ラリアット(プロレス技)

登録日:2011/01/25 (火) 01:04:53
更新日:2024/10/09 Wed 23:17:28
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『ラリアット(Lariat)』プロレス技の一つ。
元々は「投げ縄」を意味する英単語であり、その動作が由来。
プロレス技の中でもその単純明快な解り易さ、見た目のインパクト、手軽な威力もあり特に使い手の多い技であり…寧ろ一度も使った事の無い選手を探す方が難しい程である。
プロレスを象徴する技でもあり、ドロップキックと共に「=」としてプロレスをイメージ出来る技の代表格でもあるだろう。
事実、現在ではプロレス以外のジャンルでこの類の技が見られる事は無いが、
元々はアメリカンフットボールに於ける悪質な反則技『腕タックル』(昔は反則技ではなくハンセンは得意としていた)から生まれたと云う歴史がある。

そして受け手の技量が試される技でもある。
もし下手くそな受身をとってみようものなら技全体の威力が低く見えてしまうからである。
しかし逆に言えば受身をアレンジしやすい技でもあり、走り込んできた相手の勢いを利用して一回転受身を取ったりとこの技を生かすも殺すも受身次第、
という点でも非常にプロレス的な技である。

ただし、実際の威力も折り紙付きであり、ハンセンのラリアットを受けた三沢光晴は「冗談抜きで目の前に星が飛ぶ」と言っていた。
※戯れに腕を引っ掛けた一般人が大ケガをした報告もある。

尚、かつての日本ではラリアットなのかラリアートなのかで議論が起こり、元祖のハンセンのみ“ラリアート”等という奇妙な理屈が罷り通っていたが、発音的に正しいのは“ラリアット”であり、現在では殆ど統一されている。
要は昔の新日本プロレスのアナウンサーが実況で「ラリアーット!!」と技名を口にしたら、聞いたことのない英単語だったので発音通りの表記が定着したのだろう。
一方、全日本プロレスは「正しい発音はラリアット」としていた。ハンセンが新日から全日に移籍したことで次第に「ラリアート」は消滅していった。


【概要】

自らの腕を真っ直ぐに横に延ばした状態(実際には衝撃を和らげる為にも多少は曲げるのが望ましい)で標的の首に腕を叩き付け、そのまま振り抜く事でダメージを与えるのが基本型。
プロレスと云うジャンルは相手の仕掛けた技を受け合う事で試合を作ると云う命題があるのだが、
その中にあっても鍛えるのには限界がある(喉元)への攻撃と云う事で、見ている側がストレートに痛みを感じ易い技でもあると云う事が人気の要因の一つでもあると思われる。

尚、現在では思い切り“薙ぎ倒す”様に腕を叩き付けるラリアットと、
腕を真っ直ぐに延ばした状態で“引っ掛ける”様にして倒して行くクローズラインの2タイプに大別されている。
また、クローズラインはジェイク・ロバーツが始祖という説もあるが
尤も、白黒テレビの時代から力道山ライバルであったシャープ兄弟の様に合体技としてクローズラインを使う選手は存在していたため、現在に通じるプロレス業界で多くの人に認識されるかたちで使用し始めたのがロバーツだと云うのが正しいだろう。
ロバーツのクローズラインは腕を真横に打ち付ける腕パンチとも呼ぶべき技である。

因みに米マットでは数年前までは「リアリティを感じない」と云う理由で人気が無かったが、現在は名手も多い。


【主な種類】


ランニング(ダッシュ)式

最もポピュラーな形で、自らが走り込んで放つ。
ロープの反動を利用する事で威力や勢いを増加、演出する事も多い。
日本式の「ラリアット」は主にこれであり、ゲーム等でも多くがこの形態である。
コーナーに押し込んで逃げ場のなくなった相手に仕掛ける串刺し式もランニング式の応用である。

カウンター

その名の様に、相手が走り込んで来たりロープから反ってきた時にタイミング良く腕を合わせる。
相手の勢いを利用出来るインパクトもあり、近年では名手達がフィニッシュとして繰り出す事も多い。
尚、相手をロープに振り、返って来る所に腕を合わせるのがハンセンの「ウェスタン・ラリアット」の原型である。

ショートレンジ式

近距離から腕を叩き込み、勢い良く薙ぎ倒して行く。
フィニッシュとして使うのは名手でも難しい。
上記のランニング式やカウンター式とは違い、純粋に使い手の技量が威力を決める技とも言える。
実際、ハンセンか小橋ぐらいしかインパクトを残せた使い手はいない。

ジャンピング式

空中に自らの身体を舞わせ、その勢いと体重を利用するアクロバティックな技。
トペ等のボディアタックをラリアットに応用した技と言える。
コーナーからのダイビング式も同様である。

サンドイッチラリアット

挟み撃ちでラリアットを当てる。
キン肉マン』のクロスボンバーとしても有名。



【主な使い手】

実在の人物

ウェスタン・ラリアット(西部式投げ縄打ち)
この技の元祖にして最大の使い手。
ハンセンは左腕から繰り出されるこの技を一撃必殺の絶対的フィニッシュムーヴとして使用…その神通力は引退まで失われなかった。
そもそもラリアット(投げ縄)と云う名称自体がカウボーイスタイルのハンセンのギミックに併せた呼び名である。
前述の様にハンセンが学生時代に打ち込んでいたアメフトの反則技である『腕タックル(※これがクローズライン)』が元となっており、
以前に囁かれていた御大ジャイアント馬場の「ランニング・ネックブリーカー」から着想を得たと云う説は現在では否定されている。

アックス・ボンバー
派生技として扱われる事もある。
腕を真っ直ぐにでは無く、肘から直角に曲げた状態(L字)で相手に腕を叩き付ける。
ラリアットとの差別化の為に開発当初は肘で相手の額を打ち抜くと説明されていたが、後には喉元を狙う亜種に落ち着いた。

リキラリアット
日本型の「ラリアット」の開祖。
元々は地味なスタイルだった長州がリングを走りまくる革命戦士に変身すると共に身に付けた技。
体格(身長、体重)で劣る長州が弱点を補うべく身に付けたのがランニング式の始まりである。
日本人にはこのタイプの使い手が多い。
※流行の契機だが試合を一撃で決める威力を持たせられる選手は少なく、近代プロレス=ラリアットプロレスと揶揄される事となり、「ラリート」等と呼ばれる様になった。

ジャンボラリアット
自らの長身を活かした、打ち下ろす様なスタイルで使用。
打ち方自体は下手くそと評されフィニッシュとはしなかったが、定番の得意技として愛用していた。
打った後で顔をしかめ腕を痛めたフリをするのはお約束。

剛腕ラリアット
体重差の関係か(神通力か)、ハンセンの様な完全な一撃必殺とはならないが、ハンセン以外に使えないと思われていたハンセン式ラリアットを最初に身に付けた選手である。
文字通りの剛腕から打たれるラリアットは圧巻。
「居合い抜き式」とも呼ばれる相手の腕を取り、引きつけながら叩き込む「ショートレンジ剛腕ラリアット」の説得力は凄まじかった。
現在はその魂は潮崎豪に引き継がれた。

継承ラリアット
小橋の全盛期が過ぎた現在は現役最高の使い手。
若手時代は長州型の、尚且つ序盤から連発するスタイルだった為に批判される事が多かったが、
引退したハンセンに指導を受けた以後はその魂を引き継ぐべく研鑽を重ね、一撃に優れた技へと昇華させる事に成功した。
他の名手との区別化の為かカウンター式をフィニッシュにする事が多い。別名: 豪腕ラリアット

  • ザ・ロード・ウォリアーズ(ホーク&アニマル)
ダブルインパクト
アニマル・ウォリアーのアシストで、ホーク・ウォリアーがジャンピング式ラリアットを繰り出す。
秒殺の価値観と革命的合体技を持ち込んだ。

  • ジェイク・“ザ・スネーク”・ロバーツ
DDTの元祖として知られる名レスラー。
余り大技を使わず簡単に見える打撃技や踏みつけ、引き倒しといった技と呼べないような技で試合を組み立てるが、その彼が効果的に多用していたのが当時の米国マットでは珍しかったラリアット=クローズラインだった。
そのために世代的に元祖ではないはずなのだが、他に使い手が居なかったので前述のように(近年での)元祖扱いされていたのだろう。
ロバーツ自身は長身だが痩せ型の技巧派なので一撃必殺では無いものの効果的に使用していた。

ケンスケラリアット
長州譲りのランニング式を使用するが、持ち前のパワーの為か対戦相手を軽々とはね飛ばす程の威力を誇る。
一試合に連発するスタイルの為に評価は低いが威力自体は小橋や小島らに匹敵する。

  • 近藤修司
キングコングラリアット
Jr.ながらヘビー級をも吹っ飛ばす怪力から繰り出される一撃は圧巻。

  • 鷹木信悟
パンピングボンバー
新日本に移籍後は圧倒的強さから8ヶ月もの間、
直接ピンフォールを奪われなかった無差別級選手。
絶妙なタイミングで体重を浴びせるため、軽量級のジュニア選手ならまず宙に浮く。

  • 大森隆男
アックスボンバー
「アックスボンバー!!」
…威力は絶大。

  • ジョン・ブラッドショー・レイフィールド(JBL)
クローズライン(ラリアット)・フロム・ヘル
近年の米マットに於ける最大の使い手だった。
前述の様にラリアットが流行らない米マットではクローズライン型が主流なのだが、JBLは尊敬するハンセン式のラリアットを使用(※打ち方はテリー・ゴディの物を参考)…。
凄まじいインパクトを残した。
米マットファンからは小橋や小島を凌ぎ近年最高の使い手とも評されている。

架空の人物

  • カイ(エアマスター)
姉さん譲りの「 居酒屋ボンバー 」!

両腕を伸ばしてプロペラのごとく回転する「 ダブルラリアット 」の使い手。
実際のプロレスを知らない人間にもこの技名は浸透しているだろうが、上記の様にラリアットとしては大間違いである。
その他にジャンプ攻撃でフライングラリアットを使う。

必殺技の一つに「 サイバーラリアット 」がある。
当たると相手は燃えたり凍結したりする。

必殺技の一つに「 モンスターラリアット 」がある。

いわゆる「メガクラッシュ」系の技として使用する。
実はダブルラリアットを使ったのはザンギエフよりこちらの方が先である。

基本的にタイラントは爪攻撃を使うが、「バイオハザード2」の通常形態などでは人間への偽装もあって爪が発達しておらずラリアットを使用。
同じカプコンでもこっちはちゃんと回転せずにラリアットを仕掛けてくる。ただし、立ち止まって腕を振るため、見た目はフックパンチのようにも見える。

ジャガーインパクト 」はガード不可!!
ロマンだ。

  • ウルフ・ホークフィールド(バーチャファイター)
『3』等では非常に伸びがあって好きな技。
上段ガード不可?
…ロマンだ。

完璧超人にして、ハンセン(とホーガン)をモチーフにしたラリアッター。
ビッグ・ザ・武道とタッグ・ヘルミッショネルズを組んでラリアットでマスク狩りをする恐るべき超人。
硬度10のダイヤモンドアームと圧倒的な超人強度から放たれるラリアットは彼の代名詞であり
創作界隈でも名をはせるラリアットの名手として知られる。
喧嘩(クォーラル)ボンバー!
「武道! クロス・ボンバー だ!!」
居合い抜きラリアート! 」…ん?

禍福の神が下天した姿である超神。必殺技の一つに、「 ボルケーノボンバー 」がある。

我らがヒーロー正義の仮面。「 ポセイドンウェーブ 」が悪人達を薙ぎ倒す!
「ダァー!!」

満足ラリアット 」の使い手で、主にトロッコできめる技。
「どうだっ!!」

CV.丹下桜でラリアットをかます顔芸ヒロイン。主にツッコミに用いられ、ドロップキックの場合もある。
掛けられた側は「ズギャーン!!」と叫ぶのがお約束。

悟空の頭を掴んで片手で吊るす圧倒的な体躯を誇る伝説の超サイヤ人
映画本編においては悟空とトランクスを両腕に引っ掛けたまま引きずり回す、同時に突っ込んでくる悟飯とトランクスをダブルアームラリアットで迎撃して瞬殺するなど、
DB世界のキャラクターの中でも特にラリアット系の攻撃を多用する様子が見られる。
劇中で特にMADムービーに毒された層にとって印象的なのは、戦意を取り戻して参戦するベジータを一撃でノックアウトした 岩盤ラリアット であろう。
「ふおおっ」→キィーーン→ドゴォー→「もう終わりか?」の流れはMAD視聴者の腹筋を破壊し尽くす

  • 鉄人28号FX(鉄人28号FX)
必殺技として、「 超電導ラリアット 」を使う。

つかみダッシュで相手を掴んでリフトアップし、そのままYボタンを押して「 てっぽうみずラリアット 」だ!
つかみ技からの延長線上という珍しいパターン。

ポケモンカードゲームにおいて、ダブルラリアットやメガトンラリアットといったオリジナル技を習得しているカードが存在する。
また、アニメにおいてはシンジのリングマの使うアームハンマーがラリアットの形となっていることが多い。

ヒールレスラーを基にしたポケモン。
両腕に闇のエネルギーを集め、回転しながら相手に突っ込む専用技、「 DDラリアット 」を習得する。
明言はされていないが、「DD」は技の形から「ダーク・ダブル」の略と思われる。

ボンバ 」名義のラリアット(1ではそのままラリアット名義)を使うことができる。大ダメージ技であり見た目に反して痛烈。

近未来編に登場する、ボリュームのある腕が目立つ戦闘ロボ
近づくとダブルラリアット式の「 ラリラリアット 」で殴り払われる。強化された「 ドリャラリアット 」は自動反撃で飛んでくるため、接近戦はあんまりやってられない敵だ。

  • マックスモーガン(LIVE A LIVE)
現代編での対戦相手の一人であり、ネーミングはアックスボンバー、挙動はダブルラリアットの「 マックス・ボンバー 」で相手をブッ飛ばす。

ガオゴリラ、ガオイーグル、ガオバイソン、ガオポーラー、ガオベアーの五体のパワーアニマルが百獣合体することで誕生する筋肉の戦士。
精霊王の中では怪力自慢で、左右のムッキムキの剛腕から繰り出す「 剛力無双マッスルラリアット 」でオルグ魔人をブチのめす。

使う技の中にゴムゴムの(かま)」がある。

使う技の中に「不沈艦(ガレオン)ラリアット」がある。

使う技の中に「 轟斧爆 」がある。
技名は上記のアックス()ボンバー()が由来か。時代考証?知らん。

鋼のサイボーグ・獅子王凱の実父にして、スペーステクノロジーの一人者である彼も「 レオラリアット 」という技を持っている。
ジェットスケートにより倍加されたそのパワーは、想像を絶する。ただし、その技が使われるのは双子の兄である雷牙との兄弟ゲンカの場面のみ。

両腕を水平上に伸ばして高速回転しながら、赤い旋風と黒い稲妻を纏わせたダブルラリアットを繰り出す「 スピンドルZアタック 」を使う。

第21話で「 ロボコンラリアット 」を使った。

雷犂熱刀(ラリアット)」を使う。

オリジナル楽曲「ダブルラリアット」が存在し、MVでは同名の技の要領で回転していてる。


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最終更新:2024年10月09日 23:17