キャッチ! タッチ! ヨッシー!
【きゃっち たっち よっしー】
ジャンル
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タッチペンアクション
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対応機種
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ニンテンドーDS
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発売・開発元
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任天堂
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発売日
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2005年1月27日
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定価
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4,571円(税別)
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プレイ人数
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【DS】1~2人 【WiiU】1人
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セーブデータ
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1個
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レーティング
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CERO:全年齢(全年齢対象)
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配信
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バーチャルコンソール 【WiiU】2016年5月18日/950円(税8%込)
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判定
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賛否両論
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ポイント
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ヨッシーシリーズ屈指の難易度 スコアアタック前提の超シンプル仕様 定価に対する致命的なボリュームの薄さ 一方で演出面等ゲーム自体の出来は良好
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ヨッシーシリーズリンク
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概要
DS最初期に発売されたヨッシーシリーズの1つ。ゲームとしては『タッチ!カービィ』の先駆者に近い。
「落ちていく赤ちゃんをヨッシーにキャッチさせる間にタイムや得点を稼いでハイスコアを目指す」という内容のゲームとなっている。
『ヨッシーアイランド』の世界観が元になっているが、特にヨッシーアイランドとのシナリオ関係は明示されていない。
ストーリー
夜明け前の暗い空を、一羽のコウノトリが大慌ててすっ飛んで行きます。
そのクチバシに、今日生まれる双子の赤ちゃんをしっかりくわえて、パパとママのところへ急ぐ急ぐ!
大急ぎのコウノトリが、ヨッシーアイランドの真上にさしかかった…
そのとき!
猛スピードで突っ込んでくるひとつの影が、コウノトリに体当たり!!
びっくりしたコウノトリは、双子の赤ちゃんを落としてしまいました…。
(取扱説明書より引用)
システム
ゲーム画面は2画面ぶち抜きで表示される。ステージは「たて」と「よこ」の2つに分けられる。
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「たて」ステージでは3つの風船を頼りにベビィマリオがゆっくり降下している。下画面でタッチペンを使って雲を描くことでベビィマリオを誘導することになる。
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ベビィマリオは上画面にいるので、直接干渉することはできない。雲やシャボンで誘導する必要がある。
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敵に触れると風船が割れ3つ全て割れるとゲームオーバー。風船が少なくなると落下速度が上がるのでタイムアタックではあえて割るのも手。
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ラインを引くと雲になる他、丸を描くとシャボンを作れる。
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シャボンの中に敵を入れるとその敵はコインになる。ただし、トゲの生えた敵は囲めない。また丸が大きすぎたり形が悪くてもシャボンにならない。
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コインやスターなどのアイテムをシャボンに入れることもできる。シャボンはタッチで弾いてベイビーを誘導するのにも使える。
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雲を引きすぎて誘導が難しく感じたら、マイクを吹けば雲を消すことが出来る。セレクトボタンでも消せる。
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「たて」ステージを最後まで行くと、ベビィマリオがヨッシーに乗り込む「よこ」に移行する。
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「たて」で稼いだスコアに応じてヨッシーの色が変わってパワーアップする。スコアゼロでしか出現しない白と紫ヨッシー(モードでどちらが出るかは変わる)は強力。
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「たて」で出来ることは「よこ」でも出来るが、これにヨッシーの操作が加わるので複雑になっている。
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ヨッシーは常に一定ペースで画面を左から右(オプションで逆に出来る)に移動している。敵に当たると一発アウト。
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雲やシャボンは「たて」と同様に作れる。またヨッシーをタッチするとジャンプ。ジャンプで倒せる敵もいる。ジャンプ中に再度タッチでふんばりジャンプ。
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画面内の任意の場所をタッチするとその方向に向けてタマゴを投げる。タマゴはステージ中に落ちている果物を食べると増やすことができる。所持できるタマゴの最大数はヨッシーの色に応じて変わる。
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主なゲームモードは以下の計5つ。
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各モードの詳細
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スコアアタック:たてステージからよこステージゴールのコウノトリにたどり着くまでの累計スコアを競う。
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たてステージで高得点を取るとよこステージで使用するヨッシーの色が変化。たてステージで高得点を出す程ヨッシーのスピードが速くなり操作が難しくなるが、代わりにタマゴの最大所持数が増えて攻撃面は強化される。
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エンドレス:たてステージをクリアした後、よこステージをどれだけの距離だけ進めるかを競う。「スコアアタック」と違いゴールはない。
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1,000メートル毎に違う色のヨッシーに交代する。スピードが上がって操作が難しくなるが、代わりにタマゴの最大所持数が増えて攻撃面は強化される。
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100ポイント獲得する毎にスーパースターが出現。取ると一定時間の間タマゴの代わりにスターを無制限に投げられるようになる。
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なお、100ポイント獲得してスターが出現する毎にポイントは0に戻る。
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タイムアタック:制限時間3分内にカメックにさらわれたベビィルイージを助ける。当然ながら制限時間内に助けられないとゲームオーバーとなる。
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実際に助けられるのはよこステージだが、制限時間はたてステージからカウントされている。
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チャレンジ:制限時間内にどれだけの距離を進めるかを競う。「エンドレス」と同様にゴールはなく、ポイントを稼ぐと制限時間が加算されて伸びていく。
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「タイムアタック」と異なり、制限時間はよこステージでのみカウントされている。
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VSバトル:対人戦専用。上画面に表示された相手コースに敵を送り込んで戦う。自コースで敵を倒すと相手コースに敵が送り込まれる。
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1カートリッジでのダウンロードプレイに対応しており、本ソフト1枚とDS2台があれば2人対戦が可能。
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なお、「タイムアタック」「チャレンジ」の2つは最初は遊ぶ事ができず、「エンドレス」でハイスコアを出すまで解放されない(取扱説明書にもきっちりとその旨が記載されている)。
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問題点
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極端に薄いボリューム。
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「一人用は全4モード」と言えば聞こえはよいが、その実態は「全4ステージ」である。各モード1つしかステージはなく(「スコアアタック」はスコアで構成が変わるが)、特にボスキャラなどもいない。あろうことか宿命のライバルのはずのベビィクッパですら、「チャレンジ」モードでチラッと出てくるだけ。戦う機会はない。
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「スコアアタック」はハッキリ言えば5分で終わる。「タイムアタック」の制限時間は3分。
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一方で「エンドレス」と「チャレンジ」はゴールが存在せず、上手い人であればいつまでも続けることができるが、中断機能はないので集中力勝負である。
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前世代機であるGBAのゲームと比較しても、これほど薄い作品はそうないレベル。下手するとさらに前のGB時代のゲームよりもボリュームが劣る可能性もある。これで定価が安いのならまだ納得できなくもないのだが、このボリュームで標準的なDSソフトと同価格(4,800円程)である。
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ゲームの内容自体も単調。
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たてステージは全体的にどのモードも構成が似たり寄ったりで個性に欠ける。「タイムアタック」ではスターが出てくるがそれぐらいで、敵キャラもほぼ同じ。
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よこステージは進行に応じて出現する敵が変わるのでまだマシ。それでも上述の通り各モード1ステージのみのうえにボスキャラの類も一切存在せず、全体的に単調な感は否めない。
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やりこみ要素皆無の超シンプル仕様。
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前述のボリュームの薄さにも絡むのだが、「エンドレス」でハイスコアを達成し、隠しモードである「タイムアタック」と「チャレンジ」、ミニゲームの「風船割り」を解放するとやるべきことが何もなくなる。
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本作はとにかく「ハイスコアを更新すること」に特化した内容になっているが、スコア更新による特典がほとんどない。僅かばかりある隠しモードの解放に関係するだけ。
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とにかくシビアな難易度。
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「雲を描いてヨッシーを操る」という幻想的な内容に反して、本作はヨッシーシリーズ全編通しても屈指の高難易度作になっている。
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よこステージのヨッシーはヘイホーに触れただけで即死というシリーズトップクラスの虚弱体質なので、ちょっとしたミスも許されない。
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なお、マリオシリーズのスーパーキノコのような「取るとヨッシーの耐久力が上がる」アイテムはない。そのためどれだけ進めても常に即死の危機におびえることになる。
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上下2画面フルに生かした構成も問題。上画面に集中していると足下の穴を見逃しやすい。上画面にも普通にフルーツやコイン、敵は配置されているので無視するのは難しい。
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一応ある程度進むとリトライポイントが出現するので、「ワンミスで全てが台無し」ということはないのだが。
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一方で、たてステージは「エンドレス」の場合はヨッシーが自動強化されるのでほぼおまけのようなもの。ただし、「タイムアタック」や「チャレンジ」の場合はここでヨッシーを強化しないと厳しい。
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「エンドレス」では進めれば進めるほどヨッシーが強化されるのだが、10000m時点で出現するオレンジヨッシーは一定間隔で加速していくので、終盤の操作が恐ろしく厳しくなる。
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その後20000mまで行くと最後のヨッシーの紫ヨッシーになる。オレンジより早い最速ヨッシーで、これ以降は色の変化はない。
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DS初期のソフトにありがちな事であるが、メニュー等を選ぶ際の操作がタッチペンのみでボタン操作には非対応のため、人によっては煩わしく感じる可能性がある。
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もっとも、本作のゲーム内容自体がタッチペン操作メインでボタン操作はほぼ行わない(必要なのはソフトリセット時・ゲーム中のポーズ時・全セーブデータ初期化時程度)ため、この点に関してはそこまで気にならないという人も多い。
評価点
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DSの特性を生かしたユニークな操作性。
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「ラインを引いてベビィマリオを導く」という基本の部分は単純ながら、敵の構成は多彩で飽きにくい。
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ラインの引き方、シャボンの使い方、タマゴの反射撃ち…など高得点を狙うためのテクニックは非常に多い。線を引くだけの操作だが出来ることにはバリエーションがある。
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シンプルな分熱中しやすい構成。
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短時間で終わる上、自分の腕前の向上がそのまま実感できるようなゲームシステムなので、スコアアタック用ゲームとしての出来は悪くない。
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前述のように「スコアを更新すること」の意義に乏しいことが惜しまれる。
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オプション関係が充実している。
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右利き左利きに合わせたヨッシーの移動方向変更や、マイクの感度も変更できる。マイクを使わない設定も可。
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演出やBGMも高評価。
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幻想的なBGMや絵本のようなヨッシーアイランドそのものというグラフィックは良く出来ている。
総評
『ヨッシーの万有引力』でも同様だったが、「ヨッシーシリーズとして出したのが間違いだったのでは?」と言われる作品。
本来のヨッシーシリーズは『ヨッシーアイランド』に代表される初心者でもとっつきやすく、熟練者ならやりこんで楽しめるという方向性が売りのはずだが、本作の場合「スコアアタッカーなら楽しめるだろうけど…」という極めてアーケードに近いプレイ感覚の異色作になっている。
結果として、レビューサイト等では、合う人からはとにかく高評価を付けられ、合わない人からはとにかく低評価を付けられるという両極端な事態となってしまった。
とはいえ、ヨッシーというキャラクターの特性をうまく生かした画期的なプレイスタイルなど、「ヨッシーじゃなければできない」作品なのもまた確かである。
また、グラフィック・BGM等演出面についての評価は、後に同じくDSにて発売されることとなる『ヨッシーアイランドDS』よりも高い。
せめてこれで、難易度がもうちょっとマイルドだったり、ストーリーやゲームのボリューム、やりこみ要素等がしっかりしていれば良かったのだが…。
余談
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このゲームのメインプログラマーの一人が、発売から四年ほど経った後に傷害容疑で逮捕されたことで一部から再注目を浴びることになってしまった。
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なおその人物は少なくとも五年以上在籍していたにもかかわらず、このゲーム以外にクレジットが出ていないことから、普段は表に出てこないハードウェア関連のプログラムを手掛けていたと思われる。
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初代DS発売時前に公開された技術デモの中にはおそらく本作の原型となったと思われる、「雲を描いて落下するベビィマリオを誘導するゲーム」が存在していた。
最終更新:2024年05月14日 13:31