南の島にブタがいた ルーカスの大冒険

【みなみのしまにぶたがいた るーかすのだいぼうけん】

ジャンル パズルアクション
対応機種 セガサターン
発売元 スコラ
(販売元)ヴァージン インタラクティブエンターテインメント
開発元 エス・キュー・フォア
発売日 1996年10月10日
定価 6,380円
プレイ人数 1人
レーティング セガ審査:全年齢
判定 クソゲー
ポイント デス様に匹敵する低評価を叩き出した問題作
あらゆる要素がサターンの水準に達していない
アクション部分は80年代でも許されない出来
しかしパズル要素の殆どはまともに遊べる完成度
それを踏まえてベストエンド条件を知ると難点が緩和される

概要

エス・キュー・フォアより企画・開発されたゲーム。販売元はあの『美食戦隊 薔薇野郎』を生み出したヴァージンインタラクティブエンターテインメントである。
基本は横スクロールアクションだが、『ワギャンランド』よろしくボス戦の代わりにパズルを攻略していくのが大きな特徴である。

本作はサターンソフトの中でもかなりの酷評を受けており、かの『セガサターン・マガジン』ではあの『デスクリムゾン』と同オッズを叩き出した事で知られている。最終的にはワースト10位まで持ち直したものの、今なお「サタマガで最下位争いを繰り広げたゲーム」として名高い。誌面での通称は「ブー太郎」。

ちなみにタイトルの元ネタは、NHK『みんなのうた』で1990年代に流れていた爆風スランプの楽曲『東の島にコブタがいた』より。


あらすじ

はるか南の島に、ブタたちの住む6つの島がありました。ある日、その島に住んでいるルーカスは、伝説の卵があることを知り、島の奥へと入って行きました。そして、ついにルーカスは伝説の卵を見つけ出しました。ところが、伝説の卵を守っていた親鳥のオルティスは怒り、不思議な力で島のブタたちをさまざまなものに閉じ込めてしまいました。ルーカスは自分のあやまちに気づき、島の仲間を元に戻すために、冒険の旅に出て、オルティスがしかけたパズルゲームに挑戦するのです。

(取扱説明書より引用)


特徴

  • 本作は「『頭の体操』風パズル集+横スクロールアクション」といった感じのゲームである。
    • 収録パズルは全32問。アナログでも成立する問題もあれば、ゲームという媒体を活かしてCPU対戦を行うものもあり、種類は豊富である。
  • ゲームの流れ
    • パズルが隠された6つの島を攻略し、最後はオルティスの待つステージ「AND END」に突入。そこでのパズル対決に勝てばゲームクリアとなる。
    • 6つの島は、横スクロールアクションで進む「アクション面」と、そのクリア後に待ち構えているミニゲーム「パズル」で構成されている。
      • パズルはそれぞれの島に5つ存在する。
    • 基本的にはアクション面とパズルを交互に遊ぶ事になるが、一部のパズルはアクション面を挟む事なく開始する。
      • 島によってアクション面の数は異なる。パズルと同じく5つ用意されている島もあれば、アクション面1つクリアするとひたすらパズルを解き続ける島も存在する。
    • 6つの島は任意の順番で攻略できる。進行を中断して別の島を遊び、後から続きを進めることも可能である。
    • 一度クリアしたアクション面には再挑戦できない。
    • パズルはギブアップが可能で、解かずに次のアクション面もしくはパズルに進む事もできる。
      • 飛ばしたパズルで得られるはずだった仔ブタ(後述)は、そのセーブデータで二度と入手出来なくなる。そのため完全クリアを目指す場合、パズルは必ず解く必要がある。
      • ギブアップの自由度は高く、ラスボス戦を含めた全部のパズルをギブアップしても構わない(この場合は流石にバッドエンディングが流れるが)。
    • 島をクリアすると、その島で遊べるパズルにはいつでも再挑戦できる。
  • アクション
    • ルーカスはAボタンでジャンプし、Bボタンでムチを撃って攻撃できる。
    • 方向ボタンを進行方向に二回押す事で、ダッシュが可能。
  • 仔ブタ
    • 今作の収集要素。島中には500匹の仔ブタが様々な形で封印されている。できるだけ多くのブタを助けるのが、このゲームの目的の一つである。
    • ブタは、アクション面に隠されているものと、パズルを解く事で助けられるものがいる。
    • アクション面の仔ブタはシャボンとともに宙に浮いている事があり、これを攻撃することで仔ブタを解放できる。
      • トーテムポールや氷塊などの破壊可能オブジェクトに隠されている仔ブタもおり、これらは対象を攻撃することで救出が可能。
      • ルーカスが敵に当たると、その度に仔ブタを1匹失ってしまう。
    • AND END以外の島にいる仔ブタは各75匹。AND ENDでは50匹の仔ブタを救出できる。
    • 最終的に助けたブタの数によって、エンディングが分岐する。

問題点

アクション面

おそらく本作が酷評された最大の所以。操作性が非常に悪く、例えるなら「かなり出来の悪いPCフリーゲーム」とも言うべき代物。
グラフィックは初期のPCエンジンゲーレベルであり、サタマガで下位争いをしていた『デスクリムゾン』『FIST』と別ベクトルで肩を並べられるほど酷い。

  • 操作性
    • ダッシュ中にジャンプできない上に、ブレーキ時は必ず自機5マス分ほど滑る。
      • 高速でステージを乗り越えようとダッシュしようものなら、すぐ敵にぶつかる。後述するように本作はノーダメージクリアをほぼ強制されるので、使える場面がほとんど無い地雷操作である。
      • にもかかわらず、敵との距離を調節しようと方向ボタンを連打すれば、ダッシュが暴発してしまう。
    • 空中移動が出来ない。高台に登るときはあらかじめ方向ボタンを入力しないと垂直に飛んでしまうし、ジャンプしながら歩こうものなら制御が効かず敵に衝突してしまう。
    • そんな劣悪なジャンプ・ダッシュ動作でありながら、攻撃手段が悪魔城』準拠のムチ攻撃(使用時に長い前隙が発生)である。もはやスタッフの嫌がらせのよう。
      • しかも空中では一回しか撃てないため、宙に浮いている仔ブタを助けるにも一苦労である。
  • ダメージシステム
    • 上記の操作性と合わさって一番問題となるのがこれ。
    • 本作では体力の概念が無く、どれだけ敵にぶつかってもゲームオーバーにはならない。代わりに、集めた仔ブタが1匹失われてしまう。
    • つまり完全クリアを目指すには全ステージを劣悪な操作性でノーダメージクリアしなければならない。
      • この場合、アクションステージを中断する方法は無いため、もし敵にぶつかったらリセットするしか無い。敵に当たるたびにセガサターンの起動画面を拝む羽目になり、リカバリーにいちいち数分かかってしまう。
    • だからと言って救出を放棄して遊ぶと、今度はいくら敵に当たっても死なない虚無ゲーと化してしまう。
  • そもそもステージ構成が単調
    • ブタ救出放棄=虚無ゲーとなる最大の要因。本作のアクション面は、殆ど起伏のない平地にほぼ等間隔で敵が配置されているだけで、PCエンジンどころかファミコン以下のゲーム性になっている。
    • ジャンプで狭い台を乗り継ぐなどのアクション性は一切無い(この操作性で存在したらそれはそれで困るが)。
    • いちおう高台がある面や、イカダに乗って進む強制スクロールなどはあるものの、大抵は1~2体の敵を相手に立ち振る舞うだけでワンパターンな攻略を強いられる。
      • なおイカダの周りには見えない壁があるため、落ちる事は一切ない。
  • 劣悪な操作性&ノーダメージ推奨でありながら、敵の攻撃は中々にいやらしい。
    • 強い敵の多くは初見で突破するのが困難で、完全クリアを頻繁に阻止される。
    • 飛び道具持ちの敵はやっかいで、2体並んで来られると避けるのが困難。完全クリアを目指すには、スポーン位置を調節したり、着地間際のシビアなタイミングで攻撃を打ち込むなど、込み入ったテクニックが必要になる。
  • 画面の大きさに対してキャラが小さく、画面はかなり殺風景。
    • ドット絵の質も低く、輪郭があるキャラと無いキャラがいたり、画風やサイズが一致していない敵が同時に出てきたりする。
      • ペンギンと人間が同じ身長で出てくると言えば、グラの酷さが伝わるはず。
  • SEまわりも貧弱で、造りの拙さを余計に際立たせている。

パズル関連

  • UIがかなり雑。
    • パズルは毎回、チュートリアル一切無しでいきなり始まってしまう。
      • Rボタンを押す事で説明が見られるが、説明書にはさらっと書いてあるだけなので見落としやすい。その解説も雑なので、結局説明書の解説を読む羽目になることも多い。
      • 肝心の説明書も文章に難があり*1、読んでもルールが見えてこないパズルがちらほらある。
      • 制限時間付きのパズルも存在し、説明書を読んでいるうちに時間切れになることも。
    • パズルはいつでもギブアップ可能だが、諦めずに最初からやり直す操作が存在せず、わざわざ自爆する必要がある。
    • パズルクリア後は、ゲームを続行するか、ゲームを中断してセーブするか選択肢が表示される。しかし後者を選ぶといちいちステージ選択に戻されてしまう。
      • アクションで一発アウトになる仕様上、各ステージごとのセーブが推奨されるので、無駄にテンポを削がれてしまう。
      • 島のラストでセーブすると、クリア時に流れるムービーが表示されない不備が存在する。
  • パズルのグラフィックも総じて出来が良くない。
    • 特にクォータービューで擬似3Dアクションを行うパズル「ジャンピック」「ギアーズ」ではルーカスの下に影が表示されず、位置関係がわかり辛い。
  • 難易度曲線はめちゃくちゃ。
    • 今作のパズルは、未就学児でも解けそうな物から大人でも舌を巻くような問題まで幅広く取り揃えている。しかしその配置はかなり雑で、簡単なものも難しいものも順不同に出てくるため、ゲームバランスが煩雑に感じられてしまう。
    • プレイヤーによっては、最初の2問で見切りをつけるきっかけになる。
      • カーソルデフォルト位置の島を選ぶと、まず「ABCビンゴ」という幼稚園児でも解けそうな問題をやらされる事になる。かと思うと次の「アイスキューブ」は大人でも頭を捻らないと解けない難問で、難易度の振れ幅が極端。
    • そして、あまりにも難しすぎるパズルが通常の問題に平然と混ざっている。
  • 理不尽難易度のパズルについて
    • 具体的に言うと、ひとまずコントローラーを置いてゲームから離れ、紙と鉛筆・ハサミを使い、(下手したら)何日も考えることになるレベルの問題が2つも紛れている。
    • 端的に言うと「算数オリンピック*2」難問クラスで、ゲームで例えるなら『レイトン教授シリーズ』の本編クリア後に出てくる最終問題に匹敵する(もしくはそれ以上の)難しさである。
    • 以下の解説では設問の内容も具体的に記すので、もし興味が湧いた人は難しさを味わってみてほしい。
      + パズル内容
    • フォール26
      • いわゆる魔方陣。
           ○
        ○ ○ ○ ○
         ○   ○
        ○ ○ ○ ○
           ○
        
      • 上記の○に1から12の数字を当てはめ、一直線に並んだ○4つ(計6本)全てで数字の合計を26にすればクリアとなる。
      • 実際に解いてみると、適当に数字を当てはめても成立してくれず、当てずっぽうでのゴリ押しすら困難である。
      • かと言って真面目に解こうとしても、数学の証明問題のような発想が必要になってしまう。理系教科が苦手なプレイヤーは門前払い確定である。
      • パズル自体は古典的な内容で、解法はネット上に多数存在する。しかし証明手順はいずれも複雑で、テレビゲームで許されるレベルを逸脱しているのは間違いない。
        • ただパズルとしては良問なので、数学に自信のあるプレイヤー(例えば「大学への数学」を購読しているような人など)は自力で解いてみることを推奨する。受験生であれば、箸休めついでに良い勉強になるかも?
      • ボードターン
        • 格子状のマスにピースを埋めるタングラム。
        • 以下のマス目に、下記のピース14個を全てはめればクリアという、至極単純なルールである。
                       
                       
                       
                       
                       
                       
                       
                       
                       
                       
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        • 本作で最も擁護不可能なパズル。ルールこそ単純だが、もしこの手のパズルをやった事があるなら、一目でヤバいと感じる悪問である。
        • まずこの手のパズルは、限られたピースしかハメられない位置(または限られた位置にしか配置できないピース)に目星を付け、そこから糸口を探すのが常套手段である。
          • しかしこの問題は綺麗に整った長方形にピースをハメるため、「限られたピースしか配置できない位置」がほぼ存在しない。
          • そして各ピースは全て5マスで出来ており、使いやすさに殆ど差が無い。よって「限られた位置にしか配置できないピース」も絞り込めない。
          • つまりこの問題は解決の糸口が無きに等しく、膨大な可能性の中から大量の試行回数を重ねないと突破不可能である。
        • もちろん、当てずっぽうにハメて解ける問題では無い。
          • ピース12個は流石に多く、たまたま答えが見つかる事はまず無い。
        • これだけでも理不尽だが、このパズルをもっと酷くしているのが劣悪すぎるUI
          • ピースを選ぶには、方向ボタンの左右を押し、次々と切り替わるカーソルを目当てのピースに合わせる。平面上を自由に動かせるカーソル*3は存在しない。
          • カーソル移動はピースの位置にかかわらず、ピースごとに設定された順番で動く(ピースに番号が書かれていたりはしない)。無造作に置かれたピースに対しカーソルがあっちこっち移動するので、動かしたいピースを選び辛く、ストレスが溜まる。
          • ピースを配置する際、ハメられる位置から数ドットでもズレていたら、元の位置に戻されてしまい、何度も配置しなおす羽目になる。
          • こんな始末なので、このパズルを解こうと思ったらハサミで紙を切って同じピースを再現し、卓上で解いた方が早い。マッピングのために紙と鉛筆が必要になるゲームは数多くあれど、ハサミが駆り出されるゲームはそうそう無いような。
        • これらの障壁を乗り越えてやっと解いたと思うと、とどめと言わんばかりに完成してもクリア扱いにならないバグが稀に発生する。
          • 参考動画(リンク先はこのバグに遭遇した実況プレイの様子。問題のシーンは2:06:47。再生時間が長いため、スマートフォンから見る場合は注意)
          • このバグに陥ったが最後、どうすればクリア扱いになるのかわからず、参考動画のようによくわからないまま完成したピースを崩す羽目にもなってしまう。バグの発生タイミングとしてはあまりにも厄介である。
          • 発生条件は不明だが、同じハメ方をしてもバグが発生する場合とそうでない場合があるので、リセットしてからもう一度同じハメ方を試せば問題無い。うっかり崩したりせず、完成パターンをきちんとメモする事が推奨される。
  • 上で挙げた2つ以外にも、バランス調整に難のあるパズルが存在する。
    • 制限時間内にスライドパズルのピースを特定位置に動かす「フルーツダウン」は、初期配置によって難易度の振れ幅が大きく、運要素が強い。
    • 画面内を通ったラクダの数を正確に答える「キャメラーズ」(別作品で例えると『ポケモンスタジアム金銀』の「ピィとププリンのカウントゲーム」のような内容)は相当な動体視力を要求される。設定された体力で3問正解しなければならないが、難しすぎて運ゲーに近い。

その他

  • まずオープニングからしてグラフィックが汚い。
    • その内容は3DCGとセルアニメを合成させたものだが、やたらコマ落ちしていて出来が悪い。
    • デッサンは整っているのに、動きがカクカクしている。
  • エンディングがしょぼく、達成感が薄い
    • 数秒のムービーが流れるだけでセリフも解説も無く、助けたブタがどうなったのかなどの具体的な様子は殆ど明かされない。訳も分からぬまま「THANK YOU FOR PLAYING」と出て、そのままタイトルに戻されてしまう。
    • 内容が薄いせいで、ベストエンドを引き当てても達成した事に気付きづらい。
    • あろうことか、FC時代のゲームでもないのにスタッフロールが流れずあっさり終わるので、これも達成感を弱くしている。
      • ちなみにスタッフロールはタイトル画面を放置すると流れる。ゲーム開始時からクレジットを見られるゲームは珍しくない(主に洋ゲーなど)が、閲覧方法がわかりづらく、クリア時にスタッフロールが流れると誤解しやすくなっている。

評価点

このように本作は多くの問題を抱えているのだが、実は殆どのパズルの出来は決して悪くなく、「クソゲー」とは程遠い作り込みとなっている。
確かに本作はフルプライスソフトとして色々アウトだが、「サターン最悪のゲーム」と呼べるかどうかはまた別の話で、評判が先行している部分は否めない。

  • パズル全体の特徴
    • 殆どのパズルは後の『レイトン教授シリーズ』とあまり変わらない完成度で、この手のパズルが好きな人ならそれなりに楽しめる。言い換えると、本作のパズル部分は後年のゲーム業界でまともに受け入れられている部類の内容である。
    • また『Action52』*4のような水増しがほぼ存在しないのも評価できる。問題点では難のあるパズルに触れたが、『四八(仮)』のように「ほぼ全てのパズルがクソ」といった惨状とは程遠く、むしろまともに作られたパズルの方が圧倒的に多い。
    • 後述するように、いくつかのパズルは他のコンテンツでもまともな形で採用されていて、クオリティが保証できるものである。
      • 本記事では割愛するが、『マインスイーパー』や虫食い算など、説明不要の有名パズルを基にしたパズルも多い。
    • 収録パズル数32個というのは少ないようにも思えるが、一部パズルの難易度やアクション部分も合わせて考えると、ゲーム全体のボリュームとしては決して悪くない。「パズルの種類が大幅に増えた『ワギャンランド』」と考えると、それなりの分量である。
  • 以下、本作の中でも特に良くできたパズルを紹介する。
+ ...
  • アイスキューブ
    ■■■
    ■■■
    ■■・
    
    • サイコロを使った8パズル。ゲーム開始時は上図のように、3×3のマス上にサイコロ(図の黒い四角)が8つ配置されている。
      • 各サイコロのうち3面はオルティス、残り3面はルーカスが描かれている。ゲーム開始時は、オルティスの面が上になっている。
    • プレイヤーは空いているマスにサイコロを転がす事ができ、全立方体の上面をルーカスにすればクリアとなる。
    • ルールは単純だが、実際に遊ぶと中々難しい。かといって太刀打ちができないわけではなく、地道に揃え続けていれば完成する程度には作られている。程よく頭を使うゲームである。
    • 参考に、本作以前にも類似のパズルゲームとして『オール1』というものが存在している。
    • 先述の通り、難易度の高さに反して2番目に遊ぶ事が多いゲームのため、本作が低く評価される一因になっている。
      • またサイコロの横面が見えないという、UIの不備も惜しいところ。
  • フローズンサイド
         
         
         
    • CPUとの対戦パズル。上図のように3×3で並べられた正方形のマス目に対し、各プレイヤーは24個の辺に1つずつ交互に印を付けていく。
    • 印を付けた際、いずれかの正方形の四辺に印が付いた場合、その正方形は最後に印を付けたプレイヤーの陣地となる。これを繰り返し、多くの陣地を取った方が勝利となる。
    • 難易度は低いが、油断すると負ける事もある。ちょっとした頭のトレーニングになるパズルである。
      • 易しいとは言え、多くの人が最初に戦う事になるボスなので、難易度としては程よい塩梅に仕上がっている。
  • ジェッター
    • 以下のマス目に、5種類のコマ(○,△,□,▽,■)全てを並べるゲーム。同じ色のコマはタテヨコ斜めに並べてはいけない。
             
             
             
             
      ○○○
      △△△
      □□□
      ▽▽▽
      ●●●●
      
    • 本記事で直接挑戦できるパズルその1。「クイーンの問題」の亜種のようなパズルで、一番多い●のコマをどう並べるかがポイントとなる。
  • リプレート
    ■ ○
    □○○
    
    • 単純なスライドパズル。上記のパネルを動かし、■と□の位置を交換すればクリア。
    • 本記事で直接挑戦できるパズルその2。簡単そうに見えるが、盤面が狭いせいで意外と揃えるのが難しい。『レイトン』なら序盤を過ぎたあたりに出てくるタイプの問題である。
  • ゴンドランド
    • ゴンドラを使って、小人3人と兵士3人を向こう岸に運ぶパズル*5
    • ゴンドラは一度に2人まで対岸に移動させる事ができる。ただし、移動の際は最低1人誰かが乗っている必要がある。
    • どちらかの岸において、兵士の数が小人を上回るとミスになる。
      • 小人0人の場合は特に問題無い。
    • 本記事で直接挑戦できるパズルその3。説明書には大ヒントが書かれているが、本記事では割愛する。
    • この問題は古典的かつ有名なパズルで、かの『レイトン教授と不思議な町』にも全く同じ問題が収録されている。
  • キーキー246

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    • 図のように、3×3の方陣に球が配置されている。それぞれのマスは90度回転させたり、配置を交換したりすることが可能。タテヨコ各6列と斜めの2列全てで球の配置を偶数にすればクリアとなる。
    • どこかを動かして偶数個の列を作れても、別の列が奇数個になってしまう事が多々ある。これまた一筋縄では行かないよう調整されていて、正解するには頭を使う。
  • キッキング
    e e e e
    e e e e
    p p p p
    p p p p
    • 変則的なチェス。各陣営が図のように配置された状態で始まる(プレイヤーのコマはp、敵のコマはeとする)。プレイヤーと敵は交互にコマを動かして互いの兵を倒し、相手を手詰まりにするか残り1コマまで減らした方が勝利となる。
      • コマの動きは「上下左右の空いている方向に1マス動く」「自軍のコマを飛び越えてその先にいる相手のコマを倒す」の2つのみ。
    • 敵のAIは強すぎず弱すぎない程度に作られており、ルールを把握すればきちんと勝てるバランスに収まっている。
  • パンプキン4
      ○●○
     ○●●○
     ●○○○
    ↓■■■■↓
    
    • 色の異なるカボチャ(○と●)が図のように並んでいる。これを動かし、●を全て左に落とせばクリア。
    • カボチャは左右にのみ動かすことができ、下にカボチャが無い場合は自由落下する。○を右に落として画面から消すことも可能。○を左に落とすか、●を右に落とすかしたらアウト。
    • 本記事で直接挑戦できるパズルその4。適当に動かしても失敗するが、発想を上手く転換させると突破口が見えてくる。
  • オアシス
    • アクション要素の強いスライドパズル。
    • 各パネルには様々な形の溝が刻まれており、スタート地点から水が溝をゆっくり流れ始める。うまくパネルを動かして溝の上に水を流し、ステージ左上にいるブタに水を運べればクリアとなる。
    • もしも水が溝のない位置に溢れてしまったらやり直し。
    • どうやったらゴールまで運べるか、アクションの腕前とプレイヤーの知恵が両方試される。
      • 操作性はあまり良くないが、絶対にクリアできない事は無く、発想次第で必ず突破できるようになっている。
  • ピースリーピー
               
    • 上記のように並んだ2色のブタ(○と●)を空きマスに動かし、各色交互に並べるパズル。
    • プレイヤーは横に並んだブタ2匹(色の組み合わせは問わない)を選び、セットで空いているマスに動かす事ができる。4手以内に並べることができればクリアである。
    • 本記事で直接挑戦できるパズルその5。じっくり考えないと解けない良問なので、腰を据えて挑みたいところ。
  • ラスワン
      ○
    ○○○○
    ○○○○○
    
    • 対戦パズル。図のように並んだ岩(○)に対し、敵と自分が交互に印を付けていく(すでに印のついた岩には印をつけられない)。最後に残った岩に印を付けた方が負けとなる。
      • 先攻後攻はランダム。
    • 岩は同じ行で連続しているものに限り、1手で好きなだけ印をつける事が可能。
    • ビデオゲームでも『マリオパーティ2』の「はちのすブンブンブン」などで見られる、古典的な「最後の一つを取ったら負け」ゲームの亜種である。
      • しかし「同じ列なら幾つでも取れる」という部分は中々にイレギュラーで、この手のゲームを遊んだ事がある人でも思わぬ思考力を求められる。
      • 特に、一番上の1マスをどう扱うかが悩みどころ。
    • 敵AIが本格的に作り込まれており、生半可な考えでは勝てないようになっている。とどめを刺したと思ったら、思わぬ戦法からどんでん返しを食らうことも。
  • スチーマー
    2 8 4 1
    6 1 1 8
    1 2 7 4
    6 4 3 2
    • 図のように並んだ数字の集まりを並び替え、タテヨコの数字の和が全て15になればクリアとなる。
    • 本記事で直接挑戦できるパズルその6。普通の魔方陣パズルと違い、使える数字が変則的なので少し捻った発想が求められる。紙と鉛筆で解くのもよし、適当に並び変えて答えを見つけてしまうのも良し。
  • ノイーズ
    • 6×6のマスをめくって戦う神経衰弱。ただし、このパズルでは絵や数字ではなく、めくった時に出るを一致させないといけない。
    • 音は言語化出来ないため記憶するのが難しく、対戦パズルとしてはシンプルに完成度が高い。本作に対戦機能が実装されていないのが悔やまれる。
      • ちなみに同じ音を当てるゲームというのは別作品でも『星のカービィ3』に存在し、こちらでもプレイヤーに強い印象を残している(主に難易度面で)。
  • カブガタ
     
    • 図のように並んでいるカブトムシ(>)とクワガタ(<)を動かし、それぞれの位置を交換すればクリア。
    • それぞれの虫は進行方向の1マス先か2マス先に動かす事ができる。後退はできない。
      • 手順を間違えると手詰まりになる。
    • 本記事で直接挑戦できるパズルその7。これがあのボードターンの後に出てくるが、パズルとしては至って真面目な内容なので、ある種の癒し要員である。
  • ゲットネット
    • ダーツの的のように分けられたマス目を使って戦うオセロ。対戦相手と交互に好きなマスを一つずつ選んでいき、陣地を奪い合う。
      • 選んだマスで陣地を取る必要は無く、全てのマスが選択可能である。
    • 普通のオセロと違い、挟んだだけでは陣地を取る事が出来ない。1回挟まれた陣地は灰色になり、もう一度それを挟む事で自分の陣地に変える事ができる。
    • ノイーズ同様、これも対戦できないのが悔やまれる完成度。最初のうちはオセロで重要となる"角"の概念が存在せず、壁も殆ど存在しないため、通常のオセロと違った戦法が求められる。しかしルールは単純明快でとっつきやすく、敵AIも程よい強さに仕上がっている。
  • ハッチ
    • ラスボス戦。上図のように、たくさん並んだ矢印のマス目の上で卵を運んでいくゲーム(図の矢印配置はあくまでも一例で、プレイの度に中身が変わる)。先攻と後攻に分かれて対戦する。
    • ゲーム開始時は盤外の左右にそれぞれ7つの卵が縦一列に並べられている(左に置かれる青い卵がプレイヤー・ルーカスの持ち駒、右に置かれる赤い卵がラスボス・オルティスの持ち駒となる)。
    • 各プレイヤーは自分の手番で、卵一つを矢印の方に動かす(盤外にある卵の場合は、すぐ隣のマスに動かす)か、盤上の全ての矢印を時計回りに90度回転させる事ができる。これを交互に繰り返し、全ての卵を先に★へと運んだ方が勝利である。
    • たまに千日手*6が発生するが、そうなるとプレイヤーが手を変えるまでオルティスが同じ事を繰り返すので、こっちが手を変えなければいけなくなる。
      • ちょっと不公平だが、このパズルは一応ラスボス戦なので、敵側に特権があるのはご愛嬌かもしれない。
    • 運要素も大きいものの、シンプルでありながら豊富な選択肢が考えられ、これもまた対戦が無いのが勿体ないゲーム。
  • パイルシェル
    • ラスボス攻略後に遊べるよう隠し要素。1対1の対戦パズル。
      • 他の開放条件は特になく、仔ブタの救出数は問われない。
    • このパズルは、横に並んだ4つの穴を使って行われる変則的な4目並べである。各プレイヤーは自分の手番において、4つの穴の一つに自分のコマを上から落とす事ができる(コマは最大4つまで積み上げる事が可能)。これを繰り返し、先にタテヨコ斜めのいずれかで自分のコマを揃えれば勝利となる。
    • コマの代わりに一度だけ爆弾を落とすことも可能で、すでに置かれているコマを破壊する事が可能。
      • ただし同じ箇所にコマを置き直されてしまう事が多く、あまり意味はない。
    • 隠しボスとしては小規模だが、パズルとしては堅実に作られている。例によって敵AIはきちんとした立ち回りで攻めてくるため、決して気は抜けない。
    • 古典的なゲームである「立体4目並べ」を下敷きにしているため、破綻無く楽しめるよう仕上がっている。
      • 立体4目並べはおもちゃ屋やネットショップ等で気軽に買い求められるので、興味のある方は是非。
  • また、問題点で紹介したパズル2つも難易度調整に問題があるだけで、パズルとしては極めてまともな内容である。
  • 実はベストエンド条件が緩く、それを知るといくつかの難点が解消される。
    • 本作は500匹中401匹の仔ブタを助けるだけでベストエンディングが表示される。それ以上の仔ブタを助けるメリットはほぼ無い。
      • 一応パーフェクト特典として10秒程度のお祝いムービーが流れるものの、それ以外の見返りは全くなく、隠し要素の開放とも全く関係が無い。
      • 要するに、実は本作の仔ブタは『レイトン教授』の「ひらめき指数(ピカラット)」よろしく「たくさん集めた方が良いけれど、決して全部集める必要は無い収集要素」とも解釈できる。
    • これを知った上で遊ぶと、本作の主なクソゲー要因である「アクションの酷さ」「ボードターンを初めとする高難度パズル」が大きく緩和される事になる。
    • まず問題点でアクションの酷さに触れたが、これは「ノーミスを狙えばリセットゲー、ミスを許容すれば虚無」という物であった。しかし「ブタを全て集める必要は無い」という条件なら話が変わってくる。
      • ある程度は敵にぶつかる事が許されるうえ、ミスしすぎるとエンディングが変わってしまうので適度に頑張る必要がある。つまり実際はノーミスを狙う必要は無く、ミスが好きなだけ許容されるわけでもない。
      • アクションで失う可能性のあるブタは意外と少なく、多くても1ステージで2~3匹落とすのがやっと。かなり簡単なステージも存在するので、全20個のアクション面で失うブタは多く見積もっても最大で40匹程度である。99匹までブタを落とす事が許されるので、アクション面のせいでベストエンド達成が不可能になることは無い。
      • かと言って適当に進めばいいわけではなく、ミスを減らしてブタを温存するほど、パズルで許されるギブアップ回数が増えてくる。なのでやはり虚無ゲーにはなり得ない。
    • 各パズルで助けられるブタは10~14匹。先ほどの40匹を基に計算すると、アクション面でどれだけ手を抜いても5問程度のパズルがギブアップ可能である。
      • つまり大人でもクリア困難な「フォール26」「ボードターン」は無視しても問題無く、その上で苦手なパズルをさらに3問飛ばしてもベストエンド達成が可能である。
      • 飛ばしたパズルは後から再挑戦できるため、これらはエンドコンテンツとして好きに扱って問題ない。
    • 以上のように、本作は401/500を救出するのであれば、適切なゲームバランスに収まっている事がうかがえる。
      • 実際、説明書には「ブタの救出数でエンディングが変わる」「少しでも多く助けよう」とは示されているが、全て助ける事は全く要求されていない。
    • とはいえ、完全クリア不要である事もまた示されておらず、条件を認知しようがないプレイヤー視点からクソゲーとみなされてしまうのは仕方がないとも言える。
      • 仮に初見でベストエンドを引いてもそれが最良とは気付きづらく、何より元凶たる主人公の手で責任を持って全員を助けたくなるのは当然の摂理である。

総評

「最低評価を受けたクソゲー」と聞くと全く遊びどころの無いゲームを想像してしまうが、本作は決して悪いところづくめのゲームではない。
ゲーム内にちりばめられたパズルはきちんとした作りとなっており、算数が好きな人であればこの点を楽しむ事も可能である。
最終的に「サタマガ」のワーストを脱却できたのも、こうしたフォロー点があったからと思われる。

逆に言うと、本作はそういった長所を潰してしまうくらい大きなマイナス要素を抱えているとも言い換えられる。
アクション部分はグラフィック・操作性共にサターンとは思えないクオリティで、購入者から顰蹙を買っても仕方がないほど粗い。せっかくの長所であるパズルに関してもクリア困難な二つのせいで台無しにされている。
スーパーマリオ64』『バイオハザード』といった革新的な作品が出た年のゲームにもかかわらず、その中身は前世代機でもアウトな代物である。
言うなれば、今作は減点法でクソゲーの烙印を押されてしまった作品と言えるかもしれない。


余談

  • 今ならネットで答えが調べられるため、評価点に記したクリア条件を受け入れれば比較的まともにプレイが可能である。
    • とはいえ、そこまでするくらいならスマホアプリでも遊べる『レイトン教授』シリーズを購入した方が早いかもしれない。
  • 本作では島をクリアするたびにちょっとしたおまけムービーが流れるのだが、その一部においては何故か松田聖子のヒット曲『Sweet Memories』が使われている。
    • しかもこれだけのためにわざわざJASRACに版権料を払っている(パッケージ裏に認可を示すシールが貼ってある)。
      • 版権に回した予算を開発に使わなかった理由は不明である。雑なゲーム内容といい、色々と謎が多い。
  • 開発会社のホームページでは制作物として本作が一切触れられていない。
    • ちなみにホームページをよく見ると、地味ながら『グランディア』のシナリオ原案を作っていた事が明かされている*7。人知れず汚名返上を成し遂げていたようだ。
    • NHKの子供番組『天才てれびくん』では、本作に収録された「ノイーズ」と全く同じルールのゲームが1年にわたり放送されている。HPに はエス・キュー・フォアが同番組のCGに携わっていたと書かれている*8が、もしかすると関連があるのかもしれない。
最終更新:2023年12月03日 00:29

*1 たとえば、主語と述語が一致しない文が結構な頻度で出てくる。

*2 92年から行われている、小学生向けの算数コンテスト。

*3 こうしたUIは他の一部パズルに存在するのだが、ボードターンに実装されなかった理由は不明である。

*4 海外版ファミコン(NES)の未発売クソゲー。52個収録されているアクションゲームの殆どに問題があり、差別化も殆ど出来ていない惨憺たるソフトとして知られている。以前は本サイトにも記事があったが、ルールの整理に伴って2021年に削除された。

*5 正確には小人のうち1人はルーカスだが、本項ではわかりやすさを重視して「小人」と表記する。

*6 将棋用語。互いが最善手を打ち続ける事で生じる無限ループのこと。

*7 『グランディア』のスタッフロールにこの会社の事は一切書かれていない。

*8 また上記のシナリオ原案スタッフも、番組内アニメのスタッフとして参加している。