スーパー・バック・トゥ・ザ・フューチャーII
【すーぱーばっくとぅざふゅーちゃーつー】
| ジャンル | 横スクロールアクション |  | 
| 対応機種 | スーパーファミコン | 
| メディア | 8メガROMカートリッジ | 
| 発売元 | 東芝EMI | 
| 発売日 | 1993年7月23日 | 
| 定価 | 9,000円(税別) | 
| プレイ人数 | 1人 | 
| 判定 | なし | 
| ポイント | 良質なキャラデザとBGM ボスが弱い
 クセの強い操作性
 過去も未来もフル加速で駆け抜けろ‼︎
 いいものは日本製だよ
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概要
1989年に公開された、タイムトラベルSF映画『バック・トゥ・ザ・フューチャー PART2』を題材とした横スクロールアクションゲーム。
公開から約4年後の1993年に発売された。
ゲームタイトルに『II』とあるが『キングコング2 怒りのメガトンパンチ』のように映画の名前をそのままタイトルに使用しただけである。
本作の正式名称に「PART」は含まない。
1人プレイ専用。
ストーリー
なんとか過去から戻って来ることができたマーティ。
タイムトラベルという冒険も終わり、恋人のジェニファーとともに普通の高校生活に戻ることができるはずだった。
ところがマーティの友人、天才科学者のドクが未来からのタイムトラベルから帰って来るなりこう言ったのだ。
「マーティ、ジェニファー。私と一緒に未来に行ってくれ。キミたちの子供たちに危険が迫っているんだ。」
どうやら、ビフの一族によって、未来の子供たちに危険が迫っているようなのだ。
子供たちの危機を救うため、マーティ
の新しい冒険が始まる…。
(説明書5ページより引用)
ゲーム内容
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『スーパーマリオブラザーズ』のような「画面の右(一部ステージは左)に進んで行き、『GOAL』を目指すステージ」と、「ボスステージ」の2パターン存在し、計6ラウンド20ステージで構成されている。
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ラウンドは原作の映画のシーン毎に区切られており、原作同様に過去、現在、未来を行き来して悪漢ビフから「スポーツ年鑑」を取り戻すのが目的となる。
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全てのステージには、ゴールやクリアまでの制限時間はなく、自分のペースで進むことが可能。
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車輪がない未来のスケートボード「ホバーボード」に乗った原作の主人公 マーティ・マクフライを十字ボタン(移動)とAボタン(ジャンプ)で操作する。
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画面の左上にホバーボード(ライフ)が表示されており、3回敵に当たるとマーティが力尽きて残機が減る。残機数は、タイトルのオプション画面で1~5人まで選択できる。デフォルトは3人。残機が全てなくなるとゲームオーバー。
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移動中にBボタン(XやRボタンでも可)を押しっぱなしにするとダッシュできる。
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ジャンプをすると、自動的に空中でマーティがクルクル回転する。
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その回転を利用して敵を倒したり、攻撃を弾くことができるが、中盤や終盤に登場する敵のひとつである「黒い球」や、「トゲ状の障害物」の2つは防げず、ダメージを受けてしまう。
 
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また、移動中に進行方向とは逆に十字ボタンを押してブレーキをかけ、その状態で敵にぶつかる「ブレーキ・アタック」で倒すこともできる。
 
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敵を倒すとコインを入手できる。道に落ちていることもある。
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小さい「1コイン」、中央に星が描かれた大きい「10コイン(1個で『1コイン』10個分)」の2種類。
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10コインは、取りづらい場所に位置していたり、各ステージをクリアした時に入手できる。
 
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GOALを目指すステージの道中には、アイテムが売っている「自動販売機」が設置されていることがあり、全6種類ある。
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1つの自販機につき1つのアイテムが売られており、前述のコインを使用して、自販機に触れることで1回だけ買うことができる。(アイテム購入後自販機は消滅する)
 
 
    
    
        | + | 自動販売機のアイテム一覧 | 
ホバーボード
マーティのホバーボード(ライフ)を1つ回復。自販機にはホバーボードのイラストが描かれている。
ゴールドボード
一定時間全てのコインが10コインに変わる。自販機には大きな星が描かれている。
スーパー・バックファイヤー
ホバーボードでブレーキをかけた時に飛び散る火花で敵を攻撃できる。自販機にはダイナマイトを積んだトロッコ(のようなもの)が描かれている。
バリア
どんな敵や障害物に当たっても一度だけ防いでくれる(ライフが減らない)。自販機には黄色いミラーボールのようなイラストが描かれている。
無敵
マリオのスター状態のように、一定時間全くダメージを受けない。自販機には小さな星々(スパークル)が描かれている。
1UP
マーティの残り人数(残機)が1人増える。自販機にはマーティの全身を表した小さなイラストが描かれている。
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ボスステージのボスは、ステージ内に設置されたスイッチを起動して仕掛けを動かしたり、複数回踏みつけて攻撃することでダメージを与えられる。何回ダメージを与えると倒せるかはボスによって異なる。
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ゲームのタイトル画面は「GAME START(ゲームスタート)」、「CONTINUE(コンティニュー)」、「OPTION(オプション)」の3項目。
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GAME STARTは、「1-1 未来」から始まる「START」だけではなく、敵が一切存在しない、操作に慣れる為のステージ「0-1 現在」からスタートする「LESSON」が用意されている。0-1をクリアすると、そのまま1-1に進む。
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セーブ機能はなく、コンティニューはパスワード制。新しいステージに入るごとに表示される4文字のアルファベットを入力すれば、好きなステージからゲームを始められる。ただし、前回までのプレイで集めたコイン数は引き継がれない。
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オプション画面では、前述のようにマーティの残機数を設定できる他、ゲーム中の全てのBGM(15曲)とSE(45種類の効果音)を聴くことができる。
 
評価点
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原作再現度が高い
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下記にあるように、グラフィックス、BGMなど原作の再現が非常に出来ている。
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アメリカでは再現が低いBTTFゲームばかりなのでなおさら貴重な作品と言える。また、版権モノでここまで再現されているのも貴重である。
 
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シンプルで多彩なステージ
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マーティのクルクルジャンプを活かしたり、ジャンプ台で何度もぴょんぴょん跳ねたり等、様々な仕掛けがあり、複雑すぎる構造のステージは殆どなく、気軽にプレイできる。
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余裕があれば、10コインが多く手に入る隠し部屋を探すという楽しみもある。
 
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美麗で可愛いイラスト
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元となった映画は実写映画だが、本作に登場する人物は全て2〜3頭身のアニメキャラのような可愛い見た目になっている。
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「ドクの目がギョロっとしていてエイリアンのようになっている」という声もあるが、いずれも特徴は捉えている。
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操作キャラのマーティは、移動やジャンプのアニメーションが細かく用意されており、アイドリング状態でも常に動いている。しばらく操作しないでいるとホバーボードから降りてポーズを決めるなどコミカルである。
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マーティはゲーム中最初から最後まで一貫して同じ服を着ており、映画のシーンの格好と異なる場面が存在するが、服装そのものの再現度は高い。
 
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イベントシーンで映る、映画のワンシーンを再現したイラストは非常に再現度が高い。
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空飛ぶデロリアンタイムマシンや、歴史改変された1985年の「ビフの娯楽パラダイス」の大きなビル、
ポ○ノ雑誌「Oh LaLa」のシーン
等がよく再現されており、映画を観た人なら「あ、あのシーンだ!」となるだろう。
 
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タイトル画面のロゴも細かく描き込まれたかっこいい仕上がりになっている。
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スタンガンを持つ警官「ガードウーマン」、巨大サックスを持つサングラスをかけた男「ハンサムジョニー」等、映画には登場しないオリジナルキャラクターが敵として多く登場するが、映画のストーリーには直接絡んでこない。
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同じ敵でも過去、現在、未来で見た目が違うことがある(地上を走るオートバイが未来では飛行している等)。物を投げてきたり、いきなり突進してきたり、突然出現したり、攻撃パターンも豊富。
 
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コンティニューのパスワードを入力する画面は、BTTFらしくデロリアンのタイムサーキット(行き先の時刻を入力する機械)になっている。
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良質なBGM
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本作のBGMを作曲したのは、同年に『伝説のオウガバトル』を担当した崎元仁氏。
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タイトルやイベントシーン等で流れる、あの有名なメインテーマのオーケストラアレンジは、SFCながら非常に重厚で、一度聴く価値はあるだろう。
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他にも、テクノやロックといったノリの良い曲が多く収録されており、いずれも映画の雰囲気とマッチしている。メインテーマのフレーズが組み込まれている曲もある。
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「Round 5-3 過去」の曲が、原作でもお馴染みの名曲「Johnny B. Goode(チャック・ベリー)」っぽいアレンジになっている。
 
 
問題点
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ボスが弱い
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ボスは、前述のように「ステージ内に設置されたスイッチを起動して仕掛けを動かして倒す」ことが可能なのだが、それらを全く使わずに、マーティのクルクル回転ジャンプでゴリ押しで倒すことができ、一瞬で勝負がついてしまうボスがいる。
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最初のボス「Round 1-2 未来」の「バットグリフ」や、「Round 4-4 現在」のボス「ビフ(大金持ち)」、「Round 6-2 過去」のボス 「ビフ」が特に「弱いボス」に挙げられる。
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最も弱いと言われているのは「6-2 過去」のビフ。なんとラスボスである。彼はラスボスなのにもかかわらず基本的に定位置から動かない(たまに突進してくるだけ)。ビフの車の前を走るトラックから、障害物らしき四角い箱が飛び出してくるが、マーティにとって全然意味がない。
 
 
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「Round 2-2 未来」のボス「バットグリフ」や、「Round 3-3 現在」のボス「ハンサムジョニー」といった、常に触れづらい位置にいるボスや、「Round 5-4 過去」のボス「ビフの手下(1度に3人が襲ってくる)」は倒すのに時間がかかってしまう。しかし、慣れればノーダメージで倒せる。
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「弱いボス」と言われているキャラが「ビフ」系が多いことから、「ビフ一族のボスは癒し」などと言われることがあった。
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中間ポイントがない
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GOALを目指すステージのひとつひとつがかなり長めに作られており、死んでしまうと問答無用でそのステージの最初に戻されてしまう。
 
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自販機の仕様
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自販機でアイテムを買うには前述の通りコインを使用するのだが、ライフが満タンの際にホバーボードの自販機(ライフ回復)にぶつかると所持コインだけが減ってしまうということが起こる。
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アイテムが必要ない場合はジャンプして自販機に当たらないように通過する必要があり、間違えて触れてしまうとコインを無駄に消費してしまうことがある。
 
 
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クセの強い操作性
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ボタンを押してからマーティが動くまでの反応が遅い上、たまに動きがスローになる。
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動きがスローになるせいでジャンプが低くなったりして思うように動かしづらくなるので、狭い足場を渡るような場面ではストレスを感じるかもしれない。
 
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省略されたストーリー
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ストーリーで「子供たちの危機を救うため」と書かれているが、本作には、未来のマーティの息子「マーティJr.」や娘の「マーリーン」は一切登場しない。
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ただバットグリフをやっつけただけで「子供達を救う」描写はほぼなく、映画を観ていない人は戸惑うかもしれない。
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また、イベントシーンのキャラのセリフの字幕表示スピードが速くすぐに消えてしまう為、少々読みづらい。
 
    
    
        | + | そしてエンディングは… | 
エンディングではスポーツ年鑑を取り戻したマーティが、車で追ってくるビフから逃げるそしてビフは原作通りトラックに衝突して肥料まみれになる場面で終わり、そのままスタッフロールとなる。
元の映画ではこの後、狂った歴史を修正するために年鑑を焼却処分するのだが、その直後に映画の『3』に繋がる出来事が起こってしまうため、ゲームとしてはここで切るしかなかった物と思われる。
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総評
コミカルなキャラクター達が魅力的で「こいつはヘビーだ!」と驚く程原作の再現度が高い一方、「ボスが弱い」等といった肝心なゲーム面での問題点が多く、完璧な良作とは言い難い。しかし、全体的な内容はシンプルで楽しみやすく、ステージは長めに作られていてやりごたえはあるので、機会があればプレイしてみてはどうだろうか。映画のファンにとっても、楽しめる完成度となっているだろう。
余談
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本作はアメリカ映画をベースに製作されたが、海を渡ることはなく日本でのみ発売された。
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本国アメリカではこの映画シリーズをベースにしたゲームが多数発売されたが、原作無視&理不尽難易度のゲームばかりであった。例外的として、『PART3』の公開から20年後に発売された『Back to the Future: The Game』は、評価がとても高い。
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インターネットが普及し、発売から数十年後に動画サイト等で本作のプレイ動画が投稿されたり、アメリカの著名なゲームレビュアー「The Angry Video Game Nerd」氏が本作を絶賛したことからアメリカにもこのソフトの存在が知れ渡った。
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アメリカ産のゲームが殆どクソゲーばかりなことに対し、日本産のこのゲームは比較的良い出来なことから、原作の『Part III』のセリフを引用し「All the best stuff is made in Japan. (いいものはみんな日本製だよ)」と評価された。
 
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上記のように紹介された結果、海外のコレクターによって青田買いの対象にされた影響で本作はプレミア化しており、完品であれば4万円近い価格で取引されているが、ソフトのみであれば比較的安く手に入る。
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本作のBGMの一部はSFC『蓬莱学園の冒険! 転校生スクランブル』に流用された。こちらのソフトもプレミアがついている。
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本作のボスの一人「バットグリフ」は、映画での名前は「グリフ」であり、名前が変更されている。
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また、本作のステージ「2-1 未来」に登場するバットグリフの3人の手下の内、白い服を着た金髪の女性「スパイク」の名前が「ルーニー」、黒い服を着た日系人「ホワイティ」の名前が「カルト」に変更されている。
 
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本作発売の1年以上前(1992年5月頃)のゲーム雑誌「ファミコン通信」によると、当初は『ゼルダの伝説』に近いスタイルの「コミカルRPG」ゲームとして企画されており、タイトルは「バック・トゥ・ザ・フューチャー2(仮題)」と記載されていた。その時点での発売日は92年10月となっていたが、延期となった。
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発売当時TVCMは製作されず、販促はチラシ、テレホンカード、店頭での販促ビデオで行われた。
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チラシやビデオでは「1993年7月上旬発売予定」と宣伝されていたが、実際に発売されたのは23日(7月下旬)であった。
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また、当時のチラシには、ジャンルは「ホバーボード・アクション・ゲーム」と書かれている。
 
最終更新:2025年04月15日 00:53