星のカービィ2
【ほしのかーびぃつー】
ジャンル
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アクション
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対応機種
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ゲームボーイ
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メディア
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4MbitROMカートリッジ
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発売元
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任天堂
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開発元
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HAL研究所
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発売日
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1995年3月21日
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定価
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3,900円
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プレイ人数
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1人
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セーブデータ
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3個
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配信
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バーチャルコンソール 【3DS】2012年2月15日/400円
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書換
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ニンテンドウパワー 2000年3月1日/1,000円/F×4・B×1
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判定
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良作
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ポイント
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お供が登場 初のマルチエンディング搭載 最後の8bitカービィ本編作品
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星のカービィシリーズ
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ストーリー
プププランドにはいつも虹がかかっている虹の島々と呼ばれている七つの島がありました。
ところがある日、虹の島々にかかっていた虹が消えてしまったのです。
虹の島々には「虹のしずく」という宝物があったのですが、それが隠されてしまったせいのようです。
どうやら何者かが、平和を脅かそうとしているようです。
カービィ達はプププランドの平和を守るため、再び冒険に出るのでした。
概要
『星のカービィ』シリーズの本編シリーズ第3作目。
タイトルが2なのに3作目なのは、『星のカービィ (GB)』と本作の間に『星のカービィ 夢の泉の物語 (FC)』が発売されているからである。
前作で確立したコピー能力のほかに、リック・カイン・クーの「お供」(「しもべ」と呼ばれることも)が初登場した。
特徴
お供の存在
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お供はステージ中に登場する袋の中に捕まっており、袋に近づいたり、その部屋のボス(ザコが番人をしていることも)を倒すと、袋が開き、助けることができる。
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助けたお供に触れると自動的にカービィと合体、それぞれの特技でカービィをサポートする。
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リック(ハムスター):カービィを背中に乗せて移動する。「氷の床」などの地形の影響を受けずに進むことができる。
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クー(フクロウ):カービィを掴んで飛行する。空中での移動速度が上がり、強風に逆らって進むこともできる。
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カイン(マンボウ):カービィを咥えて移動する。水中での移動速度が上がり、水流に逆らって進むこともできる。また、水中でも吸い込み攻撃ができる。
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また、お供が合体している間は実質体力が2倍になるため、一部ステージやボス戦の難易度を落とすことができる。
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ちなみにお供がいる状態だと、袋の中にはグーイか女の子(ちゃお)が入っている。
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グーイはダークマター族だが悪の心を持たないカービィの仲間という設定。取ると体力が1メモリ回復する。
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「ちゃお」はディスクシステムのADVゲーム『ふぁみこんむかし話 遊遊記』からのゲストキャラクターで、取ると1UPする。また、彼女を助けだすことが達成度(後述)の%を上げる要素の1つなのだが、出現確率が低いため、会うのはけっこう大変。
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ただし、お供との合体は必ずしも良いことばかりとは限らない。
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それぞれ得意・不得意な環境がハッキリしているため、特にゲーム後半はステージとの相性をよく考えないと、かえって難易度を上げてしまうことになる。
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例としてクーは空中を素早く移動できるが、水中では動きが鈍くなる。カインは水中では素早く泳げるが、陸上での移動は遅い。
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当たり判定が大きくなり、1ブロック分の隙間も通れなくなる。
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合体中はホバリングが使えないので、飛行能力を持たないリックとカインでは落下死の危険が上昇する。
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空気弾も発射できないので、コピー能力が無い状態で吸い込めない敵と遭遇した場合は逃げるしかない。
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『スーパーマリオワールド』のヨッシーと異なり、一度降りるとステージから退場してしまうので、再び特定のステージへ戻って乗り直すことになる。
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リック+ニードル等、後述のコピー能力との組み合わせ次第では素の状態に比べコピー能力が低下する場合もある。
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更に合体中はザコ敵「プロペラー」が天敵となる。この敵はカービィだけだとのんびり浮かんでいるだけで何もしてこないが、合体中に近づくと恐ろしい顔に変貌して追い回し、接触しただけでお供が即退場となってしまう。
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こうなると耐久力が激増、吸い込みも通用しなくなるが、コピー能力があればダメージは与えられるので、根気よく攻撃し続ければ倒すことも可能。
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プロペラーは道のど真ん中にたたずんでいたりと意地悪な配置がされていることも多く、お供を連れたまま先へ進むには何らかの工夫が必要となる。
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実は、一定時間飛行すると追跡をやめて勝手に飛び去っていくるので、「逃げ切る」という対処法もある。
コピー能力
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今作に登場するコピー能力は「カッター」「ストーン」「バーニング」「アイス」「スパーク」「ニードル」「パラソル」の7種類。
前作に比べると少ないが、お供との組み合わせで攻撃方法が計28通りに変化する。以下はスパークの例。
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カービィ=全身から電気を放ち周囲に攻撃。
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リック=口元から電気の鞭を放って攻撃する。他作品の「ビーム」と同性能。
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クー=ボタンを押し続けている間、真下にカミナリを落とす。
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カイン=カインの口から電球を出して攻撃する。スパークの中では唯一足を止めずに攻撃できる。またボタンを離して電球を射出したり、暗い部屋を照らしたりもできる。
その他
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ゲーム開始時にはやりこみ要素でもある「達成度」が%で表示される。普通にゲームをクリアするだけでは100%にはならない。
各レベルに1つずつ隠されている「虹のしずく」を集めることで更に達成率が上がっていく。また虹のしずくを全て集めないと真のラスボスと戦うことができないようになっている。
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「虹のしずく」を手に入れるには大抵、特定のコピー能力やお供が必要になる。
どうやってそこまで能力を持っていくか、お供を連れて行くかといった謎解き要素も重要になる。
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100%を達成するとシリーズではおなじみの「ボスラッシュ」が追加される。
今作のボスは全体的にシリーズ内では強い部類に入るのでなかなかの手ごたえ。
5戦目では一部のコピー能力解禁、7戦目には体力を2だけ回復することもできるなど、楽ができるところもある。今作では他にサウンドテストと、ボーナスステージだけを連続してプレイできるモードも追加される。
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地味なところだがオートセーブ機能があるのも前作(『夢の泉』)同様。これは以降のシリーズにも受け継がれている。
評価点
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適度なバランスの難易度
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普通にプレイするならカービィらしい万人向けのバランスのとれた難易度だが、真のエンディングを見るには謎解きのために色々頭を使わなければならない。
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ボスは全体的にシリーズ中でも強いと評判だが、難易度的に終盤になるにつれて強化されるようバランスが練られている。
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すべての虹のしずくを集めた上で決戦となる真のラスボスはカービィ史上でも上位に入る強さ。第二形態は制限時間内に倒せないと一定間隔で固定ダメージを与えられ、いずれゲームオーバーとなるためにまさに最後の相手としてふさわしい性能となっている。
一方で攻撃パターンが完全に固定化されていたり、特定の攻撃は多くのダメージが通るように設定されているなど、挑戦を重ねれば付け入る隙が確実に見えてくるものになっており、理不尽さを感じさせない程度に収まっている。
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新システムによるプレイスタイルの幅の増加
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コピー能力の数は少ないながらも、お供と組み合わせることでバリエーションを持たせ、謎解きにコピー能力が必要なことで1つの能力を長く使うことに意味をもたせている。
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能力によってはかなりユニークな見た目・攻撃方法になるのでこの組み合わせはどうなるのだろう?とついつい試したくなるのも魅力の一つ。
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全38ステージとGB作品にしてはボリュームがある。
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良質な演出面
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グラフィックは初代を踏襲しつつも、お供の存在などもあってキャラクターの表情・モーションが豊かになっている。背景もスッキリまとまっており、プレイに支障をきたす場面はない。
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新たな敵キャラクターだけでなく、過去作から続投するボスキャラも新しい技を披露するなど驚かせてくる。
特にMr.シャイン&Mr.ブライトはコンビのボスという点を活かして派手な新必殺技を繰り出してくるため、多くのプレイヤーを仰天させた。
デデデ大王も飛行能力こそ有していないが、体力がシリーズ中でも高く設定されており、ダメージを与えていくと一定時間攻撃が苛烈になるなど、表向きのラスボスとしてのインパクトが十分にあるものとなっている。
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各レベル開始時の寸劇も健在。お供とカービィが織りなす寸劇はシリアスな終盤戦でもどこかほっこりさせる。
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BGMの質も高い。ボス戦を始め『夢の泉』で使われたものをGB音源アレンジしたものや、本作の新曲など多岐にわたる。
『夢の泉』で未使用だったデデデ大王のテーマも復活している他、不気味さを漂わせながらもハードで格好いいラスボス戦などボス曲も豊富に用意されている。
問題点
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初代の流れを汲むためかダッシュとスライディングがカットされており、他のシリーズに比べると移動が遅く感じる。
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中ボス、ボスに与えるダメージ量がやたらと低く、ボス戦が間延びしがち。行動も相変わらずランダムなため、吸い込めない攻撃を連発されると避ける以外やる事がないので暇。
またボスの攻撃パターンも遅い。無意味にフワフワ浮いているだけの無駄な時間がある。その割に攻撃を受け付けない状態に戻るのは早いので余計にテンポが落ちる。
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「虹のしずく」を集める条件は意外と厳しく、特にレベル4は「これが公式の攻略法かよ!?」となること請け合い。
お供とコピー能力の交換手順が恐ろしく複雑なレベル6も難関として名高い。
レベル7も、正しい順番で能力をコピーしてブロックを壊していかなければならず、1つ間違えたらアウト。最初の暗い部屋をカイン+スパークで照らすと、その順番がわかるようになってはいるが…そもそもそれ自体、知らなければまず気づかない。
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レベル4の問題の行程(ネタバレ注意)
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「虹のしずく」がある部屋への扉は水流の先にあるため、前提として特殊ブロック破壊用のコピー能力に加えてカインも必要。
水流の手前はフタをするように足元が3ブロック分の星ブロックで塞がれているのだが、困った事に必要なコピー能力の性能上それを壊そうにも届かない。
ではどうすれば良いのかと言うと、一旦コピー能力を能力星として捨てたらその間に素早く星ブロックを吸い込んで吐き出し、能力星が消える前に吸い込んでコピーし直す。
しかも、お供は2ブロックより狭い空間を通ることができないので、1回行っただけでは終わらない。
通路確保のためにはどうしても2回同じ作業を繰り返す必要がある。
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レベル6の詳細(ネタバレ注意)
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「虹のしずく」の入手に必要なのはブロック破壊用のコピー能力だけだが、道中では別の能力をコピーしなければ先に進めない。
故に事前持ち込みは出来ず、ステージ内でコピーすることになるのだが、そのためにはクーが必要。
だが、クーでは必要なコピー能力の都合上、途中で進めなくなるため、こちらもステージ内で救出する必要がある。
そのために必要なのが「リック+とあるコピー」なのだが、後者をステージ内でコピーするためにはカインが必要。
しかし、ステージ内にカインはいないため、事前に連れて来なければならない。
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リトライ性が悪い
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上記の様にクリアはともかく、虹のしずくを集めたり、クリア率を100%にするのはなかなか骨が折れるのだが、その難易度の割に再挑戦するのが面倒臭い。虹のしずくを手に入れるのに、特定のお供を要求される事がよくあるのだが、一度失敗してお供を失うともう一度お供をゲットするのに手間がかかる。それならばリセットした方が早いのだが、リセット→飛ばせないOP→ワールドセレクト(これも遅い)→やや飛ばせないムービー→カービィが降りてくる→ステージを選ぶ。とやたらと遅い。再挑戦するのに20秒近くかかるのはゲームとして論外。
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ワールドセレクト画面に戻るためのワープスターの場所が悪い。
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カービィが着地した地点のワンジャンプ上にあるのだが、カインに乗ったままワールドセレクトした場合に問題になる。カインは陸上の移動が遅く、歩くよりジャンプした方が速い。ワールド到着→移動のためにジャンプ→ワープスターに触れてしまいワールドセレクト画面に戻される。という事が起こる。場所を少しズラすだけで防げた事。
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コピー能力のうち「クー+パラソル」と「カイン+スパーク」の組み合わせが強力すぎる。
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前者は他作品における「トルネイド」のような技だが、「トルネイド」とは違い暴走の恐れがない。加えてクー自身空中を早く飛べるため、高速で移動しつつ攻撃が出来る上、無敵時間もあり回避手段としても優秀。
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後者は上述の通り暗い部屋を明るく照らすことが出来るだけでなく、この状態のまま移動も可能。加えてボタンを離せば飛び道具としても機能し、任意で爆発させられるため、水中は勿論陸上でも強力な攻撃である。
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そのためか両方とも次作の『3』では弱体化してしまった。(特に「カイン+スパーク」)
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クー、カインに比べるとリックの長所は地味で、役立つステージはレベル4の一部だけとのこともあって目立たない。
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加えて、レベル4のうち4-2はクーでの攻略が必須、水中面のある4-3と虹のしずくのある4-4ではカインでの攻略が前提となっている上、4-1においてはアイスの能力が手に入らない段階でプロペラーを対処出来る腕が求められる関係でほとんど活きる場面が無い。
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この点は、『3』で「移動しながら触れた敵を頬張れる」「壁を垂直に登れる」という新能力が追加されたことで改善されている。
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100%を獲得する条件がやや難しい
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1つに「各ボーナスステージでパーフェクトを取る」というものがある。しかし、ボーナスステージは1度プレイすると、ステージをクリアするかリセットしないと再挑戦出来ず、手間がかかる。また虹のしずくと違ってパーフェクトを取った証が特に表示されないため、自分でどこを取ったか憶えておく必要がある。
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もう1つに低確率で出現する、隠しキャラのちゃおを出すことに1%要求される。
こちらは4-1のリックが捕まっている小部屋をリックと合体した状態で出入りすれば手間はあまりかからないが、運が悪いとなかなか出て来ない。
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日本版のみの問題点として、海外版にあったタイトル下のカービィが消えている
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代わりにタイトルロゴに静止画のカービィがいるのだが、これはちょっと悲しい。
総評
特に目新しいわけではなく、GBということもあって少し小ぢんまりとした仕上がりになっているが、
「お供」によるコピーのバリエーションが加わったことで、独自の魅力を生み出している。
後の『3』や『64』に受け継がれた要素も多く、後のカービィシリーズの基本を完成させた作品といえる。
余談
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今作は後のカービィシリーズに敵としてよく登場する「ダークマター族」が初めて登場した作品で、『3』で2Pキャラクターとして登場するグーイが初登場したのも今作である。
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他のカービィシリーズと違って「獲得スコアが電源を切っても記憶される」という特徴があり、カンスト(999万9990点)すると、それ以降は得点が加算されるたびに1UPする。
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普通のプレイではそこまで上げる必要性は皆無なのでさほど問題ではないが、もしこうなると得点が加算される度に1UP時の効果音が鳴るようになってしまうので少々うるさいのが難点。
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ちなみに雑魚敵に触れるとダメージを受けるが触れたその敵も倒せる(つまり得点が入る)ので、この状態で体力が1の時に敵に接触すると「死にながら1UPする」というシュールな光景を見ることが出来る。
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5-5ラストの縦長マップを降りていく場面の構造がよく見ると卑猥。
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ブロックの配置が女性の裸体のように見える。乳房らしきブロックには左右にロッキーが1体ずつ配置されており、乳揺れを暗示するかのように画面を揺らす。乳首の位置にある星型ブロックを壊すと星のかけらが配置されている。更にヘソや股間のようなブロックには、陰毛が生えているのを暗示するかのごとくスパイキー(ハリネズミ)がそれぞれ配置されている。
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このことは2012年頃になってネット上の一部で広まったが、当時の(子供の)プレイヤーにこんなことに気付く人はまずおらず、たとえ女性の裸体を連想したとしても印象に残らず忘れられたものと思われる。ただし攻略本にはくっきりと全身が写っているのだが。
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7-5のとある扉に入ると、一見取れそうもない1UPが3個並んでいるが、これを取るためのギミックは想定外のものであり、初見ではまず気づくことができない。
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海外版ではちゃおの代わりに、リボンを付けたグーイのようなキャラが登場する。
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このキャラについて「グーイの妹」や「名前は『ブロッブ(Blob)』」などの設定があると噂されることも多いが、実際にはそのような設定は存在しない。
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お供に乗ると体力が2倍になる兼ね合いなのか、今作のみ無敵キャンディーが廃止されている。
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本作に登場する仲間達は、開発中は「しもべ」と呼ばれていた。
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初期の宣伝広告には「しもべ」と記されており、『大乱闘スマッシュブラザーズDX』でもリックが「カービィのしもべ」として紹介されている。この他、『星のカービィ3』の内部データからも、開発スタッフが「しもべ」と呼称していた事が確認できる。
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おそらく元ネタは70年代の人気漫画『バビル2世』。
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超能力を持った主人公が「3つのしもべ」を操って戦う作品であり、こちらもそれぞれのしもべが陸・海・空に該当している。
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「しもべ」というと、文字通り下僕のようなイメージを抱きがち。しかし、『バビル2世』における「しもべ」はどちらかといえば本作同様主人公のパートナーのような存在と言える。
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なお、本作のナンバリングも2だが、関連性は不明。
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2018年発売の『スターアライズ』の追加ドリームフレンズ第1弾ではリック・カイン・クーが3体で1キャラ扱いで本作の代表として参戦。
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グーイも本作初登場だが『3』代表として同時参戦を果たした。
最終更新:2023年10月12日 07:20