SIMPLE500シリーズ Vol.2 THE 密室からの脱出
【しんぷるごひゃくしりーず ぼりゅーむに ざ みっしつからのだっしゅつ】
ジャンル
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脱出アドベンチャー
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対応機種
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プレイステーション3
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メディア
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ダウンロード専売
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発売元
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D3パブリッシャー
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開発元
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インテンス
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発売日
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2011年7月6日
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定価
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524円(税込)
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レーティング
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CERO:A(全年齢対象)
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判定
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バカゲー
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ポイント
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超時空SF温泉旅館 シリーズ随一のカオスコメディ 主人公も相当おかしい 「女将さんはボクのメガミたい!」
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SIMPLE500シリーズ
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概要
脱出ゲームを数多く手掛けるインテンスの看板シリーズであり、SIMPLEシリーズでも特に作品数が多い『THE 密室からの脱出』の1作。
これまで主にニンテンドーDSで展開してきたシリーズだが、本作は初のソニーハードでの発売&HD作品となる。据置機としてはWiiウェア版に続いて二作目。
過去のDSiウェア版、Wiiウェア版も1作目はそれぞれサブタイトルの無い『THE 密室からの脱出』となっており、本作もそれに倣ってかサブタイトルが存在しない。
今作の密室の舞台は山間の温泉旅館となっている。
当初は2011年4月28日発売予定だったが、同月に起きたPlayStation Network個人情報流出事件により延期された。
シリーズについて
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本シリーズは単純な部屋の他、倉庫、遺跡、基地、無人島、地下鉄、夢、宇宙船などバリエーション豊かな密室からの脱出を目指すゲームである。
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初期のDSパッケージ版『THE 密室からの脱出 ~THE推理番外編~』『THE 密室からの脱出2』はストーリーを追って様々な密室を突破していく長編だったが、安価なDSiウェアに移行してからは一作毎にそれぞれのテーマに沿った短編集の形を採っている。
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作品毎のテーマも「学校」「監獄」「コンビニ」などとこれまた多種多様であり、それぞれの舞台に応じたストーリーを展開していた。
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描かれるストーリーも、時折見せる主人公のヘンなテンションや小ネタ程度のギャグ、ぶっ飛んだギミックはあれど本筋自体はシリアスであり、DSiウェアに移行してからもその路線は継続していた。
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『THE 密室からの脱出 〜プリズンブレイク〜』『THE 密室からの脱出 〜カラクリ屋敷〜』のようなシリアスに特化した作品もあったほど。丁度その頃はインテンス製脱出ゲームで極めて硬派な『密室のサクリファイス』が出た時期でもある。
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その一方、DSiウェア展開開始と同時期に登場した異端児がWiiウェア版こと『@SIMPLEシリーズ Vol.4 THE 密室からの脱出』である。詳細は同記事に譲るが、「マンション」という上記のラインナップと比較して平凡な舞台を選びながらその内容は他の追随を許さない混沌極まりないものであり、シリアスなど遠くに投げ捨てたトンデモバカゲーと化していた。
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荒唐無稽な設定自体は初期作の時点から存在したが、このWiiウェア版はその方向性とノリを突き詰め、本筋のストーリーまではっちゃけさせていた。
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メインのDSiウェアシリーズも徐々に作風がコメディ寄りに変わり、続く3DSシリーズは公式が「ドタバタ脱出劇」と自称するほどのコミカル路線となったが、Wiiウェア版に比べれば手堅いコメディと言った様相である。
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対して本作はWiiウェア版に匹敵する超展開と、Wiiウェア版すら凌ぐ暴走ギャグに走った、シリーズでもトップクラスのバカゲーとなっている。
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ゲームとしては、至ってシンプルなポイント・アンド・クリック形式。
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DSやWiiで出た従来作はタッチスクリーンやリモコンでオブジェクトを直接指定する形式だったが、今作は『密室のサクリファイス』同様に十字キーとスティックでカーソルを操作するシステムとなった。特殊な操作も必要とせず、これだけで最後まで進められる。
ストーリー
温泉旅館「ホテル天竺」へと旅行に来た主人公。
この旅館の女将は以前、特撮番組「忍者戦隊シンプレンジャー」の「ピンク女将」として活躍した女優だった。
それがある日、突然「天竺に行く」と言い出して引退してはこの旅館の女将となり、今では女将目当ての客が殺到しているという。
かく言う主人公も女将のファンでその一人だったのだが、部屋に着いた途端に疲れてうたた寝してしまった。
そして目が覚めると何故か主人公は全裸であり、扉は開かなくなっていた。
評価点・おバカな点
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上述した通り今作のテーマは「温泉旅館」。以降の作品は「ハンバーガーショップ」「ボウリング場」「ファミレス」「スポーツジム」「カラオケ店」などの商業施設を中心に展開されていくので、その先駆け的存在とも言えるが、前述のようなツッコミ所満載のストーリーで閉じ込められる温泉旅館が普通であるはずもなかった…。
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過去作でも、「占い館から出ようとしたら、自身が封じ込めていた闇の人格が表出」「学校から出ようとしたら、ヒロインに取り憑いた悪霊と対魔バトルを繰り広げる」などのトンデモ展開はあったが、この温泉旅館から出ようとした場合は…。
荒唐無稽過ぎるシチュエーションの数々
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ステージ1は自身の宿泊する客室。何故か扉が開かず、出口を求めて探索を始める。という流れは至って普通なのだが、冷凍庫にバッグが押し込まれてあったりその中に「妙な物」が入っていたりと、どこか異様な雰囲気が漂う。
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とは言え、この時点ではあからさまな異変は起きず、変なのは主に主人公の独白と一部オブジェクトくらいなもの。「でれなくたって いいじゃないか 密室だもの」「活力増強剤・男湯(¥500)」なんて文字がちらほら見えるが…。
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ステージ2は露天風呂。なんとか非常口から脱出した主人公だが、非常階段が壊れて転落してしまう。下は風呂だったので命は助かったものの、何故かボイラーが動いていないらしく冷水に着水する羽目に。
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脱衣所への扉はこれまた何故か巨大な南京錠が外から掛けられており、またしても閉じ込められる。露天風呂なので直接外に出られそうだが周囲は深い森であり、しかも時期は雪の降り積もる真冬。素っ裸の主人公では到底そこからの脱出は見込めない。
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このステージ2はステージ1に比べると「ヘン」な仕掛けが増えてくる。例えば、「ボディソープで滑りを良くして小さな穴を通り抜ける」「拾った謎の卵をボイラー室の湯だまりに入れてゆで卵を作り、パイプの蒸気を塞ぐ」など。
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何故かスナイパーライフルが置かれており、これで野生の鹿を平然と撃とうとする主人公。しかし殺生の展開にはならないので動物好きの方もご安心を。
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入り口は錠前で塞がれ、周囲は自然の壁に阻まれた状況。ここからどう脱出するのかと言うと…。
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ネタバレ注意
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風呂の排水溝を開けた結果、そのまま一緒に流される。普通死ぬだろ!とか、どこが「Escape success」だよ!などというツッコミはこのゲームでは意味を成さない。
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トンデモな方法でステージ2を脱出した先のステージ3だが、これがWiiウェア版のステージ2を彷彿とさせるサイケデリックな部屋。ここからいよいよ本作の本領が発揮されていく。
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ネタバレ注意
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このステージで主人公の憧れの女将と対面するのだが、なんと女将はサイボーグだった事が唐突に判明する。主人公によると「忍者戦隊シンプレンジャーの最終回でピンク女将は悪の親玉に改造された」らしいが、そういう問題なのだろうか…。
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このサイボーグ女将は機能を停止しており、「女将さんの秘められし穴からドロドロした液体を抜き取る」展開となる。字面にすると卑猥に見えるかもしれないが、給油口からポンプで燃料を吸い上げているだけである。変なこと想像しないように。
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主人公の発言などから、翌年発売の『女の子と密室にいたら○○しちゃうかもしれない。』味を一部感じなくもないが、残念ながら(?)本作にはそういうムードそのものは無い。
そもそもこのシリーズのキャラはシルエットなのでやりようもないだろうが…。
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ちなみに燃料の給油口があるのは臀部。変なこと(ry
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他にも、「石油ストーブで焼いた鏡餅をダイヤル代わりにテレビのチャンネルを変える」「テレビから飛び出した販売員から怪しい仙人像を受け取る」「オンとオフを変えられる仙人像を使ってライ
オン
を
オフ
にする」など。何を言ってるか分からないだろうが、本当にそういう展開なのだから仕方ない。
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極め付けは最後の脱出方法。主人公の身に起きた「ある事態」によって超展開は加速し、そのまま怒涛のステージ4へと続いていく。
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あまりに突飛な結末を迎えたステージ3に続く最終ステージは、まさかの旅館全体が舞台。
密室とは一体…。
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ネタバレ注意
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このステージではいきなり『エレベーターアクション』『ザ・タワー』アジトシリーズなどのような真横断面図で旅館全体を見渡す視点となり、行き先を指定するというシリーズでも類を見ないシステムとなる。
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自由に移動できる訳ではなく、あちこちに銃を持った敵兵が存在するので彼らに捕まらないように移動しなければならない。追跡を逃れる方法も、マグロ解体ショーで使うドライアイスを溶かして煙幕にするなどこれまた奇抜なもの。
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宴会場や他の客室など様々な部屋に立ち入るのだが、案の定、他の部屋もツッコミ所には事欠かない。「
成金
」
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最終的に前ステージで主人公に起きた異変を解決し、「あの方」と呼ばれる敵の総大将を倒せばゲームクリアとなる。
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ネタに突っ走ったストーリー
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荒唐無稽なシチュエーションに加え、ストーリーのノリ自体も完全にネタに走っている。そもそも上述のストーリーの時点でツッコミ所満載である。
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シリーズ初期を想起させる真相ながら当時のようなシリアスさなど皆無。そもそも全裸での脱出劇を強いられる時点でシリアスになれというのが土台無理な話だろう。
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随所のおバカなノリに加え、ステージ3で主人公を襲う異常事態、最後に現れる「あの方」の意外過ぎる正体など、後半になるほど予測不能の超展開がプレイヤーを飽きさせない。
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他のシリーズ作同様にノーマルエンドとトゥルーエンドに分岐するマルチエンドだが、トゥルーエンドは最後の最後まで勢いのまま意味不明なトンデモギャグで締めており、強烈な印象を植え付けたまま完結する。そのぶっ飛びぶりはシリーズでも群を抜く。
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他作品の記事にも書かれているが、このシリーズの主人公は時々変なテンションになる。危機的状況でも呑気な言葉を呟いたり、急にハイになったりなど、情緒不安定を疑ってしまうような一面があった。
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だが本作の主人公はその比ではない。口を開けばアホな珍言や駄洒落、ジョークばかり宣うので緊張感などほとんど無い。時々どころか常時変なテンションと言っても過言ではない暴走ぶりである。
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前半こそはまだまともな言動も多く、「従来よりもやや癖が強い主人公」という程度だが、ステージが進むにつれてどんどん変人化していく。後半はもうネタに走らないクリックポイントの方が珍しいほど。
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常識の埒外の出来事が起きても驚きはするが割とあっさり納得する順応性の高さ。明らかなオーバーテクノロジーを目にしても「忍者戦隊シンプレンジャーの第◯話で見た」などと受け入れてしまう。
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女将が好き過ぎて、これだけの異常事態に見舞われながら「ボクが女将さんを守りますよ!」「女将さんのためなら、頑張っちゃいますよぉ〜!」などと平然と宣い、クライマックスでは「(敵のボスを倒して)女将さんのヒーローになっちゃうぞ!」とすら全裸で言い放つほどのメンタルの強さ。もしくはただのアホなのか…。
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かと思ったら急に真面目な事を言い出す場合もあり、旧作とは逆の意味で情緒不安定を疑ってしまう。
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言ってる事とやってる事が一致しないシーンすらあり、特にステージ2のラストの様子は完全にツッコミ待ちである。
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このようなおかしなテンションは、シリアスな雰囲気が強い初期作では場にそぐわない印象が強く批判の対象になりがちだったが、本作のようなぶっ飛んだストーリーには合致している。
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後発作はどちらかというと周りがおかしくて主人公はツッコミが激しい感じだが、本作はWiiウェア版に続いて主人公自身が色々とおかしい方向性になっている。
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主人公の自由例
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桶→「もう、なんて下品な!桶が2つでオケツだなんて…。寒い、寒い。服を着てないと寒いよ」
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鼻メガネを掛けた沙悟浄のお面→「カッパのお面がとてもオシャレになっている。でも、カッパにはこのメガネはまだ早いかな。ボクが預かっておこう」
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その鼻メガネにセロファンを使用→「おしゃれメガネのおしゃれ度が300%アップした」
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刺身→「差し身で勝負だ!あっ、あまりに寒いギャグのため刺身が凍ってしまった」
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大浴場の鍵→「このカギを使うと大欲情してしまうところに行けるのだろうか?」
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主人公に限らず、キーパーソンの女将、敵の親玉である「あの方」、そしてモブ敵兵に至るまで揃いも揃って「ヘン」な奴らばかり。後半の物々しい雰囲気に反して真面目な空気など皆無に等しい。
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ステージ4では画面上のキャラクターをクリックすると台詞が聞けるのだが、どのキャラもやたらと個性が出ている。ラスボスにあたる「あの方」とて例外ではない。
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クライマックスではパニックホラー的緊張感があるものの、主人公のマイペースぶりは完全には無くならないのでやはりシリアスにはなりきらない。
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ただ勢いとノリでふざけまくったストーリーに見えて、実はちゃんと考えられた面もある。
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ネタバレ注意
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後半に時間遡行が起き、前半のステージよりも過去の時間軸が舞台となる。よって、以降の出来事は未来に影響を与えており、「ステージ1・ステージ2における不自然な密室の理由」など、観察する事によって謎が解ける場合がある。
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そしてノーマルエンドではまさかの種明かしがある。何故主人公は全裸だったのか、何故バッグが冷凍庫に入っていたのか。意外にもタイムトラベルものらしく練られた構成になっている。
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脱出ゲームとして
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シリーズの面白さは健在
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室内をくまなく調べ、様々な手を試し、試行錯誤の末に直感と閃きによって謎を解く。そして自力で解けた際の快感など、シリーズらしい面白さは健在である。SIMPLEシリーズとしての手軽さも然り。
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無茶苦茶なストーリーではあるが、謎解きは意外と堅実。無論、ぶっ飛んだギミックや閃きを要する部分もあるが、同じくぶっ飛んだWiiウェア版に比べるとどのアイテムをどこで使うのか推理しやすい作りになっている。
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初期作のように得手不得手がはっきり分かれるパズルの連続、極端にヒントが少ないパスワード、難しいくせに長い演出も挟まってテンポが劣悪な謎解き、ミスリードを誘うだけのダミーアイテムと言った理不尽な仕掛けは無く、詰まっても頑張れば突破口が見えてくる場合が多い。
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一部、適さないアイテムを使った際にも専用の反応が返ってきたり特殊な演出が入る場合がある。中には「本来ならダイヤルを回して開けなければならない木箱」を燃やして強引に開けると言った荒業で代用可能なポイントも。
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ボリューム面
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値段相応の低ボリュームだが、その中で頭を捻れてカオスな展開にも揉みくちゃにされるので、そういう意味ではボリュームのある作品と言える。
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DSiウェア以降は3〜4ステージ構成となっており、作品によって異なるが本作は多めの4ステージ。
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同じバカゲー路線のWiiウェア版は3ステージで、ステージ3はステージ1と共通する部分もあったが、本作は4ステージ全て異なる舞台が用意されている。ステージ4は上述の通りマップも多い。
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また、Wiiウェア版は最後のステージ3にボリュームが集中していたが、本作は比較的バランス良く調整されている。
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グラフィック
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シリーズでも数少ないHD機用ソフトであり、他作品の「画質が荒くオブジェクトを視認しづらい」「カメラの動きがカクカクする」といった問題が解決されている。
問題点
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やはり高めの難易度
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理不尽までは行かないものの、やはり難易度は相応に高い。ヒント機能もまだ無いので詰まっても自力で解くしかない。
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推理はしやすくとも、世界観が世界観なので常識では考えられない突破口もそれなりにある。今作も気付きと発想力は必要である。
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最初のステージの時点で、「ズームアップした状態でリアルタイムで一定時間待つ」という今までに無い謎解きがある。見た目の変化が分かりやすいとは言え、「今は無理」と思ってすぐに引っ込んでしまうと気付きにくい。
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それでも初期作の理不尽さに比べれば易しい方で、初心者でも諦めず挑戦すれば詰まることは少ないはずである。
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ネタバレ注意
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エレベーターの上と下にあるパネルを上手く操作してパズルを解く必要があり、何度か上下を行き来しなければならないのだが、下には敵が陣取っている。下のパネルを操作するにはある武器を使って敵を一時的に退け、その隙に降りる必要がある。
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問題は、一定時間すると敵が戻ってきてしまう事。適宜切り上げて避難する必要があるのだがその猶予がかなりシビアであり、パネル操作中だろうが戻ろうと視点を動かしている最中だろうが容赦無く戻ってきて襲い掛かるので落ち着いてパネルを操作している暇がない。
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敵に襲われると一回なら自動で逃げてくれるが、二回目はゲームオーバーになる。
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そのパズルもオセロと8パズルを組み合わせたややこしいもので、すぐには法則性に気付きにくい。気付いたとしてもこの通り短い猶予の中で焦りながら解く羽目になる。
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小分けにして少しずつ解けば確実だが、実はここで時間を掛け過ぎるとノーマルエンドになってしまう。よって、トゥルーエンドを迎えるには少ない手順で効率の良い解法も見出し、それを素早く入力しなければならない。
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完成は必ず上側のパネルでしなければならず、下側のパネルで完成させるとクリアどころか即ゲームオーバー。遠回しなヒントはあるが、初見では気付きにくい。
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一応、パズルが解けなくともクリア可能な力技の解決法も用意されていたりするが、それでクリアしても強制的にノーマルエンドになる。
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クリック以外の謎解きは無し
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他ハードであればクリック操作以外にも、DSのタッチスクリーンを使ったスライド操作、Wiiリモコンを使った様々なギミック、3DSのジャイロ機能などハード機能を活かした謎解きがあるのだが、今作にそういったものは無い。
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PS3ならSIXAXISやデュアルショック3のモーションセンサーを使ったギミックも可能だっただろうが搭載されておらず、全てポイント&クリックで解決する。
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ちなみに後年のDS・3DS版のSwitch移植作ではボタン操作で代用する形でオリジナル版のギミックを搭載している。このように別の形で「ポイント&クリック以外の操作」を搭載する手もあっただろうが…。
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ただ、他の操作に煩わされず謎解きに集中できるという利点もあり、操作の盲点に気付かず詰まる心配も無いので、寂しくはあるが必ずしも問題点とは言い切れないかもしれない。
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カオス過ぎる展開
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上述の通りトンデモなストーリーと世界観であり、真面目な正統派脱出ゲームを望む人には進め難い。
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展開そのものもそうだが、上述の通りプレイヤーが終始付き合う主人公が隙あらばネタをぶっ込んだり、いきなり鹿を撃とうとしたり、ピンク(に聞こえる)な方向に走ったりと自由過ぎるので、そういうノリに付いていけない人にも向かない。
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後年には真面目だった頃の最初期2作がWii UやSwitchでリメイクされているので、そちらから入った人が本作に触れると色んな意味で面食らうのは間違いない。
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コミカルな作風の3DS版も一部がSwitchとSteamにリメイクされているが、そちらと比較しても本作のぶっ飛び具合は一線を画す。
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トゥルーエンドに至ってはギャグに走り過ぎており、爆笑するか唖然とするかが人によって分かれるだろう。
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考察すると色々と謎が残る
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こんなおバカ全開のゲームを真面目に考察するのも野暮かもしれないが、時系列に沿って深く考えると矛盾や謎が多数出てくる。
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敵組織や女将の詳細、事件前の主人公の動向、トゥルーエンドでいきなり発動する仙人像など、匂わせだけで詳しく明かされない設定も少なくない。深く考えずノリと勢いで楽しめという事か。
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初期作やWiiウェア版なども同様で、謎を残したまま終わるのはこのシリーズでは割とあるケースである。スケールが肥大化した作品はその傾向が強く、逆に小規模なテーマの作品は綺麗にまとまっているものが多い。
総評
シリーズで異彩を放っていたWiiウェア版をも上回る異端児。
終始ツッコミ所が押し寄せるストーリーはシリーズトップクラスの無茶振りであり、本作後に他のシリーズ作をプレイすると皆おとなしく見えてしまうほど。
それだけに脱出ゲームにどんな雰囲気を求めるかで評価は変わってくるだろうが、ただの脱出ゲームでは物足りない人、無茶苦茶なシチュエーションで展開される風変わりな脱出ゲームに興味のある人はプレイして損は無いだろう。
余談
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PS3ダウンロード版としてはもう1作、『THE 密室からの脱出 〜月夜のマンション編〜』が同年12月に配信されている。
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こちらはWiiウェア版のリメイクに近く、あちらと同じくマンションを舞台としている。バルコニーから始まり、女子大生の住む隣室に助けを求めたり、超常現象を利用して自宅の内外を行き来するなど、Wiiウェア版と似通った内容となっている。最後の展開や真相もWiiウェア版を彷彿とさせる。
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しかしストーリーや謎解きそのものは異なり、Wiiウェア版をプレイした人でも新鮮な気持ちで楽しめるようになっている。
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ステージ2はWiiウェア版に比べてかなり真っ当になっており、インパクトが低減したと思うかもしれないが最終ステージの荒唐無稽さはWiiウェア版にも劣らない。
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ストーリーは流石に本作ほどはぶっ飛んではおらず、主人公も本作に比べればまだ常識人である。しかし現実離れした謎解き、終盤の超展開はやはりこの路線を引き継いでいる。
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ステージ数はWiiウェア版と同じく3つで、そちらのように最終ステージにボリュームが集中する恰好となっている。そのため、本作と比べてしまうと若干物足りない印象やバランスの悪さも否めない。
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概要で記した通り、本来は2011年4月発売予定であった。
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結果として発売が延びたため、後発となるはずの3DSシリーズ第1弾『THE 密室からの脱出 〜不思議なクマドナルバーガー編〜』よりも後の発売となった。
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本来の予定の1週間前には、ギャグとお色気中心で本作と似たノリも見受けられる『密室のサクリファイス~ミキ:ハイテンションナイト~』が発売している。
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よりによってその日は個人情報流出事件でPSNがアクセス不能になった当日であり、実質的にこちらも発売延期のような形となった。
最終更新:2025年02月08日 10:31