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電脳戦機バーチャロン - (2018/07/08 (日) 15:51:31) の編集履歴(バックアップ)



電脳戦機バーチャロン

【でんのうせんきばーちゃろん】

ジャンル アクション
高解像度で見る 裏を見る
対応機種 アーケード(MODEL2B)
販売・開発元 セガ・エンタープライゼス
稼働開始日 1996年1月
判定 良作
電脳戦機バーチャロンシリーズリンク

概要

通称『チャロン』。
スペースハリアー』や『アフターバーナー』で培った大型筐体のノウハウを活かして製作された3D対戦アクションゲームであり、今でも根強い人気を誇るロボゲー。
「バーチャロイド(以下VR)」と呼ばれる巨大人型機動兵器を後方視点で操作し、敵が操るVRとフィールド上にて1対1で戦う。


特徴

ツインスティックによる独特の操作方法

  • コンパネ部分には「攻撃」「ダッシュ」のボタンが付いたスティックが2本あり、これを左右それぞれの手で持ってVRを操作する。
  • 移動方法
    • 移動したい方向へスティックを倒すことでVRは8方向に移動する。片側スティックだと歩き、両方だと走る。
    • 両スティックを前後に互い違いに入れるとその場で旋回する。敵を見失いやすい本作において貴重な索敵手段となる。
    • 両スティックを外側に開くように入力するとVRはジャンプし、強制的に相手がいる方向へ振り向く。ジャンプ中に逆に入れる(左右のスティックを内側に倒す)と下降速度を早めることができる。
  • 攻撃方法
    • 敵機を画面中央のサイトに捉えると「ロックオン」状態となり、攻撃が相手に対しホーミングするようになるため、射撃戦では「いかに素早く敵機を捉え、また敵機のロックオンを外すか」が重要。
    • 攻撃ボタンは「右」「左」「左右同時押し」の3種類の操作によりそれぞれ別の武器を使う*1。武器には個別にクールダウン(再使用可能待ち時間)が設定されており、強力な武器ほど連発しにくくなっている。
      • また、VRの状態(立ち、しゃがみ、ダッシュ中、ジャンプ中など)によって攻撃が変化する。例えばテムジンのビームライフルは前ダッシュ中に使うことで強力な「スパイラルショット」に変化。
    • 敵機にある程度近づいた場合は「ダブルロックオン」状態となり、射撃ではなく近接攻撃を繰り出す。ロボットアニメよろしくビームサーベルで切りつけたり、手にした武器で殴りかかったりする。高威力なので直撃を狙いたいが、逆に相手のそれを食らう恐れもあるため、近接戦闘はハイリスク・ハイリターン。なお、近接戦闘はダブルロックオン時にレバーを内側に入れることでガードが可能。
  • 制限時間内に相手のVRの耐久力を0にすれば勝利、逆に0にされると敗北となる。タイムオーバー時は判定に持ち込まれ、残存耐久力が高い方が勝ちになる。

個性豊かなバーチャロイド群

  • VRのデザインはガンダムなどのメカデザインにも関わった有名デザイナー、カトキハジメを採用。ロボットアニメのお約束をちりばめつつも独自性を持たせたデザインにより、多くのロボットアニメファンを呼び込むことに成功。プラモデル化されるなど人気を博し、ホビージャパンなどの模型誌でも度々特集が組まれたほどであった。
  • 操作できる機体は8機。一つ一つの長短がはっきりしている。
    + Select your machine.
    • MBV-04-G テムジン
      • パッケージアートでもセンターに描かれた、バーチャロンの看板機体。全てにおいて平均的な性能を有しており、非常に扱いやすい為初心者はこの機体から入るとよい。機体選択の初期カーソルがテムジンであるのもそのためであると思われる。
        • ライトウェポン(右武器、以降RW):「ビームライフル」…威力、誘導性、リロードとも平均的。ただし、前ダッシュ中のビームライフルは強力になり、これをいかに相手に叩き込むかが勝負となる。
        • センターウェポン(同時押し武器、以降CW):「ソードウェーブ」…威力は雀の涙だが、相殺性能に優れたビームカッターを射出。近接戦闘時には長大なビームサーベルを形成して相手を切りつける攻撃になる。
        • レフトウェポン(左武器、以降LW):「ボム」…威力は低めだが、相手の射撃を一方的に掻き消す事が多く持続時間も長い攻防一体の武装。低いと言ってもシリーズの中ではかなり高く、対戦のレベルが上がってくるといかにしてこの攻撃を生かすかが重要になってくる。
    • HBV-10-B ドルカス
      • 左手に鉄球ハンマー、右手に万力*2を備えた機体。その両腕から格闘機っぽく見えるが、格闘の出が凄まじく遅いため実際は苦手*3。移動性能は低めだが、装甲は厚めで安定性も高いためダウンしにくい(ただしダウンしないせいで攻撃をフルヒット喰らう事も多く、一長一短である)。空を飛ぶ相手には滅法強い。
        • RW:「ファイアーボール」…万力の中央にある銃口から火球を射出して攻撃。見た目に反してオーソドックスな性能。ゲージ消費が凄まじく少ないため弾切れしにくい上に、火球自体がそれなりに大きいため意外に当たる。
        • CW:「ファランクス」…前方扇状にナパームを射出する。高威力なので直接相手に当てるのは勿論、移動を阻害するように射出した後、他の武装を当てるように狙ってもいい。と言うか攻撃方向が偶数な所為で真正面から動かない敵には当たらないので基本戦術である。しゃがんで出すと空に向かってばら撒く(射程は短い)。
        • LW:「ハンマー」…弾速は遅めだが誘導性の高いハンマーを相手に射出する、所謂ロケットパンチの一種で、戻ってくる時にも攻撃判定はあるので避けたと油断すると背中から殴られる事も。代償としてハンマーが切り離されている間はLW格闘を行えないし、当然単発攻撃。テムジンのボムに跳ね返される様(後述)はなんとも間抜け。また山なりに射出するため障害物の裏に隠れた敵も攻撃できるが、敵が半端に近いと頭上を跳び越えてしまう。
    • SRV-14-A フェイ-イェン
      • 女性を模したVR。火力は低いが素早さに長けている。また、耐久力が半分を切ると「ハイパー化」して金色の光に包まれ、全体の性能が底上げされる。
      • 設定上は「人格を持ったオリジナルバーチャロイド・ファイユーブ」が存在し、本作の(と言うかシリーズ全ての)フェイ・イェンはファイユーブの劣化コピーである*4
        • RW:「ハンドビーム」…低威力だが多くの弾を射出できるビーム。ダウンは取りにくい。
        • CW:「ハートビーム」…胸からハートマークを発射する。ハイパー化すると射出前(ハートマークを描いている間)はバリアが形成され、一部の攻撃を無効化しつつ攻撃に移れる。バイパーIIと同じ武装だが、なぜかハートになるらしい(ファイユーブから得たデータを解析出来ずにそのまま使った為)。
        • LW:「ソードカッター」…相殺性能、威力、弾速ともそこそこのビーム弾。ハイパー化すると弾速がかなり速くなる。
      • ちなみにこのデザインはカトキ氏がスタッフに対し唯一注文した機体である。
    • SAV-07-D ベルグドル
      • ナパーム弾やグレネードを実装する火力支援型VR。火力の高さの割に移動速度は速めだが(特に左右移動)、「肩のミサイルポッドと頭に埋め込んだミサイル誘導装置が重くてトップヘビー」と言う設定上、非常に転倒しやすいという欠点も(尤も転倒しやすい事が利点な場合もあるが(ドルカス参照))。装甲も下から数えたほうが早い。
      • 近接攻撃がライデンと全く同じモーションなのは、ライデンの低コスト版として開発されたと設定されているため。
        • RW:「グレネード」…速射性はとても高いが威力はどちらかと言えば低く、なにより誘導性能が全くないため銃口補正のみで当てなくてはならない。これは設定上で欠陥品であることからきている。
        • CW:「ホーミングミサイル」…高い威力と誘導性を併せ持つミサイルを射出。ベルグドルの主力兵器。どんな体勢で撃っても性能はあまり変わらない。
        • LW:「ナパーム」…火柱を上げて進んでいく焼夷弾。応用がしやすく使いやすいが、リロードがとてつもなく遅いため無駄撃ちは厳禁。
    • TRV-06K-H バイパーII
      • 極めて高い滞空能力、機動力を持っているVR。ただしその代償に装甲は「紙」と称されるほど薄く、ライデンのレーザーを喰らおうものなら9割、アファームドのトンファーに至っては耐久力ゲージが残り1ドットの瀬戸際まで持っていかれる。
        • RW:「ビームバルカン」…低速、低威力で誘導性も低いが、速射性だけは高いビームバルカン。この攻撃単体では弱いが、「相手を動かす」には最適な武装。
        • CW:「ホーミングビーム」…高威力かつホーミング性能が高いビーム弾を射出。ただし、斜め上に向けて撃つため近くの敵には当たらない。
        • LW:「7wayミサイル」…前方扇状に7発のミサイルを一気に射出する。距離が近いと凄まじく避けにくい。
    • XBV-13-t11 バル・バス・バウ
      • 外観、武装ともに非常にトリッキーな玄人向けの機体。癖のある機動とジャンプを駆使して、いかに相手から逃げ回りつつ自分のペースを維持するかが重要になってくる。
        • RW:「リングレーザー」…威力は低めだが、相殺性能が非常に高いリングレーザーを射出。ボム系とは違う方向で攻防一体の武装。
        • CW:「ハンドビット」…両腕をひじから切り離して飛ばし、相手の頭上からバルカン砲を浴びせる攻撃。最高の誘導性能を誇るが、両腕を切り離しているので当然両腕が戻ってくるまでは本体は丸腰である。
        • LW:「フローティング・マイン」…浮遊機雷を射出して攻撃。低速、低威力、相殺されやすいと問題も多いが、「フィールドに長時間滞在し追尾し続ける」という性能で相手にプレッシャーを与える。
    • MBV-09-C アファームド
      • 接近戦に強いVR。CWの一撃は多くのプレイヤーにトラウマを植え付けた。ただし代わりに射撃戦で弱いため、いかに近接戦闘に持ち込み、トンファーを叩き込むかが勝利の鍵となる。
        • RW:「ビームショットガン」…手にしたショットガンからビームを射出する。が、性能は心もとない。ちなみに弾そのものよりも、弾が消えたときに出る爆風の方が威力が高い。
        • CW:「ビームトンファー」…遠距離時は相殺能力の高いソニックリングを射出する。ただし、本領を発揮するのはダブルロックオン時の近接攻撃で、高速・長射程かつ高威力で出始めの数フレームは無敵というトンデモ性能。対戦相手は常にトンファーの一撃に怯えることとなる。
        • LW:「ボム」…テムジンのそれと似たボムを射出。ただし全体的に性能が落ちている。横ダッシュで出したときに不発弾になるのは手の動きの最適化が出来なかったからで、モーションをよく見てみると確かに「投げる」というよりはポロッと「落としている」ように見える。
    • HBV-05-C ライデン
      • 鈍重だが高火力のVR。CWの一撃は(以下略)。だがとても当たりにくいためいかに当てるかが重要になる。
      • 設定上では「製造コストがとてつもなく高かった(テムジンの20倍)のと、CWのレーザー発振機を作っているメーカーが潰れて、26機分しか作れなかった」ために専用の部隊に26機すべてが配備されたエリート専用の機体である。肩の(戦艦用)レーザーの所為でベルグドル並にトップヘビーになりそうだが、重装甲のドッシリした機体なので安定性も高い。
        • RW:「バズーカ」…速射性にやや欠けるものの、それ以外は平均以上の性能を持つ実弾兵器。しゃがみで撃った時は凄まじい弾速と誘導性能を持つ。一方左右にダッシュしながら撃つとマシンガンの如く弾を連射するが威力はかなり控えめになる。
        • CW:「レーザー」…肩部のユニットから太いレーザーを照射。威力はまさしく「一撃必殺」で相殺能力も申し分ないため、文字通り前方を「焼き払う」。威力を考えるとクールダウンは早いが、キャンセル不可で大きな隙ができる。しゃがみ攻撃やダッシュ攻撃なら隙が減るが攻撃力も減るので(主に浪漫的な意味で)価値が無い。
        • LW:「グランドボム」…地面を這うように進み、敵機や壁に接触すると爆発を起こすボム。ちなみに相殺性能は無い為完全に攻撃用。しかし爆風の高さも無いので空中の相手には無力。

評価点

臨場感

  • 以前にもロボットを操るゲームは多数存在していたが、それらのゲームとは一線を画していた部分、それが「臨場感」である。
    • コクピットを模したデザインの専用筐体と、2本のスティックレバーを使用した操作により、さながら自らがVRのパイロットになったかのような気分が味わえる。
      • ただしロボ物に拘らなければナムコの「サイバースレッド」「サイバーコマンド」が既に存在していた。未来戦車物なのでジャンプは存在しないが格闘攻撃に関してはサイバーコマンドの方に一機種だけ可能な機体が存在している*5

ゲームデザイン、ゲームバランス

  • 2本のスティックを操作デバイスに採用したことで立体的な移動を行うことが可能となり、ステージの形状を利用した戦術、所持している武装の選択など、プレイヤーが採れる選択肢の幅は非常に多い。
    • 例えば目の前に飛んできた敵弾を避ける、という行動一つとっても、「歩くまたはダッシュで避ける」「ジャンプで避ける」「手持ちの武装で相殺する」「地形の影に隠れてやりすごす」と多彩。
  • ゲームスピードは比較的早めで、ダッシュとジャンプを駆使した高速戦闘は今までの3Dアクションシューティングにないものであった。
  • 機体間の相性による有利不利はあるものの、プレイヤーの技術介入度が非常に高いため、いわゆる「詰んでいる組合せ」「ハメ行為」と呼ばれるものは存在しない。
    • 大ダメージを受けたり、武装に設定されたダウン値が蓄積すると自機はダウンする。ただし起き上がり時に非常に長い無敵時間が発生するため一旦仕切り直しとなる。相手も起き上がりの行動を読んで起き攻めを仕掛けてくるのだが、そこは読みあい勝負。
    • 「複数の武装を組み合わせた回避困難な連携」というものは確かにチャロンにも存在するが、それは立ち回りをミスしたためその状況に持ち込まれてしまった自身に非がある。
      • しかし、上級者同士の対戦になってくると…後述。

BGM

  • 爽やかかつ燃える曲が多く、高速戦闘を展開する本作の雰囲気にマッチしている。BGMのファンも非常に多く、後に当シリーズの代表曲となるSTAGE1のBGM「in The Blue Sky」を聞きたさにこのゲームに興じるプレイヤーも少なからず存在した。
  • 効果音もロボットアニメを意識したものが多い。特にHPが低くなった時の警告音は人目を引いただけでなく「このゲーセンにはチャロンがある」という印にもなっていた。

ストーリー面

  • VR開発の経緯や、本作で展開されている戦役「オペレーション・ムーンゲート」、(プレイヤー以外の)傭兵部隊の存在など設定面が非常に作りこまれており、ある種の「架空戦記」モノとしての趣もある。チャロン世界の設定を読み解くための設定資料集や、外伝小説など積極的なメディアミックス展開が行われた。
  • 前半はゲームのふりをした選考試験、後半は月での実戦とされている。なお遠隔操作なので後半でもプレイヤーはゲーセンに居るままの設定である*6

賛否両論点

  • 「削り合い」の戦闘
    • 盛んにテクニックや裏技が研究された結果、知識のあるプレイヤーと素人との腕前の差が顕著に。
    • ゲーム自体の高速性と被弾を抑えるテクニックが研究された結果、上位プレイヤーの戦いは回避と牽制、ステージの障害を利用した「削り合い」のようになっていった。
    • タイムオーバー時の体力で判定のなされるバーチャロンにおいて、相手を倒すことを目的とせずリードを奪ったら逃げに徹するプレイスタイルの誕生は必然とも言えるが*7、これには賛否両論ある。「これこそバーチャロン」と受け入れる人々がいる一方で、「爽快感を欠く」と言うプレイヤーも多かった。
      • 結局このゲーム性は後の作品にも受け継がれていき、3作目の『フォース』で頂点に達することになる。

問題点

  • 操作系統の複雑さ
    • 4ボタンとスティックを駆使した多数の動作はいきなりでは覚えづらく、操作の複雑性で投げ出すプレイヤーも多かった。この欠点は仕方ないとも言えるが、この動作の複雑化は次回作の『オラトリオ・タングラム』でさらに顕著に。
    • しかも基本操作でさえ隠し操作扱いになっている。それこそガードの仕方さえ教えてくれない。
      • また一部の機体には文字通りの特殊動作*8が存在し、それを知る知らない、使える使えないでは対戦時に大きく影響を及ぼす事も問題となった。
  • 機体バランス
    • ちょっと使っただけでわかる強機体や1セット取っただけで拍手喝采の組み合わせがあるわけではないが、機体とステージと戦術の組み合わせでどうにでも転ぶほどでもないのが今作のバランス。
    • 具体的に表すなら「1強1弱1バグ」。
  • まずは「1強」のテムジン。
    • クセのない操作性、レンジを選ばず活躍できるRW、威力と範囲が優秀で自分から攻められる性能のCW近接と、もともとの性能から隙が少なく優秀であるが、それをより確実なものにするのがLWのボム。
      • とにかく便利な性能で、適当に投げているだけでもかなり強い。範囲がそれなりに広く相手の大多数の射撃を一方的に掻き消す*9、当然の如くテムジン側は爆風を無視して攻撃でき*10、爆風の影から攻撃されると避けるぐらいしかやれることがない場合がとても多い。武器ゲージ回復速度も遅くはなく、1セットの3割ほどの時間は無敵と言われるほど。
      • 更にしゃがみや前ダッシュで投げると威力もかなり高くなり、装甲の薄いバイパーIIが相手なら3発でスクラップに出来る。
      • 格闘攻撃でダメージ勝ちを狙うにも爆風に触れた時点で怯んで中断することが多くまず無理。
      • その高性能さから、何も考えずにゲージが溜まりさえすればボムを投げる戦法が横行した。これがかの有名な「ボムジン」である。
      • ただしバイパーIIとフェイ・イェンならボムとボムの合間に1発だけ当てて逃げ回ると言う戦法で勝利できなくも無い。楽しいかは別だが。
    • またテムジンに関するテクニックや裏技が他のキャラに比べ多いのも、強さを後押ししているといえるだろう。
  • 次に「1弱」のライデン。
    • テムジンとは逆にクセが強い操作性に加え、武装もどこかしらの点が劣っているためCPU戦でも安定して勝つまで時間がかかる。
      • バズーカは初速と威力、グランドボムは相殺性能と威力が弱いと言われている。
      • そして代名詞であるレーザーは隙がとてつもなく大きいことに加えて、実は2本のレーザーの間に死角があり、細身のキャラならライデンの真正面で直立するだけで当たらない。
    • それらの課題をとりあえずクリアし、なんとか対人戦にこぎつけても今度はCWC(センターウェポンキャンセル)不可という、ライデンが「1弱」である最大の理由に直面する。
      • ダッシュ攻撃はトリガーを引いた瞬間から機体が停止して直立状態の硬直が終わるまで完全に操作不可能なのだが、その直立状態の硬直(言葉を変えれば目に見える隙)はCWを撃つことでキャンセルで誤魔化すことができる。そしてCWは出してから一定時間レバーがニュートラルの状態から出したダッシュでキャンセルできる。これらを組み合わせダッシュ攻撃の硬直をダッシュでキャンセルすることをCWCという。OMGにおけるもっとも基本なテクニックで最重要項目。
      • なぜかライデンだけCWCが不可能で、本来とても重要な攻撃であるダッシュ攻撃が他の機体とは比べものにならないレベルで(性能自体あまりよくないのに)重い攻撃になってしまい、自分から攻めにいくのは勿論、相手を迎撃するのも厳しいというかなり八方塞がりな状態になっている。
    • 足回りの性能が劣悪なのもあり、相手はローリスクローリターンな攻撃を繰り返しているだけで勝てる。頼みのレーザーも上記な性能なため、「当たらなければどうということは無い」を体現してしまっている。
  • 最後に「1バグ」のアファームド。
    • 研究が進むまでは、トンファーは凄まじいけどそれ以外が大したことがないため厳しい(ストレートに表現するなら弱い)機体といわれていた。
    • しかし、アファームドにはかなり実用的なテクニック、むしろシステムの穴をついたバグ技が多く、それらを駆使するとテムジンすら凌駕すると言われるほどになった。
      • もちろんそれ相応のプレイヤースキルが求められるため誰もが気軽に使いこなせるわけではない。
    • 移動にバグ技、射撃攻撃にバグ技、近接攻撃にバグ技、回避にバグ技と、正真正銘のバグ機体の名を欲しいままにしている。
    • それらを駆使するアファームドの活躍を文字にすると「凄まじいスピードであらゆる方向にかっ飛んでいき、逃げ攻撃である横ダッシュをしながら横ダッシュ射撃の連射数と前ダッシュ射撃の威力・誘導性を兼ね備えた射撃を行い、不可視な近接攻撃(故にガード不可能)で止めを刺す。」という、何が何だかわからない状況になる。この状態ならボムジン相手でもトンファーでダメージ勝ちできるので問題ない。
  • ヤガランデ
    • 本作の1人用アーケードモードは地上での戦闘となる1~5面、宇宙での戦闘となる6~8面、そしてラストステージの全9面で構成されているが、これに加えて特定の条件を踏むことで5面の後に中ボス・ヤガランデとの対決ステージが挿入される。
    • このヤガランデが恐ろしく強く、その強さはラスボスのジグラットをも凌ぐと言われるほど*11。攻撃力・防御力・機動力全てが圧倒的に高く、攻撃自体も「連射の効くRWのバズーカ」「ヤガランデを起点に扇状に放たれる10本のレーザーを放つCW」「低速の誘導弾として自機に接近し、接近すると4方向に飛ぶ高速弾に分裂するLW」といやらしいものが揃う。特にLWがいやらしく、初見での回避は難しい。
      • これに加えて、どの武器もライデンのレーザーに匹敵する威力を持つ。軽量級はかすっただけでも大ダメージ、重装甲のバーチャロイドでも3~4発喰らえばスクラップと化す。
      • その巨体のせいでわかりにくいが機動性もテムジンと同等。防御力もライデンを軽く凌駕する…と、何をとっても全くスキのない異常な性能
    • その出現条件は「5面までのクリアタイムの合計が一定のタイムをオーバーすること」。つまり、明らかにプレイ時間が長引くことへのペナルティキャラとして設定されている。それだけならまだ良いのだが、この制限タイムがかなり厳し目で、攻略に手間取る初心者ほどヤガランデの出現条件を容易に満たしてしまうのである。イメージファイトか!
      • 初心者どころか中級者以上のプレイヤーでさえ手こずらせる難敵であり、「頑張って5面まで進んだのに、クソ強い中ボスにワケもわからないまま瞬殺された」という被害は各地で後を絶たなかったという。
      • 一応、コンティニューするたびにヤガランデのサイズが縮み、防御力が低下していく救済措置はあるが、正直そこまでして撃破しても先に進めるだけで、その後の展開には何の変化もない*12ため、さっさと席を立つ人のほうが圧倒的に多かった。
      • しかし逆に言えば弱体化するのは防御力のみであり、火力は変わらず。回避すらままならない初心者などは何度コンティニューしても瞬く間にやられていく。救済処置になっていたかどうかというと疑問が残る。
    • 腕前が上達し、スムーズにCPUを倒せるようになればヤガランデ戦は回避できるのだが、実はこの「ヤガランデ出現条件のタイム合計」は店側の設定で変更可能であり、「1試合30秒前後で終わらせたのにヤガランデが出た」という信じられない報告もある。
      • ただしランキングを狙わない(本作のCPU戦はタイムアタック制である)上級者なら1コインでの試合数が増えると言う理由で態と出現させていたぐらいなので歓迎された。中級者以下には迷惑だが。

総評

多数の独自性を持つ本作は、ロボットアニメを見て育った世代にクリーンヒット。
ゲーマーにはもちろんのこと、普段ゲーセンには行かないロボットアニメファンも巻き込む一大ムーブメントとなり、小説、模型化などの多数のメディアミックス展開、続編製作など、90年代後半におけるセガの看板タイトルの一つとなった。


移殖

  • セガサターンとWindows、プレイステーション2、プレイステーション3、Xbox360に移殖されている。
  • SS版はハード性能がAC基板に劣っていたものの雰囲気はかなり再現されている。が、ゲームバランスがAC版と大幅に異なっている。
    • 特に2P対戦(画面分割式)はハード性能の制約かグラフィックが大幅に簡略化され、傾斜のある障害物が完全に撤去されて一部のステージがほとんど障害物のない無個性な平面マップになってしまっている。
    • またXBANDによるオンライン対戦専用のバージョンも1,500円で発売された。
  • PS2版はSEGA AGES2500シリーズ内のひとつとして移植された。追加要素も有り、良移植と言えるだろう。
    • PS2のボタン配置を生かし疑似ツインスティック的なキーコンフィグを設定でき、移植度も非常に高い。また、キーコンフィグにより、1ボタンでジャンプキャンセル可能、ダッシュキャンセルが『オラタン』以降の仕様(ダッシュ中にターボボタン)に変更可能など、シリーズ初心者への配慮がなされている。
    • ソフトとPS2本体、ディスプレイが複数必要となるが、LANを使った“LINK対戦”(最大でプレイヤー2人分+ライブモニター2台)も可能。
  • PS3/Xb360版は『MODEL2 COLLECTION』シリーズの1つとして配信されており、ネット対戦が可能な他、ツインスティックが販売されている。しかしPS2版と比べるとACから追加された要素は皆無で、真の意味でACの移植である。またネット対戦追加の煽りを受けてか、過去の移植版では定番だった画面分割ローカル対戦が削除されている。
  • SS・PS2移植版では条件を満たすことでかの中ボス「ヤガランデ」を使用できる他、PS2版ではさらに隠し要素としてラスボスの「ジグラット」でプレイするモードも収録されている(但しいずれもプレイヤー使用時は一定の性能調整が施される)。

続編

  • 1999年に続編の『電脳戦機バーチャロン オラトリオ・タングラム』が発売し、チャロンの全盛期が到来した。最終バージョンである『Ver5.66』は今でも大会が開かれる、10年近い年月を経て家庭用ハードに移植されるなど根強い人気を保っている。

余談

波乱万丈の開発記

  • 発売後は一躍人気作となったチャロンであるが、製作中には様々な苦労があった模様。プロデューサーの瓦氏によるPS2版取扱説明書の寄稿文、Xb360版『フォース』限定盤冊子内のコラムなどでそのことが語られている。
    • そもそもこの時代のアーケードゲームメーカーには「ロボットを題材にしたゲームは売れない」というジンクスがあった*13。しかし中山社長(当時)が「小口がこれだけ言ってるんだから1回くらい」という社長判断で、鈴木久司常務が『なら身を持って分からせるためあえて作ってみるか』という経緯で開発にGOサインが出た、という笑えない話がある。
    • 発案当時は『バーチャファイター』のAM2研担当鈴木久司常務(当時)から猛反発を喰らい、何度も「開発を中止せよ」と言われたり、開発中には『デイトナUSA』の名越プロデューサーにスタッフを引き抜かれたり、果てには2度のロケテストを経た開発最終段階で、鈴木久司常務に「システムごとB社に売却したほうが儲かる」と言われたりと、決して恵まれた環境ではなかった。しかし最後の最後で鈴木裕常務を味方につけることに成功し、彼のプッシュのおかげで無事世に出ることができた。 ちなみに、鈴木久司常務はAM2研の『ハングオン』でも「こんな恥ずかしい物誰がまたがる」『スペースハリアー』でも「人間が空飛ぶとか頭大丈夫か?」と反対し続け、鈴木裕は「売れなかったなら損失取り戻すまで給料無しでいい」として発売を押し通していた。
  • 開発当初は筒型で頭頂部に1つボタンがついたレバーで、ダッシュはレバーを同一方向に素早く二度倒す方法だったが耐久度とダッシュのやりにくさから現在の2ボタンのスティックの仕様となった。
  • このゲームのボイスを製作したのに使われたPCは世界最悪の化学兵器による無差別テロを起こした某カルト宗教の子会社製であった*14。またこのPCはプロデューサーが当初社内で海外製FPSを遊ぶために用いられた。あまりにも仕事をしなかったため彼は部長の前に席を移動させられたほどである。
  • 本作で培われたロボットゲームに関するノウハウはAC『ボーダーブレイク』に受け継がれたようである。ボダブレのスタッフも「チャロンの事は開発中もかなり意識しました」と語っている。
  • 新作としては2003年の『マーズ』以降、復刻作としても2013年のPS3&360版『OMG』を最後に長らく途絶えていたが、その間も『もし、利益の出るコンテンツである事を証明できれば……』と歯切れが悪いながらも汚名払拭を目標に、本作のVRのプラモを展開するハセガワ等とのイベントに加え、他アニメとのコラボ展開も行うなど、草の根を通じて本シリーズの魅力をアピールする体制が慎重かつ小規模ながら続けられていた。
    • そして2017年、『電撃文庫 FIGHTING CLIMAX』に端を発した電撃文庫とのコラボレーションの一環として、『とある魔術の禁書目録』とバーチャロンのコラボ作である『とある魔術の 電脳戦機 (バーチャロン)』がPS4/Vita用ゲームとして2018年の発売を目指して開発中であることが発表された。2016年に同名のライトノベルが刊行されており、これのゲーム化タイトルである。
  • オペレーター(従業員)泣かせの筐体
    • このゲームは上級者ほどツインスティックを酷使する。
    • 上級者がこのゲームをプレイすると、冗談抜きでツインスティックを最初から最後まで派手にガチャガチャしっぱなしになってしまう。特に「漕ぎ」と呼ばれるテクニックが発見されてからはそれが顕著で、各地で「ツインスティックが折れてしまう」事態が多発。
    • 故意に壊したわけではないのでプレイヤーに修理費用を請求するわけにもゆかず、対戦が盛んなゲーセンでは結構な修繕費が発生していた。
    • 警告音が非常に騒々しく、設置場所が悪いと近くのゲームに悪影響を与える。特に音ゲーの近くに置かれた場合は目も当てられない。