絶体絶命都市3 -壊れゆく街と彼女の歌-

【ぜったいぜつめいとしすりー こわれゆくまちとかのじょのうた】

ジャンル サバイバル・アクションアドベンチャー
対応機種 プレイステーション・ポータブル
メディア UMD 1枚/ダウンロードソフト
開発元 アイレムソフトウェアエンジニアリング
パオン
発売元 アイレムソフトウェアエンジニアリング
グランゼーラ(配信再開後)
発売日 UMD:2009年4月23日/DL:2010年5月13日/
DL(再開):2015年7月29日
定価 UMD:5,040円/DL:2,800円/
DL(再開):1,000円(いずれも税込)
プレイ人数 1~4人
レーティング CERO:B(12才以上対象)
判定 なし
ポイント ストレスと戦いながら生き延びる
防災マニュアル搭載
何故か百合っぽさ満載
グラフィックの質はやや下降気味
旧作よりアニメチックな作風に
絶体絶命都市シリーズ : 1 - 2 - 3 - 4Plus


概要

災害に襲われた都市からの脱出を目指す『絶体絶命都市』シリーズの3作目。
今回は携帯ゲーム機での発売であり、前々作同様に大地震に見舞われた人工島からの脱出を目指す。
前々作『絶体絶命都市』と前作『絶体絶命都市2 -凍てついた記憶たち-』のキャラクターも登場するが、シリーズ作品未プレイでも特に問題はないようになっている。


あらすじ

海に浮かぶ大都市、セントラルアイランド。
富坂水害から三ヶ月後の2011年3月某日*1、主人公はこの年の春から、セントラルアイランド内の大学に通うために高速バスに乗っていた。
新生活に期待を膨らませていた矢先、海底トンネル内を走行していたバスを突如巨大な地震が襲う。
主人公が目を覚ますと、そこには変わり果てたバスと乗客達の姿があった。
主人公はなんとかバスを脱出し、トンネル内で出会った女性「本条 咲」とともに地震によって崩壊が始まったセントラルアイランドからの脱出を試みる。


特徴

  • 今作は前々作『絶体絶命都市』と同じく、大地震で崩壊する島からの避難を目的とする。
  • 主人公は男主人公の「香坂 直希」と、女主人公の「牧村 里奈」の二人から選択できる。両者はストレスの感じ方や体力などで差があるが、シナリオはほぼ同じ。
  • 今作では、体力の他に「ストレス」という概念が存在する。体力とゲージを共有しており、強いストレスを感じるとそれに伴って体力ゲージの最大値も減少するという仕様である。
    • ストレスは、セーブポイントを兼ねる「ベンチ」で全回復できる他、救急セットなどのアイテムを使ったり、ヒロインの歌を聴く事でも回復できる。
      ただし、ストレスのみを回復した場合、体力ゲージの最大値減少の際に削られてしまった体力は回復しない。ベンチでは体力とストレスの双方を回復できるが、咲の歌で回復するのはストレスのみである。
  • 今作もマルチエンディング方式。ヒロインの好感度や選択肢などが分岐に影響する。
    • 好感度が高いと、ベンチで座った時近くに寄ってきてくれたり、主人公を名前で呼んでくれるなど、主人公に対する態度に変化が生まれる。
  • ゲーム中での行動と選択肢によって、主人公の「性格」が3つのうちのどれかに変化するようになっている。それぞれストレスの受けやすさと回復の度合いが違う。
    • 感情をむき出しにした選択肢を選ぶ「情熱型」。ストレスの受けやすさは標準的で、回復アイテムよりも咲の歌による回復効果の方が高い。
    • 物事を冷静に見た判断をする「冷静型」。ストレスを受けにくいが、回復アイテムや咲の歌による回復効果も低い。
    • 多くの事態を想定し、慎重に行動する「臆病型」。ストレスを受けやすく、咲の歌よりも回復アイテムによる回復効果の方が高い。
  • シリーズ初のマルチプレイモードが搭載されており、最大4人まで同時プレイが可能。
  • 防災・危機管理ジャーナリストの渡辺実が監修した「災害マニュアル」が存在する。
    • マニュアルは、作中で自動的に手に入る他、アイテムとしても落ちている。
    • 内容は、地震によって発生しうる二次災害や、避難方法・防災グッズの利用法など多岐にわたる。
  • 誰もが知る栄養補助食品「カロリーメイト」とコラボしており、ゲーム中の所々にカロリーメイトが登場する。但し、キーアイテム扱いなので自分で使用する事はできない。

評価点

  • 相変わらず豊富な収集要素。
    • これまでと比べ数は減ったものの、コンパスは豊富に取り揃えられている。
    • コスチュームも真面目な物からネタ装備まで幅広く存在しており、着せ替える楽しみは健在。
      • 前作と違ってアンダーとトップスを個別に着替える事は不可能だが、種類は前作を大きく上回っている。
      • 前作のような同行者の着替えも不可能になったが、男主人公で手に入れた男物の服をヒロインに着せる訳にもいかないだろうから、これに関しては仕方ない話である*2
      • 一部のコスチュームは、装備してヒロインに話しかけると特殊な反応をされる事もある。
  • 自由度の高い選択肢。
    • 今作にもいわゆる「ネタ選択肢」が豊富に存在する。声優もキッチリ演じるため、シリアス展開がぶち壊しになる事うけあい。
      • 年齢を聞かれて「ぼく、5ちゃい!」と答える、脚立を見つけた際に「ちょっと踊ってみようかな」と脚立の上で踊り出す、鼻歌を歌うヒロインを「耳障りだ!」と罵る、銃弾をマトリックスのように避けるなど、その自由ぶりは正にアイレムクオリティである。
        ちなみに、脚立の上で踊る選択肢を選ぶと踊ってスッキリしたからとストレス値が若干下がる
      • 「情熱型」「冷静型」「臆病型」の各性格を声優がきっちり演じ分けている分、「情熱型」の性格の時に「冷静型」に傾く選択肢を選択するといきなり声のトーンが別人のようになったりとシュールになる場面も。
  • 実用的な災害マニュアル。
    • 専門家である渡辺氏が監修しただけあって災害マニュアルの内容はかなりためになり、実際に被災した場合にも役立つ知識が得られる。
      • しかし、マニュアルのデータは本作が発売された2009年当時のデータに基づいているため、現在からみれば古くなった情報も存在する。*3更新が出来ないPSPゲームと言う媒体の都合上やむを得ない事ではあるが、古いデータに基づいた情報が含まれる事にも注意する必要がある。
    • それでも被災時に身を護る為に役立つ情報は多数収録されているので、今から読んでも参考になる。
  • 良質な楽曲。
    • アーティストは『パチパラ13 ~スーパー海とパチプロ風雲録~』『戦国絵札遊戯 不如帰-HOTOTOGISU-乱』などのアイレム作品に主題歌を提供しているシンガーソングライターの飯田舞。主題歌の「キミの隣で…」は名曲との呼び声高く、挿入歌の「忘れない」も陰に隠れがちながら良曲。
      • 飯田女史はアイレムのゲーム部門スタッフが「グランゼーラ」として独立した後も同社の音楽レーベル「Granzella Music」に所属し、グランゼーラ製ゲームの主題歌・挿入歌、果ては企業CMやエイプリルフールの歌まで、殆ど担当している*4
    • 日本語版のみならず英語版も収録されている。英語版の歌手は同社の『ポンコツ浪漫大活劇バンピートロット』の曲を歌っていたナディア・ギフォード。

賛否両論点

  • 狙いすぎな選択肢とコスチューム。
    • 女主人公の選択肢の中に、明らかに「百合」を思わせる物が存在する。
      • しかも本作は主人公から見て年上、年下と二人のヒロインが居る為、両方のシチェエーションが用意されている徹底ぶり。人を選ぶジャンルなので、好きな人はたまらないだろうが、そうではない人は鼻について仕方ない。
      • 主人公の性別がどちらであっても同行者がヒロイン(女性)で固定なのも原因か。前作、前々作には男性の同行者も僅かながら居たが、今回は一人もいない。
      • 男主人公だとヒロインと恋愛チックな雰囲気になれるのだから、女主人公でも相応に親密になれるようにするのは分かるとしても、だからと言ってメインヒロインに恋愛感情を抱いたり、サブヒロインに「お姉様」と呼ばせるような選択肢を入れるのは悪ノリが過ぎると言うものだろう。
      • この百合百合した選択肢は後のグランゼーラの『巨影都市』『絶体絶命都市4Plus』で減るどころか激増する事になる。どの作品も男主人公が前提で、ヒロインとの交流がシナリオの軸になっている*5*6為、女主人公だとその流れになりがちなのである。
      • 『パチプロ風雲録』シリーズも同じだが、あちらは「女主人公で男性キャラの攻略」やアッー! な展開に進む事も可能だった。
    • コスチュームもメイド服やキャビンアテンダントの制服、同社開発の別ゲームのキャラのコスプレなど、明らかに雰囲気にそぐわないもの、なぜそんな所に置いてあるのかがわからないものが多数存在する。こう言ったものが隠し要素としてではなく、普通に道端に落ちているのである。
      • 場所によっては、一つのマップにいくつものコスチュームがバラ撒かれている事すらある。この街は一体…。
      • さすがにやり過ぎと判断されたのか、『巨影都市』や『絶体絶命都市4Plus』では配置場所もある程度考慮されるようになった。
    • これらはシリーズ伝統のお遊び要素であるとはいえ、今作は露骨すぎるという声もある。アイレムらしいと言えばアイレムらしいが。
  • ボイスやキャラクターデザインにアニメ的な要素が目立つ。
    • 過去作のリアルよりなキャラクターデザインに比べて、本作はどちらかと言えばアニメ寄りなデザインになっている。
      • 過去作では説明書の登場人物紹介で、過酷な災害に晒されているイメージの原画が紹介されていたが、今回はアニメチックにモデリングされたCGのみなのもその印象を強める結果に。
    • 今回は鳥海浩輔、広橋涼、生天目仁美、成田剣など、従来よりも有名声優を多く起用している。
      • 演技力や声のクオリティは上がったのだが、1作目の主人公が外にいる時にこもった叫び声になったりと迫真の演技を見せていた事などと比較すると、逆に声優という肩書きが強いことでアニメチックな雰囲気も際立ったと言える。
    • 今作はシナリオがシナリオなので、その点と合わさって余計にアニメや漫画っぽさに拍車がかかり、リアリティの面でも旧作より大きく低下している。
      • 旧作も現実離れした表現や展開はあったものの、本作の度合いはシリーズ全体で見ても異質。災害作品としての現実味か、娯楽作品としてのエンターテインメント性か、プレイヤーが絶体絶命都市に何を求めるかで賛否が分かれる仕上がりとなっている。
  • 『1』以外のシリーズ全体に言える事だが、ネタ選択肢の数々も評価点であると同時に雰囲気を壊す要因でもある為、賛否両論な部分もある。
    • シリーズやアイレムゲーのファンからすれば分かり切った事だが、シリアスな震災ゲーだと思って手に取った初見の人は面食らうだろう。勿論、そこからネタプレイに目覚める事もあるだろうが。
    • 『バンピートロット』以降アイレムはこれをお約束として、『パチプロ風雲録』シリーズ、『R-TYPE TACTICS II -Operation BITTER CHOCOLATE-』、『なりそこない英雄譚~太陽と月の物語~』など、殆どの作品でネタに塗れた大量の選択肢を導入していた。それに伴ってネタそのものもどんどん暴走しており、そんな時期に出た本作も、前作よりもネタに走った選択肢が増加している訳である。
    • 結果、真面目なものや王道的な選択肢の方が限られてしまい、ネタプレイに走りがちな作風へと転向している。ゲームとしては楽しみの幅が増えるのは良い事だが、災害という重いテーマの中でそれをやるので、人によっては茶化されているようにも思えてしまうだろう。

問題点

  • シナリオがボリューム不足。
    • 携帯機にハードを移した事情もあるのか、前作、前々作に比べシナリオはかなり短く、ボリュームに欠ける。
    • 内容もほぼ一本道であり、選択肢によるエンディング分岐が終盤にしか存在しないため、周回プレイ時にダレやすい。
      • 前々作では二人のヒロインどちらを選ぶかで進行ルートや終盤以降の同行者に変化が生じていたのだが、今回はヒロイン二人がメインとサブでそれぞれ立ち位置がはっきり分けられている為、大きな分岐が存在しない。
      • 前作のような本筋から離れたサブイベントや、プレイヤーの行動で後の展開が変化すると言うような要素も無く、周回の楽しみが薄い。
      • 主人公も2人いるとは言え、前述した通りどちらを選んでもシナリオ展開そのものに変化は無い。手に入る装備と、選択肢内容やヒロインの反応が一部変わるだけである。
    • エンディングは全9種と、数字だけ見れば多めだが、実際はラストが微妙に違う4種類のエンディングを男女二人分加算しただけ。どちらの主人公でも内容は大差無いのでリストの水増し感が否めない。しかもそれらに当てはまらない9種類目のエンディングは達成度に影響しない(後述)。
    • ヒロイン2人には好感度が設定されており、高ければエピローグで主人公にメールや手紙を送ってくるのだが、それは二周目以降限定。エピローグ回収の面で言えば一周目は無駄であり、こちらも周回数とプレイ時間の水増しを感じさせる。
  • カメラワークが悪く、視点が見づらい場所が所々に存在する。
  • 稚拙なグラフィック。
    • メインキャラのグラフィックはそこそこ頑張っているが、そうでないモブキャラはなんとなく顔の違いが見て取れる程度のレベル。しかもモブは話しかけると顔がズームアップされるので嫌でも目に付く。
      • 最終局面において大勢のモブキャラが集まるシーンがあるが、なんとその場面においてモブはハリボテである。
    • 被災地のグラフィックも、過去作に比べ劣化している。PSPのゲームとして見ても、グラフィックはそれほど上質ではない。
      • 物理演算も雑な所が多く、特に一部の落下物の描写はかなり適当。落ちてきた車が地面に吸い付いたり、小さな瓦礫が接地した途端に消えたり、など。
    • 一方、オープニング、ヒロインが歌うシーン、エンディングでは『1』のOP以来のプリレンダリングムービーが流れるが、こちらはなかなか綺麗。
  • アイテムコンプリートのためには、マルチプレイのクリアが必須というぼっち涙目の仕様。
    • マルチプレイの報酬でしか入手不可能なコンパスやコスチュームがあり、環境が無い人はコンプリートが出来ないのである。
    • 現在はアドホック・パーティなどの登場である程度マシになったとはいえ、コンプリートのためにオンライン環境を整える必要があるというのも…。
  • 不具合が多く、中にはゲームが進行不可能となる致命的なバグも存在する。
    • 特に「スーパーマゴヤ」のバグは有名。エリアの一つである「スーパーマゴヤ」の2Fから1Fに降りようとすると、突然PSPの電源が落ちるという物であり、これに関しては事前に対処法を調べておく他に方法がない。
    • エンディングのうちの一つ(途中で主人公だけヘリで脱出するもの)はエンディングリストにカウントされない。つまりエンディングのコンプリートは不可能なのである。
  • 災害マニュアルを入手するたびにゲームが一旦止まり、内容を確認するか聞かれる。最初のうちは気にならないが、その調子がゲームを通してずっと続くので、そのうちテンポの悪さが気になりだす。
    • しかも、入手後にセーブしないままミスした場合、マニュアルはまた入手し直しとなる。
    • 中には一場面で複数のマニュアルを入手する場合もあり、いちいちキャンセルするのすら億劫になる事も。
    • 一度入手したマニュアルはもう出現しないので、流石に二周目以降は問題にならない。
  • ゲームバランスがあまり良くない。
    • ベンチに座るとストレスも体力も全快するので、せっかくのヒロインの歌の使い道がイマイチ。回復アイテムも使いどころが少なく、重要度はかなり低め。
    • ベンチに座った際の回復効果は性格が関係ないため、性格システムもあまり存在感がない。ある意味、性格によって一部シーンの会話が変化するという点が一番の影響点かもしれない。
      • 一日の始まりにはそれまでの選択肢に応じて性格に変化が生じるようになっているが、選択肢一つ一つの影響が小さい為、変化させたい性格の選択肢を集中的に選ばないとなかなか変わってくれない。また、二日目は選択肢が少なめなので、そこから急に変えようとしてもほぼ間に合わない*7
    • 前作のようにアイテムを組み合わせて新たなアイテムを作る事ができるが、せっかく作ったアイテムに使い道が無い事が多い。
      • 懐中電灯を作っても、暗がりを進むシーンは中盤に少しある程度。ガスマスクを作っても、煙の中を進むシーンは序盤を過ぎるともう皆無と、アイテムに見合った展開が用意されていない。
  • 従来よりツッコミ所やシュールな展開が多い。
    • 現実味が薄れ、アニメチックになったのは前述した通りだが、それを別としても今回のシナリオはツッコミ所が多い。
    • 避難所で、ストレスが爆発した避難民の男たちが主人公たちを襲う場面があるが、いきなりヒロインが歌を歌いだし、それを聞いたら彼らの気持ちが落ち着き、冷静になるというあんまりな展開がある*8。ファンタジー作品ならまだしも…。
    • 地面に置いたカロリーメイトに四人の男(上記の男達)が群がって食い漁るシーンがある。しかもその後の第一声が「美味かった…」。宣伝…なのだろうか?
    • 手持ちの食糧を全部手放す展開が二度もある。二度目は人質を取られて脅迫された為なので仕方ないが、一度目は純粋に善意で渡すと言うもの。心掛けはともかく、あっさり全部渡すのは被災地を甘く見ているのではないか*9
    • 他にも、災害マニュアルの内容を活かすシチュエーションを念頭にシナリオを作った為か、ゲームの流れ的に強引な所や無理矢理な展開も一部に見られる。
  • 終盤は災害がほぼ関係ないシナリオとなってしまう。
    • 終盤では暴徒化した民衆から逃げつつ、震災の裏で渦巻く陰謀を解明する展開になるため、災害が関係なくなってしまう。
    • 震災そのものも、中盤までは水害や火災など様々な災害が発生していたが、終盤に入るとピタリと止み、時々思い出したように余震が発生するだけとなる。
    • この傾向は前作までもあったものの、少なくとも最後まで災害は主人公達を襲い続けた。しかし本作においては本当に災害そっちのけで進行し、そのまま完結してしまう。
    • 前二作のラストシーンではいずれも被災地が海に没する場面が描かれ、主人公はギリギリで救助される事で最後まで災害の恐ろしさを描写していたのだが、今回はそんな事などどこ吹く風のラストである。
      • 最終的には本作の被災地も沈むのだが、それも「エンディングのムービーで急に水没している」というもの。その直前まで災害とはまるで関係ない話を展開するので印象が極めて薄い。
      • 最終面となる羽月建設ビルに入る直前ではまだ無事な陸地が一部見えているため、「ビルに入る前は残っていた陸地が、ビルの内部を動いている間にいつの間にか水没していた」という形になってしまっており、被災地の水没という衝撃的な展開の割には地味な印象を受ける。
    • 陰謀自体に関しても災害は微塵も関係ないものであり、しかもその実態はある一族の内輪揉めのようなもので、非常にスケールが小さい*10
+ 首謀者に関して(ネタバレ)
  • 首謀者とその協力者は間接的とは言え殺人教唆と言う紛れもない罪を犯し、しかも逆恨みに近い理由で一人の罪の無い人間を死に追いやっている。にもかかわらず作中では咎めを受けず、罪を償う様子も見られない。
  • 母親の人生を狂わせた悪党達に復讐しようとした…まではまだ良いとしても、その方法がえげつない。
    • 自ら手を下すのではなく、自身と親交のある男性を利用して悪党達を殺害させようとした。何故その人物を殺人鬼に仕立てようとしたのかと言うと、その人物の妻が衰弱していた母に怨嗟の声をぶつけ、死の遠因を作った為。男性自身には何の責任も無く、寧ろ妻を止めようとしていた。
    • 最終的に彼は娘を悪党達に殺された復讐の為に凶行に及ぶのだが、そもそも娘が死んだのは首謀者達がそう仕向けた為である。
      • 娘が殺された理由は、悪党達の悪事を暴こうとして失敗した為だが、そう仕向けたのは彼女の婚約者であり、首謀者の協力者である。つまり殺されて父親を凶行に走らせる為に利用された訳である。
    • 結果として、首謀者は母の人生を狂わせた悪党を死に追いやり、母の死の遠因となった人物…の夫と娘を破滅させた。最後はその利用した男性に命を狙われるが、主人公とヒロインに救われる。そして大勢の前で自身の罪を暴露したにもかかわらず、あるエピローグによると罪に問われる事無くどこかの食堂で働き始めたとの事。この結末をすんなり受け入れるのはなかなか難しいだろう。また、首謀者の協力者も罪に問われなかった様子。
      • 罪悪感はあったのか、エンディングでは男性を庇ってビルから転落する(主人公に助けられる)。また、一応は自分の罪と向き合う意思は見せるが、犯した罪に応じた罰を受けた訳ではない事に変わりは無い。
      • ビルから転落した際に助けなかった場合は死亡するが、その場合はバッドエンドのようなムービーが流れて終わるだけで、エピローグのヒロインからのメールも暗いものになる為、結局スッキリしない*11
    • 男性の方は描写は無いものの、殺人を犯した以上は逮捕された事は想像に難くない。殺人に手を染めたとは言え、彼は首謀者の策謀に利用された被害者である。何より一番の被害者は利用されて殺された娘である。

総評

携帯機にホームを移した本作は、単なるアクションゲームにとどまらない実用性も持っており、プレイするだけで災害への対処法などが身に付くようになっている。
反面、クオリティやボリュームは据置機で出た過去作に劣っており、アクションゲームとしても荒削りな面が見受けられる。
またシナリオや設定、演出の面でもどこか現実離れした部分やツッコミ所が目立ち、シリーズファンにとっては賛否の分かれやすいものとなってしまった。
「ストレス」の概念を取り入れるなど着眼点は良いものの、総合的に見れば良くも悪くも凡ゲーといったところだろう。


余談

  • 本作発売の数ヶ月後に放送されたアニメ『東京マグニチュード8.0』とタイアップしており、公式サイト(現在は閉鎖)では同作キャラに紛れて本作主人公が地震から逃げているちょっとシュールな画像が公開されていた。
    • こちらも震災をテーマとしているが、本シリーズのようなアクロバティックなアクションやサバイバル展開はほぼ皆無で、災害における帰宅困難者に焦点を当て、被災地の人間模様を中心に主人公の成長を描いた作品である。
  • 当初は『1』の主人公である須藤と、旧作でお馴染みの宝石女・竹辺が登場する予定だったらしいが、やり過ぎ感があったからと見送られている。
    • 本編では過去作キャラは『2』に登場した本多と、毎度被災する『1』のサブヒロイン・比嘉がチョイ役として出るのみになっている。しかも比嘉は本作では主人公の選択次第で死亡してしまう。
      • 比嘉は『4』でもやはり被災する為、生存するルートが正史である。しかし今度は…。
    • また、本編には登場しないが、マルチプレイのあるステージに登場するタクシー運転手は前作主人公の一人・柘植である。
    • 竹辺は後に『4』で(勿論、宝石泥棒として)再登場している。須藤もおまけの後日談シナリオに登場した。
  • 2011年には、シリーズ最新作となる『絶体絶命都市4 -Summer Memories-』がPS3で発売される予定だったが、発売中止となり、本作を含むシリーズ全作品が販売終了・廃盤へと追い込まれた。
    • 同年3月11日に発生した東北地方太平洋沖地震(東日本大震災)の自粛と言われていたが、プロデューサーの九条一馬は「震災の所為ではなく目標の日までに完成させられなかったため」と言った旨を語っており、CEROと揉めた事やスケジュール管理が原因だとしている(参考)。別のインタビューでも「開発中止告知の文には震災が原因とは書いていない(意訳)」と答えたこともある。
    • 一方、当時の朝日新聞のアイレム本社への取材では「開発の遅れ」と「被災者への配慮」とされていた。実際、震災前まで普通に公開されていた『4』公式サイトは震災発生後すぐに非常に簡素なものになり、それから殆ど日を置かずに開発中止・シリーズ廃盤が告知されている。
      • しかし上記の通り九条氏は一貫して震災との関連を否定している。どれが本当の理由だったのか今となっては確かめようが無いが、もし仮に震災に原因があったとしても、そうだと言って震災の所為にする訳にはいかないのだろう。
    • 最終的にどれを信じるかは各自判断されたし。
  • 同時に本作のダウンロード販売も終了したため、しばらくはこのゲームをプレイしたいのならばパッケージ版を購入する必要があった。
    • 後にアイレムのゲーム開発スタッフが独立し、設立した「グランゼーラ」が本シリーズの版権を獲得。シリーズ復活に向けての動きが始まり、その一環として『1』『2』のゲームアーカイブス配信が開始。2015年7月29日からは本作のDL販売も再開され、『4』もPS4用ソフトとしてリメイクされることが発表された。
    • 本作DL版の値段は1,000円と、再開前よりもかなりリーズナブルなので、本シリーズに興味のある方は押さえておいても良いだろう。
    • また、スーパーマゴヤバグを始めとする進行不能になるバグは修正されているとの事である。
  • 本編作品とは別に、絶体絶命都市シリーズの流れを汲んだ派生作品として『巨影都市』がPS4用ソフトとして2017年10月19日に発売された。
    • こちらはバンダイナムコとグランゼーラの共同開発作品であり、円谷プロダクション作品や新世紀エヴァンゲリオン、機動警察バトレイバーとタイアップされている。その関係で、主人公たちの前に立ちはだかるのは震災や水害などではなく、ウルトラマンやゴジラなどの「巨影」達である。
    • 同作には絶体絶命都市シリーズのキャラが多数ゲスト出演している。しかし『1』や『2』からは多数登場している一方で、本作からの出演はヒロインの咲ただ一人である。
      • 世界観が違うとは言え、こちらでも念願叶ってミュージシャンになれている模様。
  • 2018年11月22日、遂にシリーズ新作となる『絶体絶命都市4Plus -Summer Memories-』がPS4で発売された。
    • PS3で発売予定だった『絶体絶命都市4 -Summer Memories-』をベースに震災などの表現を大幅に強化した為Plusの名前が付いた。
    • しかしその内容は問題だらけで待っていたファンを大きく失望させてしまった。詳細は当該記事を参照されたし。

*1 現実でも同じ2011年3月に東日本大震災が発生した。本作はそれ以前に発売されたゲームなので勿論これは偶然の一致なのだが、恐ろしい。

*2 後に同開発陣が手掛けた『巨影都市』では男主人公の場合でも、手に入れたコスチュームの女性版を着せるという形でヒロインの着せ替えを可能としていた。

*3 例を挙げると、マニュアルでは全国の病院の耐震化率は半分ほど、災害拠点病院でも6割程度と説明されているが、2015年時のデータでは病院全体の耐震化率は約7割、災害拠点病院では8割以上が耐震化されている。

*4 2018年にしの*たえこが参加するまで同レーベル唯一のシンガーであった。

*5 『4』はヒロインとずっと一緒に行動する訳ではなく、選択次第では終盤からヒロイン自体が登場しなくなるが、やはり百合系選択肢は満載。

*6 また、『4』はパッケージに女主人公が描かれていたり、体験版やPVの作りなどから女主人公視点が基準のようではあるが、実際はいつも通りである。

*7 三日目には選択肢は相応にあるが、最終日なので性格に影響は無い。

*8 一応、理由としては「人質を放して欲しければ何か芸をして楽しませろ」と脅されている為とは語られているが。しかしそれでも男たちの急な落ち着きぶりは違和感が激しい。

*9 ちなみに食糧アイテムを一つも持っていないとこれらの展開はカットされる。

*10 前作までは陰謀が災害そのものに密接に関係していたり、大勢の人間を死に追いやるような巨大な陰謀が渦巻いていた

*11 或いは主人公も一緒に死亡するエンディングもある。結局バッドエンドだが。