女神転生外伝 ラストバイブルスペシャル
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ジャンル
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RPG
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対応機種
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ゲームギア
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発売元
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セガ・エンタープライゼス
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開発元
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シムス
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発売日
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1995年3月24日
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定価
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5,500円(税別)
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レーティング
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セガ審査:全年齢推奨
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プレイ人数
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1人~2人
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判定
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ゲームバランスが不安定
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シリーズファンから不評
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ポイント
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女神転生シリーズ屈指の異色作 というかメガテンの皮をかぶった『Wiz』? ゲームバランスは敵も味方もハチャメチャ
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女神転生シリーズ
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概要
ゲームボーイなど主に携帯機で低年齢向けに展開されていた『女神転生』の外伝『ラストバイブル』シリーズの1作。
既に発売されていたGG版『ラストバイブル1』とは異なり、セガが完全にオリジナルで開発し、『ドラクエ』的なトップビューの2D視点が基本だったラストバイブルシリーズでは唯一本家のような3Dダンジョンが採用されている。
ストーリー
(取扱説明書3ページより引用)
はるかなる太古、「女神」に導かれ、この星に降り立った人類の子孫は、この地を「エルサレム(聖なる地)」と名付け、女神を祭る祭壇を築いた。
しかし、時がたつにつれ人々の信仰は弱まり、やがて女神の存在は伝説の中に封じ込まれていったのである。
そんな時代に、「グライアス」と名乗る者がとつぜん現れ、魔獣たちを率いて聖地までも侵略してしまった。
この世界の中心都市コンスタンツの大神官は、連夜のように祈禱し、ついに女神のお告げを受けた。
満月のときに生まれた「マテル」という青年がこの地を救う、と……。
特徴
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全部で4つある街を拠点にその街と街を繋ぐ4つのダンジョンを攻略していく3DダンジョンRPG。
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ゲームを開始したらまずは街のラーゼス中央広場でランダムに選ばれる仲間から5人を募り、主人公の勇者を含めた6人パーティーを編成することになる。
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仲間には職業が設定されていてこれによりステータスの初期値と装備可能アイテム、習得魔法、耐性が異なる。
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レベルが一定になると最初の街にあるコンスタンツ大聖堂の大神官パレルゴンに話しかけることで、その職業から派生する職に習得した魔法とHP/MPの半分を引き継ぎ、Lv1に戻って転職することが可能。
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また5人目以降の仲間は大聖堂にある聖堂警備隊に預けられ、これを利用して控えのパーティーを作るといったこともできる。
と、ここまで書いて分かるように本作のシステムはぶっちゃけ『Wizardry』である。
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一応メガテンらしく魔獣と会話して仲魔に引き入れる要素や月齢、悪魔合体も存在しているのだが、後述の仲魔の仕様の問題もあり人間キャラクターの育成の比重が大きすぎる本作では完全に空気なシステムとなっている。
評価点
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完全に別のゲームになってしまっているが、転職を繰り返して様々な魔法を習得させ、仲間を強化していくWizライクな育成の楽しさは好評。
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仲間が転職できる職業は63種類。
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「魔法使い」や「騎士」など定番どころはもちろん「通訳」「徒弟」「物乞い」など、ダンジョンでどう役に立つのかよく分からない職まで色々登場する。
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目当ての職に一直線に就けるも良し、様々な職を転々して全ての魔法を習得させるも良し、プレイヤー次第で様々なパーティーが組めるようになっている。
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中には隠しイベントや魔物のドロップ品を使う通常の転職ではクラスチェンジできないレアな職業も存在する。
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バロック絵画風のグラフィックはこれまでの女神転生シリーズのどの作品にも属さない表現で、荘厳で独特な雰囲気を作り出している。
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そんな中でオープニングや一部のイベントシーンでは、ゲームギアの発色の良さを活かした70年代のアート作品のようなサイケデリックな演出が取り入れられていて、そのギャップに驚かされること請け合い。
賛否両論点
劣悪なゲームバランスをバランスブレイカーで乗り越えるピーキー過ぎる難易度
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ゲームバランスは雑魚と1戦するだけでも毎回死人が出かねないほど苛烈極まりないもので、難易度は極めて高い。
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雑魚は出現数が多い上にフル装備でも一撃死が頻繁に起きるほど攻撃力が異様に高く、序盤から最後まで反撃を許すとまともに全員生き残れないため、とにかく全員で先制して全体攻撃魔法をかけて一掃することが求められる。
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おあつらえ向きに最初の街のショップでは道具使用でMP消費なしで誰でも全体攻撃魔法のアギラオンが撃てる杖が売られているので、まずはこれを全員分買い揃えるのが生き残るには半ば必須。
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以降も上位の全体攻撃魔法を道具使用で発動できる装備があるので都度集めていきたいところだが、どれも当然のようにノーヒントである。
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そんなめちゃくちゃなゲームバランスの中で一筋の光となるのが占い師が習得する「サーチ」。
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この魔法を使用するとエンカウントした時、選択肢で戦闘を回避できるようになり、一切戦わずにダンジョンを探索できるようになる。
しかも効果時間はゲームギアの電源を切るまでという壊れぶり。
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魔術師が習得する「メギド」はMP20という低コストで敵全体に2000ダメージを固定で与えるという効果。
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本作の雑魚のHPは一番高い敵でも1600しかないので使うと相手は死ぬ。
相当レベル上げないとこっちも全滅確定だけど
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そして状態異常魔法は能力変化の「PA」、即死系の「DE」、毒混乱系の「PC」、眠り麻痺の「PS」の四系統が存在し、各耐性によって効くかどうかが変わるのだが、これに属さない無属性の状態異常魔法は絶対に成功する。
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妖術師が習得する石化魔法「ダラピス」はこの無属性で、使用するとラスボスであろうと問答無用で石化させて勝つことが可能。
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この3つはほんの一例で他にも敵のターンを飛ばす、全体の防御力を電源切るまで65535に固定といった壊れた魔法が多数存在する。
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これらのバランスブレイカーを駆使すると劇的に楽になり、占い師以外は広場で仲間にできず転職を重ねないと就けない職なので育成のモチベーション作りにも繋がってはいるのだが、やはりノーヒントなので自力攻略はかなり厳しいと言わざるを得ない。
問題点
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こういうところもWiz譲りではあるが、最後の最後以外ストーリーらしいストーリーはなく、ひたすら育成をしてダンジョンを攻略し次の街に行くだけのゲームなので、キャラクターのロールプレイや育成に楽しさを見いだせないと飽きやすい。
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実は最初の街のコンスタンツの広場ではストーリーの進行に応じてランダムで聞ける住民の会話が追加され、各ダンジョンのバックストーリーが語られていたりするのだが非常に分かりづらい。
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戦闘の難易度以前にダンジョンの謎解きも全体的に難易度が高くノーヒントで攻略するのは困難。
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一部の謎解きはバックストーリーと同じく広場の追加会話にヒントがあったりするのだが、ほとんどのプレイヤーは存在自体に気付かないかよく分からずに聞き流してしまうことだろう。
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仲魔は成長しない上に装備も付けられないので非常に貧弱でメガテンなのに特徴の通り、人間の仲間を差し置いて戦力として使う価値が皆無。
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一応、控えに置いて非戦闘時に回復魔法を使わせたり、敵と同じ種族を仲魔に入れ会話で戦闘を回避、ランダムでイベントが発生するオブジェクトを調べる時の犠牲者役という役割はあるが…。
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通常攻撃は一定確率で装備している武器が破損してしまうので非常に使い勝手が悪い。
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修理するには最初の街のみに存在する鍛冶屋まで戻るか、仲間を鍛冶屋にした時に習得する「レパイル」という魔法を使うしかなく、レパイル抜きではまともに活用できないものとなっている。
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武器を道具として使用した場合は何故か破損することがないので、ますます通常攻撃の立つ瀬がない。
こっちでも破損したらクリアできる気がしないけど
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また95年にもなってターゲットが倒されていた時にオートで対象を変更できず、破損とは別に一定確率で通常攻撃時にコケて「転倒」という状態異常になって行動不能になってしまうことがあり、三重に使いづらい。
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終盤の展開
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ネタバレ
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最後のダンジョン「聖地エルサレム」の最深部で待つある人物に正しい選択肢を選ぶと真の黒幕が、女神のお告げを聴き主人公を旅立たせたコンスタンツ大聖堂の大神官パレルゴンだったことが判明する。
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そして最初の街に戻り、本当のラストダンジョンのコンスタンツ大聖堂に乗り込みパレルゴンに戦いを挑むことになる…のだが、この状態になると転職と聖堂警備隊での仲間の入れ替えが利用不可能になる。
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クリア後にエルサレムで選択肢を選ぶ前の状態までストーリーが巻き戻るということもないので、ここでデータを分けずにセーブしてしまうと取り返しが付かない。
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人間の仲間は仲魔のように控えに置くことはできず聖堂警備隊に預けないと外せないので、人間だけでパーティを組んでいると以降、仲魔を戦闘で使うことが不可能になってしまう。ただでさえ仲魔を使う意義が薄いのに…。
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育成が中途半端だと詰みかねない上に転職を重ねて育成をすることが醍醐味のゲームなので、これが制限されてしまうのはかなり致命的。
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総評
ほぼGG版Wizardryと形容すべき、ラストバイブルらしくなければ女神転生らしくもないシリーズ屈指の異色作。
とにかくゲームバランスの粗が凄まじいが、Wizライクなシリーズと異なる独自の育成の楽しさがあり、様々な魔法を覚えたキャラを目指して延々とレベル上げをしてしまう中毒性がある。
そのゲーム性を否定してくる終盤のトラップにだけはご用心。
余談
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あまりにも異色作過ぎたためか、1997年に発売されたシリーズ10周年を記念して発売されたファンブック『女神転生十年史』では2年前の作品なのに存在をスルーされていた。
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長らく一度も移植や配信されることがなかったのでシリーズの中でもプレイハードルの高い幻の作品の1つとして扱われていたが、2020年に発売されたゲームギアミクロのボディカラー「レッド」の収録作品として復刻が実現。
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GG版『ラストバイブル1』と同じく経験値と資金の獲得量を調整したイージーモードも搭載されている。
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しかし、長時間文字を読む必要があるRPGを遊ぶにはゲームギアミクロはサイズが小さすぎ移植としては不評であった。
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なお、ミクロ版では「コンスタンツ」→「カテドラル」、「エルサレム」→「聖地」などそのまま過ぎてまずかった一部の固有名詞やグラフィックが変更されている。
最終更新:2026年05月25日 00:47