◇アリゾナ・ダイヤモンドバックス
(斎藤隆:2011、平野佳寿:2018~2019)
略称は「
ARI(AZ)」。本拠地球場はチェイス・フィールド。「Dバックス」と表記されることもある。チーム目は地元に生息するダイヤガラガラヘビに由来している。
本拠地のチェイス・フィールドはアリゾナという年間を通して温かい地域にあることや海抜332mという高所に位置することから打球が飛びやすく、打者有利球場として知られる。中堅が深くフェンスが高いために本塁打は出にくいものの、複雑な形状の外野フェンスから二・三塁打が出やすい。さらに右中間の外野席にはプールがあり、直接打球が飛び込む「プール・ショット」が発生することもある。
1998年の球団拡張によってデビルレイズとともに誕生した球団。創設から15年で地区優勝5回、その後もリーグ優勝1回を含む2度のポストシーズン進出があり、2001年にはマーリンズの記録を更新する創設4年目で世界一という史上最速の偉業を達成している。
また、2010年オフにはダルビッシュの獲得に名乗りを挙げ、最大総額65億円を用意するとの報道があったが実現せず、2011年オフに斎藤隆を獲得したことで初の日本人選手になったが、怪我で成績が振るわなかった。
なお、2017年から就任したトーリ・ロブロ監督は2000年に日本のヤクルトでプレーしており、その縁から2023年の春季キャンプで
古田敦也が臨時コーチをしている。
○
金炳賢(投手)
アンダースローながら最速150km/hを超える速球を誇るコリアンサブマリン。
1999年にメジャーデビューし、2001年にはアジア人初のワールドシリーズ出場を果たした。2011年には日本の楽天にも入団したが、
一度も一軍で登板することなく退団。それなりのメジャー経験のある外国人投手が一軍登板なく終わったのは異例。
一方、日本では2006年の第1回WBC準決勝にて代打で出場した今大会絶不調の福留孝介に2ランを浴びた投手としても有名で、実況の松下賢次アナウンサーの「
生き返れ福留!」とともに長く語り継がれている。
○ランディ・ジョンソン(投手)
身長208cmを誇る長身サウスポー投手。左投手として歴代最多の5回のサイ・ヤング賞を受賞し、歴代2位の通算4875奪三振を記録した。「
MLB最高のサウスポー」との呼び声も高い。背番号「51」はダイヤモンドバックスとマリナーズ双方で永久欠番となっている。(マリナーズはイチローと連名)
実績もさることながら
投げた球が飛んできた鳩に直撃し鳩を殺してしまうというアクシデントも有名。流石に本人もショックを受けたらしくその日は炎上してしまった。
プライベートではドラム演奏が趣味で、その腕前もプロ級。日本のメディアに出演した際にはザ・ドリフターズの加藤茶とドラム対決をしたこともあった。
引退後はフォトグラファーに転身。
NFLの公式カメラマンとして活動する姿も目撃されている。
○アレックス・カブレラ(一塁手)
2000年代に主に日本の西武で活躍し、2度のリーグ優勝と2004年の日本一に大きく貢献。ローズに並ぶパ・リーグ記録にして現在でも3位タイとなるシーズン55本塁打を記録するなどNPB通算357本塁打を放ったスラッガー。
近鉄時代のローズとは激しい本塁打王争いを繰り広げており、2003年には50本塁打を放ちながら1本差でタイトルを逃すというハイレベルな対決だった。
○ルビー・デラロサ(投手)
2019年6月に日本の巨人に入団し、途中加入ながらクローザーを任されて5年ぶりのリーグ優勝の胴上げ投手になったドミニカン。
その後はセットアッパーも務めて2022年まで所属。MLB時代は98試合中70試合が先発で、通算成績も26勝30敗と負け越していたが、NPBの4年間は137試合全てリリーフで4勝無敗だった。
○
平野佳寿(投手)
長らくオリックスでセットアッパーやクローザーを務めた後、第4回WBCに出場した2017年オフに渡米。
ダイヤモンドバックスでもセットアッパーとして活躍し、マリナーズへの移籍を経て2021年より古巣に復帰。2023年にはNPB史上初となる日米通算200セーブ・200ホールドの快挙を達成し、さらにパ・リーグ史上初となる
日米通算250セーブを挙げて名球会入りを果たした。
○トーリ・ロブロ(内野手・監督)
現役時代は7球団を転々とし、上記のように2000年には日本のヤクルトに所属。
引退後はブルージェイズやレッドソックスでコーチを歴任し、2017年からダイヤモンドバックスの監督に就任。1年目からチームを6年ぶりのポストシーズン進出に導いた功績を評価されて最優秀監督賞を受賞し、2023年には22年ぶりのリーグ優勝とワールドシリーズ進出を達成した。
NPBでの経験を生かして犠打も積極的に行っており、時間厳守や早出特練、身だしなみや球場環境の手入れといった野球への姿勢も徹底させている。
○スコット・マクガフ(投手)
日本ではロブロ監督の古巣でもあったヤクルトでリーグ連覇と2021年の日本一に貢献したクローザー。
ヤクルトでは4年とも50試合以上に登板するというタフネスぶりを発揮。来日当初はセットアッパーだったが2021年の途中からクローザーを務めるようになり、リーグ連覇に大きく貢献。
オリックスとの2年連続の日本シリーズでは2021年に日本一の胴上げ投手になった一方、この年の第1戦と2022年も含めた両年の第5戦ではサヨナラ負けを喫しており、シリーズワーストとなるリリーフ3敗の記録を残してしまった。このうち2敗は吉田に打たれたものであり、彼自身も「断トツで最高の打者」と認めている。
当初はMLB復帰を目指しての腰かけという側面が強かったようだが、日本でプレーする中で野球の質が予想以上だったことやヤクルトファンが素晴らしかったことなどを理由に家族ともども日本を気に入り、一時は野球選手としての残りのキャリアを日本で過ごすことまで検討していたという。
結果4年を日本で過ごし、2022年オフに移籍。2023年は2勝7敗の負け越しを喫し、2024年には指名打者解除と野手を使い切っていたせいでMLB初打席を経験。オフにマイナー再契約を経てメジャーに復帰したが、再び放出された。
○チアゴ・ビエイラ(投手)
2013年の第3回WBCではブラジル代表として出場経験があり、2020年~2022年の3年間で日本の巨人に所属し、NPB最速となる166km/hを計測した剛速球の持ち主。
それ以外にも日本シリーズ最速となる164km/h、オールスター最速となる163km/hをそれぞれ計測し、外国人投手のNPB記録となる32試合連続無失点を達成するなどさまざまな記録を持つ。
2024年6月にダイヤモンドバックスへ加入したが、2025年にトミー・ジョン手術を受けたことで自由契約になった。
当時の原監督からは努力家で研究熱心な姿勢を評価されていた。普段は明るく陽気な性格だが試合になると性格が変わり、打者を抑えた際には激しい雄叫びを上げることも多い。
☆林昱珉(投手)
マイナーに所属する、将来を渇望される台湾出身の若手サウスポー。アジア人らしからぬ両腕の刺青が特徴。
2024年の第3回プレミア12にも出場し、台湾のエースとして活躍。当初はスーパーラウンドでの侍ジャパン戦に先発する予定だったが、順位の関係で翌日の決勝での再戦が決定したため、罰金を払ってまで登板を回避。
満を持して臨んだ決勝では日の丸打線を4回1安打無失点に抑える好投を披露し、優勝に大きく貢献した。
☆コービン・バーンズ(投手)
ブルワーズ時代の2021年には開幕から無四球で58奪三振というMLB記録を叩き出し、サイ・ヤング賞も受賞したエース。翌年にもリーグ1位の243奪三振を記録し、投手陣の主軸を担っていた。
2024年はオリオールズに所属し、2025年からダイヤモンドバックスに加入したが、6月にトミー・ジョン手術を受けたことでシーズンを終えた。
◇コロラド・ロッキーズ
(吉井理人:2000、マック鈴木:2001、松井稼頭央:2006~2007)
略称は「COL」。本拠地球場はクアーズ・フィールド。
1993年の球団拡張でマーリンズとともに誕生した、ロッキー山脈のただ中にあるデンバーを本拠地とするチーム。キリスト教信仰を重視しており、ロッカールームやトレーニングルームからは俗世的な雑誌は排され、スポーツ雑誌などの他に聖書が置かれており、壁にも聖書からの引用文などが掲げられて日曜日には礼拝も行われている。
2007年にワイルドカードから球団史上初のリーグ優勝を達成したが、ワールドシリーズでは松坂が所属していたレッドソックスに4連敗のスイープで敗退しており、通算でもレイズ・マリナーズ・ブルワーズとともに世界一の経験がないチームの1つ。マーリンズと同様に地区優勝の経験もない。
本拠地のクアーズ・フィールドは標高1600mの高地にあり、「マイル・ハイ」とも呼ばれる。低気圧と空気抵抗の少なさから打球が非常に飛びやすく、変化球が曲がりにくくなるなど恐ろしいまでの打者有利環境であることから「投手の墓場」として知られる。球場自体は広いので本塁打が極端に出やすいわけではないが、むしろそれ以外の長打は非常に出やすくなっている。それゆえに伝統的に強打者が揃っており、極めて投低打高が顕著なチーム。
このため、1-0のスコアで終わった試合は1995年4月26日の開場から10年後の2005年7月9日までなく、かつこれまで11回しか起きていない。
ノーヒットノーラン達成者に至っては1996年9月17日の野茂ただ1人である。
2025年は打線すらも振るわず、開幕から前年のホワイトソックスすら凌駕するほどの異次元の負けっぷりを披露。40試合を終えた時点で2度の8連敗を含めた7勝33敗と最下位を独走し、6月1日には59試合で50敗という近代MLB最速記録を樹立。最終成績は43勝119敗で、辛うじて前年のホワイトソックスよりは勝てたものの、4位のダイヤモンドバックスにすら37ゲーム差をつけられただけでなく、得失点も597得点に対して1021失点と4桁を記録。その差はマイナス424点で、これは1932年のレッドソックスが記録したマイナス349点をも上回るMLBワースト記録を樹立した。
○レックス・ブラザーズ(投手)
2013年は崩壊した投手陣の中で72試合に登板し、さらにボールがピンポン玉のように飛ぶ魔境と言われる本拠地にあって防御率1.74と驚異的な数字を残した。
○マイケル・カダイアー(右翼手)
2013年は打率.331で初のタイトルとなる首位打者を獲得し、オールスターにも出場。
2015年をもって引退。
○チャーリー・ブラックモン(外野手)
2008年のドラフト指名からそのキャリアをロッキーズ一筋で貫いたフランチャイズ・プレイヤー。
打者有利の本拠地の恩恵も受けて2017年には打率.331で首位打者を獲得。4度のオールスター出場に2度のシルバースラッガー賞にも輝いた名手であり、名実ともにチームの屋台骨を支え続けた。
2024年に突如引退を発表。引退試合は大谷が所属するドジャース戦で行われ、日本でも大谷が現役最後の安打を放ったブラックモンに対し、ボールボーイに記念ボールを残しておくよう指示する相手への敬意を欠かさない粋な仕草などが注目を集めた。
なお、デビュー以降伸ばし続けてきた分厚い髭に覆われたイカつい風貌に反して、学生時代は学業でも優秀な成績を収めたインテリでもあり、また自身のSNS上では「チャック・ナッツィー」としてネタツイートやおもしろ画像などをなどもしきりに投稿している。
☆カイル・フリーランド(投手)
ロッキーズ一筋のエース。2018年には投手地獄の本拠地で17勝7敗・防御率2.85・173奪三振という成績を残してポストシーズン進出に貢献した。2023年の第5回WBCでは代替選手としてアメリカ代表にも選ばれている。
近年は打たれることも多く、2025年にはチームの大不振もあってリーグ最多の17敗を喫しているが、それでもなお年中投壊気味のロッキーズにおいてイニングイーターとしての役割を全うしている。
☆クリス・ブライアント(三塁手・外野手)
カブス時代の2015年には新人王に輝き、続く2016年はシーズンMVPを受賞するなど108年ぶりの世界一に大きく貢献した選手。
2022年から7年契約でロッキーズに加入したが、新天地では怪我もあって攻守ともに不振に陥っている。
◇ロサンゼルス・ドジャース
(野茂英雄:1995~1998, 2002~2004、石井一久:2002~2004、木田優夫:2003~2004、中村紀洋:2005、斎藤隆:2006~2008、黒田博樹:2008~2011、前田健太:2016~2019、ダルビッシュ有:2017、筒香嘉智:2021、
大谷翔平・
山本由伸:2024~、
佐々木朗希:2025~)
略称は「
LAD」。本拠地球場はドジャー・スタジアム。
1884年にニューヨークはブルックリンで創設された名門球団であり、このチーム名は地元民が頻繁に運転されていた路面電車を『避ける(dodge)』人たち=dodger』と呼ばれていたことに由来する。。1958年にロサンゼルスへ移転してからは人気・実力ともに同じ街のエンゼルスを凌駕しており、リーグ優勝24回・世界一8回はいずれもリーグトップクラス。ナ・リーグの雄としてヤンキースとはワールドシリーズで12回対戦しており、これはポストシーズン全体でも最多の対戦カードになっている。州間高速道路5号線でつながっているエンゼルスとの対戦は「フリーウェイ・シリーズ」と呼ばれる。
本拠地のドジャー・スタジアムは現在のMLBの球場では非常に珍しい左右対称構造の「普通の」球場で、フェンスが低く本塁打が出やすいことを除けば投打中立の球場。その特性上オリンピックやWBCの会場にもよく使われ、2009年の第2回WBCでは侍ジャパンが連覇を達成したのもこの球場。チームの人気もあり、当球場で販売される「ドジャー・ドッグ」は
世界で最も有名なホットドッグとも言われている。
野球の試合作りをマニュアル化した『ドジャースの戦法』という書籍を世に出し、巨人の「V9」の基礎になったり、ユニフォームのデザインがほぼそのまま
星野仙一監督時代の中日に採用されたりと、日本の野球にも多大な影響を与えたことでも知られる。
1995年に野茂が入団したことで一気に日本での知名度が上がり、日本では既に終わった選手とされていた斎藤隆が大活躍するなど日本人選手の獲得にも積極的。
1988年を最後にリーグ優勝から長らく遠ざかったが、2012年3月末にオーナーが変わって資金力が豊富になったこともあり徐々に復活。2013年以降は2021年を除いて毎年のように地区優勝を達成しており、2017年には29年ぶりのリーグ優勝を果たすと、2020年には1勝3敗から3連勝でリーグ優勝決定シリーズを突破して32年ぶりの世界一を達成。
2023年オフには大谷翔平・山本由伸という日本人スターを獲得し、
2人で約10億ドルというとんでもない契約額も話題に。4年連続の100勝こそ逃したものの30球団最高勝率となる.605(98勝64敗)を記録し、地区3連覇を達成。ポストシーズンではパドレスとメッツを破り、4年ぶりのリーグ優勝。
ワールドシリーズでは42年ぶりにヤンキースとの対戦になり、大谷とジャッジという史上初の「50本塁打以上対決」を制して4年ぶりの世界一も達成した。
オフにも佐々木朗希を筆頭に次々と選手を獲得するなど戦力増強に余念がなく、MLB屈指の大正義球団として君臨するとともに、大谷の活躍から日本でも別格の注目を集めている。
○ジャッキー・ロビンソン(二塁手・一塁手)
有色人種排除の方針が確立されていた中で初めてアフリカ系アメリカ人選手としてデビューした「近代MLB初の黒人メジャーリーガー」。
28歳という遅いメジャーデビューであったが、全盛期の黒人差別とも戦いながら首位打者1回・盗塁王2回、1949年のMVP受賞など40年代後半から50年代前半にかけて中心選手としてドジャースを牽引。1955年には悲願となる球団史上初の世界一にも貢献した。
有色人種のMLB参加の道を開いた彼の栄誉を称え、1997年以降はMLB全球団共通で背番号「42」が永久欠番に指定されている。
また、1947年より表彰が始まった新人王の初代受賞者でもあり、1987年以降は「ジャッキー・ロビンソン賞」という副賞名として彼の名が刻まれている。
○トミー・ラソーダ(投手・監督)
現役時代はわずか26試合で通算0勝4敗・防御率6.48と鳴かず飛ばずだったが、監督としては1976年~1996年の21年間に渡ってドジャースを率い、地区優勝8回・リーグ優勝4回・世界一2回を達成。退任後は監督時の背番号「2」が球団の永久欠番に指定され、2000年のシドニー五輪では当時72歳という高齢ながらマイナー選手を中心に編成されたアメリカ代表の監督を務め、金メダル獲得に導いた。
大の親日家としても知られ、星野監督にドジャースのユニフォームデザインの使用を快諾し、監督晩年には渡米したばかりの野茂を指導。退任後の2001年にはその縁で近鉄のスペシャルアドバイザーを務め、ドジャースのマイナー選手たちを次々と日本に送り込んで球団最後のリーグ優勝に貢献し、2006年にはこの年から始まったWBCの親善大使を務めた。2017年の第4回WBC準決勝では野茂とともに始球式に登場している。
2021年に93歳で死去。球団の永久欠番選手では最も長く存命した人物であった。
◯
サンディ・コーファックス(投手)
11年のプロ生活をドジャース一筋で過ごしたフランチャイズ・プレイヤー。
若手時代は球速こそ速かったもののコントロールが全くないノーコン投手だったが、フォーム改造や投球スタイルを変更したことで制球が向上。その才能を開花させる。
しかし登板過多による怪我を理由に30歳の若さで引退。まさに「太く短く」を体現した投手と言える。
引退後はドジャースのスペシャルアドバイザーを務めている。
○マイク・ソーシア(捕手・監督)
現役時代はドジャース一筋で活躍した捕手。
引退後は2000年~2018年に渡ってエンゼルスの監督を務め、2002年には球団史上初の世界一に導いており、最終年の2018年には渡米したばかりの大谷を指導。2021年の東京五輪ではアメリカ代表を率いて銀メダルを獲得し、いったんは退任したものの2024年の第3回プレミア12で再び就任した。
○野茂英雄(投手)
ご存じ、日本人メジャーリーガーのパイオニア。
いずれもアジア人史上初の偉業となるノーヒットノーラン2回・最多奪三振2回・新人王を達成。それ以外にも日本人初となるMLB通算100勝、史上初となる日米通算200勝、日本人記録となるMLB通算123勝などさまざまな実績を持つ。
○エリック・ガニエ(投手)
2002年~2004年のわずか3年の全盛期に圧倒的な輝きを残したクローザー。84試合連続セーブのMLB記録を持ち、2003年にはセーブ王となる55セーブを挙げる活躍でリリーフ投手ながらサイ・ヤング賞を受賞している。
○
ジェフ・ウィリアムス(投手)
2003年~2009年に日本の阪神でプレーし、
藤川球児・久保田智之とともに「
JFK」を構成して2度のリーグ優勝に大きく貢献したオーストラリア出身セットアッパー。
1996年のアトランタ五輪と2000年のシドニー五輪にも出場しており、後者では侍ジャパン打線を沈黙させて銀メダル獲得に貢献した。
○マイク・ピアッツァ(捕手・指名打者)
野茂とバッテリーを組んだことで知られるイタリア系アメリカ人捕手。背番号「31」はメッツの永久欠番に指定されている。
ドラフト全体の1389巡目という超低順位指名から這い上がった苦労人でもある。
所謂「打撃型捕手」の筆頭でありシルバースラッガー賞の常連だった一方で守備面では長らく低評価が続いていた。
2006年の第1回WBCにはイタリア代表として出場しており、引退後もイタリア代表でコーチを務め、2019年から監督に就任。2023年の第5回WBCでは準々決勝で侍ジャパンと対戦した。
○デーブ・ロバーツ(外野手・監督)
返還直後の1972年に沖縄県で生まれ、日本人の母親を持つ日系人でもある。
選手としてはレッドソックス時代の2004年、ヤンキースに3連敗して後がなくなったリーグ優勝決定シリーズ第4戦にて9回1点ビハインドから代走で登場し、絶体絶命の局面から盗塁を決めてその後の4連勝、ひいては世界一への逆転に流れをつないだことで有名。
引退後はMLB初の日本出身監督になり、2016年からはドジャースの監督を務める。2020年には日系監督として初の世界一に導き、2024年も大谷を筆頭とするMVPトリオや山本らを率いて4年ぶりの世界一を達成した。
○ボビー・バレンタイン(内野手・外野手・監督)
監督として日米通算1600勝を挙げた指揮官。日本では2度に渡ってロッテの監督を務め、特に
2005年は伝説を作って外国人監督史上初の日本一を達成し、この年から始まった「アジアシリーズ」の初代王者にも導いた。
○エイドリアン・ゴンザレス(一塁手)
2014年のナ・リーグ打点王に輝いたメキシカン。国際大会では2006年の第1回から2017年の第4回WBCと2021年の東京五輪にも出場経験がある。
左右に打ち分ける打撃技術と逆方向にも本塁打を打てるパワーを兼ね備えており、ドジャース打線を牽引した。
兄のエドガーも野球選手で、日本の巨人でプレーした経験がある。
○ヤシエル・プイグ(右翼手)
2013年に突如として現れたキューバ出身の強肩強打の大型新人。メジャー昇格を果たしてブレイクするとチームも快進撃を見せた。
6月の昇格ながら最終的には打率.319・19本塁打・42打点を記録。さらに6月の月間MVPを受賞したが、デビューした月の受賞は1958年に月間MVPが制定されて以来史上初であり、デビュー月の打率.436(60打席以上)は1900年以降の近代MLBで史上最高だった。
その後も故障で精彩を欠いたシーズンこそあったが2018年まで活躍し、オフにトレードで退団した。
○
黒田博樹(投手)
2004年のアテネ五輪にも出場した広島のエース。日本人投手史上初の先発勝利数のみで日米通算200勝かつ大卒投手初の先発200勝を達成した人物でもある。
2007年オフにFAでドジャースに加入したが、好投を見せながらも毎年のように打線の援護に恵まれなったことでも有名。
その後はヤンキースへの所属を経て、2014年オフにMLBからの高額オファーを断ってまで古巣に復帰。2016年のリーグ優勝を花道に勇退し、背番号「15」は球団投手初の永久欠番に指定された。
○アンドレ・ジャクソン(投手)
力強い直球とチェンジアップを武器とし、豪快な毛量と髭がトレードマークの投手。
2024年からは日本のDeNAでプレー。当初は不安定な投球が続いたものの、球団スタッフに前年所属したバウアーがどうしていたか訪ねるなど試行錯誤し、再昇格後は安定した投球を続けて球団の外国人投手では2014年のギジェルモ・モスコーソ以来の規定投球回に到達。
ソフトバンクとの日本シリーズでは第1戦と第5戦に先発し、第1戦では敗れこそしたもののシリーズタイ記録となる5者連続奪三振を達成。第5戦でも7回無失点8奪三振の好投を披露して26年ぶりの日本一に大きく貢献し、優秀選手賞に輝いた。
同時期には古巣のドジャースが世界一を達成しており、かつてのチームメイトたちに祝福のコメントを送った。
☆クレイトン・カーショウ(投手)
2009年から10年連続防御率3点以下を記録し、2014年にはMVPとサイ・ヤング賞を同時受賞するなどドジャース一筋でエースとして活躍するベテラン。2010年代後半からは怪我もあって少しずつ成績を落としてはいるがそれでもまだまだ健在で、メジャー最強左腕とも言われている。
一方でポストシーズンでは盛大に炎上することも多く、逆ポストシーズン男の典型例としても知られる。
2025年をもって引退を表明。メジャーデビューの同期である黒田との交友でも知られている。
☆フレディ・フリーマン(一塁手)
通算2200安打・300本塁打以上を誇る強打のベテラン一塁手。ブレーブス時代の2020年にはMVPを受賞した他、カナダ国籍でもあることから2017年の第4回と2023年の第5回WBCにはカナダ代表としても出場。
2024年は終盤に負傷しながらも出場を強行して4年ぶりのリーグ優勝に貢献。ヤンキースとのワールドシリーズでは第1戦にシリーズ史上初となる逆転サヨナラ満塁本塁打を放つと、そこから第4戦まで全試合で本塁打を放ち、ブレーブス時代と合わせてMLB新記録となるシリーズ6試合連続本塁打を達成。
最終的に打率.300・4本塁打・12打点(タイ記録)という好成績で4年ぶりの世界一に大きく貢献し、シリーズMVPに輝いた。
☆ムーキー・ベッツ(外野手・二塁手・遊撃手)
レッドソックス時代の2018年にはMVPを獲得した選手。
2015年以降は毎年のように2桁本塁打と盗塁を記録する俊足好打の選手で、ゴールドグラブ賞を6回受賞するなど守備面での評価も高い。
2024年は大谷・フリーマンとの強力なMVPトリオで4年ぶりのリーグ優勝の原動力になり、ヤンキースとのワールドシリーズでも第5戦に決勝の犠飛を放ち、4年ぶりの世界一にも大きく貢献した。
2023年の第5回WBCにアメリカ代表として出場しており、決勝戦前に大谷が語った「憧れるのをやめましょう」の訓示で言及された名選手の1人。
☆キケ・ヘルナンデス(内野手・外野手)
内外野の各ポジションを守れるプエルトリコ出身ユーティリティー。野手登板の経験もある。
2020年に32年ぶりの世界一に貢献した後レッドソックスへ移籍し、2023年途中にドジャースへ復帰。続く2024年にはパドレスとの地区シリーズ第5戦でダルビッシュから先制本塁打を放つなど4年ぶりの世界一に貢献した。
2017年の第4回と2023年の第5回WBCに出場しており、明るい性格のムードメーカー。2017年のリーグ優勝決定シリーズでは1試合3本塁打を放つなどポストシーズンでは高い勝負強さを誇る。
☆
大谷翔平(投手・指名打者)
ご存じ稀代の二刀流。投手専念で出場した2015年の第1回プレミア12では2試合で13イニング無失点の快投を披露し、最優秀防御率と投手の大会ベストナインに輝いた。
2016年に日本ハムを日本一に導いた後、2017年オフにさまざまな球団からのオファーを蹴って二刀流を認めてくれるエンゼルスに入団。
渡米後は長いMLBの歴史の中でも数々の偉業を達成し続けてきており、2022年には
MLB史上初となる規定投球回・規定打席の投打ダブル規定到達の御業を演じるなどメジャーでも二刀流として大活躍。もはや現在ではアメリカの野球少年の憧れの存在となっている。ついには投手と指名打者を兼任できる「
大谷ルール」なる
指名打者の意義を根底から覆してしまうルールが制定されるなど、野球の概念そのものに影響を与える存在にすらなりつつある。
2023年の第5回WBCでもエース兼主砲として活躍し、日本中を歓喜の渦に巻き込んだ。最後は指名打者を解除して当時のチームメイトであるトラウトを空振り三振に打ち取り胴上げ投手に。少年時代から描いていた大会MVPの夢を叶えた。
一方、エンゼルス時代は「なおエ」なる言葉が一般層にまで定着するほど冴えない成績だったためか、2023年オフに
10年7億ドルというMLBはおろか当時のプロスポーツ選手最高額で同じ街の強豪であるドジャースに移籍。
右肘の手術の関係で2024年は打者に専念した結果、
MLB史上初となる50-50を達成するなど世界中に「打者大谷の極致」を感じさせ、悲願のリーグ優勝と世界一の歓喜を味わった。オフには当然のように2年連続で満票MVPを受賞し、フランク・ロビンソン以来史上2人目、リーグをまたいだ2年連続としては史上初の両リーグMVPになった。1973年の導入以来指名打者専任で受賞したのも史上初である。
☆
山本由伸(投手)
2021年~2023年の3年間で49勝16敗と圧倒的な成績を残し、3年連続沢村賞・投手4冠を含めたタイトル総なめに2リーグ制後初の2年連続ノーヒットノーランを達成するなど、2年連続最下位からリーグ3連覇に導いたオリックスのエース。
2023年には日本一連覇こそならなかったが、第6戦でシリーズ最多となる14奪三振を記録してシリーズ初勝利とともに完投勝利し、オフにポスティングシステムで投手史上最高額となる12年3億2500万ドルの契約を結んでドジャースに入団。
移籍交渉の席にはベッツやフリーマンとともに大谷が直接出席しており、これが決め手の1つになったと入団会見で発言している。
メジャーデビュー戦になった韓国での開幕2戦目こそ打ち込まれたものの、その後は安定した投球を披露。故障した時期はあったものの逆王手をかけたパドレスとの地区シリーズ第5戦ではダルビッシュと史上初の「ポストシーズン日本人対決」を制した。
ヤンキースとのワールドシリーズ第2戦では7回途中1安打1失点の好投を見せ、松坂以来2人目となる日本人勝利投手になるなど4年ぶりの世界一に大きく貢献。26歳での世界一は日本人最年少であり、2019年の第2回プレミア12優勝・2021年の東京五輪金メダル(右投手のベストナイン)・2022年のオリックスの日本一・2023年のWBC優勝を含めた5冠達成が話題に。
2025年はカブスとの開幕戦を東京ドームで迎えることもあり、MLBでは初めての開幕投手に指名。今永・菊池とともにMLB史上初めて1シーズンで3人の日本人開幕投手が誕生するとともに、今永とこちらも史上初の「開幕戦日本人投手対決」を繰り広げ、5回1失点の好投で開幕戦勝利を挙げた。
1年間ローテーションを守ってエースとして活躍し、30試合で12勝8敗・防御率2.49の成績で終えた。
☆テオスカー・ヘルナンデス(外野手)
2015年の第1回プレミア12や2023年の第5回WBCにも出場したドミニカン。日本では本塁打を打った同僚にヒマワリの種を投げつける祝福の儀式を行う選手としても有名。
2024年からドジャースに加入。オールスターのホームランダービーでは球団史上初の優勝を達成し、シーズンでもキャリアハイとなる33本塁打を放ち、主にMVPトリオに続く4番を務めて4年ぶりの世界一に貢献。オフにFAになり、一時は移籍の噂もあったが最終的に3年6600万ドルの契約で残留した。
大谷とは2021年のオールスターで親交を深めるようになり、2024年からはチームメイトになった。
☆ジオバニー・ガイェゴス(投手)
2017年の第4回と2023年の第5回WBCではメキシコ代表として出場しており、カージナルス時代の後者ではクローザーとして活躍。侍ジャパンとの準決勝では1点リードを守れずに逆転サヨナラ負けを喫したが、「日本にやられたなら諦めもつく」と素直に勝利を認めていた。
しかしシーズンでも悪い流れを引きずったように防御率4.42と振るわず、続く2024年も防御率6.53と精彩を欠いたことで8月に放出され、ツインズ傘下を経てオフにドジャースとマイナー契約を結んだ。
☆トミー・エドマン(内野手・外野手)
二塁・三塁・遊撃に外野を高い守備力で守るユーティリティー性にスイッチヒッター、そして俊足が武器の韓国人ハーフ。
2024年途中にカージナルスから移籍し、リーグ優勝決定シリーズではMVPに輝く活躍で4年ぶりの世界一に大きく貢献した。
一方、日本の野球ファンの間では韓国代表として出場した2023年の第5回WBCにおいて、オーストラリア戦で1点ビハインドの9回2死から盗塁失敗でゲームセットになったことで「
鳥谷になれなかった男」としても話題に。
☆ブレイク・スネル(投手)
2018年と2023年にサイ・ヤング賞を受賞した左腕。
ジャイアンツ時代の2024年にはノーヒットノーランを達成しており、オフにFAを経て先発投手の補強を進めていたドジャースに加入した。
☆佐々木朗希(投手)
2022年に史上最年少で完全試合を達成し、NPBタイ記録となる1試合19奪三振に13者連続奪三振の世界記録を樹立するなどその名を轟かせた「令和の怪物」。
高校時代には大谷をも上回る高校生最速の163km/hを記録し、プロ入り後も日本人最速タイの165km/hを計測するほどの剛速球と最速150km/hを誇る高速フォークが武器。2023年の第5回WBC準決勝で先発した際には64人ものメジャー球団関係者が視察に訪れ、本塁打を放ったウリアスが「デグロムと対戦するアプローチで挑んだ」と形容するなどその素質はアメリカでも高く評価されており、彼自身もかねてから渡米の意欲を見せていたが、初の2桁勝利を達成した2024年オフにポスティングシステムでのMLB挑戦を表明。
多数の球団による争奪戦の末、WBCで共闘した大谷と山本が所属するドジャースにマイナー契約で入団。オープン戦で結果を残したことでメジャー昇格を勝ち取り、東京ドームで行われた開幕2戦目でメジャーデビュー。5月のブレーブス戦では雨で3時間6分遅れて現地時間22時21分開始になり、試合終了は日付をまたいだ午前1時台という状況になりながらも集中力を切らさず、5回3失点で念願のMLB初勝利を挙げた。
右肩の痛みで故障した時期はあったものの、ブルペン事情が厳しいリリーフとして9月に復帰。
☆カービー・イエーツ(投手)
パドレス時代の2018年、日米野球第1戦で柳田悠岐に逆転サヨナラ2ランを浴びた投手。
その後はブレーブスやレンジャーズを経て2025年からドジャースに加入。
☆タナー・スコット(投手)
パドレス時代の2024年には「大谷キラー」として存在感を発揮したクローザー。
2025年から4年総額7200万ドルの契約でドジャースに加入したが、10度のセーブ失敗があるなど1年を通して不安定な投球に終始し、山本と大谷の勝ちを合計5度も消してしまった。
☆アレクシス・ディアス(投手)
エドウィンの弟。MLB初セーブを記録した2022年5月17日にはMLB史上3例目となる「兄弟同日セーブ」を達成。
2023年の第5回WBCでは兄弟揃ってプエルトリコ代表として出場。メキシコとの準々決勝では負傷した兄の登場曲を使用して登板したが、無死満塁のピンチを招いて降板。逆転負けを喫してしまった。
2025年途中にドジャースへ移籍。
◇サンディエゴ・パドレス
(大塚晶文:2004~2005、井口資仁:2008、牧田和久:2018、ダルビッシュ有:2021~、松井裕樹:2024~)
略称は「SD」。本拠地球場はペトコ・パークで、2006年の第1回WBCでは侍ジャパンがこの球場で優勝した。「パドレス」はスペイン語で神父を意味し、地元の歴史にちなむものである。
1969年の球団拡張によってロイヤルズ・パイロッツ・エクスポズとともに誕生した、西海岸のサンディエゴに本拠地を構えるチーム。
2005年・2006年と地区連覇したがそれ以降は低迷が続き、主砲のエイドリアン・ゴンザレスを失ってからは攻撃力不足に泣かされるなど、レイズ・マリナーズ・ブルワーズ・ロッキーズとともに世界一の経験がないチームの1つ。
本拠地のペトコ・パークは外野が広く、形状が複雑で海風も強いために打者不利の球場として知られており、そのために伝統的に高い投手力を誇るのがチームカラー。
かつては資金力が枯渇していたが、2010年代後半からは同じ地区の大正義球団たるドジャースの牙城を崩すべく積極的な補強を行っており、地区優勝こそ逃しながらもドジャース相手に食い下がるシーズンも多い。
○ランディ・バース(一塁手)
ご存じ、阪神はもとより長いNPBの歴史の中でも史上最強との呼び声高いレジェンド助っ人。
1983年~1988年に阪神でプレーし、1985年の球団史上初の日本一に大きく貢献。NPB記録となるシーズン打率.389や外国人選手最多となる2度の三冠王など数々の輝かしい実績を誇る。
いつしか彼の存在は阪神ファンの間で神格化されるようになり、以降も新外国人選手を獲得しては彼のような活躍を願ってスポーツ紙などの各メディアが「バースの再来」という言葉を使うようになっている。
一方、MLB時代はツインズ・ロイヤルズ・エクスポズ・パドレス・レンジャーズを転々としており、その長打力から「ニューヨークからロサンゼルスまで飛ばす男」と呼ばれたこともあったが、速球に弱いという弱点があったことからわずか9本塁打にとどまっていた。加えて幼少時に足を複雑骨折していたことから全力疾走ができない状態であり、レギュラー獲得には至らなかった。
なお、宿敵巨人の名助っ人とされるクロマティはエクスポズ時代のチームメイトである。
○マーク・クルーン(投手)
日本の横浜・巨人で守護神として活躍し、当時NPB最速となる162km/hを計測した剛速球の持ち主。
○トレバー・ホフマン(投手)
リベラに次ぐ通算601セーブを誇るMLB史上屈指のクローザー。球速は140km/h台ながら質に優れ、これにチェンジアップを組み合わせて多くの空振りを奪った。通算の奪三振率は軟投派としては破格の9.4、全盛期には11.4を記録している。
また、登場曲の「Hells Bells」が非常に有名で、彼の登板時には「Trevor Time」と表示される演出があった。1998年から始まったこの演出は今やMLBにとどまらず、世界の球界でメジャーになった「クローザーの登場演出」の先駆けと言える。
○大塚晶文(投手)
長らく日本の近鉄で守護神として活躍し、中日への移籍を経て2004年からMLBデビュー。
2006年の第1回WBCでもクローザーとして活躍し、胴上げ投手になった。
○フィル・ネビン(三塁手・一塁手・捕手・外野手・監督)
タイラーの父で大学時代の1992年にはバルセロナ五輪に出場。
2022年からはコーチとしてエンゼルス入りし、マドン監督が解任された6月からは監督代行を務め、オフに正式に監督に就任。大谷が日本人初の本塁打王に輝くなど奮闘するもチームの浮上には至らず、1年で退任した。
現在はホワイトソックスで選手育成特別補佐を務める。
○朴賛浩(投手)
韓国人初のメジャーリーガーで、MLB通算124勝は野茂を超えてアジア人最多勝である。
2006年の第1回WBCでは大会最多セーブを挙げる活躍で優秀選手を受賞した他、2011年には日本のオリックスでプレーしたこともある。
現在はアドバイザーを務める。
☆
ダルビッシュ有(投手)
ご存じ日本が生んだスーパースター。2008年の北京五輪では4位に終わったが、2009年の第2回WBCでは大会連覇の胴上げ投手になった。
2021年からパドレスに所属し、2022年オフには40代まで続く6年契約というメジャーでも異例の契約を勝ち取った。
2023年の第5回WBCでは前回の歓喜を知るリーダーとしてチームを牽引し、14年ぶりの王座奪還に大きく貢献した。
☆フェルナンド・タティスJr.(遊撃手・外野手)
2020年オフに14年契約を結んだパドレスの若きスター。
2022年にはシーズン開幕前のバイク事故やシーズン中の薬物問題で不良債権化すら危惧されたが、2023年に外野手にコンバートしてゴールドグラブを受賞し復活を遂げた。
☆ロベルト・スアレス(投手)
日本の阪神で絶対的守護神と評されたクローザーでアルバートの弟。2017年の第4回WBCではベネズエラ代表として出場しており、2022年から入団したパドレスでもクローザーとして活躍している。
☆松井裕樹(投手)
長らく楽天で守護神を務め、2015年の第1回プレミア12と2017年の第4回・2023年の第5回WBCに出場。史上最年少で通算200セーブを達成し、2023年オフに海外FAでパドレスへと移籍。
入団会見ではこの年のWBCで薫陶を受けたダルビッシュが所属していたことが決め手になった理由の1つであると語っている。
☆ディラン・シース(投手)
2019年にホワイトソックスでメジャーデビューして以降、安定した活躍を続ける右腕。2022年には先発14試合連続で自責点1以下というMLB記録を達成した。
2024年からパドレスに移籍し、球団史上2人目のノーヒットノーランを達成。
☆マイク・ブロッソー(内野手)
マイナーに所属。2023年途中に日本のロッテに入団したが、二軍での調整もないまま出場したことで打撃でも守備でも振るわず、37試合で打率.191・1本塁打・11打点という成績に終わったことで退団。9月20日にはオリックスのリーグ3連覇を決めた最後の打者として三振に倒れる憂き目にも遭ってしまった。
☆
ユリ・グリエル(内野手)
2017年までは「ユリエスキ・グリエル」の登録名を使用していたキューバ出身のベテラン内野手。2006年の第1回から2013年の第3回WBCに出場しており、2006年の第1回大会では決勝で侍ジャパンと対戦し、大塚晶文のスライダーに倒れた最後の打者としても有名。それでも二塁手の大会ベストナインに選出される活躍を見せた。
それ以外でも2004年のアテネ五輪では金メダル、2008年の北京五輪でも銀メダル獲得に大きく貢献し、2015年の第1回プレミア12にも出場するなど豊富な経験を誇る。
☆ホセ・イグレシアス(内野手)
さまざまな球団を渡り歩くジャーニーマンの1人。エンゼルス時代には本塁打を打った大谷を真っ先に出迎える人として日本でも少し話題に。
これだけなら並みのメジャーリーガーと大差ないが、なんと彼はメッツに所属していた2024年に歌手としてメジャーデビュー。しかもオールスターゲームにも歌手として出場。さらにチームでは彼のシングル『OMG』を元にしたパフォーマンスが好評になるなど、誰もが予想しなかった方向性でのブレイクを果たしている。
◇サンフランシスコ・ジャイアンツ
(村上雅則:1964~1965、新庄剛志:2002、藪恵壹:2008、田中賢介:2013、青木宣親:2015)
略称は「SF」。本拠地球場はオラクル・パーク。日本の読売ジャイアンツのチーム名の由来になったMLB最西端の球団でもある。
1883年にニューヨークで誕生した名門。1958年以降は西海岸のサンフランシスコを本拠地とし、ドジャースとはニューヨーク時代からのライバル関係にある。
2010年はレンジャーズを下し、2012年は三冠王カブレラを擁する強力打線のタイガースをスイープ、2014年はワイルドカードから這い上がってロイヤルズを下し、5年間で3度の世界一を達成した。
本拠地であるオラクル・パークの右翼外には海が広がり、そこにノーバウンドで着弾する場外本塁打は「スプラッシュ・ヒット」と称され、ボンズの打ち込むホームランボールを目当てにボートで待ち構えるファンも多かった。
日本人では2025年7月12日に大谷が初めて記録。右打者の達成は2024年9月15日のエリオット・ラモスが初めてである。
なお、構造自体はかなりの投手有利球場であり、右翼は狭い分フェンスが高く、右中間は約128mもあることから特に左打者は非常に不利になっている。
○ウィリー・メイズ(中堅手)
通算3283安打・660本塁打・338盗塁に首位打者1回・本塁打王4回・盗塁王4回・MVP2回と走攻守で非凡な能力を発揮した「史上最高の中堅手」。中堅手として通算2829試合出場・7024刺殺はMLB記録である。
インディアンスと対戦した1954年のワールドシリーズ第1戦、2対2の同点で迎えた8回表にジャイアンツは無死1・2塁のピンチを招き、続く打者の打球は彼の後方への大飛球になって誰もがインディアンスの勝ち越しを確信したかに見えたが、彼はほとんど振り向くことなく全速力のままボールの落下点に到達し、背面でキャッチするスーパープレイを披露。
試合は延長戦にもつれ込んだ末にジャイアンツがサヨナラ勝ちを収めると、勢いそのままに下馬評で有利と見られていたインディアンスを4勝スイープしてニューヨーク時代最後の世界一を達成したため、「ザ・キャッチ」と呼ばれる。
現役晩年にはメッツに所属しており、背番号「24」は移籍した1972年にジャイアンツの永久欠番に指定された。2022年にはメッツでも永久欠番に指定されたが、2024年に死去。
○村上雅則(投手)
日本はもとよりアジア人初のメジャーリーガー。1964年にアジア人初のメジャー勝利投手になったが、当時の日本は東京五輪の真っ最中だったことから日本での扱いは小さかった。
しかし、元々は南海ホークスから野球留学で入団した言わばレンタル移籍の身であり、ジャイアンツとしては村上を正式に獲得する方向であったとされ、彼自身もメジャーに残りたがったが、南海側からの帰国の要請が出たため、泣く泣く帰国したという。
○ゲイロード・ペリー(投手)
史上初となる両リーグでサイ・ヤング賞を獲得し、通算314勝を挙げた投手。
だが、彼の最大の特徴は成績よりも常習的な
スピットボールボーラーであることが挙げられる。
当然ながらバレたら即刻退場だが、逆に言えば審判が現行犯で証拠を押さえない限りは不問に付されるのが暗黙の了解でもあり、事実彼は引退前年の1982年8月23日まで一度も退場処分を受けることなく巧妙に隠し続けたという。
2005年には背番号「36」が最も長く在籍したジャイアンツの永久欠番に指定された。
2022年に死去。
○ランディ・メッセンジャー(投手)
日本の阪神において球団助っ人最長となる2010年~2019年の10年間に渡って所属し、通算1475奪三振・8年連続規定投球回到達などさまざまな外国人選手記録を持つ。
○ティム・リンスカム(投手)
身長180㎝とMLBでは比較的小柄な体型ながら入団1年目から活躍し、2008年・2009年と2年連続でサイ・ヤング賞を受賞。2014年まで6年連続で2桁勝利を挙げた。地元での人気が高く、特に若い女性からの人気が高かった。
その圧倒的な実力ゆえ殿堂入り待ったなしかと思われていたが、2012年から目に見える形で球速が低下してしまい、打ち込まれるシーンが明らかに増える事態になってしまう。それでも2013年・2014年には2年連続でノーヒットノーランを達成するなど全盛期を彷彿させるピッチングはあったものの、防御率が4点台から5点台にまで悪化。2015年はケガによる影響もあってわずか15試合の先発に終わり、オフにエンゼルスに移籍するも、9試合で防御率9.16と結果を残せなかった。最終的に278試合(270先発)で110勝89敗・防御率3.74と通算成績だけ見ると歴史に名を残す選手とは言い難いが、全盛期はサバシアやバーランダーなどの名投手たちをも圧倒する成績を残しており、2010年に56年ぶりの世界一に輝いたのは間違いなく彼の力あってこそ。記録よりも記憶に残る選手だったのは間違いないだろう。
○
バリー・ボンズ(外野手)
いずれもMLB記録となる
通算762本塁打・シーズン73本塁打を筆頭に到底ここに書ききれないような量の実績を持つ、1990年代から2000年代前半を代表する最強打者。
しかしながら薬物問題や不遜な人間性など黒い噂も多く、賛否両論という声がこれほどまでにふさわしい選手も存在しないだろう。
2000年代前半の彼はそれはもう凄まじい打者であり、「
無走者で敬遠される」「
ワールドシリーズでは徹底的に勝負を避けられる」「
敬遠されすぎて出塁率6割」など異常とも言える逸話を多く残している。
一方で1990年代は走攻守に優れた5ツールプレイヤーとして名高く、薬物を抜いても凄まじい身体能力を持っていたこともまた事実であり、しばしば「
怪物級の野手にチートを使った結果」などとも例えられつつも「薬物を使用したからといって誰もが彼のようになれるわけではない」という擁護意見も多い。
その人間性とは裏腹に親日家として有名で、日本人選手やメディアには好意的に接しており、各選手を高く評価している。
○ライアン・ボーグルソン
日本の阪神・オリックスにも所属したが散々だった助っ人。
しかしMLBに戻ってから覚醒。2年連続で2桁勝利を挙げ、2012年はポストシーズンでも好投するなど世界一に大きく貢献した。
○オルランド・カリステ(内野手・外野手)
バッテリーを除く内外野の全ポジションを守れるユーティリティー性が売りのドミニカン。
2023年からは日本の中日でプレー。アメリカ永住権の更新のために3か月間抹消された時期があり、47試合の出場にとどまりつつも9月は月間5本塁打と打力を発揮。真面目な練習態度も評価されて残留を勝ち取った。
続く2024年には114試合に出場するなど貴重な戦力として活躍している。
○バスター・ポージー(捕手)
実働13年と短いながら、キャリアの全てをサンフランシスコで過ごしたフランチャイズ・プレイヤー。
中距離打者ではあるが通算で3割のアベレージを残す打撃に加えてゴールドグラブ常連の高い守備力を誇る名捕手で、3度の世界一や2017年の第4回WBC優勝に大きく貢献。2021年をもって引退し、その後2024年オフに編成部長に転身する形でチームに帰ってきている。
また、「コリジョン・ルール」が生まれたきっかけになった選手でもある。
○マディソン・バンガーナー(投手)
5年連続で2桁勝利をマークした2010年代前半のエース。
2014年にはリーグ優勝決定シリーズとワールドシリーズの両方でMVPに輝く活躍を見せ、世界一の立役者に。
投球だけでなく打撃も抜群で、2015年には5本塁打を放ち、代打で起用されたこともあった。
しかし2010年代後半から怪我もあって不調に陥り、2020年に5年契約で移籍したダイヤモンドバックスでも復活できず、2023年4月に解雇されてしまった。
○タイラー・ビーディ(投手)
2023年に日本の巨人でプレーし、球団史上初で通算でも4人目となる「新外国人の開幕投手」に指名された。6月以降はリリーフに配置転換されたものの、結局一度も来日初勝利を挙げることなく退団。
☆
ジャスティン・バーランダー(投手)
タイガース・アストロズ・メッツで活躍したエース。
かつては平均球速が150km/hを超え、最速164km/hに達するストレートが武器のメジャーを代表する剛腕投手だったが、年を経るにつれて変化球も多く交えるようになり、現在では全ての球が一級品と称される。
加えてサイ・ヤング賞を受賞した2011年には250イニングを超えるなど8年連続を含む通算12度年間200イニング(うち4度はリーグ最多投球回)を投げるタフさも持ち合わせている。
40代になっても元気で、さすがに全盛期ほどとはいかないまでも余裕で一線級の成績を残している。