KulaQuest
【くーらくえすと】
ジャンル
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アクションパズル
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対応機種
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プレイステーション
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発売元
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ソニー・コンピュータエンタテインメント
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開発元
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Game Design Sweden AB
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発売日
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1999年5月27日
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定価
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5,040円
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配信
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ゲームアーカイブス:2009年2月10日/600円
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判定
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スルメゲー
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ポイント
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唯一無二の奇怪な世界観 ゲーム性は良好
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概要
ようこそ知恵の迷宮へ。
「クーラクエスト」は、北欧スウェーデン生まれの新しいアクションパズルゲームです。
“クーラ”とは“球”、“クエスト”とは“探し物”を意味します。
プレイヤーはクーラを転がし、制限時間内にカギを見つけて出口を目指します。
操作もカンタンで方向キーとジャンプのみ。
爽快な風景で繰り広げられるクーラワールドのステージは150以上!
新感覚3Dアクションパズルゲーム、これが「クーラクエスト」です。
(プレイステーション オフィシャルサイトより転載)
SCEがプレイステーション向けに送り出した世にも奇怪なパズルアクションゲーム。上記の通り、「Kula」なる聞きなれない単語は「球」という意味のスウェーデン語。
システム・特徴
簡単に言うとよくある迷路ゲーム。しかし、その世界観が尋常ではない。
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本作の迷路は空中に浮遊している。そして、迷路はヒエログリフのような模様が刻まれた立方体で形作られる。
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ゲームの背景は、たいていのステージで砂漠とピラミッドが見える。
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そして迷路の構造はブロックを積み重ねてあらゆる方向に枝を伸ばした形になっている。
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知っている人には『ドラクエVII』の「風の迷宮」のような形、と言えば伝わるだろうか。
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プレイヤーが操作するのはボールである。模様からしていわゆるビーチボールと思われる。
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カラフルで、着地時に「ポム」と鳴り、このボールがエジプトをモチーフとした砂漠の上空に浮かんだ迷宮を探索していく。
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本作に登場するオブジェクトは徹底して無機的で動物めいたキャラクターは一切登場しない。
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迷路の構造だけでなく、本作では「重力」の概念が我々の一般常識とは異なる。
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簡単に言うと、「常にプレイヤーの接地面真下に向かって重力が働く」とでも言えばいいだろうか。
迷路の端に行き、壁面を上ると壁の部分が床になりさっきまでいた場所が壁になる。
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柱のような形をした部分ならば、その先端からあらゆる方向に転換できる。
このゲームで重要となるテクニックである。
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「常にプレイヤーの真下に重力が働く」ので、背景が回転していてもそして操作を誤って落ちるときはその方向に落ちていく。
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「上方向に落ちるゲーム」は『キテレツ大百科』などそれなりに例があるが、様々な方向に落ちるゲームは当時としては珍しかった。
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操作は非常に簡単。方向キー左右での方向転換と方向キー上による前への移動、○×△□ボタン任意のボタンによるジャンプのみ。
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ジャンプは「その場でのジャンプ」と方向キーと任意のボタンによる「2マス先へのジャンプ」がある。
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特に「2マス先へのジャンプ」は、ゲームの戦略で重要になってくる。
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ステージ内の目標は「鍵を全て集めてゴールに向かう」だけとこれまたシンプル。
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オプションとしてボーナスアイテムの「フルーツ」や得点アイテムの「コイン」「宝石」もあり、これらの回収によりパーフェクト評価となる。
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フルーツは各ステージに一つあり、5種類集めるとボーナスステージに行ける。このステージはミスしてもペナルティがなく、全てのブロックを通過することでクリアとなる。
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ミス要件は「落下」「針に刺さる」「敵に捕まる」「時間切れ」など。
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本作は残機制ではなく、ミスする度にそのステージで獲得した得点とペナルティを合わせた分の得点が減り、ゼロになるとゲームオーバー、という形になっている。
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つまりはステージのしょっぱなで失敗した場合はあまり得点が引かれず、もうちょっとでクリアというときに失敗すると大幅に点数が引かれることになる。
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5ステージごとに進行状況をセーブできる。
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制限時間は砂時計で表現され、砂が無くなったらタイムオーバーとなり、これもまた他のゲームにはあまり類を見ない部分である。
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マップ内にある「砂時計」を取るとその砂時計が上下反転する。
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そのため、制限時間が十分残っているときに砂時計を取ると残り時間が縮まってしまう。
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慣れないうちはゲーム開始直後にとってしまいゲームオーバーになりやすい。
評価点
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パズルゲームとしての完成度は高い。
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進路を慎重に選び、アイテムの回収ルートを見極めるという迷路ゲームとしては当たり前の作業も、重力のかかる方向やトラップの利用方法で頭をひねる必要がある。
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一見取れないような位置にあるアイテムも視点を変えれば「そこから行けたか!」と納得できる。
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150以上のステージ数を持ち、ボリュームはかなりのものである。
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BGMはなかなか良い。どちらかといえば環境音のような印象だが、世界観には合っている。
賛否両論点
奇怪な世界観。
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本作における最大の賛否両論点。とにかくシュール、かつサイケデリック。
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ボールのくせにフルーツを獲得すると「シャムシャム」と咀嚼(?)する。
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マイナスアイテム「カプセル」を取ると画面がグニャグニャに歪み、操作がしにくくなる。
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ボーナスステージは通常ステージに輪をかけてカラフルでサイケデリックで目がチカチカするかもしれない。
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一定のステージをクリアするごとにボールの柄と色を選べる機能がある。もちろん全く意味はない。
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RGBバーでの選択であり、選べる色パターンは無駄に多い。
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過剰なローカライズ
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本作はスウェーデン発のいわゆる洋ゲーなのだが、ゴールポイントの3Dモデルが「GOAL」や「EXIT」ではなく日本語の出口だったり、ステージクリア評価が「落ちた」「刺さった」「良くできました」「大変良くできました」(その下に「Perfect!」とも表示される)となっており、ローカライズのしすぎでシュールになっている。
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ストーリーなどが一切ない。なぜボールが自らの意思を持ちこんなところを探検しているのか、地上に見える遺跡のようなものはなにか、敵性存在のトゲトゲした物体はなんなのか、そもそもここはどこなのか、語られることはない。
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但しパズルゲームではよくあることであり、『テトリス』等のパズルゲームでもストーリーの無いものは多い。
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その独特の観点もあり、難易度は相当に高い方である。一部では「クリア不能」説もささやかれている。
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それだけにクリア時の爽快感は高い。また実際には完全クリア動画がアップされているなど、絶対に不可能というわけでもない。
問題点
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ジャンプの目的地が読みにくい。
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真下にある通路にむけて飛び降りようとして、行きすぎる、あるいは届かない、といった事故が慣れないうちは多発する。システム上、特定の地点からジャンプすれば必ず到達地点は同じになるのが救いではある。
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通常ジャンプならまだいいが、ジャンプ台によるジャンプはさらに読みにくい。ジャンプ台の上に乗ると強制ジャンプし、じっくり見渡せないためである。しかもジャンプ台について説明書には書かれていない。
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ステージ進行は一本道で、分岐などは一切ない。
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このためどうしても解けないステージがあるとそこで完全に詰んでしまう。
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但しステージ1から凄まじい難易度というわけでもない。最初のステージ1~5あたりが事実上のチュートリアルとも言える。
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メニューから選べるチュートリアルが全くチュートリアルの役割を果たしていない。
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ゲーム中に登場するギミックのほとんどを一つのステージに雑多に詰め込んでおり、解説などは一切無い。しかも説明書に無い仕掛けも多く存在する。初心者がいきなりプレイするとほぼ間違いなくなにもわからず死ぬ。
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クリアすることを前提とせず、このゲームにはどんな罠や仕掛けが存在するのか紹介している様子である。自分でひっかかって研究せよとでも言うのか。だとしても、それさえも解説がないのでプレイヤーに伝わらない。
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画面酔いしやすく、3Dマップに慣れずにこれをプレイして酔った人は多いと思われる。
総評
他に類を見ない独特なパズルゲームであることは事実。テンポもよくパズルというジャンルが好きな人はどっぷり浸れるゲームであることも確かである。
クリアにするために何度も何度も試行錯誤することになるだろう。それが好きでない人にはとことん合わない。
しかしこれはパズルというジャンル上仕方がないことであり、まして斬新さが詰め込まれていれば当然のことである。
今ならPSPでもお手軽にプレイできる。合わなかったとしても最悪600円の損害で済むと思えば、遊ぶ価値は十分にある作品である。
デモ動画
最終更新:2023年10月20日 03:37