ゾンビリベンジ
【ぞんびりべんじ】
ジャンル
|
格闘アクション
|
対応機種
|
アーケード(NAOMI)
|
販売・開発元
|
セガ・エンタープライゼス
|
稼働開始日
|
1999年
|
判定
|
バカゲー
|
ポイント
|
『ダイナマイト刑事』風格闘アクション版『HOD』 『HOD』おなじみの高難度気味のバランスは健在 高難度に拍車をかける厳しい時間制限とライフ量 真の漢、毒島
|
THE HOUSE OF THE DEADシリーズ
|
ゾンビリベンジ (DC)
【ぞんびりべんじ】
対応機種
|
ドリームキャスト
|
 高画質で見る
|
メディア
|
GD-ROM 1枚
|
発売元
|
セガ・エンタープライゼス
|
開発元
|
セガ・エンタープライゼス データイースト
|
発売日
|
1999年11月25日
|
定価
|
5,800円(税抜)
|
周辺機器
|
モデム、ビジュアルメモリ、アーケードスティック ぷるぷるぱっく、VGA対応
|
判定
|
バカゲー
|
※共通項目は省略
概要
『THE HOUSE OF THE DEAD』(HOD)シリーズの外伝作品に当たる3Dベルトスクロールアクション。
『ダイナマイト刑事』のシステムでプレイするHOD、或いはダッシュや打撃などがあって8方向に動き回れる『バイオハザード』といった雰囲気を持つ。
プレイヤーキャラクター3名のうち2名がAMS所属、ステージ6がHODのキュリアン邸が舞台になっているなど、シリーズをプレイしていればニヤリとする場面も存在する。
ストーリー
約40年前、某国でプロジェクトUDS(UnDead Soldier) という、「死なない兵士」、いわゆるゾンビの開発を目的とした国家計画が始まった。
一時は暗礁に乗り上げたプロジェクトだったが、「人を死に至らしめた後、被害者の体中の細胞と融合し、不完全ながらもかつての機能を取り戻そうとする」驚異の細胞「ギル細胞」の発見により、ほぼ完成へと導かれる。
この細胞によって死に、「蘇った」人間は、喰う・争うといった本能的な行動を再現させられ、ひたすら繰り返す。その姿はまさに生ける屍、「ゾンビ」としか言いようがなかった。
ところがこのプロジェクトは、完成直前に何者かによって全てを奪われ、関係者を含め闇に葬られてしまった。そして1年後、世界中でゾンビが大量発生する事件が発生。
これを受けてアメリカのウッドオークシティに派遣された諜報機関「AMS」のエージェント「スティック・ブライトリング」と相棒の「リンダ・ロッタ」は、
「邪気」を感じやって来たという男「毒島力也(ぶすじま りきや)」と知り合い、共に捜査していた所、ゾンビ大量発生事件の首謀者と思われる謎の人物からメールが届く。
スティックら3人は謎の人物を追うべく、指定された場所へと急ぐ事となる。果たして、3人は事件を解決できるのだろうか。
ゲームシステム
-
8方向レバー+3ボタン(打撃・銃撃・ガード)。
-
レバーはアナログ仕様の専用コンパネとなっており、レバーの入力具合で移動のスピードが変化する。
-
ちなみに基板の設定で通常のレバーにも対応しているが、8方向しか向けなくなり移動のスピードが一定になる。
-
レバーの仕様に関係なく、移動中にガードボタンを押すとダッシュできる。
-
特徴的なのは以下の点。
-
プレイヤーは銃を標準携行しており、装填数は10発。撃ち尽くすとリロード操作が入る。マガジンは5個まで持てる。マガジンは潤沢に手に入るので弾切れになることはほぼない。
-
敵がいる方向を向いた際に『バーチャコップ』のようなロックオンサイトが出現するが、一定時間経過で赤くなり、この状態で銃撃すると威力が1.5倍になる「ヴァリアブルショット」を撃てる。
赤くなるまでの速度は敵との距離やプレイヤーキャラによって違うが、どのキャラでも敵に密着するほどの近さだとすぐに赤くなる。
-
銃撃ボタンを一定時間押し続け離すと、弾5発分を消費し貫通力と吹き飛ばし能力の付いた「チャージショット」を撃てる。残弾数が4発以下でも撃てるので、最後の1発で溜めて撃つと僅かにお得。
-
敵の攻撃を受けると毒が蓄積される。毒は時間経過で少しずつ減少するものの、毒消し(アンチドート)を取らずに放っておくと毒が残っている間は動きが遅くなり徐々に体力が減少する。
-
しかし、毒の蓄積が一定値以上になった場合は一部の技コマンドの最後のボタンを連打することで強力な技に変化する。
-
2人同時プレイ可能。体力制+制限時間制で、どちらかがなくなると即ゲームオーバー。残機の概念はない。
-
なお、2人同時プレイ時に片方のプレイヤーの体力が無くなって死亡した場合には、コンティニューせずに放っておくと死亡したプレイヤーがゾンビ化して敵キャラになってしまう。
-
タイムオーバー時は単にキャラが倒れるのではなく、専用のデモが入ってからゲームオーバーとなる。
-
当時のHODシリーズ同様、日本版の血の色は緑となっている。
-
これは主人公側も同様で、ゾンビに噛まれたり銃撃を喰らうと緑の血が吹き出す。
ゲーム開始時点で既に手遅れにも見える。
評価点
-
『ダイナマイト刑事』に通ずる、使って楽しい武器の存在はこちらでも健在。
-
マシンガンやショットガンなどのおなじみの武器や、ホラー映画おなじみの鉄パイプや斧に加え、二丁拳銃やギターケース、果てはドリルや火炎放射器など、バリエーションは非常に豊富。
問題点
-
難易度が非常に高い。
-
一度に登場するゾンビの数が多い。しかも本作はHODシリーズとは違い、遠距離攻撃手段や銃等の武器を携行しているゾンビが多い為、遠くからでも油断はできない。
-
こちらのライフが少ない上に残機制ではなく、ライフアップの機会も少なめ。全体的に敵の攻撃力が高く、中には食らうと半分以上減少する攻撃もある。処理に手間取るとタコ殴り・ハチの巣もザラ。
-
おまけに制限時間もかなり短い。常に無駄のない迅速なプレイを要求される為、知識の無いプレイヤー層には更に厳しくなり、難易度の上昇に拍車をかけてしまっている。
-
当然プレイスタイルの自由度も低い。だが理不尽さや運ゲー要素はほぼ無いため、パターンを確立すれば全キャラでクリアは可能。
-
他のベルトスクロールアクションゲームのセオリーがあまり通じない。一見は通じそうに思えるが、その実本作の立ち回りはかなり癖があり、他のゲームのセオリーを応用しにくい。
-
基本は銃撃に徹することである。格闘が有効な場面もたしかにあるが、敵の数が多い本作では攻撃中に邪魔をされて中断されてしまうことが多いので、出しどころを選ばなければならない。
-
銃撃するための隙を作るにはダッシュ攻撃で転ばせるのがお手軽で強力。そのまま密着していれば、ダウン中のゾンビにヴァリアブルショットも狙える。
銃撃する際には余程のことがない限り、ヴァリアブルショットを狙う。無闇に乱射して弾を消費するよりも遥かに効率的に、かつ迅速に敵を倒せる。
迅速にヴァリアブルショットを撃ち処理速度を上げるためにも、敵の頭に銃を密着させて撃ち、他が寄ってきたらダッシュ攻撃で転ばせる、が基本的な繰り返し。
-
「銃の密着撃ちで1匹ずつ始末」「とりあえずダウンさせておく」という点を知らないと、どんどん押されたり、ダメージが嵩んだり、タイムアップになりやすい。
-
防御面ではガード・ガードアタック・前転などの特殊動作に旨味や強みがあるので、これらを場面・敵に合わせて使いこなすのが肝心。攻撃一辺倒ではなかなか先に進めないだろう。ただし、「前転キャンセル緊急回避」というバグ技があるので場所によってはこれが使えると多少はマシになる。
-
クリアすると何故かネームエントリーができない
-
本ゲーム最大の謎。そのためアルカディアのハイスコア申請時には「残り一撃まで削って店員をコール→スコアを確認後倒す→攻撃1ヒット分の50点を足して申請」という特別ルールが用意されていた。
バカゲー要素
冒頭の通り、本作の世界観はHODシリーズをベースにしており登場人物もそれに関連した人物であることは察しが付くのだが、ゲームを始めるとすぐ一人だけ明らかに世界観から浮いている人物がいることに気づくであろう。
彼こそが本作のバカゲーたる所以であるキャラ、毒島力也である。
-
真の漢、毒島の存在
-
外見のモデルは昭和の名俳優松田優作氏で、上半身裸でジーパンの姿は映画『蘇る金狼』、隠しコスチュームのハットにスーツ姿はドラマ『探偵物語』の工藤俊作をそれぞれ模したものになっている。
-
一方で某闇医者を思わせる顔面の手術跡、某世紀末救世主のような七つの傷(北斗七星…ではなくオリオン座)など名作アニメの要素も多数加わっている。
-
声優は井上真樹夫氏。氏が演じている事で有名なルパン三世の五右衛門を意識してなのか喋り方は古風であり、言葉選びもいちいち独特。
-
本作の舞台はアメリカであり他の主人公2人も恐らく米国人であると思われるが、彼は堂々と日本語を話している。パッと見意思疎通が行われているとは到底思えない。
英語勢が日本人でも分かるほどの棒読みな中で、井上氏のやたらと演技の入っているドスの利いた日本語は圧倒的な存在感と違和感を醸し出している。
特に1面ボス登場ムービーの冒頭で放つ「この邪気は…!?」や2面終了時のムービーで唐突に発する「死ぬのは怖くないか?」は有名で、毒島の存在感向上に一役買っている。
また、終盤のあるボスを倒した際に唐突に発する「きれいな満月だ…」も印象的。リンダにはスルーされてしまうが。やっぱり通じてない?
-
ゾンビの頭を掴み頭部を爆裂させる技を行う際に、「たまやぁ…!」と残酷なのかお茶目なのか図りかねるセリフを言うのもインパクト抜群である。
-
ストーリー面でも、主人公らしくひたすら真面目に振る舞うスティック、極限状態で心身共に疲弊していくリンダに対し、常に独自のオーラを発し続ける毒島は最早その存在だけでホラーの雰囲気を破壊し尽くす。
-
世界観から浮いている彼であるが、設定上も日本の「内務庁特務調査課」の所属で、千年の歴史を持つといわれる「毒島流」の伝承者。
-
彼の使う毒島流の技はゾンビの体内に気を送り込んで炎上させる「毒島流滅殺衝」、ゾンビの頭を掴んで気を送り込んで爆発させる前述の「毒島流華火」、果てはゾンビに足四の字まで仕掛けるという凄まじいものが多め。
-
ゲーム界広しといえども、ゾンビに足四の字を極めるのは後にも先にもこのキャラだけと思われる。
後年のあの人もやらなかったし。ちなみに、連打が足りないとゾンビに四の字を返され、こちらがダメージを受ける。ゲーム界広(以下略)。
-
一応、足四の字も「足から気を送り込んでいる」という設定ではあるが…。
また四の字中の毒島は連打が足りていれば完全無敵なので、周囲の敵の攻撃をやり過ごすことができる。
-
DC版の対戦モードでも当然ながら「毒島流滅殺衝」も「毒島流華火」も遠慮なく決められる。相手が人間だろうと「たまやぁ…!」
-
上記やストーリー欄の通り、他の主人公2人とは偶然居合わせて共闘しているだけで、「AMS」や本筋の物語には全く関係が無い。
しかしその他の主人公がHODシリーズらしい無難な造形のキャラの為、完全に毒島のキャラの濃さに食われてしまっており全く目立たない。
-
リンダの方はその容姿から人気が無い訳ではないが、スティックはメイン主人公でありながら最も人気も存在感も無いという奇妙な事に。
-
その人気ぶりはゲーム自体がさほどメジャーでないにもかかわらず、かのゲーメスト誌の読者コーナー「ゲーメストアイランド」に「毒島の部屋」という特設コーナーができるほど。
更に同ページが全て毒島ネタに乗っ取られた「毒島アイランド」と化した事も。
-
果てはこのキャラの濃さも相まって、後に『PROJECT X ZONE』にてHODシリーズから本編の主人公キャラまで差し置いて参戦を果たした。
-
性能的にもぶっちぎりの強キャラ、あらゆる面で優遇されていると言える。ダッシュ攻撃も癖がなく使いやすい。
-
プレイヤー3人の中ではパワー重視という性能が、ヴァリアブルショットを多用する本作の立ち回り方と相性も良い。
総評
毒島、その一言で表せてしまうくらいある意味強烈な個性を持った作品。
作品自体は高難易度で癖もあるのは事実だが、難易度は理不尽とまではいかないレベルなので、キャラの特性をつかめば十分クリアできる。
後述のように移植版も存在する。これからプレイする人はそれで腕を磨くのもよいだろう。
移植
-
ドリームキャスト版(1999年11月25日発売)
-
移植に当たりコスチュームのバリエーションが増えている。また、アレンジモードやボス戦のみを行えるモード、プレイヤーキャラ同士の対戦モードなどが追加されている。
-
ビジュアルメモリを使ってどこぞの電子生命体のように作中キャラの育成を行うトレーニングモードもあったりと、やはりどこかおかしい充実ぶり。育てたキャラは対戦モードで使用可能である。
-
家庭用らしくクレジットの設定も可能であり、コンティニュー回数が無制限のフリープレイも対応。クリアできない人はまずこれで全体の感覚を掴むと良いだろう。
-
前述のようにDC版移植にはデータイーストも参加している。
外部出演
-
『PROJECT X ZONE』
-
本作より毒島力也が参戦。コスチュームは隠しコスチュームである探偵物語バージョン。声は浪川大輔氏が担当。
-
当時のゲーメスト等でのネタ扱いを知っているプレイヤーでもなければ知名度が低かったのもあり、本作で毒島のぶっ飛びっぷりを知ったプレイヤーも多かった。
-
とある会話シーンによると毒島アイランドの建設という野望を抱いているらしい。
-
余談ではあるが、『テイルズ オブ ヴェスペリア』のフレン・シーフォが公式サイトに初登場した際、よりにもよって使用技の説明とセリフが毒島の流用という誤植があり、彼も毒島流の使い手としてネタにされた。
-
ついでに言うと先述の誤植の他にも様々な要因が重なり、最終的には「毒島流阿修羅閃空ビッグの術の使い手」とかまで言われる始末であった。
-
残念ながら続編の『PROJECT X ZONE 2:BRAVE NEW WORLD』には毒島は呼ばれなかった。
-
続編にはセガからせがた三四郎も参戦しているため、毒島との共演ができなかったことを惜しむ声もあった。
最終更新:2024年07月28日 09:15