ソニック ラッシュ
【そにっく らっしゅ】
ジャンル
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アクション
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対応機種
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ニンテンドーDS
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発売元
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セガ
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開発元
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ディンプス
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発売日
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2005年11月23日
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定価
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5,280円(税別)
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プレイ人数
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1人(通信対戦では1~2人)
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判定
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良作
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ポイント
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ブレイズが初登場 『ソニック アドバンス2』の発展型 現行のブーストシステムが確立した作品 長沼英樹による良質なBGM ストーリーはそれなり
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ソニックシリーズ
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概要
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ニンテンドーDS初のソニック。これまでGBAで『ソニック アドバンス』シリーズが展開されていたが、事実上の後継機であるニンテンドーDSに進出した。
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ブレイズ・ザ・キャットが初登場した作品。ソニックの他にブレイズも使用できる。
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敵側の新キャラクターとして、エッグマンネガが登場。ソニックの新たな敵として立ちはだかる。
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『ソニック アドバンス2』で好評だったブーストとトリックアクションがパワーアップし、かつ使いやすくなっており、より爽快感のあるアクションゲームとなった。
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本記事は、『ソニック アドバンス』シリーズを引き合いに出している箇所が多いため、『ソニック アドバンス』『ソニック アドバンス2』『ソニック アドバンス3』の記事も合わせて読んでもらうとより分かりやすいと思われる。
システム
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キャラクターは、ソニックとブレイズの2人。
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最初はソニックしか使えず、ゾーン1のボスを倒すとブレイズも使用可能になる。
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キャラクターにより性能が異なるが、『アドバンス』シリーズほど顕著な性能差はなく、ソニックはジャンプダッシュ、ブレイズはホバリングが使える。他には、スピードやトリックの飛距離が違う程度である。
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ソニックとブレイズでは、プレイできるステージは同じだが、プレイする順番が異なる。
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パートナーキャラクターが存在し、MAP画面とボス戦時に下画面でプレイヤーをナビゲートしてくれる。
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ソニック編はテイルス、ブレイズ編はクリームが担当している。
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マップが存在し、マップ上を移動してステージを選択、クリアすることでゲームが進行し、行ける場所が増える。
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クリームの家など、ステージ以外の場所も存在する。この場合は会話イベントが発生する。
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『アドバンス2』で導入されたブーストとトリックアクションがより強力かつ使いやすいものになった
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Yボタンを押すと瞬時にブースト状態になれるようになった。ブーストには攻撃判定があり、敵キャラを吹っ飛ばしながら走り続けることができる。
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本作はブーストゲージが存在し、ブースト中はブーストゲージを消費する。
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ブーストゲージは、「敵を倒す」「トリックアクションを使う」ことで上昇する。ブーストゲージがMAXになると、一定時間ブーストゲージが減らなくなる。
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ブーストによる移動スピードは、ソニックのほうが速い。
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トリックアクションは、Bボタン、Aボタン、Rボタンの組み合わせで連続でトリックを決められる。これにより、ブーストゲージをガンガン溜めることができる。
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Rボタンのトリックアクションはギミックジャンプ中に1回しかできないが、ジャンプの飛距離を伸ばすことができる。ブレイズのほうが飛距離が高い。
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また、グラインド中もトリックが使えるようになった。
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アドバンスシリーズに存在したアタック技は廃止された。
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7ゾーンに対しアクトが2つずつの14ステージ+ファイナルゾーン(+エクストラステージ)。アクト2の後にはエッグマン(orエッグマンネガ)が出現し、ボスとして戦う。
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ソニックでプレイした場合のみ、ステージのどこかに、スペシャルジェネレーターが設置されており、これに捕まってブーストゲージを1本分消費するとスペシャルステージに進める。
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スペシャルステージは旧作と同様、リングを規定個数取れば「カオスエメラルド」を取得できる。
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スペシャルステージの操作は、タッチペンで行う。本作のタッチペン操作はここでしか使わない。
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「カオスエメラルド」を7個集めた状態でソニックでファイナルゾーンをクリア & ブレイズでファイナルゾーンをクリアすると、エクストラステージをプレイできる。
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通信により、2人対戦が可能。
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ワイヤレス、ダウンロードのどちらでも可能。
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ステージを選択し、ソニックとブレイズで競走するだけである。
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アドバンスシリーズのリング集めやチャオ探しなどはなくなった。
評価点
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とにかくスピード感、操作性、快適性、爽快感に溢れている。
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現在ではお馴染みとなっている、ブーストシステムが本作で確立された。このシステムが今でも使われ続けていることから、いかに評判が良かったのかが見て取れる。
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ニンテンドーDSによる上画面と下画面によりアクションステージが広く描写されている。状況によっては上画面から下画面(逆もまた然り)にキャラが移動することもある。
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ブースト中に、上画面の左上から下画面の右下まで一気にキャラが駆け抜けるシーンは一見の価値あり。
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ただし、上画面にいたはずのキャラクターが下画面に移動してしまうのは初見では戸惑うこともある。
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ストーリーの体裁は整っている
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アドバンスシリーズのストーリーは、『有って無い』ようなものだったが、今回は異世界からやってきたブレイズとエッグマンネガ、新たなアイテムであるソルエメラルドも絡めたストーリーとなっている。
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カオスエメラルドを狙って異世界からやってきたエッグマンネガが、ソニックの世界にてソニックと対立する。
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異世界からソルエメラルドを奪ったエッグマンが、異世界から追ってきたブレイズと戦う。
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このようにソニックとブレイズのシチュエーションが対になるように作られている。
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一匹狼的な考え方を貫いていたブレイズが、クリームとの交流やソニックとの対立を経て「仲間」「友」の大切さを理解していく流れは、ベタではあるが悪くはない。
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エミー、ナックルズ、ヴァニラ(クリームのママ)はイベントシーンで登場する。
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クリームのストーリーでの立ち位置。
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本作は、現状では、クリームが
ストーリー的に
最も目立った作品である。
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今回のクリームはブレイズのパートナーキャラとして登場するが、ストーリー上はソニックとブレイズの橋渡しポジションとなっている。
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クリームの初登場は『アドバンス2』だが、この時はストーリーではなく、
ゲーム的に
目立っていた。
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豊富なステージのバリエーション
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これはアドバンスシリーズと同様の評価点。
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自然、水中、ピラミッド、基地など。シリーズお約束のカジノステージもあり。
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ただ、世界観(後述)の都合上、寒冷地ステージが存在しない。
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カオスエメラルドを集めやすい
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アドバンスシリーズのときはカオスエメラルド集めの難易度が劣悪だったが、今回は「スペシャルジェネレーターが見つけやすい」「スペシャルステージ自体が難しくはない」「失敗しても再挑戦が楽」といった具合に大幅に難易度が下がっている。
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そのため、攻略情報なしでもカオスエメラルドをコンプリートするのは十分に可能。
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ただ、見つけやすく再挑戦が楽であるため、スペシャルステージ自体はもう少し難しくしても良かったかもしれない。
賛否両論点
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長沼英樹によるBGM
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ジェットセットラジオで有名な長沼英樹が担当するBGMは、本作の雰囲気にはマッチしており、聴きごたえがある。
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また、ソニックとブレイズでステージBGMがアレンジされているのも高評価。
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ただし、ソニックシリーズの曲としては異質なBGMであるため、違和感のほうが強い、という人もいるかもしれない。
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パートナーキャラの描写
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テイルス、クリームともに、下画面でプレイヤーを応援してくれるのは見ていてとても可愛らしい。
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しかし、本当に応援してくれる
だけ
であり、ゲーム的にプレイヤーを助けてくれないのは少々残念。
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プレイヤーキャラとしては使えないのは仕方がないにしても、援護攻撃をしてくれたり、アイテムを運んできてくれる、くらいのことはしても良かったのではないか。
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プレイヤーキャラが2人しかいない
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『アドバンス2』のときは、プレイヤーキャラが4人(+1人)いる意味が薄かったので、2人に絞ったのは間違ってはいない。
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しかし、アドバンスシリーズで使用できたテイルス、ナックルズ、エミー、クリームがNPCに降格されたのは、この4人のファンにとっては問題点と言える。
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プレイヤーキャラを増やすと能力を差別化する必要が生じ、結果的にスピード感が下がってしまう。かといってスピード重視のアクションゲームにすると、キャラごとの能力差が下がり、プレイヤーキャラが多くいる意味が薄れる、といった具合に、あっちを立てればこっちが立たず的な問題である。
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ソニック ワールドアドベンチャー以降のソニックシリーズでは、そもそもソニックしか使えないこともザラであるため、近年のソニックシリーズしかプレイしたことがない人にとっては、「ソニック以外にブレイズも使えるのは嬉しい」という見方もできる。
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アタック技がない
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アドバンスシリーズの時のアタック技が廃止された。もともと使う意味があまりなかったのでこれも廃止したのは間違ってはいない。
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しかし、アタック技はキャラの個性をゲーム的に引き立てるという意味もあったので、残してくれても良かったかもしれない。
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ニンテンドーDSのゲームなので、ボタン数的には残しても問題はないはずである。
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せせこましさを感じる世界観
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MAPを導入してイベントやストーリーを描写したのは良いのだが、多くのステージがクリームの家の付近に配置されているため、どうにも壮大感、冒険感がない。
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『アドバンス2』は、ステージ1からラストステージまでが物理的に遠かった。『アドバンス3』は、ステージごとの距離感は不明だが7つに分断された世界を周っていく展開だった。
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アドバンスシリーズと比較すると、エッグマンの野望を止めるべく各地を冒険している、という感覚はほぼない。
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無論、ソニックラッシュのストーリーは別に壮大というわけではないので、気にするほどのことではない。
問題点
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ソニックがゲーム的にやかましい
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トリックアクションを使うとボイス付きで喋るのだが、ソニックのトリック時のセリフは「Yeah!」「Cool!」「All Right!」などと割と大きな声で(連続で使用する割には)長めの台詞喋る。
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今作は、トリックアクションを連続で多用することを求められるので、ソニックが「
イェイェクールイェクーオーラ―イイェクーイェイェ・・・・
」と叫びまくるのは聞き苦しい。
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ブレイズの場合は短い掛け声が中心なので、特にやかましさはない。
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ボス戦があまり面白くない
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基本的に、ボスが隙を見せたとき(大技を使用した後など)に弱点が露出するので、その時しか攻撃を仕掛けることが出来ない。
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そのため、弱点が露出するまでは、ボスの攻撃をただひたすらよけ続けるしかない。
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アドバンスシリーズのときもそういう(こちらから能動的に攻撃をしかけられない)ボスはいたのだが、今回はそういうボスのほうが多い。
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ブレイズ編でソニックと戦うときのクリームの描写
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エッグマンと戦っている時と同様、ブレイズを応援する。
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確かに本作のクリームはブレイズのパートナーなのだが、クリームは元々ソニックの仲間である。ブレイズとソニックが戦い始めたら、クリームはその性格からして心を痛めるはずである。それなのに「がんばって!ブレイズさん!!」などとノリノリでブレイズを応援してしまうのである。
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この時だけは、下画面からクリームを外してほしかったところである。
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ストーリー上、クリームはこの後エッグマンにさらわれる。であれば、ブレイズとソニックの戦いの最中にさらわれていた(だから下画面にクリームがいなかった)、ということにしておけば描写としても問題なかったはずである。
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エッグマンネガのボイス
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エッグマンと同様に大塚周夫氏が演じているのだが、エッグマンのボイスの使いまわしである。
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エッグマンネガはエッグマンと異なり紳士的で丁寧な喋り方をするキャラクターなので、演じ分けて欲しかったところである。
総評
携帯版ソニックシリーズとしては、アドバンスシリーズの中でも評価の高い『アドバンス2』をより遊びやすく改良した作品といえる。特に、アドバンスシリーズ共通の問題点だった「カオスエメラルドの集め難さ」が改善されているのは大きい。
また、本作で確立されたブーストシステムは、あまりにも好評だったためか現在でも受け継がれる形となっている。
ストーリーは特段優れているわけでもないが、問題があるわけでもなく、手堅くまとまっている。既存のファンじゃなくても話には十分ついてこれる。
ソニックシリーズをプレイしたことがない新規プレイヤーへの初ソニックとしてもおススメ可能な一品である。
余談
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クリームの一人称は、GBAの『ソニックバトル』では「わたし」だったのだが、本作では何故か「あたし」になっている。しかし、本作でも「わたし」になっている箇所はあるため、単純にスタッフの認識不足だろう。
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『アドバンス3』では、ジーメルがクリームと一緒に暮らし始めたはずなのだが、本作のクリームの家にジーメルは登場しない。本作が『アドバンス3』よりも後の時系列ではないからなのか、単純に描写されてないだけなのかは不明である。
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本作で初登場したブレイズは、『マリオ&ソニック』などのパーティゲーム系の作品ではほぼ確実にプレイヤーキャラとして抜粋されるほどのお馴染みのキャラとなっている。
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しかし、その影響なのかどうかは不明だが、それまで出番が多かったはずのルージュが登場しないorプレイヤーキャラからは外されることが増えたため、ブレイズの出番とルージュの出番は反比例しているような印象がある。
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本作の直接の続編として、『ソニック ラッシュ アドベンチャー』が発売されている。
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アクション性は本作とほぼ同じである。ストーリーは、ブレイズのいる異世界が舞台となっている。
最終更新:2024年02月13日 09:08