ソルジャーブレイド
【そるじゃーぶれいど】
| ジャンル | シューティング |  
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| 対応機種 | PCエンジン | 
| メディア | 4Mbit Huカード | 
| 発売・開発元 | ハドソン | 
| 発売日 | 1992年7月10日 | 
| 定価 | 6,500円(税抜) | 
| 配信 | 【Wii】2007年1月30日/600Wiiポイント(税5%込/配信終了) 【WiiU】2014年9月24日/629円(税10%込/配信終了)
 【PS3/PSV/PSP】2009年2月17日/600円(税5%込)
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| 判定 | 良作 | 
| キャラバンシューティングシリーズ | 
 
概要
ハドソン(現:コナミデジタルエンタテインメント)の人気シリーズの一角、キャラバンシューティングシリーズの5作目にして『スターソルジャー』シリーズとしてはPCエンジン最終作としてリリースされた縦スクロールシューティングゲーム。
系譜に当たる『ガンヘッド』『スーパースターソルジャー』『ファイナルソルジャー』がそれぞれ外部委託製作だったが、今作はハドソン内製となる。
ストーリー
21世紀、科学の進歩により文明はめざましく発達した。その一方、地球の資源は枯渇し、人々はその補給源を宇宙に求め、人類初のワープ装置「バイアスドライブ」(超高速推進器)の発明により、外宇宙への探査「スターライトプラン」が開始された。宇宙機動艦隊6部隊、約5000人の人員に及ぶ「外宇宙資源探査船団」が結成され探査が開始されたが、開始から4か月後、船団との連絡が突如途絶えた。地球政府の必死の捜索もむなしく、原因が解明されることはなかった。
3年の月日が流れたある日、外宇宙資源探査船団が突如地球に帰還したが、彼らは外宇宙異生命体に侵食され、「ゼオグラード軍」を名乗り地球政府に反旗を翻した。突然の異生命体の侵略に、地球政府軍は為す術もなかった。
探査船団が消息不明となった直後からこの事態を予測し対処すべく、研究を続けていた一人の科学者がいる。彼の名は「ジョン・ハワード」。来るべき宇宙時代に異星人襲来を予測して研究された超小型バイアスドライブを装備した重戦闘機「ソルジャーブレイド」を開発し学会に発表した。しかし彼の意見は駆逐され学会追放となり、現在軍所属の「SIAチーム」へ左遷されてしまった。
Special Interception Airforce(特別迎撃空軍)通称SIAと名付けられたこのチームは一見聞こえがよく、超一流な腕前を持つ隊員たちが揃っているが、実状は現社会体制からドロップアウトした落ちこぼれ部隊である。
地球政府軍が壊滅状態にある今、SIAはゼオグラード軍を全滅させるため、ソルジャーブレイドに乗り込み出動した。
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なお、本作のストーリーは前作までと直接的な繋がりはない。
主なルール
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パワーアップアイテムは赤、青、緑の三種類。同じ色を取り続けることにより三段階までパワーアップ。
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また、どの色のアイテムを取ってもオプション「ガンボディ」が登場して付随。こちらも現段階のショットに応じた追加ショットを打つ。
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パワーアップアイテムの色に応じてボンバーに当たる「スーパーシェル」が最大3つまでストックされる。
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ショットレベルが最大の時に同色のパワーアップアイテムを獲得すると全画面攻撃「バーストアウト」が発生する。
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これ自体は今までのシリーズでもおなじみの要素だが、ゲームが止まらず進行するためテンポが向上している。
 
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但し、キャラバンモードでは「赤ショットのみ、ガンボディとボンバー無し」となっている。
 
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自機の速度はセレクトボタンでLOWとHIGHで切り替え。
    
    
        | + | 各パワーアップのショット | 
赤「クラスター」
ソルジャーシリーズお馴染み最大5方向のショット。
スーパーシェルはガンボディが炎を纏い長時間体当たりを仕掛ける「マキシマムヒートトレース」。
ショットの火力はやや低めなものの「後ろ方向に攻撃可能」「スーパーシェル効果中にもショットが打てる」という唯一無二の特性もあるため、無敵を活かしてボスに重なって大ダメージを与えることも可能。
キャラバンモードではこのショットのみを使用することとなる。
 
青「レーザー」
一瞬で奥まで着弾する高速レーザーを発射。パワーアップすることでレーザーが太くなり最大三方向へ攻撃。
スーパーシェルは本体から極太レーザーを発射する「スイーパーブレイド」。
通常ショットの範囲に癖があるが、スーパーシェルが高火力で範囲攻撃が非常に強力。一方で無敵時間は短いため突破性能ではやや低い。
 
緑「ウェーブ」
横幅が長く、前方に強い緑色のウェーブ状ショット。パワーアップで2方向→3方向となる。
スーパーシェルはガンボディが円を描きながら敵に体当たりを仕掛ける「チェイスブラスター」。
赤と比べると前方に強く雑魚処理がしやすいものの、スーパーシェルのせん滅力や利便性でやや劣る。
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各モードについて
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ノーマルモード
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全7ステージ、上記ストーリーに沿ったステージを進んでいき、ゼオグラード軍を壊滅させるのが目的。
 
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キャラバンモード
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2分もしくは5分の制限時間以内のどれだけのスコアを稼げるかを競うモード。上記通り赤ショットのみでガンボディとスーパーシェルは使用不可能。
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中間地点に1ボス、最終地点に4ボスが登場する。
 
評価点
シンプルド直球な「シューティングゲームの楽しさ」を追求した作りと高い完成度
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基本的に今までのキャラバンシューティングと同じ作りではあるものの、それまでの蓄積もあり爽快感やゲームバランスは大きく向上。
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今回はオート連射が採用されており、ボタン長押しで最高速の連射が可能になったため、プレイも快適となった。
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キャラバンモードも健在。今作では中間地点の1ボスが破壊可能の機雷を大量にまき散らすため、残り時間を考慮してどこまで稼ぐか?がアツい駆け引きとなっている。
超高性能自機を使いこなしてこそのゲームバランス
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今作自機「ソルジャーブレイド」はキャラバンシューティングのみならず、同時代のSTG自機と比べても非常に高性能。
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3種のショットはどれも広範囲をカバー、ソルジャーシリーズのお約束である「被弾してもパワーダウンで一発死は無し」もあり、攻守共に隙がない性能。
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ガンボディは無敵どころか弾消し効果まで付随。
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ボンバーは3本しかストックできないものの、コンスタントにパワーアップアイテムが出現するため、温存するのではなく「どのように使っていくか」を考える楽しみもある。
 
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序盤こそは自機の高性能さでサクサク進むのだが、5面以降は難所が続くため、一筋縄ではいかない調整となっている。
優れた演出面
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1992年のPCエンジン成熟期のゲームともあって、グラフィックのクオリティは非常に高い。
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何よりも自機「ソルジャーブレイド」のデザインが非常にかっこいい。
 
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各ステージのシチュエーションもストーリー性が伝わりやすい構成となっており1面の宇宙基地から始まり、地球に入っていく2面、市街地で戦う3面、地下基地へ突入する4面を介して、5面から再び宇宙戦が始まる…といった具合である。
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特に2面後半の背景に広がる都市の書き込みや多重スクロールは美しく、それでいてテンポを全く損なっていない。
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前作や前々作に都度見えたファンタジックな要素は鳴りを潜め、メカニカルで硬派な宇宙戦争のフレイバーが強い世界観となっている。
 
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敵メカのギミックも多彩で、見ていて飽きない。
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例えば6面2体目中ボス「プロトタイプ」はそれまでのボスのパーツを装備・換装して戦闘という、変則的なボスラッシュのような構成になっている。
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ストーリー展開として目を引くのはライバル機「デュオス・コア」の存在。
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最初に1面中ボスとして登場し、パーツを破壊すると「I'll be back…」のセリフと共に去っていくのだが、都度新しいパーツを装備してソルジャーブレイドの前に立ちふさがる。
 
 
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BGMも今作の爽快感・ストーリー性を彩るに相応しい、疾走感に溢れる良質な楽曲が揃っている。
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『スーパースターソルジャー』も担当した星恵太氏と「まきりか」こと谷藤真紀子氏の合作となっている。
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キャラバンステージも前半・後半で2曲に分かれており、爽快感のある前半・勇壮な後半とどちらも良曲。
 
賛否両論点
爽快感と打って変わってビターなラスト
    
    
        | + | ネタバレ注意 | 
6面でゼオグラード軍の基地を壊滅させるものの、7面冒頭で味方が突如全滅し、デュオス・コアとの最終決戦となる。
BGMもそれまでの疾走感溢れる楽曲から一転し、やや重圧で陰鬱な楽曲となっている。
エンディングも敵軍と相打ちして宙域に浮かぶソルジャーブレイドの残骸という非常にビターなテイスト。
一方で「ゼオグラード軍の壊滅」という任務は成し遂げており、バッドエンド、鬱エンドとは言い切れないものとなっている。
だが、エンディングの最後でデュオス・コアの残骸(と思しきもの)から怪しい光点が点滅を繰り返していることから、実は完全には破壊されてはいなかったことを示唆しているようにも見える。
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やや既視感のある演出
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開発者自ら「当時流行っていたアーケードSTGをリスペクトした」と発言しており、全体的に「どこかで見たことある」作りが多い。
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特に緑ボムの動きは『トライゴン』のドラゴンレーザーに酷似していることはよく指摘されている。
 
問題点
ミスからの復帰が厳しい
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今作はミスをするとその場復活で、ミス時は持っていたストック分のシェルアイテムをまき散らすのだが、落下速度が非常に早いため回収が非常に難しい。
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ボムを全て使い切った場合はアイテムをまき散らすこともなく丸裸からその場復帰という厳しい状況になってしまうため、残機でゴリ押しという戦略すらできない。
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今作ではボス戦でパワーアップアイテムが登場しないため、パターン化できなければジリ貧になりがち。
 
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全体を通して見ればコンスタントにパワーアップを取れるのだが、5面後半のようなパワーアップが確保できない難所も少なからずある。
前作から武器の激減
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前作に当たる『ファイナルソルジャー』に存在した武器の選択によるカスタマイズという要素が削除され、前々作『スーパースターソルジャー』よりもさらに少ない3種類となった。
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サブウェポンも複数種から取捨選択の要素があった過去作からオミットされ、パワーアップで追従するガンボディのみ。
 
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いずれのショットも広範囲をカバーかつボムを所持しているため、場所によって厳密にショットを使い分けるという戦略性は薄い。
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基本的にどのショットでも範囲とボムでどうにかなってしまう場面は多い。
 
総評
キャラバンSTGとして見れば7作目、スターソルジャーシリーズとしては5作目というだけありSTGとしての完成度・演出面双方にパワーアップを遂げた会心の一作。
既にSUPER CD-ROM2が主流になっていたPCエンジンにHuカードの底力を魅せた作品となった。
近年の高難易度路線・キャラクター路線のSTGとはまた違った「撃ちまくる爽快感」「テキストやキャラクターに頼らずに演出でドラマ性を押し出す手法」という点でひとつの完成点と言える作品と言えるであろう。
余談
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実はSTGでは数少ない「タイトルが自機名と同一」な作品である。
その後の展開
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翌1993年、第9回ハドソンの全国キャラバンは『Hi-TENボンバーマン』で行われ以降『ボンバーマンシリーズ』シリーズが主体となる。
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そのためシューティングゲームとしてのキャラバンは本作が最後となった。
 
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今作の後日談としてニンテンドウ64ソフト『スターソルジャー バニシングアース』が98年にリリースされた。
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こちらは同年にセタのN64互換基板「アレック64」を採用したAC版も稼働しており、シリーズでAC版がリリースされた唯一の作品でもある。
 
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2012年に20周年を記念し、本作の資料集がダウンロード販売された。
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『ボンバーガール』のゲーム中に使用できるBGMプリセットとして本作のBGMが収録されている。
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なお、他のキャラバンSTGやボンバーマン以外のハドソンIPと同じくゲーム及び公式四コマ漫画でネタにされていることは現在無い。
 
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2024年現在Huカードはプレミア化、後述のPCエンジンminiも定価より高い状況で少しプレイのハードルは高いが、PS StoreにPCエンジンアーカイブスが現在も配信されているためPS3があればプレイ可能。
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過去はWii/WiiUのバーチャルコンソール及び、i-revoなどでも配信されていたが現在は配信停止。
 
オムニバス収録
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PCエンジン mini
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海外版の今作が収録されている。最初の「キャラバン採用ソフト」の表記がないことやキャラバンモードが「CHALLENGE MODE」と改名されていること以外ゲーム本編の大きな変更点はない。
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特定操作をすることで『SPバージョン』もプレイ可能。これは再調整されたキャラバンモードのみを収録した物で、大会の上位入賞者にのみ配布された超希少品を収録した物である。
 
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ちなみにPCエンジンミニには『ファイナルソルジャー』が未収録の代わりに『ガンヘッド』の海外版『BLAZING LASERS』が収録されている。
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公式サイトには川田名人とグラフィッカーのるら坊氏のインタビューも掲載されている。
 
最終更新:2024年06月17日 15:10