ファイプロ女子ALL STAR DREAMSLAM

【ふぁいぷろじょし おーるすたーどりーむすらむ】

ジャンル スポーツ(プロレス)
対応機種 スーパーファミコン
発売・開発元 ヒューマン
発売日 1994年7月22日
定価 9,500円
プレイ人数 1~4人
判定 なし
ポイント シリーズ初の女子プロレス版
ビジュアル重視で中身は当時にしては3年前レベル
実名使用も全員に行きわたらず中途半端
ファイプロシリーズ


概要

1994年7月にヒューマンから発売されたスーパーファミコンソフトのプロレスゲームで、同社看板作品『ファイプロ』のシリーズ作品。
シリーズでは初の女子プロレス版となる。また略称の「ファイプロ」をそのままタイトルに持ってきたのも初めてのこと。

これまでのシリーズ作品はすべて実在レスラーをモデルとしながら非公認だったが、本作は「全日本女子プロレス」の公認で同団体所属のレスラーは実名且つ実写で登場している。
またパッケージでも実写でズラリ顔を揃えており説明書でも実写がふんだんに使われている。


内容

  • 基本的にシリーズ恒例のクオータービュースタイルのプロレスゲーム。
    • 組んでからコマンド入力で技をかけ、必ず決まるが威力の小さい小技、威力はそれなりに高いが相手の体力次第では返される中技、それを更に極端にした大技がある。
  • 収録レスラーはレギュラー24名と隠しボスが2名の総勢26人。
    • レギュラー24人のうち18人が全日本女子のレスラーで実名登場している。
    • 他は「○○(色名)ウーマン」という形で一切明かされていない。顔写真はなくシルエットのみで表現されている。
    • 隠しボスは「クラッシュギャルズ1号」「クラッシュギャルズ2号」となっており、これもシルエットになっているが、元が誰なのかは一目瞭然すぎて隠す気もなさそう

登場レスラー

全日本女子プロレス(18名)

  • アジャ・コング
  • ブル中野
  • 井上京子
  • 北斗晶
  • 堀田祐美子
  • 井上貴子
  • みなみ鈴香
  • 三田英津子
  • 長谷川咲恵
  • 下田美馬
  • 豊田真奈美
  • 山田敏代
  • バット吉永
  • インフェルナルKAORU
  • 吉田万里子
  • デビー・マレンコ
  • 伊藤薫
  • チャパリータASARI

他団体モデルの変名レギュラーレスラー(6名)、以下()内はモデルレスラーと当時の所属団体

  • イエローウーマン(神取忍、当時LLPW)
  • ホワイトウーマン(キューティー鈴木、当時JWP)
  • グリーンウーマン(ダイナマイト関西、当時JWP)
  • レッドウーマン(尾崎魔弓、当時JWP)
  • ブラックウーマン(デビル雅美、当時JWP)
  • ピンクウーマン(工藤めぐみ、当時FMW)

隠しレスラー(2名)

  • クラッシュギャルズ1号(ライオネス飛鳥、当時既に引退)*1
  • クラッシュギャルズ2号(長与千種、当時フリー)*2

ゲームモード

ウイニングロード

  • それまでのシリーズでいう「公式リーグ戦」に該当する。
    • CPU相手に勝ち抜いていくステージクリア方式で、最後に隠しレスラーがラスボスとして登場。
    • 最終戦は場外を封じられたランバージャックマッチとなる。
    • ただし旧来作の「公式リーグ戦」とは異なり勝ち点制ではなく、ピンフォールだろうがリングアウトだろうが勝てば次へ進める方式。
    • パスワードは負けてコンティニューしない場合にのみ発行される。そのパスワードで再開する場合下記の「オプション」から。

メモリアルマッチ

  • それまでのシリーズでいう「エキジビジョンマッチ」に該当する1試合のみを行うモード。
    • いわゆるフリープレイの単戦を行う。

ジャパングランプリ

  • それまでのシリーズでいう「オープンリーグ戦」のシングルマッチ版。
    • 総当たり戦を行い、勝ち点の順位を競う。

タッグリーグザベスト

  • それまでのシリーズでいう「オープンリーグ戦」のタッグマッチ版。
    • 勝ち点などのルールは「ジャパングランプリ」と同じ。

ワンナイトトーナメント

  • 名前の通りそれまでのシリーズでいう「トーナメント」。
    • シングルかタッグかを選択できる。出場枠は8人(8チーム)固定。

軍団対抗戦

  • それまでのシリーズでいう「イリミネーション」。
    • 「先鋒」から「大将」までを決め5対5で戦い、負けか引分けで脱落し大将を破れば勝ち。

オプション

  • リングマットカラーの変更や、サウンドテスト、試合前のパフォーマンスの有無を選択できる。
    • 他に上記「ウイニングロード」のパスワード入力も、これで行う。

評価点

  • 基本的にゲームのシステム自体は良質なものが、そのまま壊さず取り入れられている。
    • 組んでからコマンド入力のタイミングが多少異なるものの、慣れるのに苦労するよなことはないだろう。
    • 王道なモードもほぼ全て網羅されているため、同等なスタイルでプレイできる。
  • 実在団体公認ということもあり実写がフルに使われておりファンサービス要素が強い。
    • またプレイアブルキャラもしっかり個々の特徴が取り込まれている。

賛否両論点

  • 今までとは全く違うコミカルな雰囲気。
    • モード選択の画面など女子プロレスを意識してイメージチェンジ狙いかSDキャラによる表現がされていたりCPUを現すものがスーパーファミコン本体になっていたりと、シリーズとは一線を隔している。
    • 雰囲気までモデルチェンジしたことは一概に悪くはないが今までのような硬派なイメージを好む者からすれば今一つ好きになれないかも。

問題点

  • 全般的に登場レスラー数や、技の数などは少なく3年も前のスーパーファミコン初作品『スーパーファイヤープロレスリング』と同等レベル。
    • 少し前に発売された『スーパーファイヤープロレスリング3 Final Bout』(イージータイプ含む)ではトータル64人も出ていたことを思うとかなりラインナップの貧弱さは否めない。
    • 女子プロレスとしては初作品ではあっても、ゲーム根本ではあきらかに見劣っている。
  • レスラーエディットもなければ、バックアップもないなどゲームの根幹でも3年前の上記作と同等クラス。
    • それでいて定価9,500円と7か月前に発売された『スーパーファイヤープロレスリング3 Final Bout』と比べて200円安いだけでは高いと言わざるを得ない。
    • 一応『スーパーファイヤープロレスリング』にはなかったトーナメントモードや、リーグ戦などでのCPU同士の試合のスキップ機能はある。
  • ライセンス外レスラーの名前があまりにも安直。
    • モデルは存在するのだが、レッドウーマン、イエローウーマンなど色の名前に「ウーマン」とつけただけ。
      • モデルがわかっている人にとっても、これではいかにもインチキ臭いイメージしかない。
  • ボイスはまったくない。
    • 本人の声が収録されていない以前に、これまでの作品では少しではあるものの搭載されていたボイスが全くないというのもゲームとしては退化に感じられる。

総評

女子プロレスは初作品なのでひとまず基本形を取ったのは悪い判断ではないのかもしれないが、メニュー画面などビジュアルは一新されていても中身はシリーズファンからすれば物足りない一面もある。
もちろんクソゲーではないどころかゲームシステムそのものは元々良質で、それが崩されずゲームの根幹に据えられているため悪くはないが単なるガワ替えと取られかねない。
シリーズ初の女子プロレスバージョンではあるものの、中身そのものは薄くビジュアル重視といえば聞こえはいいかもしれないが、ゲームそのものは3年前と同等ではファイプロシリーズのファンとしては物足りなさを感じる内容。
また実在団体公認とはいえライセンス外の選手がいたり、そのネーミングが安直だったりなど中途半端に感じられるところもある。


その後の展開

  • 女子プロレス版としては『ファイプロ女子 憧夢超女大戦 全女vsJWP』をPCエンジンCD-ROM2専用として1995年2月3日に発売。
    • この作品では全日本女子プロレスとJWPの2団体が公認となっており、実名化の幅が広がっている。
  • スーパーファミコンにおける本作の続編は1995年6月30日発売の『スーパーファイヤープロレスリング クイーンズスペシャル』となる。
    • 女子プロレスとしては初めて「スーパーファイヤープロレスリング」をフルネームで冠している。また本作のようなコミカルなイメージはなくなり本道のスタイルでの女子プロレス版といったスタイルにモデルチェンジしている。
    • 上記作品から一転この作品では公認は本作同様全日本女子のみだが、公認でない団体所属のレスラーは比較的マシな変名をされている。

余談

  • リーグ戦「ジャパングランプリ」「タッグリーグザベスト」はいずれも当時の全日本女子プロレスで実際に行われていたイベント名そのままである。
    • 似たような例としてメサイヤの『全日本プロレス』でも、実際の「世界最強タッグ決定リーグ戦」「チャンピオンカーニバル」をそのまま採用して同じリーグ戦をシングルとタッグで別口のモードに分けている。

最終更新:2024年08月25日 21:59

*1 この年の暮れにフリーランスとして復帰。

*2 本作発売の翌月に自団体「GAEA JAPAN」を旗揚げ。