※このページでは、PS3『クロスエッジ』と、360『クロスエッジ ダッシュ』について紹介しています。
クロスエッジ
【くろすえっじ】
クロスエッジ ダッシュ
【くろすえっじ だっしゅ】
対応機種
|
Xbox 360
|

|
発売日
|
2009年10月1日
|
定価
|
7,140円
|
判定
|
なし
|
ポイント
|
軽い追加要素あり
|
※共通項目は省略。追加要素以外は無印とほぼ同じなので本項でまとめて解説。
概要
タイトルの英字表記は『XEdge』
アイディアファクトリー、ガスト、カプコン、日本一ソフトウェア、バンダイナムコゲームスの5社によるコラボレーションゲーム。
IF主導の多社コラボゲーとしては『カオス ウォーズ』に続く2作目。また、カプコンとバンナムのコラボは『NAMCOxCAPCOM』以来。
開発はコンパイルハートだけに、ゲーム性は『ソウルズシリーズ』や『アガレスト戦記シリーズ』に近い。
ゲームシステム
-
主人公(オリジナルキャラ)の勇刀を操作して、マップ上に隠されたソウルを探し出し、解放あるいは入手していくのがゲームの目的である。
-
特定のソウルを解放するとイベントポイントが出現しストーリーが進行する。そのマップで発見できる全てのイベントポイントを見つけると、次のマップへ進むためのダンジョンが出現する。
-
ソウルの解放量や、イベント戦で取った行動によってストーリーの結末が変化する。
-
探索システムは参戦作品の一つでもある『ブレイジング ソウルズ』が近い。
-
戦闘はターン制で、一度に参加できる人数は4人。各キャラクターにはAPが設定されており、それを消費して攻撃・回復・補助を行う。
-
特定の技同士を組み合わせるとコンビネーションが発生し、通常よりも高いダメージを与えられる。上手く利用すれば消費APを抑えることができる。
-
またHPとは別にそのキャラの防御力を示すブレイク値が存在し、攻撃でこの値を0にすると防御力が大幅に下がり攻撃者のAPが回復する。
-
どれだけ少ないAPでブレイク値を削り、ダメージを与えられるかが勝利の鍵となる。
-
戦闘画面は3x4のマスが敵味方にそれぞれ存在する形式で参戦作品内で言えば『アトリエシリーズ』が近い。
-
その範囲内でIFゲー恒例の戦闘システムを採用している形。
-
ちなみに、本作は昨今のRPGでは珍しい「歩数エンカウント」を採用している。
-
敵の接近を告げるゲージが表示されており、歩く毎にゲージの色が変わっていく。
-
また、解放したソウルや満たした条件によってエンディングが変化する。
評価点
例を見ない作品群
-
『カオス ウォーズ』に続きIF主導なだけにコラボ内容が大変カオス。
-
それだけに人を選ぶが、どれもコアなファンの付いている作品ではあるので、絶妙な所ではある。
-
敵だったルゥリッヒやボルドを操作できたり、『アルトネリコ』のレーヴァテイル3人でパーティを組めるといった、コラボゲーならではの要素も。
-
キャラ同士の絡みは少なめでシナリオの版権要素も薄いが、個々の扱いが丁寧で妙なキャラ崩壊や設定改変がない。
シナリオ面
-
シリアス寄りなシナリオ
-
他のコラボゲー同様のお祭感はあるものの、本作のシナリオはシリアス寄りであり、特に敵に召喚されたデミトリはその最たる例。
-
他のコラボゲーのようなツンデレキャラではなく、原作に近いシリアスなデミトリ。それに檜山氏によるフルボイスが入った稀有な例になっている。
-
原作再現要素
-
シュレリアが戦闘中にすっ転ぶ、記憶に拘るエトナ、アヤタネが敵に寝返るなど、原作プレイ済だとニヤリとできるネタや展開。
-
マリーが錬金術で高度な薬を作って人を救う、という原作に沿ったクロスオーバーシーンも。
-
クロスオーバーシーン
-
原作では出会わなかったゼロスとミュウがアレックスについて話すといった原作ファンにはうれしい要素。
+
|
終盤のネタバレ有り
|
-
特定のルートではヴァンパイアセイヴァーのジェダがラスボスを務める。
-
昨今のクロスオーバー作品ではオリジナルキャラがラスボスを務めることが多い中、ルート限定とはいえまさかの大抜擢である。
|
充実したやりこみ要素
-
キャラ育成、称号集め、クリア後の隠しステージ・隠しボス等、やり込み要素が豊富で長時間楽しむことができる。
-
コンビネーションによる大ダメージを狙ったり、それを実現できるパーティ構成を考えたりと、プレイスタイルの幅が広い。
デミトリの「ミッドナイトブリス」
-
「相手キャラを女体化・変身させる」という原作でもネタ要素の強い技だが、本作はコラボゲーとしては珍しく女体化・衣装変化演出を含め搭載されている。
-
格ゲーのような対象の少ないゲーム以外では女体化演出はカットされる事が多い中、使いまわしこそ多いものの全ての敵にブリス姿を作るという快挙を成し遂げている。
-
さらには、デミトリが敵側としても登場したり、味方キャラの姿のドッペルも敵で登場するため、他の版権作品出身の味方キャラのブリス姿もそれぞれ用意されているという力の入れ具合である。
-
極めつけに男性キャラのおまけボイスでは、女性ボイス版に加えて元の声優でのブリス時の悲鳴が入っている。
賛否両論点
調合システム
-
複数の素材から武具・アイテムを作成するシステムだが、素材の入手難易度が高めで、気軽に利用するには厳しい内容。
-
素材の大半は敵をオーバーキルすることで入手できるのだが、重要な素材を落とす敵ほどステータスが高くなっており、思うように集められないことが多い。
-
コンバートでしか入手できない素材を要求されるケースが多く、中盤以降は武具の作成にかなりの手間がかかる。
-
例えば[下位武器 + モンスター素材 + コンバート素材]でできる上位武器を作ろうと思った場合、以下のような手順を踏む必要がある。
-
下位武器の素材集め → 下位武具作成 → 素材を落とすモンスターをオーバーキル → コンバート元の武器の素材集め → 作成とコンバート → 上位武器の作成
-
下位武器を複数要求されるケースもあり、その場合は上の作業をもう1度繰り返さなければならなくなる。下位武器の作成素材に別の武器が含まれていた場合は更にもう1回。
-
最強武器の作成ともなると調合回数、必要素材数が恐ろしいことになる。
-
加えて、敵の強さは調合の利用を前提に設定されているため、素材集めを怠るとイベント戦の難易度が跳ね上がる。特にハードではこれが顕著。
-
一度作成した物はショップに登録されるため、基本的には最初の一個だけ作れば良いのだが、中には登録されない物もあり、場合によっては同じ物を何個も作る羽目になる。
-
ただそれ故に強力な武具を完成させた時の達成感はひとしおである。調合を駆使しないと撃破できないような強いボスも多数用意されており、作業ややり込みが好きな人ならとことん嵌る。
全体的に高難易度
-
いつものIFゲーと言えばそうなのだが、戦闘・調合・スキル育成など覚えることが多く、理解の浅いまま終盤まで進んでしまうと圧倒的な強さを持つボスの前に手も足も出なくなる。
-
各種システムを使いこなせば中盤までは丁度いいバランスで楽しめるのだが、終盤(4-1~)に入ったあたりから辛くなり始め、最終マップ(5-1)で急激に難易度が上昇する。
-
特に5-1のボスであるルゥリッヒとボルドが強い。攻略情報なしでやった結果、ここで諦めたというプレイヤーも多い。
-
超高威力かつ必中のEXスキルを1ターン中に何度も放ってくる。通常スキルも3~5割の馬鹿にならないダメージで、1つ前のマップの敵とは桁違いの強さ。
-
調合・コンバートを利用すれば倒せるようにはなっているが、一周目の時点ではそこまで手が回らないことも多く、多くのプレイヤーがここでつまづいた。
-
ハードモードを選んだ場合は、最初のマップの雑魚敵ですら脅威になる。不意打ちでパーティの半分が行動前に戦闘不能になることも。
-
ゲームとして破綻するレベルではないため、やり応えのあるゲームが好きな人からは好評を得ているが、「お祭ゲーだから」と何となく手に取った人にはかなり厳しい内容となっている
-
一応デメリット有りだがイージーモードが存在するため、イージー → ハードとプレイすればほどよい難易度でゲームを楽しむことができる。
-
イージーもノーマルもハードへ引き継げる要素に違いがないため、1周目にノーマルを選ぶ理由は純粋に難易度選択以外に意味はない。
-
邪道ではあるが、無料DLCを利用すれば1周目ハードでもサクサク進めることができる。
キャラグラフィック
-
キャラグラフィックのクオリティがイマイチ。当時のIFゲーの中では頑張っていた方だが、PS3/360のゲームとして見るとやはり雑である。
-
『マナケミア2』『アルトネリコ』組は原作に比べほとんど変化がなく、むしろ貧相な効果音とエフェクトから劣化しているような印象を受ける。
-
ただ、装備品によって武器のグラフィックが変わったり、ソウルズ・ディスガイア組の技演出が原作より派手になっているなど、評価できる部分もある。
問題点
オリジナル色の濃いシナリオ
-
せっかくのクロスオーバーなのに、全体的に版権要素が薄く、「キャラだけ借りてきた」という状態になってしまっている。
-
本作の登場人物は舞台に呼び出された時点で記憶の大半を失っており、自分探しと元の世界への帰還が主なテーマ。
-
他作品のキャラと頻繁に絡むのはマリーぐらいで、ほとんどは同じ作品のキャラ同士、またはオリジナルキャラとしか会話しない。
-
雑魚敵に関しても版権キャラは数えるほどで、他は全てオリジナル。
ゲームテンポの悪さ
-
発売1ヶ月後のアップデートが入るまでは全体的にロード時間が長かった。
-
アップデートによってある程度は快適になったものの、それでもロード時間を気にする人には少々ひっかかるくらいには長い。
-
移植版の『ダッシュ』のDL版で、画面切り替えの際に2~3秒程度、長いときで10秒以上のロードが入る。
-
パーティメンバー固定のイベント戦が多い。
-
その度に編成画面で装備変更やスキル設定を行わなければならず、スムーズにイベントを進めることができない。
-
該当メンバーを育てていなかった場合は、大きなハンデを背負って戦う羽目になる。相手がボスであった場合は尚更。
-
技演出中に処理落ちが発生する。マナケミア2組(ロゼ、リリア、ルゥリッヒ)が特に酷く、原作ファンのやる気を大きく削いでくれる。
フォームシステム
-
フォームによる「衣装チェンジ」が、女性キャラにしか適用されない。
-
無いのは衣装チェンジのみで、フォームそのものは女性キャラと同じ数だけ存在する。男性キャラが性能的に不利になるようなことはない。
-
オマケ要素とは言え、せめて1着ぐらいは男性キャラにも欲しかったところ。
-
『ブレイジング ソウルズ』のゼロスのように、原作で複数の衣装が用意されていたキャラクターもいたのだが……。
真ルート条件の難易度
-
IFゲーの例に漏れず、ルートの分岐条件が非常に複雑で、攻略情報無しでは真ルートに到達できない。
-
公式も難しくし過ぎたと判断したのか、後に公式HPで真ルート条件の一部が公開された。
-
現在はサイトが閉鎖され、ソフト一覧での簡易的な説明のみになってしまった為、閲覧不可。分からなければ素直に攻略サイトに頼ろう。
-
また条件が分かっていても、イベントソウルの見逃しや、イベント戦での操作ミスで失敗してしまうことがある。
-
しかもイベントソウルの仕様が誤解を招きやすい。
-
○○/○○という形で見たイベントソウルの数を確認する方法があるのだが、見ないまま時期を過ぎて消滅した際にも加算される為、数字だけを見て「ちゃんと全部見た」と勘違いしたプレイヤーも多い。
-
実際に分岐するまで分岐条件を満たしているかどうか確認も出来ない為、失敗した際の精神的ダメージも大きい。
その他
-
戦闘シーンでは一部のキャラが何故か3Dとなっている。2Dキャラとの違いが目立ち統一感に欠けている。何とも中途半端。
総評
「いつものIFゲーにコラボキャラを入れただけ」と言っても過言ではない内容である。
各種システムの取っ付き難さや、ハードの性能に見合わない稚拙なグラフィックは人を選ぶが、肝心のゲーム部分はしっかりと作り込まれており、嵌る人はとことん嵌る。
反面に(一部キャラの被る)ナムカプのようなクロスオーバーがなく、そうした要素を期待してプレイすると間違いなく拍子抜けする。RPGとしての完成度は高いが、お祭りゲーとしては残念な出来と言える。
ただキャラ崩壊・設定改変がなく、敵・味方共に丁寧に扱われている点は評価できる。
興味を持った人は、コラボ内容よりも戦闘の難易度や調合システムを第一に調べて欲しい。やり込み度は高いが、ライトユーザーには厳しい内容である。
現在はBEST版が出たこともあって店頭での値段が非常に安くなっているので、参戦キャラに興味があって歯ごたえのあるRPGを求めている人なら購入する価値はあるだろう。
移植
PS3版発売の翌年に360へも『クロスエッジ ダッシュ』として移植された。
基本的にPS3のアップデート版準拠の移植だが、追加要素として様々な強敵と戦ってレアアイテムを入手できる「コロシアム」や、一部のイベントにおける新規CGムービー、有料DLCによる新たなフォームが追加されている。
コロシアムには新たに「IFゲーの客寄せパンダ」とも言われる人気キャラのヒロも敵として登場しているが、あくまでシナリオには関わらないオマケ要素。
上記の新要素を除けば、基本的に追加ストーリーや追加仲間キャラなどはなく、ほぼPS3版と変わらないと言っていい。
軽い追加要素や実績解除等のやりこみ要素が増えてる事もあり、両方遊べる環境があるなら360版でいいだろう。
また、海外でもPS3版が『Cross Edge』として発売され、こちらは日本語音声と英語音声が両方収録されている模様。
こちらにはトロフィーも追加されている。
余談
-
PS2『ローグ ハーツ ダンジョン』と、PS3『アガレスト戦記』で使われたSEが本作でも使われている。
-
また、本作以降のコンパイルハートのゲームシリーズでも流用されるようになった。
-
その後、IF主導の多社コラボゲー3作目である『トリニティ・ユニバース』が発売された。
最終更新:2024年05月18日 10:00