テイルズ オブ ファンタジア なりきりダンジョン

【ているず おぶ ふぁんたじあ なりきりだんじょん】

ジャンル ロールプレイングゲーム
対応機種 ゲームボーイカラー(全GB共通)
メディア 16MbitROMカートリッジ
発売元 ナムコ
開発元 日本テレネット
ナムコ
発売日 2000年11月10日
定価 4,500円(税別)
プレイ人数 1人
セーブデータ 1個+中断データ1個
※中断データは再開後自動的に消去
周辺機器 通信ケーブル(コスチューム交換)
ポケットプリンタ
スーパーゲームボーイ/同2対応
判定 良作
テイルズ オブ シリーズ関連作品リンク

おはなし

ある日、静かな夜空から美しい流れ星が降り立ちました。
あなたが星の光の中に見つけたのは、双子の赤ちゃん。
元気な泣き声を上げる男の子と、すやすや眠っている女の子。
それから13年経った、アセリア歴4408年。
争いもない平和なこの世界で、ちょっとした冒険が始まるのでした…。

(公式HPより転載)


概要

スーパーファミコン向けに発売され、後にプレイステーションでリメイクされた『テイルズ オブ ファンタジア(以下「ファンタジア」または「本編」)』の続編
しかしシナリオライターのゲーム内での発言(下記余談を参照されたし)を考慮すると、続編ではなく「外伝」または「if」とも言える。
シリーズにおける分類としてはエスコートタイトル(外伝作品のこと)に分類され、略称としては「なりダン(1)」が主流のようだ*1

物語は本編の主人公、クレス達のいる時代のおよそ100年後に当たる、アセリア歴4408年が舞台となる。
「なりきり」と呼ばれる不思議な力を持った双子の男の子(ディオ)と女の子(メル)、そして男の子が拾ってきた不思議な生き物(クルール)*2の冒険を通じて、彼らの秘められた過去、そして本編で魔王と恐れられたダオスが大いなる実りを求めた理由が明かされることになる。


システム

なりきり

ディオとメルが持っている不思議な能力で、その職業の服を着ることでその職業になりきる能力。
つまり、剣士の服を着れば魔神剣や虎牙破斬といった剣技を行使出来、ウィッチの服を着れば魔術が使える。

なりきりのためのコスチュームはディオ・メル共に66種類用意されており、剣士や忍者(くのいち)といったような戦闘職のコスチュームから、画家や占い師などの技術職のコスチュームまであり、後者のコスチュームは戦闘には不向きだが、後述する頼まれごとを解決するために必要になる場合もある。
また、モンスターや歴代ナムコ作品のキャラクター、そして本編キャラクターのコスチュームもある。

なお、『ファンタジア』において魔術はエルフの血を引く者以外は行使出来ないという設定があり、2人はエルフの血を引いている訳ではないのにウィッチなどの服を着ると魔術を行使出来るが、これにはなりきりの力に限らぬ理由がある。

頼まれごと

冒険の中で、町の人達から「頼まれごと」を受けることがある。その数は全部で30種類。
「孫に誕生日のプレゼントを届ける」といったシンプルなお使いもあるが、前述のなりきりの力を駆使しなければならないものや、後述する性格を特定のものにする必要があるものもあり、一筋縄ではいかない。

本作のメインストーリーを進める一方で、終盤のダンジョンでは規定数完了させておかないと入り口で門前払いされて入ることすら出来ないため、この頼まれごとも適宜こなしていく必要がある。

性格

ディオとメル、クルールには「性格」という概念があり、戦闘時に着ていたコスチュームや、ボスを撃破した後で彼らのしてくる質問に対し、どう答えるかで変動する。

性格はディオとメルは21種類*3、クルールは友達・忠実・野生の3種類有り、コスチュームにはそれぞれより能力が発揮出来る性格が設定されている。
また、クルールはディオとメルの性格によって前述の3種類のいずれかになり、それによって姿を変える(性格による3種類×レベルによる8段階=合計24種類)。

性格は、一部の頼まれごとを解決するために必要な条件になっていることもあるほか、装備品の中には戦闘による性格変動を起こさせなくするものがある。


登場キャラクター

アセリア歴4408年

ディオ
この物語の主人公の1人で、山で遊んだりすることが大好きな活発な13歳の双子の男の子。
メル
この物語の主人公の1人で、ディオとは対照的に読書や裁縫が好きな穏やかでおっとりとした13歳の双子の女の子。
クルール
ある日、ディオが山の中で拾ってきた不思議な生き物で、鳴き声は「クルール!(名前で設定したものが当てられる。)」や「ウキュ?」が主。
冒険においては2人をサポートするが、物語の鍵となる重大な秘密を持っている。
ノルン
ディオとメルの前に現れた白い翼を生やした謎の女性。
2人に精霊の試練を受けなければならない事を告げ、以降も度々現れては彼らを導く事もあれば謎めいた言葉を残していくこともある。
ペアレント(プレイヤー)
ゲームをプレイする「あなた自身」。双子のディオとメルの育て親となる。
アーチェ・クライン
時空戦士*4」の1人で、魔術師。
長命であるエルフの血を引くハーフエルフであるため、本編の時間から200年以上経った今も当時と変わらない姿で「魔女っ娘の塔」と呼ばれる塔に住んでいる。
ノルンの頼みを受けてディオ達の力を試すべく戦う事になる、このゲーム最初のボスキャラクター。

アセリア歴4203年

※本作中においては他の時代には登場しないが、本編においては、アーチェも下記のクラース同様にこの時代で出会い、仲間になるキャラクターである。

クラース・F・レスター
時空戦士の1人で、リーダー格として扱われる召喚術師。
ダオスとの戦い(後に「ダオス戦役」として伝えられる)の後、自分の時代のユークリッド村に戻って助手であり恋人でもあるミラルドと共に暮らしている。
2人に未来に伝えられているダオス戦役の記録は一方にとって都合の良い形で伝えられているものだという事を知らせ、クレス達の時代に行き、その真実を知るよう導く。

余談になるが、ノルンは時空戦士に2人が試練を受けるための協力を要請するが、基本的にあまり突っ込んだ事は伝えていない。
しかし、クラースには2人が背負っている宿命や、デリス・カーラーンが滅びの道を歩むようになったきっかけといったほとんどの事を伝えた描写がある。

アセリア歴4306年

チェスター・バークライト
時空戦士の1人で類い希な弓術の才を持つ、クレスの幼馴染みで無二の親友。
ダオス戦役後は復興を遂げたトーティスの村(後のミゲールの町)の一角にある剣術道場で、戦争によって親を失った子供たちの世話をしている。
ミント・アドネード
時空戦士の1人で、神に祈りを捧げる事で癒しの力を行使する「法術(ほうじゅつ)」と呼ばれる力を使う法術師。
現在はトーティス村の教会で人々をその法術の力で癒したり、悩み事の相談に乗ったりしている。
クレス・アルベイン
時空戦士の1人で、本編の主人公。
現在は再興したトーティス村に剣術道場を開いて、剣術を教えている。

アセリア歴4354年

藤林すず
時空戦士の1人で、忍者の里に住まう里の頭領*5
弱冠11才ながらもその才覚は目を見張るものがあり、ディオ達が来る事やその理由といったものだけでなく、クルールの正体さえも初見で見抜いていた。

暗黒時空

???
ディオとメルの正体を知る者。

評価点

重く、考えさせられるストーリー

  • 全編を通してかなり暗く、重いストーリーが展開される。
    • だが、ただ暗いばかりではなく、その中でも様々な事を考えさせられるものになっている。後述するヴァルハラ村の移り変わり、頼まれごと、魔鏡を通じて垣間見る事の出来る時空戦士達の心、そしてそれに対する思いなど、シナリオ・ストーリー面の完成度の高さはシリーズで一番だとするファンの意見も少なくない。
      • コミカルなシーンは徹底してコミカルに、ダークなシーンは人の心の暗い部分に容赦なく踏み込んでくる。パッケージや物語冒頭の雰囲気は、良い意味で裏切られることだろう。
  • 『ファンタジア』本編の名言、「この世に悪と呼べるものがあるとすれば、それは人の心だ」というのを更に踏み込んだ「罪と罰」「欲望」「慢心」「憎悪」「差別」そして「狂気」といった「人間の内側」、そして「育つ環境、親と子」が本作のテーマであると言えよう。

続編として見ても秀逸

  • テイルズ オブ シリーズにおいては、続編として作られていながらも色々破綻してしまったものもある。だが、本作のシナリオに関してはまさしく『ファンタジア』の裏側を描いたとも言える内容となっており、この作品と本編を組み合わせる事で「『テイルズ オブ ファンタジア』という作品は完全なものとなる」との意見もある。
    • 本編のキャラクターはあまり活躍せず、ゲスト出演程度の出番しかない。しかしその少ない登場で本編のキャラクターたちのその後の心境やダオスとの戦いについての考えが十分伝わるため、問題というよりむしろそれ故に本作の主人公たちのシナリオに集中でき、なおかつ本編のファンはイメージを崩すことなくプレイできると評する者も多い。
  • ただし本編のファンの中には、そのあまりの雰囲気の違い等の理由から、この作品を否定的に見る者も少なからず存在するのも事実で、この辺はやはり続編物として避ける事の出来ない宿命か。

親としてのプレイヤー

  • ディオとメルの親となったプレイヤーはディオとメルの名前の変更だけではなく、プレイヤー自身の呼ばれ方も変えられる。名前で「○○さん」と呼ばせるのは勿論、「お父さん」や「お姉ちゃん」、さらに「偉大なる指導者様」、「ご主人様」と呼ばせることも可能。
    • また、第一部のみだが、ボスを倒すごとに双子がプレイヤーに問いかけてくる質問の答え方によって、「性格」の値が変化する。
      • 上記の要素から本作はシリーズ中もっともプレイヤーと登場キャラクターの距離が近いと言われ、操作キャラクターたちに非常に愛着がわく。

ナレーターも高評価 ふしぎ ふしぎ。

  • キャラクターの動きだけではなく、キャラクターのその場の心の描写などを解説。
    • GBCの、本編と比べて少ない容量と小さなドット絵で表現しきれない描写を演出するための苦肉の策とも言えるが、まるで絵本を読んでいるようなテキストと挿入されるタイミングにより他のテイルズ オブ シリーズにはない独特の雰囲気を演出するのに成功している。(参考動画(ニコニコ))

GBCとしては頑張っている音楽

  • 流石にSFC版やPS版の元の曲と比べるのは酷だが、それでも十分に曲の雰囲気は出ている為、GBA版『ファンタジア』のチープなPSG音のアレンジよりも良いという意見も多く上がっている。
    • 本作オリジナルの「DARK MIND」「JUDGEMENT」等の曲の評価はかなり高い。

良くも悪くも力を入れすぎのおまけ要素

  • メインストーリーをクリアすると『ドルアーガの塔』のダンジョンが登場する。
    • 流石に本家に比べ簡略化はされているものの、ダンジョンは全60階あり、更に途中で条件を満たしていないとZAPで飛ばされてしまうなど、雰囲気は出ている。
      • 塔にしか出てこない多くのモンスターやクリア後のイベント、そしてエンディングロールもドルアーガの塔用に用意されており、良くも悪くも「おまけに力入れすぎ」と評されることも。

問題点

戦闘関連

  • 戦闘システムがアクション性の高い戦闘を売りにしているテイルズ オブ シリーズでありながら、ターン制に近いものとなってしまっている。本作のプレイ人口の少なさの最大の原因と言っても過言ではない。
    • ハードスペック上仕方ない所もあるのだが、シリーズ通じての特色であるアクション性の高い戦闘システムではない、という点は言うまでもなく異色で、それ故に批判意見が集まっていると言える。
      • 一応、部分でアクション要素がある事もあり、シリーズのリニアモーションバトルシステムらしい雰囲気を出そうと頑張っているのは解るのだが、やはり根底の仕様はどうしようもない。
  • 本作の戦闘バランスはかなりタイトになってしまっている事もあり、「ストーリーは良いのに、(先が見たくても)戦闘がきつすぎる」という意見がよく上がる。
    • 中でもラスボスはシリーズ最強ともいわれる程。
      • ものすごい威力の全体攻撃に加え、かなりの頻度で回復したり、防御を固めたりする。これだけでもかなり厳しいのだが、素早さが非常に高いため、ディオ達の素早さが低いと連続行動を許してしまう。場合によっては、最大レベルであってもまともな方法で倒すにはかなり運の要素が絡む。
      • ただし、ディオ達を計画的に育成した場合は、それほど強敵ではない。ディオ、あるいはメル1人だけでラスボスを倒すことも十分可能である。

コスチューム関連

  • レベルアップの際に着ていたコスチュームに応じて能力の増減に影響があるため、コスチュームの運用方法によっては能力が偏ったり、器用貧乏になってしまい、場合によっては一層攻略が難しくなってしまう。
    • キャラクターのレベルとは別に、着ているコスチュームをマスターするために必要な、いわばコスチュームの経験値である「コスチュームポイント(CP)」という概念がある。
      • CPが溜まるとそのコスチュームの特技を使えるようになるほか、マスターした種類のコスチュームは合成して新しいコスチュームを作る「オーダーメイド」に使えるようになる。
      • たいていの上位コスチュームは着用条件として、下位のコスチュームをマスターしておく必要があるが、それだけではなく「人生経験」が設定された数値以上無いと着られないようになっている。コスチュームを1種類マスターすると人生経験の値が1上がり、上位のコスチュームを着るには多くのコスチュームをマスターして人生経験を積む必要がある。
    • 従って、コスチューム育成と同時にディオ達のステータス成長にも気を配る必要があるため、管理が難しくなってしまっている。
      • 強力なコスチュームを着られるようにするには、基本となる様々なコスチュームをマスターしなければならないため、この問題が厄介なものになっている。
      • 実戦運用を見越したレベルアップを考慮しすぎてコスチュームをいくつかに固定させてしまうと「人生経験」が上がらず、強力なコスチュームを着ることが出来なくなる。
      • かといってコスチュームマスターを優先すると、特技が解放されたマスター済みのコスチュームはすぐに着替え、未マスターのコスチュームを戦闘で運用することになる。また、高い能力成長補正を持つコスチュームに固定せず様々な種類でレベルアップしていると、能力が伸び悩んだままにもなりかねない。任意でレベルアップをさせることが出来るならまだしも、勿論そんな事が出来る訳はない。
    • なお、コスチュームを着替えるには、コスチュームケースがある場所に戻るか、消費アイテムが必要。
  • 実戦運用が難しくなってしまうと、最早救済手段とも言える「バキュラ」のコスチュームを着せる以外に道が無くなってしまう。
    • もっとも、育成が上手く行っても最終的に着せるコスチュームは、ディオは高い攻撃力と圧倒的な速さを持つ上に魔法全般耐性まで持つ非常に強力な「忍者頭(にんじゃがしら)」、メルは高性能な回復技と魔法全般耐性を持つ「ミント」の組み合わせ、のほぼ一択。
      • これらのコスチュームを手に入れてからはあらゆるコスチュームが下位互換となり、「好きなコスチュームを着てダンジョンを攻略」という自由度が大幅に減少してしまう。
+ バキュラ、およびそのコスチュームについて

元はナムコのシューティングゲーム『ゼビウス』に登場する敵で、256発打ち込めば破壊出来るという都市伝説*6をネタにしたコスチューム。
着るとHPが強制的に256になってしまうが、如何なる攻撃でも1しかダメージを受けず、また、本作では敵も特技を使う時にTP*7を消費する仕様になっており、どの敵もバキュラを破壊出来る256発も特技を使えない(その前にTP切れを起こす)ために、他の仲間が力尽きてもバキュラで敵のTP切れを待って、その後で仲間を復活させて一気に攻め掛かるという戦法を取る事が出来る。
つまり、育成失敗して能力的に問題のあるキャラクターとなってしまった場合は、雑魚はともかくボス敵に関してはこれを着せて壁役に徹底させるしか無くなってしまうということ。

  • 育成に関しては、このゲームでもっとも大切なパラメータである素早さの成長を考え、レベルアップ直前に「忍者頭」や「すず」に着替えさせる事が多いが、或いは全パラメータが高成長する事から「ダオス*8」にするケースもある。
    • いずれにせよ、レベルアップ直前にいちいち着替えるのはかなり面倒なのだが…。
  • 従来のシリーズのようにリニアモーションバトルであれば、偏りすぎたステータスも多少プレイヤーのテクニックでカバーできたかもしれず、また他のコスチュームより弱いコスチュームでも操作性によっては十分楽しめたであろう事を考えると、これもまた本作のターン制という戦闘システムにより発生してしまった問題といえる。
    • 余談になるが、このシステムに対しての批判があったためかは不明だが、『なりきりダンジョン2』と『同3』ではコスチュームごとのレベルに育成要素が一元化されるようになった。

鬱要素がある

  • 本作を指して鬱ゲーとする意見がかなり多い。
    • 鬱要素としてよく上がるのが本作のシナリオ第二部・ヴァルハラ村・悪徳商人ボエボエ・魔鏡イベントである。
      • 公式サイトやパッケージなどを見る限りでは、これ程陰鬱な気分になれる要素があるゲームにはおよそ見えず、ギャップ故に余計にトラウマになってしまった、というプレイヤーも多い。
  • また、本作の文章はゲームの容量、あるいは画面の解像度の問題もあるのだろうが、基本的にひらがなとカタカナで構成されている。
    • その中でも一部の字と「」のみは強調して漢字で表記してある他、本作の鬱要素は人の死だけでなく、今生きている人の心の弱さ、脆さ、醜さといった人間の裏の部分を抉り取るように演出している。
+ 各イベントの大まかな概要
シナリオ第二部
ネタバレ防止のため深くは記述できないが、13歳の子どもにはあまりにも厳しい試練と現実がある。
過去ヴァルハラ村
ヴァルハラ村は戦争で肉親を失ってしまった者や、各地で虐げられ、追いやられてしまった者が集う村である。
それ故に雰囲気は非常に重苦しく、人間のどす黒い部分も見られる。
特に死を望む男、妻と息子を亡くした老人、頼まれごとに登場する発狂した少女は多くのプレイヤーの心に残った(トラウマになったという者も)。
そして約100年後、途端に裕福となったこの村の人々は金の亡者となり心の中が貧しくなっていく。
なんともリアルで汚い人間の心を描いている。
悪徳商人ボエボエ
かなりの鬱イベントで、救われない人の業を描いている。ある意味本作のもう1つの本編である。
本作だけではなくテイルズ オブ シリーズ全体を通して見ても屈指の完成度と重厚なシナリオを誇るサブイベント。
まさに本作の鬱要素、プレイヤー(親)から受けるディオとメル(子ども)への影響、ヴァルハラ村を表現しているイベントである。
ちなみに、この「ボエボエ」という名前もあくまでデフォルトの設定であり、実は変更が出来る。
良くある「名前を入力して下さい」というものとは違うナビゲーションメッセージが名前を入力する際に表示されるのだが、これまた色々な意味で強烈に印象に残るものになっている。
しかも、イベントの内容が内容なので余計に複雑な気分になれる
+ ボエボエの名前設定時のナビゲーションメッセージ。ネタバレ(?)注意。

「あなたがおもう、いやな人のなまえは?」

魔鏡
こちらもネタバレ防止のため深くは記述はできないが、一部の本編キャラクターのストーリーが鬱すぎるとの意見が多々ある(チェスター、アーチェ、すずが特に言われている)。
ちなみに、このイベントの内のチェスターのものの中で出て来る誤字(にどど*9)はかなりの批判を浴びており、イベントの内容が内容だけにネタにして笑い飛ばす事も出来ないというのが追い打ちになっている。

哲学的な問い

  • 第二部から登場するボスキャラクター、魔鏡イベントでのとある男女のテキストが非常に哲学的である。
    • 他のRPGでも哲学的な問いや発言は存在するのだが、本作の場合、問題は登場キャラクター達がそれに対して明確な答えや見解、解釈を示さないため、必然的にその問いに対する回答や解釈は完全にプレイヤー依存となる。
      • しかもそれらの哲学的な質問はいくら議論しても答えが出ないような難解なものばかりで、多くのプレイヤーが悩まされた。
      • そこまでの難題を示すのならば、せめてなにか指針のようなものは欲しいという意見が出るのも無理はないが、この作品は全体を通して「答えは自分で考えろ」というスタイルであり(本編もその傾向がある)、自分で考えることにこそ意味がある。

総評

ストーリーの重さで言えば恐らくはシリーズでも一二を争うものであり、そういった意味でも異質な作品である。
そのシナリオは深く練り込まれており、人のダークな面も含めた描写はもはや見事の一言で、続編として見ても『ファンタジア』を見事に補完している傑作である。
『ファンタジア』のシナリオやキャラクターに深く触れず、新たに判明していく謎、本編で特に触れられなかった物語をメインにした外伝的なスタンスは『ファンタジア』のファンにもおおむね好意的に受けいれられたが、もちろんそうではないファンもいるのは事実である。
全編を通じての「過去の罪」と「純粋な心」という、関連性のなさそうな2つのテーマが上手くシナリオに噛み合っている。
そして、リアルな人物描写故に考えさせられる所も多い。ヴァルハラ村やボエボエのイベント等、RPGの肝であるシナリオ・ストーリーに関しては、暗く重いものが受け付けないといったような事がなければ十分にプレイヤーを引き込めるものとなっている。
ストーリーだけでなく、独特な言い回しのナレーターや、親としてゲームに参加できるシステムなど、他のテイルズ オブ シリーズにはない面白さも持ち合わせている。

それだけに、ハード性能の問題もあるとはいえ、テイルズ オブ シリーズでありながら、ターン制に近い戦闘システムになってしまっている事やシビアすぎる戦闘バランスといった要素が惜しまれる。
本作を評価する上での定番となっているのが「戦闘システムがリニアモーションバトルシステムだったら文句なしなのに」といったようなもので、それ故に戦闘システムを改良したリメイクを望む声も多く出る事になった。


その後

ファンのリメイクを望む声に応えてか、2010年8月5日にPSP用ソフトとして『テイルズ オブ ファンタジア なりきりダンジョンX(クロス)』が発売された。

戦闘システムは一部の要素が賛否両論あるものの、おおむね高評価を得ている。

だがそれ以外の点…特にシナリオやキャラクター面は本作のダークな面の描写などを必要以上に改変・削除してしまい不自然な迄に軽い作風にされてしまった他、急ごしらえで製作したとしか思えない粗末な新設定や新キャラによって原作どころか大元の『ファンタジア』のシナリオ展開にまで重篤な悪影響を及ぼしている、本作オリジナル曲がすべて差し替えられているなどといった点も含め、とてもまともなリメイクとは言えない有様となってしまった。


余談

本作のシナリオを手がけたライターの新免G之進(しんめんじーのしん)氏は、メインストーリークリア後に入れるスタッフルームにおいて「この作品の主人公は、実は…○○○です。」と、ディオ達が本作における本当の意味での主人公ではないとしている。
実際に誰を主人公としているのかは敢えて伏せさせて頂くが、クリアした上でそれを聞くと確かに納得がいくものとなっている。

また、同時に「本作は『ファンタジア』の続編であるけれど、ここで描かれた物語はあくまで「可能性の1つ」でしかなく、本当の『ファンタジア』の続編はプレイヤーがそれぞれに思い描くものです。」(意訳)とも発言している。
実際の内容も非常に優れているが、公式という立場でありながらプレイヤーの想像の余地を奪わず、また、プレイヤーの思い描く想像を否定しないスタンスを示したことは高く評価されている。

勿論、これで内容がお粗末であれば「ただの逃げでしかない」と批判されてしまうのは言うまでもなく、ライターのシナリオへの強い自信が垣間見える。
そして本作シナリオがライターの自信に応えうるだけの逸品であるというのは、各所のコミュニティやレビューサイトにおいてシナリオ面への批判がほぼ見られないという事実が示す通りである。



*1 その他、「(TOP-)ND」とする例も見られるが、これは「Narikiri Dungeon」とアルファベット表記した際のそれぞれの単語の頭文字を取ったもので、主として海外のウェブページ上などにおいて用いられる。

*2 彼らの名前は全て変更可能で、括弧内の名前はデフォルト名。本項内で名前を出す時はこの名前に準ずる。

*3 大元の性格要素が6種類有り、それが突き抜けて高い場合はそのまま適用されるが、そうでない場合は最も高い性格要素と次いで高い性格要素の組み合わせによるものになる。大元の性格要素は最初は3種類しかなく、残りの3つの性格要素は特定のコスチュームをマスターするか、物語を進めて行く中で精霊から様々な心を教えてもらう事で目覚める。

*4 本編でダオスと時間を越えた戦いを繰り広げ、これを討ち果たした6人の事を指してこう呼ばれる。

*5 ダオス戦役の後、祖父の乱蔵から頭領の座を受け継いだ。

*6 実際は破壊不可能であるとされる。

*7 テクニカルポイント(Technical Point)。特技を使うために必要なポイントで、一般にMPと言われるものと同じ。

*8 「魔術でなければ傷つかない」という原作の設定が反映されており、受ける無属性のダメージはほとんどを1ダメージにする。また、本作では魔術『メテオスォーム』が無属性らしく、こちらも1ダメージになる。

*9 漢字に直すと「二度ど」。言うまでもなく正しくは「にどと(二度と)」。