パワポケ甲子園

【ぱわぽけこうしえん】

ジャンル スポーツ・育成
対応機種 ニンテンドーDS
メディア DSカード
発売元 コナミ
開発元 コナミ(パワプロプロダクション・パワポケチーム)
発売日 2005年8月4日
定価 5,229円(税込)
判定 ゲームバランスが不安定
ポイント パワポケ8』に先行して発売されたDS初の野球ゲーム
「パワポケ」の名に反し極端に薄い甲子園モードのストーリー
そして異常なまでに運に左右される育成環境
後にパワポケシリーズから除外
実況パワフルプロ野球シリーズリンク


概要

  • 高校野球シミュレーションとして登場した実況パワフルプロ野球シリーズの関連作品。
    • 実在のプロ野球チームは登場せず、各県代表チームも実在の高校ではない。あくまで架空の世界のゲームである。
    • ニンテンドーDSにて初めて発売された野球ゲームである。
  • タイトルから見てわかるとおり、パワポケシリーズ関連作品として開発され、公式HPが健在であった当時は『パワポケ8』への公式Webサイトへリンクされていたりした。
    • スタッフロールにも「パワポケチーム」と明記されているが、主要スタッフは異なっている(プロデューサーの藤岡謙治氏など一部は共通)。このことから、『パワポケ8』の攻略本に記載されたインタビューでは『パワポケ甲子園』チームとの記載もある。
    • あつまれ!パワプロクンのDS甲子園』(以下『あつまれ!』)が後に実質的な続編・完全版として発売された。こちらは当初よりパワポケシリーズとは無関係なタイトルとして発売されている。
    • 『あつまれ!』発売と同時期に『パワポケ甲子園』もパワポケシリーズ公式サイトから除外されていたようである。また、『パワポケダッシュ』以降の作品でシリーズに関する記述がある場合も、『パワポケ甲子園』は除外されている。

ゲームシステム

甲子園モード

  • パワプロ・パワポケシリーズにおける「サクセス」に相当する育成SLGモード。
    • 本作の主人公は、高校野球部のキャプテンとなり、甲子園優勝を目指し自身とチームを育成する役回りとなっている。
      • 本作のストーリーは上記1行で説明が完了してしまうほどにシンプル。あくまで主人公や仲間たちは甲子園、そしてプロ野球を目指す高校球児たちであり、パワポケシリーズでありがちな裏社会の攻防やドラマチックなストーリーは皆無である。
    • 今作は2年生の8月から開始し、翌年の夏の大会までを操作する。1日1コマンドだが、特定のイベントが発生するとコマンド入力がスキップされることもある。
  • クリア条件は世間評価60以上。名称に反して甲子園出場は絶対条件ではない。
    • 本モードをクリアすると、選手だけでなくクリア時のチーム全体も登録することができる。
    • 登録可能人数は128人、チーム数は32チーム。
  • 全47都道府県・全931校にのぼる高校から「予算」「指導力」「人望」のパラメータを見ながら高校を選択し、更に高校の名称・ユニフォーム・校旗も任意に変更してチームを作成することができる。
    • 「予算」は練習試合の回数と練習効率に、「指導力」はマジメ度と野球センスの向上効率と一部の有用ランダムイベントの発生率に、「人望」はスカウトの成功率と入部してくる選手の能力に影響する。
    • 高校選択画面には表示されないがマネージャーの1人、初期チーム(後述)に関しても初期高校により固定。
    • 名称もユニフォームも自由なので初期パラメータを決めるだけの要素と思いきや、北関東以北は冬季に室内練習場での練習となり効率が変化するという地域要素も。
    • 初期チームは19組分のチームがデフォルトで用意されているが全てそのチームのメンバーが選出されるわけではなく、確率で初期能力が非常に低い「ザコ選手」と入れ替わる。また、後にスカウトできる選手に関しては19組全てから選出される。なお、各県代表高校の選手は選ばれない。
      • 「ザコ選手」は初期能力が非常に低いが、通常の練習での野球センスの上昇率が通常の2倍になり、更に好感度が一定以下にならないという特性がある。
        そのため練習を重ねれば野球センスの高さからかなりの成長が見込め、好感度のお陰でチームの潤滑剤として機能する地味に有用な存在である。
  • 本作では従来のパワプロシリーズの筋力、技術などのカテゴリ別の経験値制を廃し、各能力ごとに経験値が蓄積される方式に変更されている。
    • 後述する「野球センス」によっても能力の上がり方が変わる関係上、本作では蓄積した経験値はゲーム内では一切表示されない。
    • また、経験値では一切特殊能力を取得できなくなった。これが後述の問題を産むのだが…。
  • 本作におけるパラメータとして「マジメ度」「野球センス」「好感度」「スカウト能力」が登場している。
    • 「マジメ度」は学生としての素行を示すパラメータで、0になると退学となりゲームオーバー。
      • 初期値は高くそうそう0になることはないが、指導力が低い高校だと上昇しにくく、その上で彼女とデートを繰り返したりゲーセンに通いつめたりなんてことをしていると…。
      • 仲間・マネージャーの場合は1で停止するため退学することはない。練習相手に選出される確率やスカウトの成功率に関わる。
    • 「野球センス」は従来の「センス○/×」に代わるステータス上昇に関わるパラメータ。
      • 野球センス0と100ではステータス上昇に必要な経験値が実に半分になるため非常に重要なパラメータである。これも指導力が低い高校だと上がりにくい。
      • 仲間にも設定されているがマネージャーには設定されていない。また、「ザコ選手」はこれが非常に上がりやすくなっている。
    • 「好感度」は従来の彼女候補だけではなく、全ての選手・マネージャーに設定されている。高いと練習相手に選出されやすくなるが、低いとチームを害するイベントが発生するようになってしまう。
      • なお、彼女候補の好感度に関しては従来通り彼女攻略のパラメータとして機能する。
    • 「スカウト能力」は後述のスカウトコマンドに関わる能力で仲間・マネージャーだけに設定されている。
      • 基本的に成功・失敗を問わずスカウトを実行することで上昇する。
  • 「練習」はまんま野球の練習。上述の通り今作では経験値システムが抜本的に変化しているため、各能力ごとに練習が用意されている。
    • 野手であっても投手練習が可能であり、投手であっても野手練習が可能。
      • 今作のスタミナは野手でも比較的重要度が高いパラメータであるため、スタミナ練習にあたる「ランニング」は野手練習カテゴリに分類されている。
    • 練習は主人公1人、仲間と2人で、チーム全体と範囲を指定して行うことができる。練習効果は人数が増えるほど低下する。
    • また、主人公が怪我をしている場合にも仲間をコーチして練習させることも可能。
    • チームの「予算」が高いほど練習効率が向上する。また「指導力」が高いほど野球センスやマジメ度が上昇しやすくなる。
  • 「スカウト」というコマンドがあり、マネージャーや仲間に依頼して新しい選手を探してきてもらい、野球部に入部させることができる。
    • 成功率や新入部員の能力はスカウト能力・マジメ度・チームの「人望」・やる気に依存する。また月曜日にスカウト依頼して金曜日に結果が判明する。
    • なお、チームに入れられる人数は18人で、チーム外の控え扱いにできるのも18人。控え選手は退部させて名簿から抹消することも可能。
    • このスカウトコマンド以外でもランダムイベントやフリータイムコマンドでスカウトが発生する場合も。
    • 男子マネージャーはこのスカウト能力が高く設定されている。
  • 「フリータイム」は練習以外の行動を取る従来のパワポケで言う「うろつき」コマンド。
    • 本作には「休む」コマンドはないため、体力回復はこのフリータイムで行うのが基本となる。
    • 「遊びに行く」「食事をする」「ラーメン屋に行く」という選択肢があり、いずれも仲間を連れて行くことも可能。
    • 遊びに行った場合は行先によってイベントが発生し、特殊能力が得られる場合も。また遊びの行き先は季節によって変化する。
  • 彼女候補となる女子マネージャーは5人登場する。
    • ただし初期チーム依存の同級生マネージャーは初期チームを間違えると絶対に登場せず、また下級生のマネージャーに関してはゲーム開始時に既に登場しているかはランダム。3年生4月の新入生として入ってくる場合はクリアまでに攻略が間に合わない。
    • パワポケ恒例の超特殊能力も登場。今作では春夏連覇が絶対条件なので非常に難易度が高いが、威圧感も確実に取得できるため非常に強力な選手の育成が可能。
    • 本作の彼女候補の1人である「美沙」は『あつまれ!』でもナビゲーターとして出演している。
    • ただしこの彼女候補の攻略に関しても問題が…(後述)。
  • チームの予算によって回数が変動する練習試合、春の甲子園出場を賭けた秋の大会と夏の甲子園出場をかけた夏の大会、そして春夏の甲子園と試合部分も数多い。
    • 本作の試合数は予算最大の場合なんと29試合。シリーズ屈指の多さである。
    • 試合の操作は所定のイニングからすべての選手を操作する「全員操作」、主人公の打席のみを操作する「自分操作」、一切操作を行わない「観戦」「ミニ観戦」から選択できる。
    • 育成面では「全員操作」以外は全て経験値にマイナス補正がかかるため実質1択である。またシリーズ恒例であるがミートカーソルを「ロックオン」にしても経験値にマイナス補正がかかってしまう。
    • シリーズでは珍しく試合途中でもセーブして中断することが可能。
  • ライバルとして「五十嵐」という選手が登場する。自分の高校と同じ地区の代表チームの選手として登場する。
    • 秋の大会の決勝戦に進まないとほとんど関わることがないが、一方秋の決勝まで進めた場合は時折主人公と野球勝負を繰り広げるライバルとなる。
    • ただ彼も至ってまともなキャラであり、好印象を抱くことはあっても悪印象を持つようなキャラではない。主人公と出会っていてかつ夏の甲子園に出場した場合には応援に来てくれたりもする。
    • 後の『パワポケ10』の天道のプロトタイプにも見えるキャラであるが、彼より格段にアクは少ない。

野球

  • ベースは『パワポケ6』であり、打球が飛びづらい、野手の移動がやや遅いなどの特徴もそのままである。
    • また、『パワポケ8』で初実装されることになる3Dポリゴンの野球もまだ未実装である。
    • ただし外野がGBA時代より更に拡大され、外野の守備位置がそれに伴いやや後ろ寄りになったことが後述の問題を生み出している。
  • 2画面になったことでメイン画面となる下画面の表示はGBA時代より大分スッキリしたものとなった。
    • サブ画面の上画面にはスコアボードや守備の配置、選手の能力が表示される。
    • 発動中の特殊能力のリアルタイム表示がパワプロ・パワポケ両シリーズで初めて実装されている。
  • 特筆すべきは本家パワポケシリーズに2年半も先立って実況の搭載を実現したこと。
    • 実況担当は堀江良信氏。『あつまれ!』はもちろん、後の『パワポケ10』以降でも引き続き担当している。
  • 本作は前述の通り実在プロ球団は未登場であり、高校も全て架空のものである。
    • しかし各地区代表49チームが登場しており、更に実在選手という枷が取り払われたことで超特殊能力や極端すぎる能力値など個性溢れる選手が多数登場している。
    • ただし各地区代表チームの選手は甲子園モードで味方となることはない。惜しまれるところである。

その他

  • データ
    • 作成したチームや選手のデータを閲覧することができるモード。
    • 本作には『パワポケ7』以前の選手のパスワードを入力することができ、また本作の選手は『あつまれ!』および『パワポケ8』以降にパスワードで移すこともできる。
    • ただし、本作及び『あつまれ!』固有の投手サブポジの野手を登録した場合は投手のサブポジは消滅し、投手関係の能力及び特殊能力は全て消去されてしまう。
  • トーナメント
    • 各地区代表チームや甲子園モードでの作成チーム、アレンジチームから最大16チームを選びトーナメント対戦を行うモード。
  • アレンジ
    • 恒例のアレンジチームの作成モード。
    • 今作は各県代表の他、甲子園モードでの作成チームをベースとすることも可能。間接的に高校名・ユニフォーム・校旗も自由に設定できるため、自由度は非常に高い。
  • 記念館
    • 甲子園モードで出会ったキャラクターのステータスや好きな場所を表示することができる。ただしステータスはあくまでデフォルトのステータスであり、加入時の補正やその後の成長は反映されない。
    • なお、本作には個別エンディング等は一切存在しないため、アルバムモードも存在しない。

評価点

  • 極めて高い選手育成の自由度
    • 本作は野手だろうが投手だろうが基本能力・特殊能力の取得など一切区別せずに行うことができるし、実際の試合でも野手が投手として登板することも問題なく行うことができる。
      • 実際の高校野球でも投手・野手の兼業が至って普通に見られるが、その実態に即した設定がこの自由度の高さを生み出している。
      • パワポケシリーズでは投手と野手は厳密に区別されており、一部の裏サクセスを除いて投手が野手の、野手が投手の能力を上げることは出来ないため、これは本作及び続編の『あつまれ!』固有の特徴といえる。
      • なお、パワプロシリーズではだいぶ前から投手・野手の育成上の区分は撤廃されている。
    • ただし、この自由度の高さを台無しにしてしまうほどの問題点が存在する(後述)。
  • 薄味なストーリーに見合ったシナリオ展開
    • 本作のストーリーは前述の通り確かに非常に薄いが、一方でその薄いストーリーを台無しにするような展開・キャラは一切登場しない。
      • 後の『あつまれ!』の降坂のようにアンバランスなまでの目立ち方をするキャラも居ない。
      • 前述の五十嵐くんも主人公を食ってしまうような活躍をすることもなく、至ってまっとうなライバルキャラに徹している。
    • あくまで甲子園とプロ入りを目指す高校球児たちのストイックなストーリーであるという点が貫徹されており、いつものパワポケシリーズのブラックさが肌に合わない人にとってはプレイしやすいだろう。
  • 初期チーム厳選が楽
    • 高校決定時に「前回の設定を編集」というコマンドが用意されており、前回決定した高校や名前、選手名などが全て初期選択された状態から開始できる。
    • 初期チームを厳選したい場合、下級生女子マネージャーを狙いたい場合に厳選が非常に楽になる。今作のランダム性高さを考慮したものとみられる。

問題点

甲子園モード

  • 甲子園モードの運要素が異常なまでに多い
    • せっかくの育成自由度を台無しにしてしまうレベルの大問題。
    • 上述の通り本作では経験値システムが大幅に変更されているのだが、そのせいで特殊能力1つ取るのでさえ経験値ではなくイベントで運に頼らなければならない。
      • フリータイムコマンドである程度任意に狙える特殊能力も存在するが、確率でいい結果と悪い結果に分岐する上、悪い結果に分岐するとマイナス能力が付くなんてこともザラ。プラス能力を狙いに行ったのにマイナス能力が付くなんて本末転倒な事態が多発する
      • 本作で確実に取れる特殊能力は本当に数えられるものしかなく、ランダムながらもローリスクで取れるものを加えてもわずか。
    • サブポジションの取得ですらも運ゲーである。
      • 本作のサブポジの取得は「メインポジションのコンバート」と言う形で行われる。そのため任意のサブポジを狙う場合は最初のメインポジションを狙うサブポジに設定しなければならない。
        しかし、そのコンバートイベント自体がそもそもランダムイベント(指導力が高い高校の方が発生しやすいようである)であり、
        その上そのコンバート先も完全にランダムというひどい仕様。サブポジを考える場合任意のポジションの選手を作ること自体があまりに困難である。
    • 彼女攻略ですら運ゲーである。
      • 今作で彼女候補をデートに誘う場合はランダムイベントを経由しなければならない。任意でデートできるようになるのは告白イベントを経て正式に彼女になった後である。
      • 任意で好感度を上げるにはスカウトに指名するくらいしかない。しかしスカウトでの好感度上昇量はあまりにも微量であり、しかもスカウト実行期間中は肝心のデートの約束すらできなくなる。
      • 更に5人中3人は告白イベントの発生日が決まっており、その日までに好感度などの所定の条件を満たさなければその周回での攻略は不可能になる。
      • 幸い告白イベント発生条件自体はそこまで極悪なものでもない。しかし、過去のパワポケシリーズでもここまで運に振り回される彼女候補は存在しなかった*1
      • 上述の通り彼女を攻略して好感度一定以上で主人公の誕生日を迎え、そして春夏連覇を成し遂げれば威圧感と超特殊能力の両方を確実に取得できる。つまり見返り自体は非常に大きいのが救いではある。
  • 余談だが本作の超特殊能力取得は一応彼女攻略抜きでも不可能ではない。
    • ただしその条件は所定の練習回数200回以上というおぞましいもの。本作のターン数が350以上あるとはいえ、練習できない休養日もあるし体力の問題もある。
    • そもそも200回も練習すれば試合等のプラスも考慮すれば能力を容易にカンストまで持っていくことができるため、超特殊能力のためだけに他の能力を犠牲にして練習を重ねるというハメに陥る。当然彼女攻略を目指したほうが総合的には高い能力の選手を作れるだろう。
  • 以上のことから、有用な特殊能力を多く習得した、複数の守備位置を守れる選手を作ることは絶望的な難易度である。
    • 逆に基本能力が高いだけならそこまで困難でもない。また、サブポジ取得を諦めれば守備位置は任意のものをキープできる。
  • あまりに育成期間が長い
    • パワポケ関連作品で日付刻みでターンが進行するのは初めての試み。だが1年間を通しでやるにはあまりに長すぎた。
    • 一部のイベントはコマンド入力がスキップされるし、試合の日は試合以外のことはできなかったりするが、それでも350ターンという長過ぎる攻略期間はリプレイ性を大幅に削いでいる。
      • 更に育成面を考えると試合操作は「全員操作」1択なのだが、甲子園の後半では3回とか1回からフル操作を強いられることもあり、プレイ時間の長さに拍車を掛けている。
        試合途中の中断セーブが実装されているのが救いである。
    • 奇しくもほぼ同時期発売の『パワプロ12』も従来の週ごとではなく日付制を敷いていたが、代わりに育成期間は4ヶ月と大幅に短縮されていた。
    • 後の『パワポケ9』も日付制となったが、4月スタートで12月末で完結し、途中で約3ヶ月スキップされるため実質6ヶ月である。
  • 投手の育成が極端に優遇されている
    • 試合では投手は投手としての活躍はもちろん、バッターとしての活躍も何ら補正がかかることなくそのまま加算されるため、活躍すれば世間評価も野手能力も大きく上がる。世間評価の値によって最終登録の際に能力にプラス補正がかかることを考えると大きい。
      • 後述の通り本作の野球部分は難易度が低く、例え投手の貧弱な初期能力でも活躍することは難しくない。
    • 裏返せば野手が投手として活躍することも不可能ではないが、初期能力が絶望的に低く安定した活躍は望めない*2
      • そもそも投手の初期能力自体がやけに高く、スタミナとコントロールは両方とも最低でもDが保証される。野手は投手よりも能力の種別自体が多いにもかかわらずDは多くても1つまでしか出ない。
        試合で伸ばすぶんまで含めると野手練習に費やす時間が比較的確保しやすい*3。逆に野手が投手練習に時間を費やすことはあまりに難しい。後述の通り肩力の存在が負担になりがちだからである。
      • 一応野手でもポジション次第でDが2つ出ることは割とよくあるが、野手能力はある程度低くても腕で補えるのに対し、投手のスタミナ・コントロールはプレイヤースキルではどうにもならない(特にスタミナ)。それが初期から高いのはかなり大きい。
    • 野手能力の1つである肩力が球速を上げることで連動して上がるシステムになっているため、普通に球速を上げていけば肩力も上がっていってしまう。
      • 試合で経験値を稼げるミートカーソル・パワー・走力と合わせると練習で稼ぐ必要があるのは守備力だけとなり、投手なのに野手能力を上げる負担が野手より少ないという恐るべきバランスになってしまっている。
    • 投手が野手にコンバートするのは上述のランダムイベントで特に条件なく行うことができるが、野手が投手のサブポジションを身につけるには投手能力を一定以上まで上げることが必須である。
      • ただし、後のパワポケシリーズにパスワードで送ることを考えるのであれば、コンバートを行わず投手のまま通す必要はある。
  • 甲子園終盤の難易度上昇が極端すぎる。
    • 今作の相手チームのステータス決定には試合ごとに「能力補正」というものが掛かるのだが、春の決勝では120%、夏の決勝では140%という極端な補正がかかる。
      これ自体は後半の相手チームのほうが強敵になるということの表現であると考えればそこまで変な調整ではないが、問題はこの能力補正が全能力に平等にかかることにある
    • 特に深刻なのが打撃能力と球速であり、夏の決勝ではほとんど打者がミート・パワーB以上(両方Aも当然のように現れる)、投手はほぼ例外なく最大球速160km/h、変化球レベル7の怪物と化す。
      当然のようにCPUの強さは「パワフル」なので、いくら後述の野球部分の難易度の低さがあるとはいえ甲子園優勝の難易度は度を越して高い。
    • なお、逆に序盤の相手チームの弱さも極端すぎるレベルになっている。
      • あくまでクリア目的なら甲子園優勝は必須ではない。しかし、前述の通り超特殊能力の取得にはほぼ春夏の連覇が必須であるため、強力な選手の育成のためには避けて通れない。
  • 仲間のマジメ度・好感度が足かせにしかならない
    • 後述する事情により、マジメ度と好感度は単に育成を妨害する要素としてしか機能しなくなってしまっている(特にマジメ度)。
  • 仲間のマジメ度は以下の3つに影響する。
    • スカウトの成功率
    • 練習を休みたい旨を主人公に伝えるランダムイベントの発生判定(低いと発生する)
    • 月・水・金曜日に発生する好感度低下判定
  • このうちスカウトに関してはマネージャーが担当するようにバランス調整されており、事実マネージャーのスカウト能力はデフォルトで高く設定されている。
    仲間がスカウトを実行した場合は好きな場所が同じ選手が優先的にスカウトされてくるが、そもそものスカウト能力が低いためにスカウト自体がめったに成功しない。
  • 2番めのサボりイベントだが、主人公がサボりを認めた場合好感度が上昇するためむしろプラスイベントである。
    またサボった仲間はその日の練習に出現しなくなるだけであり、特段デメリットはない。
  • 問題の3番目だが、厳密には月・水・金曜日に全員練習以外のコマンドを選択した場合に好感度が低下するというものである。これはマジメ度が高いほど好感度が下がりやすくなるというものであり、好感度を維持するためにはマジメ度を低く保つ方がよいという設定になってしまっている。
    • 以上から実質的に仲間のマジメ度は高いほど不利になるというバッドステータスになってしまっている。
  • 好感度も実質20あればプラスイベント発生条件を全て満たし、かつマイナスイベントの発生は封じられるのであまり高くまで持っていく必要はない。しかし下がりすぎると強烈なデメリットが発生する。
    • 好感度15以下で主人公を無視してやる気を下げるランダムイベントの、また好感度0または全員*4の好感度平均が20以下になると部室内を破壊するランダムイベントの発生条件を満たす。
      後者はチーム全体の予算・指導力・人望を直接低下させる上にその日のコマンド入力権を剥奪するという凶悪なイベントである。
      • マジメ度と連携しているのが厄介なところで、マジメ度が高い仲間ほどすぐに好感度が下がってしまうので、好感度を上げる以上にマジメ度を下げる目的で遊びに連れて行くことも時には必要となる。
      • さらに彼女とのデートを仲間に見つかった場合などは仲間全体の好感度がマイナス1~2(チーム全体で見れば16~32)されるという甚大な被害を被る。
        一方味方全体の好感度を上げる手段はごく一部の定期イベントのみと非常に限られており、下がりやすく上げにくいというシビアな調整がなされている。
    • 任意で好感度を上げるには練習やフリータイムに誘うしかないのだが、基本的に1度に1人しか上げられない。維持する必要があるのはたったの20といえど、16人のチームメイトを全て管理するのはとてつもなく大変である。
      • マジメ度が低いほうが有利なことはこれでわかっていただけるだろう。好感度が下がりにくくなる上、サボりイベントでコマンド消費無しで好感度を上げられるようになる、と考えれば低い状態のほうが遥かにメリットが大きいのである。
  • ちなみに「ザコ選手」だが、好感度が絶対に15以下にならないという特性を持っている。
    確かに能力は低いので使い物にするのは大変だが、一方でチームの潤滑剤にもなる便利な存在なのである。

野球

  • 上述の通りベースは『パワポケ6』だが、DSに似つかわしくパワーアップさせたはずの要素が逆にゲームバランスを悪化させるという事態を生んでしまっている。
    • 外野グラウンドがGBA時代から更に拡大され、それに合わせて外野の守備位置が少し後ろにずらされた。これ自体はハード変更に従ったパワーアップ要素と取れるのだが、一方の打撃側の調整を怠っている。
    • 打球の飛びづらさはほぼ『パワポケ6』と同等で、ただでさえ打球が飛びづらかった仕様が外野の拡大によって更に悪化している。
      • ホームランはパワーB以上かつ特殊能力「パワーヒッター」なしではほぼ出ないと言っていいレベル。
        強振で弾を打ち上げると長打が望めないどころか高確率で外野フライになってしまう。また、パワーが高くなりすぎると逆に外野フライになりやすいという状況にもなってしまっている。
    • また、外野フライの際に打球を中心にカメラが動くため、選手や落下点が画面内に映るのが非常に遅くキャッチが難しい。幸いロックオンと違い守備セミオートに育成上のデメリットはないため、それを選択してしまうのも手。
    • 以上の状況から言えることは、自分が打撃側だった場合ミート打ちでポテンヒットを狙い、守備側の場合は外野前進守備でポテンヒットを減らすというゲームになってしまっている。いささか爽快感に欠ける調整であることは否めない。
    • 難易度自体は低く、またパワーが低くても簡単にヒットが打てるため投手育成優位に拍車を掛けてしまっている。
  • コンピュータの自動オーダーがあまりにもアホであり、守備位置をガン無視していることはザラである。
    • 幸い本作では全ての試合においてプレイヤーがオーダーを変更できるため、面倒ではあるが実害はほとんどない。
    • ただ試合中にプレイヤーの意図に反して勝手に選手交代することが稀にある。
  • ただし、本作の前がGBAシリーズ最悪と言われた『パワポケ7』であり、また『パワポケ8』もまだ未発売であったことから発売当時の評価はそこまで低いわけでもなかったことは付記しておく。

総評

  • DS初の『パワポケ』と期待された本作であったが、蓋を開けると全くの別物であったことに困惑したプレイヤーは少なくない。
    肝心の育成面も自由度の高さを台無しにしてしまう運ゲーぶりであり、正直なところ完成度は高いとはいえない。
  • 幸いにも本作の要素は続編である『あつまれ!』にほぼ全てが搭載され、実質的な「決定版」として発売されたことは救いであった。そちらが発売された今となっては、敢えてこちらを遊ぶことはおすすめしない。

余談

  • 本作の開発が『パワポケ8』の開発にもフィードバックされたことが『パワポケ8』の公式ガイドブック掲載のインタビューで明かされている。
    • タッチペン操作での打撃等も開発内で試されたとのことだが、「スローボールと変化球が変わらなくなってしまう」とのことで従来通りでのボタン操作が採用されたという記載もある。
      実際に発売された『パワポケ8』では下画面はランナー操作をタッチで行うと言う形で下画面を活用しており、本作での開発内容が活かされていることがわかる。
    • 他にも今作のミート打ちの強さから『パワポケ8』ではミート打ちが大幅な弱体化を受けているという話もあり、今作はDSでのパワポケシリーズの展開に当たってのプロトタイプとして開発されたのではないかという見方もできる。
  • 『あつまれ!』が実質的に決定版として登場したのは上述のとおりだが、それを証明するように『あつまれ!』はベスト版が発売されたのに対し、今作のベスト版は発売されなかった。
  • 本作から始まる「高校野球シミュレーション」としてのパワプロは続編である『あつまれ!』で監督視点でのチーム育成も可能となり、そして本家パワプロシリーズにて多くのプレイヤーを虜にした「栄冠ナイン」の登場によって1つの到達点を見ることとなった。
    • そしてその「栄冠ナイン」は実に本作から約5年後の『熱闘!パワフル甲子園』にてニンテンドーDSへの里帰りを果たすこととなる。