ファイプロ・リターンズ
【ふぁいぷろ・りたーんず】
ジャンル
|
2Dプロレスゲーム
|

|
対応機種
|
プレイステーション2
|
発売・開発元
|
スパイク
|
発売日
|
2005年9月14日
|
定価
|
7,140円
|
判定
|
良作
|
ファイプロシリーズ
|
概要
『引退宣言』をした前作『Z』から2年、再び国内最大のプロレスゲームシリーズ『ファイヤープロレスリング』の新作が『質的進化』『量的拡大』を引っさげて帰って来た。
基本的なグラフィックや操作方法はドリームキャストで発売された『D』とPS2版の『Z』をベースにしているが、レスラー数や技数、保存可能なエディットレスラー数は大幅に増加している。
-
『Z』がCD-ROMでのリリースで、本作はDVD-ROMでのリリース。ロード時のドライブの読み込み動作音がうるさい…じゃなく、ロード時間の短縮とロード回数の削減にひと役かった部分が大きい。
基本システム
-
本作では、リングを青コーナーと赤コーナーの間45°の角度で見下ろす視点が特徴的でファイプロシリーズでは基本的にこの視点を採用している。
-
□→小技、×→中技、○→大技が割り当てられている(以下技ボタン)。大技は威力が高いが体力を削らないと決まりづらい。
-
レスラー同士が接近すると組み付きに移行し、組んだ後タイミング良く上記のボタンを入力するとそれに応じた技が繰り出される。
-
また、総合格闘技系の攻防の再現のため『ガードポジション』『がぶり』『バックマウント』というグラウンドでの組み状態があり、いずれもタイミング良くボタンを入力すると技を繰り出せる。
-
『正面』『背後』の組みでは十字キーとの組み合わせで様々に技が変化する。
-
正面組みから△で相手をロープに振る『ハンマースロー』が出来る。ハンマースロー後、△で走って残りの技ボタン、もしくは相手を待ち構えて(カウンター)技ボタンを入力する事で特定の技が繰り出される。
-
純粋な格闘技系の選手は『組み手切り』となりハンマースローをしない。
ゲームモード
-
ワンナイトマッチ……1試合自由にルールを設定して試合をする。
-
ノーマルマッチ……通常のプロレスルールでの試合。
-
金網デスマッチ……四方を金網で囲まれたリングでの試合。ルールは通常ルールとエスケープマッチの2種類設定可能。本マッチ限定の金網によじ登り金網最上段から飛び技が放てる選手もいる。
-
バラ線発破デスマッチ……ロープの代わりに爆発する有刺鉄線(バラ線)が張られ、これに触れると爆発し、流血する事もある。また、場外のドラム缶には爆弾が仕掛けられており、指定時間を経過すると爆弾が爆発し、選手が大ダメージを受ける(クリティカル扱いでノックアウトになる場合もある)。
-
断崖爆弾デスマッチ……場外にバラ線を張った板が設置され、この上に投げられると爆発し、ダメージを負う。場外のボード上を歩くと脚にダメージが入る。また、コーナーには有刺鉄線または蛍光灯を付けた板が設置され、ハンマースローでこの板にぶつけてダメージを与えるなどの行動ができる。蛍光灯マッチの場合は、ボードから攻撃用の蛍光灯を調達できるが、衝突の毎に蛍光灯が1つ減り、最終的に蛍光灯がなくなり蛍光灯が取れなくなる。
-
SWA公式ルールマッチ……プロレスラーと格闘技選手を同じ土俵で戦わせる為に作られた総合格闘技ルール。ダウンカウントやラウンド制が採用されている。
-
S-1ルールマッチ……キックボクシングというか、当時のK-1ルールほぼそのまま。打撃のみで戦い、KOにて決着をつける。
-
グルーサムファイティング……UFCが元ネタの12角形の金網リングでの総合格闘技の試合。KOもしくはギブアップのみで決着をつける。
-
ワンナイトトーナメント……CPUを含んだ3~32人で行うトーナメント戦。
-
オープンリーグ……CPUを含んだ4~64人で行うリーグ戦。試合結果によりポイントが加算され、最終的に総合ポイントが高いレスラーが優勝となる。
-
軍団対抗戦……1チーム5人までの軍団を作り勝敗を競う。
-
バトルロイヤル……最大8人のレスラーが入り乱れて戦い、最終的に生き残ったレスラーが優勝となる。
-
タイトルマッチ……エディットモードで作成したベルトを賭けて戦う。歴代チャンピオンを閲覧する事が出来る。
-
マッチメイクモード……興行主兼ブッカーとなり、プロレス団体経営体験をするモード。
リターンズでの進化、評価点
メディアがDVD-ROMになった事もあり、『D』『Z』から様々な進化を遂げた。
この項では特筆すべき評価点を挙げる。
-
レスラー入場はムービーとレスラーを重ねて表示する事でより派手で見栄えの良い入場シーンを実現した(入場ムービーは数種類用意されている)。また、この変更に際し入場アピールはリング上ではなくステージ上で行われる様になり、テンポアップにも一役買っている(入場ムービーはレスラーがランプを歩いている途中で終わる)。
-
入場シーンが無い会場もあり、試合会場選択時のカメラマークの有無によって判別する。
-
決まり手が表示される様になった。これまではあくまでフォールを取った技のみ表示され、フォールしない技がフィニッシュホールドであっても決まり手は『片エビ固め』のみの表示であったが、本作では『○○○→片エビ固め』の様にフォール技の1つ手前の技まで決まり手表示される。
-
レスラーエディットでは、身体のほぼ全ての部位にレイヤーと呼ばれるパーツを重ねる事が出来る様になった。これにより、従来より更にオリジナリティのあるレスラーを作る事が可能になった。
-
また頭や腕など各部位の大きさも85~120%の範囲で設定可能、Sサイズでありながらグッドシェイプな太身の力丸ボディ風や、Mサイズだがちょっと細見のファイプロファンの中邑某選手風(当時)と言うのも作れる。
-
これまでのCPUロジックに加え、『優先動作』が導入された。これは設定した起動技の後の行動を相手の体力別に設定するものである。
-
これにより、『シャイニング・ウィザードの後に必ずフォールに行く』等のロジックが組める様になり、これまでのCPUロジックではなかなか実現出来なかったロジックの構築が可能となった。
問題点、不満点
-
リング内で関節技をかけられた時、かけられた側がロープまで這って行ってエスケープ、が出来ない。
-
実際のプロレスでは当たり前に行われている攻防であり、難しい事ではないと思うのだが……。
-
これは歴代ファイプロのシステムを踏襲しているので、これを不満点と感じるのは新規に始めた人のみかと。
-
版権問題もあり、『D』と比べると収録選手が減っている。特に訴訟大国アメリカの超大手団体関連は大幅削減。
-
エディットレスラーのパーツ複雑化。
-
自由度は上がったものの気軽に作れるレベルではなく、CPUロジックを含めると一人製作するのに一時間は掛かる。
-
カラーグラデーションパターンのプリセットが廃止された。それに伴い、自分でグラデーションパターンを作る機能が追加されたが、濃淡が無くのっぺりとした色合いになってしまう。結局、自分で調整するハメに。
-
細部バランス調整がビミョー。
-
エディットモードを駆使してCPUロジックを観察してみると、いろいろアラが見えてくる。気になるなら自力でロジック突き詰めろということなのだが。
総評
こう言ったスポーツゲームを作るには色々と制限がつきまとうが、常にユーザーの声を聞き入れ、『どうすればプロレスファンが喜ぶか』へのアプローチを忘れない姿勢は評価される。
対人戦はもちろん、ロジックを満足行くまで組み直し、CPU対CPUのプロレスシミュレーションとして楽しむ事も出来る。
また、現実には絶対に不可能なカードも、このファイプロ・リターンズなら実現可能。
現実のプロレスのリアリティを追求するも良し、架空のオリジナル団体を旗揚げしてストーリーを作り上げるも良し、長年遊べるプロレスゲームである。
大手サイトレビュー
https://game.watch.impress.co.jp/docs/20050914/fpr.htm
最終更新:2021年12月18日 13:50