足で真言を書く練習の話
注意書き
こちらは◆o2mcPg4qxU様の書いた四方世界をさらに二次創作した三次創作です。
設定や描写の矛盾があった場合は生暖かい目か優しい気持ちでスルーしてください。
また当SSの設定や描写は◆o2mcPg4qxU様が拾う場合を除いてスレに持ち出さないようお願いします。
設定や描写の矛盾があった場合は生暖かい目か優しい気持ちでスルーしてください。
また当SSの設定や描写は◆o2mcPg4qxU様が拾う場合を除いてスレに持ち出さないようお願いします。
本文
月が昇り日が沈む刻限、王国北部辺境のとある街の冒険者ギルド付近の宿屋の一室にて、ウェイバー・ベルベットは四つある寝台の内普段は使われていないものに腰かけていた。
決して上等とは言えない質のものだが、寝台を使うことすら稀な暮らしをしている身としては思わず横たわりたくなるが、招かれた事情を考えると恐るべき睡魔に屈するわけにはいかない。
決して上等とは言えない質のものだが、寝台を使うことすら稀な暮らしをしている身としては思わず横たわりたくなるが、招かれた事情を考えると恐るべき睡魔に屈するわけにはいかない。
「で、教えてくれる真言の"コツ"ってなんなんだよ」
この部屋を借りている一党の一員であり、対面の寝所に座りながら得意満面な笑みを浮かべる侍従術士に対し、疑念や不満を覚えた声で問いかける。
彼女は日のある間にウェイバーと真言の相互伝授を行ったものの、余りにも習得方法が感覚派過ぎて伝授失敗に終わるという、冒険者としては落伍者という一党全員の自称に違わぬ失敗をしてしまっていた。
なのでその詫びとして別の真言の"コツ"を教えるとして部屋に招かれたわけだが、どうにも焦らされてる気がして落ち着かない気分で噛みつくようになってしまう。
彼女は日のある間にウェイバーと真言の相互伝授を行ったものの、余りにも習得方法が感覚派過ぎて伝授失敗に終わるという、冒険者としては落伍者という一党全員の自称に違わぬ失敗をしてしまっていた。
なのでその詫びとして別の真言の"コツ"を教えるとして部屋に招かれたわけだが、どうにも焦らされてる気がして落ち着かない気分で噛みつくようになってしまう。
「まーまー、真言呪文遣いっちゅーのわ三つの真言を組み合わせて術を使うやろ?それは別に言葉である必要はないんやで」
得意満面の表情のまま返すのにウェイバーは僅かに失望を抱いたが、昼の間に感じた才能が溢れていない仲間意識と現時点では大きな差がある相手と、同じ視点で覚えたことが彼女にとっては秘する技術であったことを察し、機嫌を直しながら返事をした。
「ああ、知ってるよ。便利だよな無音詠唱、いつも使うもんじゃあないけど手札の枚数としちゃ悪くない」
詫びにしたいというものを既に覚えてると言われたらどんな顔をするだろうと少し意地の悪い思考が頭をよぎるが、それ以上に知識は秘するものだからこそつまびらかにして相手の関心や賞賛を得る快感があるということを、まだ若いウェイバーでは抑えることが出来ず次々に語り始める。
「冒険中だと特にそうだ。声が出せないけど手が空いてることなんていくらでもあるからね」
得意げな顔をするウェイバーに侍従術士は笑顔を崩さない。
何か想像した展開と違うと訝しむウェイバーに対して、返ってきた言葉は
何か想像した展開と違うと訝しむウェイバーに対して、返ってきた言葉は
「まったくその通りや。案外近いんやなぁうちら、でも手も空いてない時も使えるってんはどや?しっとった?」
「はぁ!?寸分違わず真言を表記するんだぞ、指先を使わずできるもんか」
「はぁ!?寸分違わず真言を表記するんだぞ、指先を使わずできるもんか」
得意満面な笑みを崩さない侍従術士はウェイバーの反論を封殺し、寝台に腰かけたまま冒険用の靴を脱いで靴下越しに足の指先をちょいちょいと曲げて見せた。
健康的な肉付きの脚が持ち上げられたことによって、スカートの裾とその奥にある膝の裏が見えかくれするも、ウェイバーにとってはそれどころではない問題に直面していた。
健康的な肉付きの脚が持ち上げられたことによって、スカートの裾とその奥にある膝の裏が見えかくれするも、ウェイバーにとってはそれどころではない問題に直面していた。
(指先は指先でも足指? 馬鹿だ、そんなことにどれだけの労力をかければ出来るんだよ。っていうかどんな発想だ)
(手荷物、松明、武器、組みつかれたり絡み取られた時の引き剥がし。冒険者にとって口だけでなく手も塞がることだってあり得ないことじゃあない)
(手荷物、松明、武器、組みつかれたり絡み取られた時の引き剥がし。冒険者にとって口だけでなく手も塞がることだってあり得ないことじゃあない)
本日二度目の魔術師としての固定観念と軍師としての実学の衝突、たびたび起こるこれは冒険者としてみるとおおむね後者が正解になりがちだが、前者の理想や目的意識を失えば向上心と向学心の欠如に直結しかねないウェイバーにとっての死活問題である。
よって偶然振りまかれた色気にも目の前の相手への対抗心も棚上げにして懊悩せざるを得ないのだ。
その僅かでない逡巡に侍従術士が少し不安になり声をかけた。
よって偶然振りまかれた色気にも目の前の相手への対抗心も棚上げにして懊悩せざるを得ないのだ。
その僅かでない逡巡に侍従術士が少し不安になり声をかけた。
「あのー、もしー……?要らんか、これ?便利なんやけども」
靴下に包まれた健康的な脚をプラプラを寝台からはみ出させつつ、詫びの講義は別の方がよかっただろうかと確認を取る。
「いや、それでいい」
半ば反射的ではあるがウェイバーは肯定した。
そしてすぐさま後悔をすることになり、さらにその後に喚きながらこの技法の実用性を痛感することになるのであった。
そしてすぐさま後悔をすることになり、さらにその後に喚きながらこの技法の実用性を痛感することになるのであった。
そこは青少年に取っては夢のようで拷問のようでもある空間であった。
黒髪の少年の隣には対人距離(パーソナルスペース)を踏み越えるような近さで青髪の少女が陣取っており、その正面ではスカートの裾を摘まんだ赤毛の少女が靴下を脱いで指先を滑らかに動かしている。
黒髪の少年の隣には対人距離(パーソナルスペース)を踏み越えるような近さで青髪の少女が陣取っており、その正面ではスカートの裾を摘まんだ赤毛の少女が靴下を脱いで指先を滑らかに動かしている。
ウェイバーはどうしてこうなったという疑念と共に真言に関わること以外をシャットアウトすることで、現実から逃避しつつただひたすらに床を滑る足指とその軌跡を目で追っていた。
しかし彼の集中を削ぐようにそれを隣に座った薄青の長髪を持った第三者が、足指の動きの説明をし続けてくる。
しかし彼の集中を削ぐようにそれを隣に座った薄青の長髪を持った第三者が、足指の動きの説明をし続けてくる。
「さっきも話したけど、手の指は人差し指が一番滑らかに動いて関節が二つあるよね? でも足の指は親指が重要だから関節一つの動きで真言を描くために……」
必要な説明だ、二度も言われてるのは手本を見た後の自分の足の動きがぎこちなかったからだ。
だが安寝台の上で側に美少女が座って声をかけてくる上に、嫌でも女体美を感じる別の美少女の素足の指を眺め続けているのは、まるで妙な催眠か話に聞いた夢魔の引き込む夢の中のような現実感の無さを想起させられてしまう。
別の美少女と記したがそれが、色彩を変えただけのほぼ同一人物となればなおさら不可思議なものだ。実演と教授をそれぞれに集中するために《分身》などという高等呪文を使うあたり、侍従術士は本当に青玉等級止まりの冒険者なのかと疑念を抱かずにはいられない。
だが安寝台の上で側に美少女が座って声をかけてくる上に、嫌でも女体美を感じる別の美少女の素足の指を眺め続けているのは、まるで妙な催眠か話に聞いた夢魔の引き込む夢の中のような現実感の無さを想起させられてしまう。
別の美少女と記したがそれが、色彩を変えただけのほぼ同一人物となればなおさら不可思議なものだ。実演と教授をそれぞれに集中するために《分身》などという高等呪文を使うあたり、侍従術士は本当に青玉等級止まりの冒険者なのかと疑念を抱かずにはいられない。
「んん……」
分身が身じろぎをすると安石鹸しか使えないような生活をしてると思えない甘やかな香りを感じ、さらにウェイバーは現実逃避のため指先の動きの暗記と真言術への考察へと脳の処理能力を割り振った。
そも《分身》とは高等な真言術でも特に異例のものであり、もう一人の自分とはすなわち自分と=ではなく、容貌や性質の差が表れることがあるらしい。
真言の解釈のずれや本人のもう一人の自分という単語へのイメージの差異の結果、自分の複製であり人形であったり自分の隠された部分の顕現などの比率が変ずるのだとか。
真言の解釈のずれや本人のもう一人の自分という単語へのイメージの差異の結果、自分の複製であり人形であったり自分の隠された部分の顕現などの比率が変ずるのだとか。
その観点で見れば侍従術士の分身はどうだろう、容貌は色違いの同一人物であり性格はおおむね一致するが本体を姉と呼ぶあたり別人格が強いようにも見える。
詳しい人となりを知らない以上深い考察は出来ないが……。
詳しい人となりを知らない以上深い考察は出来ないが……。
「ウェイバー、疲れたんなら休憩にするかー? ウチもちょっと足しんどいわー」
「ウェイバー君、身が入ってないねー。お姉ちゃん次は交代しよっか」
「ウェイバー君、身が入ってないねー。お姉ちゃん次は交代しよっか」
どこかうつろになりかかっているウェイバーのトランス状態を見て、二人が提案をする。
それに伴い侍従術士は足指が地面から離れて寝台に畳んで置いてあった靴下を履きなおし、分身は身軽な動きで対面の寝台の侍従術士の隣に並んだ。
何か異空間のようなアウェー感から解放されたウェイバーは、ハッと意識を取り戻して並んだ二人に視線を合わせた。
それに伴い侍従術士は足指が地面から離れて寝台に畳んで置いてあった靴下を履きなおし、分身は身軽な動きで対面の寝台の侍従術士の隣に並んだ。
何か異空間のようなアウェー感から解放されたウェイバーは、ハッと意識を取り戻して並んだ二人に視線を合わせた。
「……悪い、ちょっと身が入ってなかった」
「ええよええよ、うちも足悪くしたリハビリせんかったらここまでやるようならんかったろーしな。難しいもんやでー、なー?」
「ねー?」
「ええよええよ、うちも足悪くしたリハビリせんかったらここまでやるようならんかったろーしな。難しいもんやでー、なー?」
「ねー?」
実の姉妹のように唱和をする二人、ウェイバーはそれを見てなんとなしにその差異を見比べてみた。
色、対象、顔、変わりなし、体、ややシルエットに差異あり、分身の方が上半身にボリュームがあり下半身が引き締まってる気がする。
色、対象、顔、変わりなし、体、ややシルエットに差異あり、分身の方が上半身にボリュームがあり下半身が引き締まってる気がする。
「~~~~///!?!?」
思わず目をそらす、《分身》によって生み出されるもう一人の自分にはそういえばまだありうるパターンとして聞いたことがある。
自分だと認識できる範囲での理想の自分。それはもう年頃の乙女ともあればそういうこともあるだろうが、
気づいてしまったウェイバーにとってはたまったものではない。
自分だと認識できる範囲での理想の自分。それはもう年頃の乙女ともあればそういうこともあるだろうが、
気づいてしまったウェイバーにとってはたまったものではない。
「お、なんやなんや? あかんでぇ真言の使い手足るもの平常心や」
顔を背けて抑えるウェイバーに不思議そうに近寄る侍従術士とそれを見て納得と憐みを滲ませた表情で見送る分身
「お姉ちゃんは残酷だなぁ(ボソッ)」
「う、煩い! 別に大丈夫だからちょっと離れろよ! ちょっとしたら再開するからな!」
「なんやもー。ほんじゃそっちが脱いどいてな」
「う、煩い! 別に大丈夫だからちょっと離れろよ! ちょっとしたら再開するからな!」
「なんやもー。ほんじゃそっちが脱いどいてな」
分身に履物を脱ぐように指示をすると、わずかな躊躇と共に分身がその言葉に従った。
ウェイバーが落ち着いてから再開すると、滑らかに動く足指とそれに連なって目に入る脹脛程までの健康的な脚が、先ほどの侍従術士との僅かな差異があるのが嫌でも意識してしまう。
ウェイバーが落ち着いてから再開すると、滑らかに動く足指とそれに連なって目に入る脹脛程までの健康的な脚が、先ほどの侍従術士との僅かな差異があるのが嫌でも意識してしまう。
(違うだろ! 僕は魔術師だぞ! そんなことより大事なことがあるだろ!)
ほっそりとした傷一つ無い足を目を見開いて確認しながら、鼻腔をくすぐる甘い匂いからは意識を遮断し、耳朶を打つ心地よい声も真言のコツのみを抽出して脳に叩き込む。
およそ女性経験のない青少年とは思えない集中力を持って真言を足で描くコツを学び続けるのであった。
およそ女性経験のない青少年とは思えない集中力を持って真言を足で描くコツを学び続けるのであった。
さらに侍従術士と分身が交代をしてから幾ばくかの時間の後のこと
「神殿で説法をするのはやはり難事だった。奇跡の強さと神官としての心得は同じではないが指標ではあったが……」
整っているが武骨な顔に僅かな疲労を滲ませながら現れた長身の男は「放浪牢人」。この部屋を借りている一党の頭領である。
そして彼は侍従術士とは冒険者になる以前からの付き合いであり、いわゆる仲間以上主従以上でギリギリその範疇内という微妙な関係であった。
さてそんな関係の相手が分身を含めて二人がかりで素足を晒しながら自分以外の男と一緒にいる状態を見て平静を保てる男などいるであろうか?
そして彼は侍従術士とは冒険者になる以前からの付き合いであり、いわゆる仲間以上主従以上でギリギリその範疇内という微妙な関係であった。
さてそんな関係の相手が分身を含めて二人がかりで素足を晒しながら自分以外の男と一緒にいる状態を見て平静を保てる男などいるであろうか?
「……どういった事情があるかは私には理解しきれんが必要があったのだろう」
いた。
ウェイバーは生きた心地がしなかったがその言葉によってドッと力が抜けた、
何しろこういった修羅場というのは恐ろしいものだと学院時代の師匠のせいで身に染みていたからだ。思わずいずれかの神に幸運を感謝したくなった。
隣にいる分身は少しの硬直の後、さりげなく寝台から移動して距離を取っていき、向かいにいる侍従術士は分身より長く固まっていた。
ウェイバーは生きた心地がしなかったがその言葉によってドッと力が抜けた、
何しろこういった修羅場というのは恐ろしいものだと学院時代の師匠のせいで身に染みていたからだ。思わずいずれかの神に幸運を感謝したくなった。
隣にいる分身は少しの硬直の後、さりげなく寝台から移動して距離を取っていき、向かいにいる侍従術士は分身より長く固まっていた。
それを見て何を得心したのか放浪牢人は一つ頷くと、背負っていた荷物を部屋の片隅に置き、足早に出入口へと戻っていく。
「まだ時間がかかるようだ。下の階で時間を潰して来る、君たちも食事を摂り忘れないように」
ギィバタン、固まった空気を物ともせず立ち去る姿と平常心は、果たして誉めればいいのか呆れればいいのかウェイバーには判断がつかなかった。
「違う! 違うんよ主様~~!」
再起動をした侍従術士が全力疾走をして部屋を飛び出していき、取り残されたウェイバーと分身はなんともなしに顔を見合わせた。
殺傷力のない礫をぶつけられた鳥のような顔をしているウェイバーに、笑みをこぼしながら分身は話しかける。
殺傷力のない礫をぶつけられた鳥のような顔をしているウェイバーに、笑みをこぼしながら分身は話しかける。
「じゃあ、今日はこのくらいだね。それとももうコツを掴んだ?」
「……ここから先なら自分で復習してどうにかするさ。お前の本体と違ってそういうの得意なんだよ」
「だよねー。女の子に囲まれちゃ溜まんないよねー」
「……ここから先なら自分で復習してどうにかするさ。お前の本体と違ってそういうの得意なんだよ」
「だよねー。女の子に囲まれちゃ溜まんないよねー」
ぼかした本音を容赦なく鷲掴みにされてウェイバーは寝台に突っ伏しかけた。縁を掴んでギリギリと音が出そうな動きの悪さで身を起こしながら人殺しのような目つきを分身に向ける。
「お・ま・え・な・ぁ~~? わかってたんなら止めろよ馬鹿ぁ!!」
「あはは、ごめんごめん。つい面白くって」
「あはは、ごめんごめん。つい面白くって」
悪びれもせずに分身が言い出すのにウェイバーはなんとか一矢報いることが出来ないかと頭を捻りながら寝台から立ち上がる。
とりあえず主導権さえ握ればなんでもいい、日々を一党の間で蟲毒と称される主導権争いで過ごすウェイバーは、話題の切り返しについては一家言あると自負していた。
とりあえず主導権さえ握ればなんでもいい、日々を一党の間で蟲毒と称される主導権争いで過ごすウェイバーは、話題の切り返しについては一家言あると自負していた。
「そういえば、お前と本体で《分身》なのに足の傷跡の差異があったな。僕が知ってる限りだと《分身》は本体の負傷や消耗を引き継ぐって話だけど」
共通の話題に出来ることは今日一日以外多くない、ならばその中から少しでも真言の術の実利に関わる話題を。
実利と保身に満ちた話題選びであるが、年頃の女性に傷の話を聞くなどずれているとしか言いようがない、所詮ウェイバー・ベルベットは女性と付き合いのない青二才であった。
実利と保身に満ちた話題選びであるが、年頃の女性に傷の話を聞くなどずれているとしか言いようがない、所詮ウェイバー・ベルベットは女性と付き合いのない青二才であった。
「あー、そっか。ボクが素足見せる機会なんてないもんねー。主様に手当してもらったこともなかったし」
あっけらかんと分身は返し、先ほどから浮かべていた笑みをさらに深める。
「んふふ、それはねー。お姉ちゃんの乙女心だよー。毎晩薄れてるの見て悲喜こもごもしてるんだもん」
「はぁ……?」
「はぁ……?」
まるで理解に及ばないウェイバーに対して、分身はそれ以上語ることはないとばかりに立ち上がる。
「また会ったらよろしくね? 日常だとボクの出番は多くはないから」
そう言ってウェイバーを部屋の入口まで押していこうとし、それにウェイバーは流される。
新たな真言を欲することに端を発したお話はこれでひとまずおしまい。
ウェイバー・ベルベットと侍従術士および分身との間に、再び道が交わるかは宿命と偶然の神々も及び知らぬところである。
新たな真言を欲することに端を発したお話はこれでひとまずおしまい。
ウェイバー・ベルベットと侍従術士および分身との間に、再び道が交わるかは宿命と偶然の神々も及び知らぬところである。
おまけ
ちょっと違う石斧の話
放浪牢人は宿泊している宿屋の廊下にて追い詰められていた。
追い詰めている相手は言わずと知れた侍従術士、想い人に誤解を受けてはたまらないと息を切らして走り込み、抱きつくように放浪牢人を捕まえて離さないでいる。
追い詰めている相手は言わずと知れた侍従術士、想い人に誤解を受けてはたまらないと息を切らして走り込み、抱きつくように放浪牢人を捕まえて離さないでいる。
「その、なんだ。誤解というのはどこが誤解だったのだろう」
放浪牢人はこれまで数々の石斧……俗称であり詳しい意味は定かではないを受けて、実のところ鈍感ではあるが男女の機微が起こっているであろう場面を冷静に俯瞰して見る能力が身につきつつあった。
自惚れでなければ彼女が自分に好意的であろう事も察してはいるし、それに理解を示したつもりであったのだが。
自惚れでなければ彼女が自分に好意的であろう事も察してはいるし、それに理解を示したつもりであったのだが。
「ホントになんもなかったんや! ただの真言の伝授や! 足書きっちゅーのは割と有用で……!」
一方侍従術士にとってはまるで冷静さを取り戻せない事態、誤解なぞされたら生きていけぬという勢いで身の潔白をまくし立てる。
放浪牢人はされるがままになりながら、やはり特に誤解をしていなかったのではと、疑問符を宙に浮かべながら少しずつ歩いて人目のない場所へと移っていった。
裏口から宿の外に出、侍従術士の言葉がループしていることを確認してから
放浪牢人はされるがままになりながら、やはり特に誤解をしていなかったのではと、疑問符を宙に浮かべながら少しずつ歩いて人目のない場所へと移っていった。
裏口から宿の外に出、侍従術士の言葉がループしていることを確認してから
「よくわかった。誰にでもそんな事をしてはいけない」
彼女が欲してるであろう叱責と執着の言葉を返す。
それを聞いてビクリと一度身を震わせた後、拘束する力は弱まり代わりに体を擦るように寄せてくる。
それを受けて放浪牢人は所在なさげに手を動かした後、そっと両肩を掴んで顔を見つめた。
それを聞いてビクリと一度身を震わせた後、拘束する力は弱まり代わりに体を擦るように寄せてくる。
それを受けて放浪牢人は所在なさげに手を動かした後、そっと両肩を掴んで顔を見つめた。
「主、様?」
涙が端に溜まった状態で侍従術士は困惑した目線を向ける。
「君は、自分の魅力をもっと自覚した方がいい。私が今回のことで言えるのはこれだけだ」
放浪牢人はほんのわずかに頬を染め、体ごと背を向け宿屋に向かおうとする。想像の外からの返事にぽつねんと取り残されかけた侍従術士に、放浪牢人は彼女を一人にしないようにそれとなく宿屋の裏口へとゆっくりと歩みを進める。
数瞬の後、侍従術士は大輪の花のような翳りのない満面の笑みを浮かべ、放浪牢人の横に向かって駆け込み腕を絡める。
数瞬の後、侍従術士は大輪の花のような翳りのない満面の笑みを浮かべ、放浪牢人の横に向かって駆け込み腕を絡める。
「んーふーふ、主様ぁ。それってぇ」
甘えるような声音を受けた牢人はいつも通りの場違い感や焦燥感を覚えながら、無自覚の独占欲が満ちることに安堵をしているのであった。
補足メモ
西洋文化圏では寝る時くらいしか靴脱がないので素足ってすごくエロいらしいですよ?(
《分身》なんて気軽に使っていいの?→寝る前だからへーきへーき
ウェイバー、こんなに女性に弱いっけ?→気づかなければ大丈夫だが気づいたらアウトって解釈でどうか。別名、スレでダイス振った時にどっちのパターンも取れるようにふわっとさせる
神殿で説法って?→人格的問題"は"ない、神官技能はごまかしの効かない信仰心が基本的に影響が大きい、じゃあ高い位階の神官がそういう事を頼まれることだってなくはないんじゃないかな
分身ちゃんの足に傷がないってどういうこと!!→術士ちゃんはあの傷を分身にだって渡したくないんだよ!牢人さんとの運命の岐路で槍兵さんとのリハビリの証なんだから!SS書きの捏造妄想だ!
牢術が解釈違いです→(致命傷)
《分身》なんて気軽に使っていいの?→寝る前だからへーきへーき
ウェイバー、こんなに女性に弱いっけ?→気づかなければ大丈夫だが気づいたらアウトって解釈でどうか。別名、スレでダイス振った時にどっちのパターンも取れるようにふわっとさせる
神殿で説法って?→人格的問題"は"ない、神官技能はごまかしの効かない信仰心が基本的に影響が大きい、じゃあ高い位階の神官がそういう事を頼まれることだってなくはないんじゃないかな
分身ちゃんの足に傷がないってどういうこと!!→術士ちゃんはあの傷を分身にだって渡したくないんだよ!牢人さんとの運命の岐路で槍兵さんとのリハビリの証なんだから!SS書きの捏造妄想だ!
牢術が解釈違いです→(致命傷)
当SSを書くにあたって参照した元ネタ
スギモドキ伐採
「失敗して書き直してしながら、
説明や会話で引き伸ばしてたんだよ……!
靴先で真言とか、必要になるとか誰が思うか!
指だろ! そこは!
《幻影》教えた対価が、足で真言を書く技術って
なんだよ! 金無いのは知ってるけど!!」
説明や会話で引き伸ばしてたんだよ……!
靴先で真言とか、必要になるとか誰が思うか!
指だろ! そこは!
《幻影》教えた対価が、足で真言を書く技術って
なんだよ! 金無いのは知ってるけど!!」
黒曜等級依頼 訓練所の整備
「そう、だな。しかし……傷跡はほぼ消えた、か」
「それに、実家に居た頃に比べれば女性らしい曲線になってきたな」
「それに、実家に居た頃に比べれば女性らしい曲線になってきたな」
「……主様もそういう風な見方するんやな」
「ふーん、ほぉー……」
「へぇー……」
「へぇー……」
「さぁ先を急ぐかいっそ一思いに殺せ……!!」
「主様ー。治療のための事やし、ウチ嫌とは言っとらんからな?」
「治療のため、そして一党の仲間に対してそういう見方・発言を
してしまった事に対して私が落ち着かんのだ……!!」
してしまった事に対して私が落ち着かんのだ……!!」
ある冒険者たちの挑戦 ガントレットいちご味
「……つまり、ウチはもう主様の侍従として
振る舞う必要はないと。お役御免だと」
振る舞う必要はないと。お役御免だと」
「―――ほんなら!
自由意志でアンタの後ろぉついて行かせて
貰いますわ、このスカタン主様!
助けるだけ助けてポイかい! ザッケんなや!」
自由意志でアンタの後ろぉついて行かせて
貰いますわ、このスカタン主様!
助けるだけ助けてポイかい! ザッケんなや!」
「ポイかい! ウチ、もう、要らん子かい……っ!
やだぁ……!!」
やだぁ……!!」
妄想着手点
物語的な意味での原典。冒険が続くにつれて変わったことはたくさんあるし、もう牢人さん自身が術士ちゃん無しではダメだって自他ともに認めてるけど
術士ちゃんからするとこの時の感覚はきっと正式にお付き合いしてから幸せになるまで大なり小なり残ると思う。
術士ちゃんからするとこの時の感覚はきっと正式にお付き合いしてから幸せになるまで大なり小なり残ると思う。
今回はそれに加えてスレではあまり見ない第三者を交えた恋愛的な関係のもつれの超軽いものを入れて、
術士ちゃんに焦ってもらいました。
術士ちゃんに焦ってもらいました。
各々のフィロソフィー
「“託宣”など、今思えば都合のいい理由付けだったのかもしれないな。
私が憧れた冒険者は、必死に冒険に挑んでいた」
私が憧れた冒険者は、必死に冒険に挑んでいた」
「認識票も何も無くても。
目の前の理不尽に必死に挑む“冒険者”に憧れた。
自らを、周囲の誰かを救おうと足掻く姿に憧れた。
それが、私の原風景だ」
目の前の理不尽に必死に挑む“冒険者”に憧れた。
自らを、周囲の誰かを救おうと足掻く姿に憧れた。
それが、私の原風景だ」
「辛い?
―――違う。私はとっくに、その“冒険者”に救われている」
―――違う。私はとっくに、その“冒険者”に救われている」
妄想着手点
牢人さんの原典。恋愛的な意味かはさておいて、クソ重感情という意味ではまったく劣らない似た者主従。
生真面目なリミッターを解除したら術士ちゃんが真っ赤になって動けなくなるくらい石斧振り回すバーサーカーになるんじゃないかって思って書いた。
生真面目なリミッターを解除したら術士ちゃんが真っ赤になって動けなくなるくらい石斧振り回すバーサーカーになるんじゃないかって思って書いた。
ネタ振り
それはそれとして、術士ちゃんの足をじっくりねっとりは羨ましいです(真顔)
牢人さんは不機嫌というより、「誰にでもそんな事をしては」「自分の魅力を自覚したほうが」とかいって、
術士ちゃんがニヤけ始めて、自分で墓穴を深く掘るんじゃろうなぁ……。
それはそれとして、内心の落ち着かなさはありそう。
術士ちゃんがニヤけ始めて、自分で墓穴を深く掘るんじゃろうなぁ……。
それはそれとして、内心の落ち着かなさはありそう。
読者という名の同胞
屋敷にいた時よりは健康的で女性らしい体つきになったが槍兵さんに胸囲が追い付かれた術士ちゃん
健脚に戻った脚と合わせて考えるとつまり彼女は下半身がムッチリし始めているな
健脚に戻った脚と合わせて考えるとつまり彼女は下半身がムッチリし始めているな
分身ちゃんは逆に上半身がふくよからしい?
もしそうだとしたら丘だ谷間だと大騒ぎしてた件から
ちょっと理想を反映して夢盛り状態という術士ちゃんの乙女心の発露になるのか……w
術士ちゃん、脚のリハビリ兼ねてずっと練習してたんじゃないだろうかという妄想
ただ手札増やしたかっただけなのに、toLoveりたいわけでもない女子の足を凝視させられる過労死よ
ホラホラ、ちゃんとバレないようにつまさきだけで真言書くコツじっくりねっとり見て覚えるんだよ
ホラホラ、ちゃんとバレないようにつまさきだけで真言書くコツじっくりねっとり見て覚えるんだよ
だとしても茶々入れか現実引き戻す第三者を入れてバランスとるかなあ?
最後に
石斧を書こうとすると参照できる元ネタが多すぎて返って悩む
もはや読者のネタも無節操に取り込んで整合性の取れる範囲でぶち込んで鍋にしてしまえ……!
分身ちゃんが生えたのは間違いなく読者の雑談のせいです、牢人さんぶちこんで1シーン増えたのも
普段のスレにレスする石斧に比べて自分で振るのに重すぎてこれもう非力な人が斧槍抱えてプルプルしてる気分になった
もはや読者のネタも無節操に取り込んで整合性の取れる範囲でぶち込んで鍋にしてしまえ……!
分身ちゃんが生えたのは間違いなく読者の雑談のせいです、牢人さんぶちこんで1シーン増えたのも
普段のスレにレスする石斧に比べて自分で振るのに重すぎてこれもう非力な人が斧槍抱えてプルプルしてる気分になった