも、各カップの優勝者にはスライムがぶちまけられる演出がある。
シャンパンファイトの代わりだろうか?
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Switchのパッケージ版はゲームカードが入っておらずダウンロードコードが記載された紙を封入している。
最終更新:2024年03月16日 10:35