パックインタイム

【ぱっくいんたいむ】

ジャンル アクション
対応機種 スーパーファミコン
発売元 ナムコ
開発元 Kalisto Entertainment
発売日 1995年1月3日
定価 8,500円
判定 なし
ポイント 独特だが軽快な操作性、グラフィック・BGMも良質
十分なボリュームと豊富なギミック
陰険なトラップとステージ構成が大幅に足を引っ張る
パックマンシリーズリンク


概要

ナムコの看板キャラクター「パックマン」が主人公の2Dアクションゲーム。前年に発売された『ハロー!パックマン』のストーリー上の続編に当たるが、ジャンルは大きく異なっている。

あらすじ

パックマンの宿敵である魔女・アビラスネッターは、にっくきパックマンを過去の世界へ飛ばしてしまった。パックマンは家族が待つ元の世界へ戻るべく、様々な仕掛けと敵が待ち受ける過去の世界を冒険することになる。

特徴

  • ライフ制+残機制を採用。ただし、どれだけライフが残っていても即死するトラップも存在する。
  • 50面+最終ボスとの対決が1面の計51面構成。最終ボスとの対決を除いては、ステージ内にあるお馴染みの「ドット」を全て集めることでゴールの扉が開き、そこへ入ることでステージクリアとなる。
  • ステージ内にある「魔法のリング」をくぐることで、パックマンは以下の4種類の能力を使えるようになる*1。能力は全てYボタンで使用し、L/Rボタンで切り替えられる。なお、既に能力を持っている場合該当する「魔法のリング」は黒くなるが、この状態でくぐると能力が外れてリングに戻ってしまう。もう一度リングをくぐれば能力を再取得可能。
    • ロープ
      • 天井があればどこにでも引っかけることができるロープを出せるようになる能力。さながら海腹川背のようなワイヤーアクションが可能。特に高所への移動には必須となる。
    • ファイヤー
      • 火の玉を発射して敵を倒せるようになる能力。連射性能に優れる。後述の「モンスター」以外のほとんどの敵を倒すことができる反面、この能力が無い場合は敵との戦闘を避けるか、ダメージ覚悟で下記の「ハンマー」を使う必要がある。
    • スイム
      • 水中を泳げるようになる能力。また、泡を吐いて敵を攻撃することもできる。この能力が無い場合は水中に潜ることができず、攻撃も一切できない。
    • ハンマー
      • ハンマーで地面を叩き、脆い足場や破壊可能なオブジェクトを壊せるようになる能力。左右に入力しながら繰り出すことで横へハンマーを叩き付けることも可能。横ハンマーは一部の敵を倒すこともできるが、被弾の危険性もつきまとう。
  • パックマンの行く手を阻むのはステージごとの敵キャラクターに加え、シリーズ常連の敵キャラクターである「モンスター」も存在。モンスターにはファイヤーもハンマーも通用しないが、ステージ内に置かれている「パワーエサ」を食べることでイジケ状態にすることができ、イジケ状態の時に接触することで食べて撃退することができる。
  • 5面ごとにパスワードが発行され、入力することで該当ステージから再開することができる。

評価点

  • 跳ね回るような独特の操作性
    • 今作のパックマンは魔女アビラスネッターによって手足を短くされた(ついでに鼻も)という設定があるためまるでカービィのように丸っこいボール状の身体となっており、そのためかとにかくよく弾む。
    • 少々クセはあるものの操作性は非常に良く、ポンポンと跳ねながら進んでいけるので見た目以上のスピード感が味わえる。また、普通に地面を歩く動作もきびきびしており、もっさり感とは無縁の軽快なアクション性を持つ。
  • 全50ステージのボリューム
    • 10ステージごとに「山」「森」「寺院」「村」「城」とエリアが区切られ、エリア内のステージも個性的で飽きが来ないよう配慮されている。
    • 謎解き要素が強く打ち出されており、パックマンの持つ能力をフルに活用し、ステージに用意された仕掛けをよく観察する必要がある。
    • 特定のステージにしか無い仕掛けも豊富。ステージが変わると解き方・使い方の変わるギミックも多い。
  • よく描き込まれたグラフィック
    • エリア毎に雰囲気が統一されたグラフィックはいずれも細かい部分まで描き込まれ、探索欲をかき立てるものに仕上がっている。
    • パックマンの動きもとても滑らかで、上述のアクション性と相まってパックマンを動かすこと自体に楽しさが感じられるようになっている。
  • 聴き心地のよいサウンド
    • BGMはそれほど自己主張せず、さりとて完全に空気にもならないような「BGM」として優れた物が揃う。
    • ステージ開始時にはあの『パックマン』のラウンド開始BGMのアレンジ版が流れるのも嬉しいところ。
  • 裏技でステージセレクトが可能
    • タイトル画面で所定の手順を踏むことで、ラスボス戦を含む全51面を自由に選んで遊ぶことができる。
    • ステージセレクトなどの裏技の類は本来「余談」に書くような項目だが、後述する「問題点」のために敢えて評価点として挙げている。

問題点

  • 陰湿なギミックやトラップの数々
    • プレイした人間がほぼ確実に挙げると言っても過言では無い問題点。ほとんどのステージに手の込んだギミックやトラップが用意され、プレイヤーとパックマンを容赦なく殺しに来る。
    • 「山」エリアは最初のエリアとあってか大人しめだが、最終面である10面で何の前触れも無く即死トラップである「赤い水たまり」が登場。ただの水の色違いだと思って飛び込み即死する者が後を絶たなかった。
    • 「森」エリアでは背景に紛れた「ツタ」のトラップが登場。床や天井に仕掛けられ、うかつに触れたパックマンに大きなダメージを与えてくる。ファイヤーで破壊できるが、ステージによってはファイヤーの能力が手に入らず回避を余儀なくされることも。この辺りから単純に進み方が分かりづらいステージも増えてくる。
    • 「寺院」エリアに入るといよいよ本格的に陰湿さが増大。床に何気なく空けられた小さな穴から槍が突き出してきたり、坂道の上から突然岩が転がってきたり、一方通行の入り口があったりと一筋縄ではいかない。後述する「能力に関する説明不足」も加わり、難易度はぐんぐん上昇していく。加えて寺院エリアには「見えているが行く方法がない場所」が数多く存在し、中には行けない場所にドットが配置されている*2ところがあるなどかなりの陰険さを感じさせる場面も。
    • 「村」エリアは明るい見た目とは対照的に、「カミナリ」「ロープを走る電撃」「窓から落とされる植木鉢」など触れると大きなダメージを受けるトラップが次々に出現。ファイヤーを何発も当てないと倒せない敵も現れ、ファイヤーが効かないモンスターの巧妙な配置も相まって相当な嫌らしさを誇る。暫く出番のなかった即死トラップ「赤い水たまり」もしばしば登場し、プレイヤーを苦しめてくる。
    • 「城」エリアはそれまでが前哨戦に思えるほどの高難度。モンスター以外にもファイヤーが効かない敵が現れ、ステージによっては敵が無限湧きするところも。解き方が極めて分かりづらい仕掛けや即死トラップも満載で、パスワードやステージセレクト無しでのクリアは困難を極める。最後にはこのゲーム唯一のボスとの対決が待っているが、そこでも頭を使って謎を解かねばならない。
  • 能力に関する説明不足
    • パックマンが4つの能力を使えるというのは上述の通りだが、実はそのうちの「ロープ」「ファイヤー」「ハンマー」には取説やゲーム中で一切解説されていない使い方が存在する
    • ロープ
      • 説明不足の筆頭。基本的には移動のための能力なのだが、岩など一部のオブジェクトを引っ張るというまったく別の使い方がある。「寺院」のあるステージはこの使い方に気付いて排水溝のフタをロープで引っ張らない限りクリア不可能。加えて別のステージでは「ファイヤーで排水溝のフタを破壊できる」というギミックがあったため、破壊できないことに気付かずファイヤーや横ハンマーを延々と浴びせ続けるプレイヤーもいた。
    • ファイヤー
      • Yボタンを一秒ほど押してから放すことで、一回り大きな「溜め撃ち」が可能。敵によってはこの「溜め撃ち」を使わないと倒すのにかなりの時間を要する者もいる。
    • ハンマー
      • 「寺院」の一部ステージに登場する小槌のような敵キャラクターは、パックマンを見ると地面を叩いて衝撃波で攻撃してくるが、この敵にはファイヤーが通用せず、パックマンが地面をハンマーで叩き返して衝撃波を跳ね返さなければ倒せないという特性がある。加えて、この敵を倒さない限り決してクリアできないようなステージ構成になっている。
    • 能力の全てについて説明をする必要は無く、謎解きの一環と考えれば一概に問題点とも言い切れないかも知れないが、それでも「知らない限り絶対に突破できない」仕掛けはあまり印象の良い物とは言えないだろう。
  • 理不尽な即死の多さ
    • 即死トラップ自体は他のアクションゲームでも多数採用されているものであり、それ自体は問題点とは言えないが、本作はそうした事情を差し引いても理不尽な即死がとても多い。
    • このゲームには「地形とオブジェクトに挟まれると即死」というルールが存在し、ほとんどの場面でそれが厳密に守られている。例を挙げると一番最初の1面、開始直後に見える丸太のリフトの下敷きになるとそれだけで即死する。
    • 寺院の後半ステージでは開始直後に「スイムで泡を吐いて水中の岩を押し上げ、それが落ちてくる前にくぐり抜ける」というシーンがある。岩の下敷きになると即死するのは勿論だが、岩の上にいる状態で泡を吐くと天井と岩に挟まれて一瞬で即死という罠が仕掛けられている。尚、下を潜るのもなかなかシビアなタイミングを要求される。
    • それでいて一部のステージでは転がり回る岩と地面に挟まれてもダメージを受けるだけで済むなど一貫しておらず、油断して即死してしまう場面を増やす結果に繋がっているなどたちが悪い。
    • 物を押す順序を間違えるとあっけなく即死したり、場合によっては何故死んだのか分からないままミス扱いになったり*3と、プレイしていて非常に心臓に悪い。

これらの問題点のため、どうしても先に進めず事実上「詰んだ」状態になってしまうことがたびたび起きる。ステージセレクトでクリアできないステージを飛ばせるのがせめてもの救いと言えるだろう。

総評

独特かつ軽快な操作性、十分なボリュームと豊富なギミック、丁寧な描き込みがされたグラフィックに聴き心地の良いBGMと、良作アクションゲームになり得る要素はたくさん持ち合わせていたのだが、陰険なトラップとステージ構成が大幅に足を引っ張ってしまった感のあるゲーム。
もう少し難度が抑えられていれば、「パックマン」という有名なキャラクターが主人公ということもあってより多くのプレイヤーに楽しんでもらえたのではないかと思われ、惜しいという気持ちが拭えない。

余談

  • 結末はやや描写不足。最終ボスを倒すと元の世界へのゲートが開き、パックマンはそこを通って無事に帰還する(同時に呪いも解ける)。だが、黒幕のアビラスネッターがその後どうしたのかが全く言及されていない。
    • 以後の作品にも全く登場しない事から、パックマンに二度の敗北を喫し完全に鳴りを潜めたと考えるのが妥当か。
    • あるいはラスボス自体がアビラスネッターが変身していたとも考えられるが、作中にそのような変身シーンは無い。
    • 双葉社刊行の攻略本「パックインタイム必勝攻略法」によると、前年発売の『ハロー!パックマン』のラスボスである「ガム怪獣」とのこと。*4
  • ステージセレクトの裏技は、パスワード入力画面で「LVDYK」と入力した後、「1UP GAME」または「2UP GAME」にカーソルを合わせて「左+L+R+スタート」を押すとなっている。ここからいきなりラスボス戦へ飛んでクリアしても、通常通りエンディングを見ることができる。ラスボス戦の攻略法は「SFCのゲーム制覇しましょ」まとめの記事を参照。
    • 一部のゲーム雑誌ではこれに加え、パックマンが無敵になるパスワードとして「XYXYX」、いつでもポーズが掛けられるようになるパスワードとして「YXYXY」というものが紹介されていたが、いずれも実際には効果を発揮しない。後者に至ってはそもそも初期状態でスタートボタンを押せばいつでもポーズを掛けられる仕様になっているため、どんな理由でこのような裏技が載ったのかも不明*5
  • 日本国内では他にもGB版が発売されたが、海外ではさらにPC(MS-DOS)版とMacOS版も販売されていた。
    • GB版はドットを全て集める必要が無い代わりに、ライフ制では無く即死制かつ制限時間が設けられており、時間内にゴールへ辿り着く必要があるなどSFC版とは大きく異なった作りになっている。
    • DOS版はステージ構成こそ異なるものの、GB版によく似た内容になっている……というより、ライフ制+謎解き重視のSFC版が例外的な作りになっている模様。
    • 上記に加えてゲームギア版も試作版が作られる段階まで開発が進んでいたが、途中でキャンセルされたために市場に出ることは無かった*6。YouTubeでは流出したと思しきプロトタイプをプレイしている動画がいくつか存在している。
  • 基本情報欄にもあるが、このゲームを開発したのは「Kalisto Entertainment」というフランスのデベロッパー*7。そのため本作は「洋ゲーのローカライズ版」という側面も持つ。欧州では日本より一足早く発売された。
    • 実のところ、DOS版/MacOS版はこの「Kalisto Entertainment」が本作の前に開発したオリジナルのアクションゲームである『Fury of the Furries』のキャラクターや一部アイテムをパックマンに差し替えたもので(その他の調整が施されているかは不明)、ナムコがライセンスを取得した上でパックマンの新作アクションゲームとして販売したという経緯がある。
    • SFC版は全体の雰囲気こそよく似ているものの、ゲームシステムの根幹からステージ構成まで全て作り直されているため、事実上別のゲームとして扱われている。
  • 2022年5月26日に発売された『PAC-MAN MUSEUM+』に本作が収録された。ステージデモ等に現れるミズ・パックマンおよびパックマンの子供たちはパック・マムとその子供たちに描きかえられている。ステージセレクトの裏技はそのまま使用可能。
最終更新:2022年06月19日 16:24

*1 ステージ開始時点で既に一部、または全ての能力を持っている場合もある。

*2 該当するステージは、取れる場所にあるドットを全て取るだけでクリア可能になっている。つまり存在自体がフェイク。

*3 ほとんどの場合、知らない間に何かの間に挟まれている。

*4 容姿は『ハロー!パックマン』に登場したものとかなり異なっている。

*5 可能性として考えられるのは、他雑誌による裏技の転載対策だろうか。

*6 ちなみにGENESIS版もリリースの計画があったものの同様にキャンセルされている。

*7 日本での知名度は皆無に等しいが、後にPSの『ナイトメア・クリーチャーズ』シリーズや同名映画のゲーム化作品である『フィフス・エレメント』などを手掛けている。尚、会社自体は2002年に破産宣告を受け倒産。