スーパーアドベンチャーロックマン
【すーぱーあどべんちゃーろっくまん】
ジャンル
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アドベンチャー、シューティング
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対応機種
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プレイステーション セガサターン
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発売元
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カプコン
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開発元
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ビジョンユニバース、光遊社
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発売日
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【PS】1998年6月25日 【SS】1998年9月23日
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定価
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5,800円
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判定
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なし
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ポイント
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突っ込みどころ満載のストーリー キャラの設定及び言動にも問題多数
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ロックマンシリーズリンク
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概要
『ロックマン』シリーズ初のアドベンチャーゲーム。
ストーリーはオリジナルで、マヤ文明の遺跡を巡るロックマンとDr.ワイリー一味の攻防戦を描く番外編的存在である。
通称『スパアド』『SPAD』。
セルによるフルアニメーション・フルボイスでストーリーが進行し、時折出現する選択肢によって物語は分岐する。
敵とのバトルは、ロックマンの一人称視点による戦闘画面で行われる。
なおSS版は初期出荷版に画像が乱れるというバグが存在した為回収され、修正版が発売された。
特徴
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本家ロックマンシリーズの『1』・『2』・『3』におけるボス22体が総出演している。但し『1』のボスは、本来はライトナンバーズのため本作では味方扱い。
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『4』・『5』・『6』からは、ザコ敵のみが出演。
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OP・EDテーマは『8』と同じもので、ロック・ブルース・ライト・ワイリーのキャストも同作と同じ。ロールのみ変更されている。
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なおヒートマンとクイックマンの声は、後に『ロックマンX5』から主人公のエックスを演じることになる森久保祥太郎氏が担当している。
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ライフ制で、戦闘によるダメージの他、特定のシーンで発生する「回避行動」に失敗しても減少する。基本的に0になるとゲームオーバーだが、特定のボスバトルでは選択次第で再戦のチャンスが与えられる。
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ボス敵を倒すと原作同様特殊武器を入手できる。やはりボスには弱点武器の概念が存在する。武器ゲージを使い切ると使用できなくなる点も同じ。
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戦闘が終了しても、ライフ・武器ゲージはそのまま。回復手段は限られている。
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セーブはバトルに勝つと出来る。
問題点
シナリオ面
ツッコミどころ満載。
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敵ボスに負けた際に仲間キャラが助けに現れるが、なぜかアイスマンだけは現れない。彼の出番は冒頭とエンディングに少しだけ。一方カットマンは助けに来る回数が1人だけ多い。
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敵ボスの中で、クイックマンとジェミニマンはワイリーが騙されている事をロックから知らされていたはずなのだが、再登場時にジェミニマンはなぜかノーリアクションである。
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一応、最終ボスに再復活してもらった際にそれまでの記憶データを消されたとも解釈できる
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後半に登場するボス程、台詞が少なくなって行き、やがて「一言喋って戦闘に入り、負けたら無言で死ぬ」という例ばかりになる。その分戦闘中にうるさく喚き散らしてくれるが。
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ほぼ一本道
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ルートによっては戦わなかったり、攻略順番が変わるボスもいるが、基本は一本道で進む。
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EDも1種類のみ、シナリオ内の行動でEDが変わることはない。
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一応ボス敗戦時に諦めれば、バッドエンドにはなる。バッドエンドなら何故か複数種用意されている。
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あるシーンではブルースがロックを「俺のライバル」と呼ぶ。…ライバル?
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そしてこのブルースからの叱咤激励に応えないと問答無用でゲームオーバーになる。何故…。
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クイックマンやジェミニマンもロックに対抗心を燃やしており彼らもライバルと発言している箇所がある。
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メットールの親子が炊飯器からご飯をよそって食べているという、まったく意味不明のイベントがある。
癒しイベントのつもりか?
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なぜかロックマンがスライディングを1回も行わない。「空中を移動する岩を急いで避ける」という、いかにも「使え」と言わんばかりのシーンはあるのに。
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「ラッシュマリンを使う」と言っているのに、外見はどう見てもラッシュジェット。
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画面演出も何も無く回想シーンが唐突に挿入される為、何が起こったかわかりにくい。
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アイテムの中で、なぜかブルースシールドだけは、入手シーンがアニメではない。突然シールドのグラフィックが画面にどアップで映り、「シールドを手に入れた」と表示される。
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ボスの一体、新イエローデビルがほとんどイエローじゃない。
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シャドーマンがウッドマンの唯一の親友という設定がある。
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また、シャドーマンはロックマンにコアごと破壊されたということで、最終決戦でも唯一復活してない。墓を建てられたクイックマンやバラバラになった挙句酸の海に溶かされたハードマンですら復活しているというのに…。
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こういった演出が優先されているためか、今作はシリーズおなじみの「ティウン」が存在しない。
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また、発売当時は既に有賀ヒトシ氏などのコミカライズによるイメージが広まっていた事も有るが、「?」となる描写もある。
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カットマンの口調がインチキ関西弁。因みにこれ以前ではセガサターン版の『8』でも喋っていたが、そちらでは語尾に「チョキ」を付けていた。
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ガッツマンに「ガッツ、ガッツ」という口癖がある。
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ヒートマンはインチキ名古屋弁。一応これ以前のロックマン&フォルテのCDデーターで一言台詞があるがそちらでは標準語である。
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エネルギー缶の使い方がバスターの銃口に付き刺して中身を吸い取るというもの。池原しげと氏のマンガではストローで飲んでいたが、公式設定では「疑似太陽エネルギーが詰まっている」という缶なので、液体とは明言されていないのである。
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今作のエネルギー缶はその場でライフを全快し、さらにエネルギー缶としてストック可能という高性能なものとなっている。
戦闘面
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自分の攻撃の効果音がとにかくやかましい。原作のバスター発射音と違うのはまだしも、やたらと耳が痛くなる音である。敵の攻撃を防ぐには「自分に当たる前に撃ち落とす」しかないので、連射せざるを得ないのである。チャージショットもできるのだが、使っている余裕はない。
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敵ボスは攻撃時・被弾時にそれぞれボイスを発する。特に特殊武器使用時は、いちいち武器名を叫ぶ。これがまたうるさい。
「ホウッホウッメタルブレード!!ホウッホウッメタルブレード!!」
「マッマッマグマグマグネットミサーイル!!マッマッマグマグマグネットミサーイル!!オラオラァッ!!」
…『X8』のギガボルト・ドクラーゲンが可愛く思えるレベルである。
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戦闘面でもツッコミどころ満載。
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クイックマン並みのスピードでちょこまかと走り回りながら攻撃してくるクラッシュマンだったり、タップスピンのような体当たりを仕掛けてくるクイックマンだったり、(忍者なので仕方ないが)ジェミニマンのように分身してくるシャドーマンだったり、ジェミニマンに至ってはジェミニ(双子座)なのに、最大で6体まで分身してくる始末。
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途中で入手できる特殊武器「ブルースシールド」が異常に便利。使用すると敵からのダメージを殆ど受けなくなる。しかも使用回数に制限が無い。
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後半のボスはライフがやたらめったら高くなる為、このシールドが無いと非常に苦しくなる。
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他の特殊武器は燃費が悪いものが多く、シールド入手後はいよいよ使い道が無くなる。
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敵の情報が書かれている「情報カード」というアイテムが有るが、弱点が書かれていても上記の理由によりほぼ無意味に。その弱点すら載っていないザコのカードなんてなおさらである。
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シールド使用中はバスターでしか攻撃できない為、後半のボス戦は気が変になりそうなくらいやかましい音の中を延々バスターでちまちま削る作業と化す。ボタンを押す指は確実に痛くなるだろう。
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なお原則的にボスに勝たないと次のシナリオに進めないがクイックマンに関してはイベントの都合上、戦闘が中断してしまう。
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戦闘シーンのBGMが1種類しか無く、ザコだろうとラスボスだろうと全て同じ曲。
どの道効果音やボイスに阻まれて殆ど聞こえないだろうが。
システム面
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DISCは3枚組で、1枚ごとにエンディングが収録されている。流れる映像はDISC毎にムービーを合成しているだけ。
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OPデモは本編の映像を組み合わせたものなのだが、繋ぎ方はかなり適当で、BGMにも合っておらず、それどころかラスボスを倒すシーンまで入っており、いきなりネタバレになってしまっている。
評価点
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なんと言っても「フルボイスの本家ロックマンのアニメ」という存在は貴重である。ゲームソフトとしては。「ロックマンによる海外への日本文化紹介アニメ」は3本ほど存在するので。
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アニメの枚数も多く、作画の酷いシーンは無い(使い回しは多いが)。ボイスにも棒読みは無い。
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ムービーがかなりの量を占めているのでいっそ普通にOVAとして出してしまっても良かったのではないのだろうか。
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ちなみに海外では現地制作のロックマンのアニメが放送されていたが、キャラデザ等がいかにもな感じに改変されてたりで色々と有名。詳しくは各自で調べてください。
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原作の公式設定のリスペクトは所々にある。
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ワイリーの「自分のロボットに対する愛情」がきちんと描かれている。池原氏のマンガでは「ロボットがどんなに壊れようと知った事か」と暴言を吐いていたが、元々公式ではニコニコしながらロボットを作っているイラストも有り、きちんと愛情を持っているのである。
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世界そのものを滅ぼす事は望んでおらず、「悪人だが憎めない」という側面が強調されている。 100年後にしでかす事など、純粋に下衆な所業も結構しているが、この際気にしてはいけない。
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特にラスボスの目的を知った際には、地球を救う為にロックマンと共闘する。ロックマンが自滅覚悟でラスボスを倒そうとするシーンでは、その危険性を訴え止めようとまでする。
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ロックマンが太陽光を浴びて元気を取り戻すシーンがある。ソーラー発電式であるという設定が活かされている。
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同じライト製である『1』のボス達が完全に味方として描かれている点。マンガ版では定番だが、ゲームでは貴重な描写。
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「両腕ともバスターに変形できるのに、なぜ同時に撃たないのか」という疑問に対する説明付けがある。
総評
ゲームとしてはQTE+一人称視点STGで単調の極み。アドベンチャーとしてストーリーを見てもツッコミ所満載。
無印ロックマンを扱ったゲームとしては、他に類を見ない「ストーリーもの」のゲームではあるのだが、
そのストーリーも、ゲームとしても難のある出来と言わざるを得ない。
「このキャラの意外な一面が見られる」といったことも特になく、なぜわざわざストーリーものとして作ったのかも謎な存在となってしまっている。
その後
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後に発売されたムック『R20 ロックマン&ロックマンX オフィシャルコンプリートワークス』において、シリーズプロデューサーの稲船敬二氏は本作を「ロックマンを安売りした最低レベルの作品」「今はもう、こんなのは絶対にやらせないから」と語っている。
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手直しが無理な段階で開発を丸投げにされたことと、初代シリーズの系列作でありながら人死にが多く、あるレギュラーキャラまで犠牲になる破滅的なストーリーに不満があったとの事。
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稲船氏も驚愕したバッドエンド(ネタバレおよび原作ファンにとって衝撃的な内容のため閲覧注意)
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物語前半にゲームオーバーになってしまったり、消極的な選択肢を選んだ場合にこのエンディングに到達する。
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戦闘で傷を負ったロックマンは、遺跡の探索を他のライトナンバーに任せて撤退することを決める。しかし事態は好転せず、遺跡から発生した怪電波によってロールちゃんが死亡してしまう。悲しみに打ちひしがれるロックとライト博士の様子を見て「これで邪魔者はいなくなった」と高笑いするワイリーだったが、その後に人類は滅亡し地球は死の星と化す。
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シリーズを通してのワイリーの目的は「自分の才能を認めようとしない人類に仕返しをする事」であり、罪もないロボットの殺害や人類滅亡は彼の本意ではないはずなので、ワイリー側から見ても酷い改変であると言える。
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本作の通常ルートの描写と合わせて考えると、このエンディングの時点で既にワイリーは本作の黒幕による洗脳を受け正気を失っていたものと推測することは出来るが…
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とはいえ、これはバッドエンドルートであり、バッドエンドにさえならなければ見てしまうことはない…と思いきやロールちゃんの死亡シーンはOPデモにちゃっかり入っていたりする。
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余談
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先に発売されたPS版「8」内に本作のPVが入っている。
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PV内には本作にはない、何らかのマシンに乗り込み操作するロックマンのシーンが流れている。恐らくその後没になったのだろう。
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上述の「E缶にロックバスターを突っ込む」「1のボスが味方」というシーンも流れる。
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なおアニメ製作スタッフが異なるため、「8」の洗練された作画と比べると本作の作画が古めかしくもあるが、「8」以前のものと割り切るべきか。
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ロールちゃんのデザインやフォルテ、ライトットが登場しないことから後者の可能性もあるが……
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もっと言うならば「6」「7」の間にワイリーはすでに刑務所に入っているため本作は「6」以前の、FC時代の間のストーリーとも解釈できる。
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本作のOP・EDの映像でボスの笑う姿が流れたりするが、それらはロックマンが負けた時の映像である。
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なので負けずにプレイした場合は拝むことが出来ず、どこで流れたものなのか分からない。
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ジェミニマンのものに至っては、バッドエンド時に流れるロックマンを破壊した時のものである。
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今までどういう仕組でロックバスターから特殊武器を発射しているのかは不明だったが、本作でロックバスターから発射されたエネルギー塊がメタルブレードになるシーンが出てくる。
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「2」ではメタルブレードは素手で投げていたが、その辺は気にしてはいけない。
「ワールド2」でもバスターから発射してたりするが。
最終更新:2024年06月20日 02:35