レジェンド オブ ドラグーン

【れじぇんど おぶ どらぐーん】

ジャンル ハイグレードグラフィックRPG
対応機種 プレイステーション
発売・開発元 ソニー・コンピュータエンタテインメント
発売日 1999年12月2日
定価 6,800円(税別)
配信 ゲームアーカイブス:2010年12月22日/617円
PSPlus クラシックスカタログ:2023年2月21日/1,100円
判定 スルメゲー
ポイント PS最高峰のグラフィック
熱いドラグーン変身
シビア且つテンポが悪い戦闘
PlayStation Studios作品


概要

ソニー・コンピュータエンタテインメントがPS後期に発売した、剣と魔法とドラゴンのRPG。主に使用される略称は『LOD』。
大容量のCD-ROM4枚組を採用し、「ハイグレードグラフィックRPG」を自称する程の美麗なグラフィックを全面に押し出して開発された。
CMではムービーを見せる前にわざわざ目の体操をさせていたほどである。

ストーリーは全4章構成。ディスク1枚につき1章分のストーリーになっている。


ストーリー

テスフェル界に存在するエンディネス大陸。
創世の時代、創造主ソアはこの地に一つの種子を落とし、それは「神木樹」と呼ばれる大樹となった。
神木樹は108の実を付け、その実から108の種族が生まれた。
105番目に強靭な生命力を持つ「ドラゴン」が、106番目に「人間」が、107番目に魔力を持つ「有翼人」が生まれ、
最後の108番目の実からは大いなる神が生まれると言う。
時は流れ、世界は有翼人によって支配されていた。
魔力を持たない人間は、ドラゴンの力を得た竜騎士「ドラグーン」を生み出し、有翼人に戦いを挑んだ。
「ドラゴン戦役」と呼ばれる戦いの始まりである。
世界の地形を変えるほどの激しい戦いの後、遂にドラグーン達によって有翼人の首都は陥落する。
有翼人達は姿を消し、人間の時代が訪れた。

それから1万1千年の後。剣士ダートは故郷と両親の仇である「黒き魔物」への復讐の為に旅をしていたが、
第二の故郷であるセレスの村が戦火に晒されつつある事を知り、一時帰郷する。
その最中、既に絶滅したとされるドラゴンに襲われたダートを救ったのは謎の女性ロゼだった。
「あの村はドラゴンなしで落とされたはずなんだけど」
そのロゼの言葉を聞いたダートは急ぎセレスに向かうが、村は敵国であるサンドラ帝国の軍勢に無残に焼き払われ、
更には幼馴染の少女シェーナがサンドラ軍に連れ去られていた。
ダートは彼女を助ける為にヘルライナの監獄へと乗り込んでいくが、それはやがて世界を揺るがす巨大なうねりへと発展していくのだった。


特徴

  • 3Dフィールドを探索するRPG。主人公の頭上にカーソルを表示させたり、アクションを起こせるポイントに近付くと!マークが出たりと、翌年に発売された『FF9』を想起させる部分もある*1
  • 戦闘はランダムエンカウント(一部シンボルエンカウント)で、素早さの高いキャラから行動順が回ってくるセミリアルタイム方式を採っている。
  • このようにRPGとしてはオーソドックスな作りだが、本作は戦闘システムに数々の独自要素を盛り込んでいる。

アディショナル

  • 通常攻撃であり、必殺技。攻撃を繰り出すと画面に四角いサイト*2が表示され、これが中心に重なった瞬間に○ボタンを押す事で連続攻撃を繰り出す。敵にダメージを与える他、後述するドラグーン変身に必要なSPを獲得する。
    • アディショナルはキャラ毎に何種類も用意されており、レベルが上がれば新しい技を会得する。
    • ボタン入力回数はアディショナルによって異なる。最初に覚える技は一回入力するだけで良いが、性能は低い。強力なアディショナルほど入力の回数が増え、タイミングも難しくなっていく。入力に失敗するとその時点までに当てた攻撃の分しかダメージは入らず、SPもその分しか獲得できない。
      • 入力を最後まで成功させると攻撃中のキャラが技名を叫ぶ。
    • 各アディショナルは最後まで成功させると熟練度(AD.Lv)が上がっていき、威力や獲得SPが上昇していく。全てのアディショナルのAD.Lvを最大まで上げると、そのキャラの最強アディショナルが習得可能。
    • アディショナルに応じて威力や獲得SPが異なる。威力は高いが獲得SPは少ないものや、逆に威力が無いがSPを多く獲得できるもの、或いはバランスの取れたものなど様々。状況とプレイヤーの腕前に応じて適宜切り替える必要がある。
  • 入力中、敵が反撃体勢に入る事もあり、この場合はサイトが青くなり、○ボタンではなく×ボタンを入力しなければならない。失敗すると弾かれて逆にダメージを受けてしまう。

ドラグーン

  • ドラゴンが死後に残す魔眼「ドラグーンスピリット」に認められた者だけが変身できる竜騎士*3。ストーリーが進むと変身可能になり、アディショナルで稼いだSPを消費して変身する。
    • 変身するとパラメーターが大幅上昇し、全ステータス異常が解除される上に、変身中は即死攻撃以外のステータス異常を防ぐ事ができる。
    • ドラグーンスピリットを持つキャラしか変身できない為、殆どのキャラは仲間になってすぐには変身不可能。ストーリーを進めてスピリットを手に入れる必要がある。また、スピリットを奪われて変身できなくなる展開もある。
  • 変身中はドラグーンアディショナルと魔法の2つのみ選択可能で、防御やアイテム、逃走は使用不可。
    • ドラグーン変身にもレベル(D.Lv)が設定されており、D.Lvが上がれば変身していられるターン数が増え、新たな魔法を会得したり変身時のパラメーター上昇率が上がったりする。D.Lvはアディショナルで貯めたSPの総数(獲得したSPは全て蓄積される)が一定値に達する度に上昇する。
  • ドラグーン時は通常攻撃が「ドラグーンアディショナル」に変わり、空を縦横無尽に飛び回りながら連撃を繰り出して攻撃する。
    • ボタン入力は通常のアディショナルと異なり、回転する光点が丁度一周したタイミングで○ボタンを押す。光点は最大4回転するが、失敗したらそこで終了。成功回数に応じて攻撃回数が変わる。
    • パーフェクトを出せば攻撃が最後まで続き、演出付きで派手に決める事が出来る。
  • ドラグーン時は魔法を使用可能。MPを消費して攻撃や回復、補助効果のある魔法を放つ。
  • パーティーメンバー全員のSPが満タンの時のみ「スペシャル変身」が使用可能。全員で一斉にドラグーンに変身し、更にこのコマンドを実行したキャラの属性に応じたドラグーン空間が発生する。
    • ドラグーン空間を発生させたキャラは無条件でドラグーンアディショナルがパーフェクト扱いとなり、更にその空間の属性の魔法は威力が増大する。逆に反発する属性の攻撃は弱体化する。
    • これは敵味方全てに適用される為、敵と同じ属性のドラグーン空間を発生させてしまうと逆に不利になるし、また、味方も相性の悪い属性だと魔法を弱めてしまう。

攻撃アイテム

  • 非変身時は魔法が使えないが、攻撃アイテムによる属性攻撃は可能。
    • アイテムの魔法攻撃が発動中は○ボタン連打によって効果を高める事ができる。連打によってエフェクトが派手になり、威力も上昇する。
      • 各属性の最強アイテムは全体攻撃であり、自動で最大の威力が出るので連打の必要は無い。
    • 攻撃魔法以外にもステータス異常を起こすアイテムも存在する。
    • 攻撃アイテムのチュートリアルの際には一般人の商人が身体を張ってレクチャーし、しかも威力を最大まで高めても平然としている

その他のシステム

  • 『モグ~ルダバス』
    • ストーリー中に出会う商人ダバスを主人公としたミニゲーム。ポケットステーションでプレイ可能。
    • 穴を掘って敵と戦いながら地中を進んでいく。発見したアイテムは本編で入手したり*4、自身の強化に使う。全5ステージ。
    • 各ステージの最奥部にはボスが待ち受けており、倒すと本編では滅多に手に入らない、或いは入手不可能なレアアイテムが手に入る。
      • ボスの中にはドラゴンやヴァラージ*5も存在する。
      • ダバスは見た目はただの太った中年商人で勿論ドラグーンとは何の関係も無い一般人なのだが、本ゲームではツルハシ一本でこれらと対等に戦う戦闘力を発揮する事に。上記の魔法アイテムの商人と言い、この世界の商人は猛者が多いらしい。仲間になれば良かったのに

問題点

プレイヤーを選ぶ厳しいバトル

本作の人を選ぶ要因として、プレイヤーをふるいにかけるバトルテンポの悪さとシステムのストイックさが挙げられる。

  • 尋常ではないバトルテンポの悪さ。
    • 行動順が回る度にワンテンポのウェイトが入る上、敵味方共に攻撃の演出が長い。ボスは更に長い。全体的に敵が強い為、ボス戦が数十分に及ぶ事などザラである。
    • ラスボスに至ってはその強さも相俟って、下手な戦い方では撃破まで2時間近く掛かる事も。
    • テンポを重視する人はまずここで脱落していく。快適性を求める人にはお勧めできない。
  • 戦闘の難易度の高さ。
    • ボスは全体的に強く、後述するシステム面の厳しさもあって、上手く戦略を立ててアディショナルも使いこなさなければ苦戦は必至である。
      • そこに更に前述のテンポの悪さも重なり、多くのプレイヤーの心を折っていった。
    • 敵の素早さも高めで、パーティー編成次第では先制攻撃や連続攻撃を喰らう事も少なくない。特に第2章で戦うリーナスは場合によっては5回も連続で行動される事すら有り得る。
  • アディショナルの難しさ。
    • アディショナルのタイミングはシビアなものも多く、練習を重ねて体で覚えるしかない。
    • しかも新しいアディショナルを会得しても、成功を重ねて熟練度を上げないと性能が低いままである。苦手な人は簡単なアディショナルに頼るしかない。
      • しかしそういったアディショナルは性能が低く、戦力の低下を他で補わなければならない上、ただでさえ長丁場のボス戦が更に長くなる。
    • また、タイミングを体が覚えても「反撃」が辛い。
      • シビアな連続入力中にとっさに押すボタンを変えるだけでも難しい上、反撃への入力成功時も、時間が止まるエフェクトが発生した後いきなり攻撃動作が再開し、アディショナルのタイミングがズレるため、次の入力のタイミングがガラッと変わってしまう。アディショナルごとに何回目の入力で反撃が起きうるかは完全に固定だが、ハッシェルの「六道七生」などは反撃前後の入力間隔が各0.6秒、0.5秒しかなく、非常にシビア。
    • ボス戦こそ性能のよいアディショナルをセットしたいのは当然なのだが、高性能≒難しいアディショナルという事でもあり、総じて長期戦になりがちなボス戦で高難度のアディショナルを複数のメンバーにセットして挑むとプレイヤーの神経が保たない。
    • テンポの悪さを乗り切っても、ボタン入力が苦手な人はここで挫折しがち。
    • 一応、「闘神の導き」というアクセサリーを装備すれば無条件で成功になるが、威力は半減する上、熟練度も上がらないのでタイミングを調べる位しか使い道は無い。
      • 上位版の「闘神の極み」なら威力は下がらないし、熟練度も上がるのだが、期間限定のレアアイテムでしかも簡単には手に入らない。
  • システム的な都合か、弓使いはアディショナルが使えない。
    • 他のRPGでは弓技があったりするが本作には一切無く、たった一本の矢を射る事しか出来ない。攻撃力は極めて低い上、獲得SPも少ない。
      • 一応、D.Lvが上がれば獲得SPも増えるが、非効率であることに変わりない。
    • ドラグーン時も同様なので、変身状態で通常攻撃をする意味など皆無に等しい。
    • ラストダンジョンでは弓使い1人でボスと戦う場面があり、しかもその戦闘ではドラグーンになれないので、攻撃アイテムが無いと大変な事になる。
      • しかもラストダンジョンの最初の関門であり、これを突破しないと補給地点にも辿り着けないので初見殺しの要素となっている。
  • アイテム所持制限が厳しい。
    • 消費アイテムが僅か32個しか持てない。32種類しか、ではない。総数32個までしか持てないのである。種類別に個数管理も出来ない。
    • HP回復アイテムは勿論、MP回復アイテム、SP補充アイテム、蘇生アイテム、ドーピングや敵の弱体化、攻撃魔法アイテムと数多くの種類の中から取捨選択し、かつ節制しなければならないのである。
    • 一部にはショップが長い間利用出来ない箇所もある為、計画的に使用しないとアイテム不足に喘ぐ事になる。
      • 第1章のラストダンジョンにあたるブラックキャッスルは一度入ったらクリアするまで出る事は出来ず、中には回復ポイントこそあれど店は無い。ダンジョンとしても長丁場になる上、ボスも2体存在する。しかも最後のボスであるドウエル皇帝はかなりの強敵であり、直前のボスまでにアイテムを使い切ってしまうと詰む可能性もある。
      • 終盤に行くことになる魔都アグリスもクリアするまで出られず、しかもこちらは回復ポイントすら無い。ただ、進入時にクリアまで出られない事は判る為、ブラックキャッスルを経験したプレイヤーなら上書きセーブや準備不足に対して警戒するだろう。また、ボスも一体のみである。
  • 雑魚敵から得られる経験値と金が雀の涙。
    • 例えば、Lvアップに必要な経験値が2,000くらいで、店売り装備が1か所200~300Gくらいの時、Lv的に適正な雑魚敵を全滅させて得られるのは経験値40程度と20G程度である。
      • 一方で同じ時期のボス戦だと得られるのは経験値1,500程度と200G程度。したがって、レベルは大体ボス戦で上がり、装備の新調も大半はボスが落とす金で賄う事になる。
      • しかも、戦闘に参加していない控えのメンバーには、さらにその半分の経験値しか入らない。戦闘不能キャラに至っては経験値無しである。戦闘不能のキャラが出た状態でボス戦が終わるようなら、一度リセットしてやり直した方いいことさえある。
    • アディショナルを何度も繰り返し、時にアイテム消費もしなければならない、それなりに歯ごたえのある戦闘を経てこれなので、雑魚敵を狩ってコツコツとレベル上げや資金稼ぎに勤しむのは、無駄でこそないが非効率的である。また、買い物も切り詰めて行かないと金欠に陥りやすい。
      • 上記のブラックキャッスルで「回復が出来るから雑魚でレベル上げすれば詰む心配は無い」と軽々しく言えない理由はここにある。アイテムを使わずにボスを倒せるほどに強化するとなると本当に膨大な手間が掛かるのだ。
    • 故に、計画的なキャラクター育成が求められる。
      • 全員に均等に経験値を振り分けようとすると、後半レベルが足りなくなる事態に陥りやすい。
      • さりとて、戦闘メンバーを完全に固定してしまうと、控えメンバーを使わざるを得ない状況になったとき非常に厳しくなってしまう。*6レベルに加え、控えメンバーのAD.LvとD.Lvは一切成長しないことも要因の一つ。
      • 装備に関しても、とてもじゃないが全員の分を新調する余裕はないので、取捨選択が必要。
    • 経験値、金を多く落とすレアモンスターも各地に居るが、いずれもすぐに逃走したり入手が難しいアイテムしか効かなかったりと、倒すのは困難。
    • その一方で一部の店には冗談のような高額で売られている装備品も存在する。但し、これらはゲームバランスを崩壊させかねない超高性能装備で、入手自体がやり込み要素のようなもの。
  • 「エスケープ」の使い勝手の悪さ。
    • 戦闘テンポが悪い、雑魚敵の経験値は極小、とくると「エスケープ(逃走)」を適度に使いたくなるが、成功率が低くあまり当てにできない。
    • 逃走に失敗すると、前述の敵の素早さが高めという問題からタコ殴りにされる場合が多い。ピンチの場合の選択肢としては非常にリスキーである。
    • ゲーム進行に伴って明らかに確率が落ちて行き、中~後半は一発で逃走成功することは稀になる。
      • 公式ガイドブックによると、逃走成功率は場所ごとに一定の確率が設定されており、全4章の内1章は50%~、2章以降は大部分が30%になり、4章では0%の場所も存在するという。
    • 繰り返し使用可能な逃走用アイテムの「煙玉」の入手が可能になるのは、ストーリーも後半の頃にやっとである。
      • 寄り道イベントで発生する戦闘でドロップするのだが、一度取り逃すと再入手の機会はゲーム最終盤になってしまう。
  • 主人公のダートを戦闘メンバーから外すことができない。
    • ダート自体はバランス型のステータスで、決して弱いキャラではない。しかし、補助魔法すらない完全攻撃特化という尖ったタイプであるため、パーティメンバーを3名しか選べず、戦闘難易度の高い本作では、他の枠は補助や回復が強力なキャラを入れる形になりやすい。
      • その割に他の攻撃特化キャラまで固定参戦のボス戦もある。
    • 基本的にダートは炎属性のドラグーンであるため、水属性のドラグーンであるメルとは上述した「スペシャル変身」の相性が非常に悪い。
      • 雷と無属性以外には反属性がある以上、ダートのスペシャル変身でメルが不利になるのは仕方ないが、ダートが固定という事はメルのスペシャル変身では必ず不利になるキャラが出る事を意味する。反属性キャラを同時に加入させないという戦略が水属性に関しては使えないのである。
    • また、炎属性キャラが固定であるため、単純に水属性攻撃がパーティの弱点となりやすい。
    • 中盤、結構な期間でダートがドラグーンスピリットを失うイベントがあり、その間はパーティ全体の戦力減になる。もちろんその間スペシャル変身はお預け。
      • 忘れた頃の最終盤にも、また同じくダートがドラグーンスピリットを奪われる戦闘がある。

このように本作は全体的にシビア&ストイック&不親切な作りでプレイする人を選び、快適なゲームプレイ、親切設計なゲームバランスに慣れているプレイヤーは大抵途中で投げ出してしまう。

バトル以外の問題点

  • 仲間キャラの1人であるコンゴールの扱いが不遇。
    • 第1章では敵として立ちはだかり、第2章にて主人公達のピンチに駆け付ける。序盤の強敵であり、後に仲間になるキャラとして前半は存在感がある。
    • しかし大体の見せ場はそこまでで、以降はあまり会話に絡まず目立たない。
    • それだけならまだしも、ドラグーンスピリット入手すら任意イベントであり、しかも他のメンバーのように激しい戦いやドラマを経て手に入れる訳では無く、「露店で売られている珍しい石が実はスピリットで、たまたま一行が通りかかった際にコンゴールが選ばれた為、吹っ掛けてきた商人に大金を渡して購入する」というなんともあっさりした入手経緯である。
      • 何より、そのイベントに気付かなければいつまで経ってもドラグーンになれずに進む事になる。
      • イベント発生場所はコンゴールが仲間になる前の章の街なので、わざわざ戻らなければならず気付きにくい。一応、ヒントを話すNPCも存在するが、それも気付けなければ意味は無い。
      • 入手しなかった場合はラストダンジョンで入手イベントが挿入されるので、最終的にはドラグーンになれる。しかし当然D.Lvは1なので、余程鍛えないとそこから戦力にするには厳しい。
    • バトル面でも冷遇気味で、アディショナルも魔法も最強のものを含めて僅か3種類ずつしかない。他の仲間で言えば、アディショナルは大体5、6種類はあり*7、魔法はコンゴール以外は全員4種類持っている。
      • 最強のアディショナルは入力回数が他のキャラより少なく入力も難しくない代わりにダメージ倍率が低く*8、せっかくの攻撃力の高さを実感しづらい。
      • 魔法もコンゴールの魔力の低さから威力も低く、しかも3種類全てが全体攻撃且つ特殊効果も無いので使い所が難しい。
      • パラメーターは典型的なパワータイプで、物理攻撃、防御が最も強く、魔法攻撃、防御が最も弱い。素早さも最低で、行動順が素早さ値で決まる本作ではなかなか順番が回って来ず、活躍しにくい。
      • 勿論、これらをアクセサリーで補う事は可能。素早さを上げる「盗賊の靴」などで強化すれば安定した強さを発揮できる。
  • ディスク交換の手間。
    • 汎用データを極力削って本編やムービーに容量を割いている為か、第3章(ディスク3)からは前の地域に戻る度にディスクの入れ替えが発生する(正確には前の地域にある街やダンジョンに入った際に)。
    • 基本、後戻りをしない冒険で、前の地域に戻る必要もあまりないので、ストーリーを進めるだけなら問題ない*9が、隠し要素やサブイベントの回収で戻る際には手間が掛かる。
    • PSゲームアーカイブスとPSPlus クラシックスカタログの配信版ではこの問題は解消している。現在、購入を考えているプレイヤーにはこちらがオススメ。
  • マップ移動の不便さ。
    • 本作のワールドマップはダンジョンや街となる点を結んだ線の上を歩くタイプで、道中の洞窟などのダンジョンは移動の度にちゃんと中を通って通過する必要がある。
      • また、ワールドマップ中でも通常通りエンカウントはする。エンカウント率もダンジョン内より高め。
    • 終盤、世界を飛び回れる移動手段が手に入るのだが、移動出来るポイントは決まっていて、そこ以外に行く場合は自力で歩いていかなければならない。
      • エクストラボスのいるダンジョンは別のダンジョンを経由しなければ行けない所にある為、移動が面倒である。
    • 上記のディスク交換の問題も相俟って、おまけ要素の為の過去の地域の探索が億劫になりがち。
      • 本作は過去の地域でもストーリー進行によってNPCの台詞が変わったり小イベントがあったりなど作り込まれているだけに、それを体験するが面倒な仕様になっているのが残念である。
  • サイケデリックボムのショボさ。
    • 終盤に「主人公達の勇気によって作られる強大な力」として登場するが、大層なイベントを入れた割には実際はただの使い捨て攻撃魔法アイテムに過ぎない。しかもごく一部の敵は普通に使ってくる。
    • そのイベントで全て正しい選択肢を選ぶとパワーアップ版の「サイケデリックボムX」が手に入るが、効果が(繰)*10になるだけ。寧ろ無印でもそれぐらいの効果は当たり前であってほしいものだが。

賛否両論点

  • ドラグーンは変身シーンなどもあって正に戦隊モノのノリ。決してふざけている訳ではないのだが、硬派なファンタジー路線を期待してプレイすると面喰うかもしれない。
    • 鎧のデザインも中世ファンタジーのイメージとは少々かけ離れた変身ヒーロー風で、好みが分かれやすい。
  • 最強の剣を主人公が装備できない。
    • ラスボス前に最強の剣が手に入るのだが、これを装備できるのは主人公のダートではなく別のキャラである。
    • この剣はエンディングで当該キャラが実際に使用し、且つストーリー的にもその役割はダートではなくそのキャラでなければならないものだが、序盤から最強にして恐るべき武器として存在感を示していた剣を主人公が装備できない事を残念がる声もある。
      • 但し、この時にダートはダートで別の形で最強の力を手に入れるので、主人公としての立場が喰われている訳ではない。
    • では実際のダートの最強武器はと言うと、寄り道した際に戦うボスである「過去の戦役で死んだ兵士達の怨念」の宿った剣とあまり気持ちの良い物ではない。毎ターンHPが減少するというデメリットも付いており、攻撃力もデメリットの事を考えると特別高いとは言い難い。*11

評価点

グラフィック面

  • 圧倒的なビジュアル。
    • 「ハイグレードグラフィックRPG」は伊達ではなく、そのグラフィックは正にPS最高峰と言うべき代物であり、全世界規模による最大かつ最高のコンピュータグラフィックスの祭典「SIGGRAPH」でも1999年に入選作品として選定された程である。
    • ストーリーの随所に挿入されるムービーはPS用ソフトとはとても思えないほどのクオリティを放つ。当時のFFすら裸足で逃げ出す出来であり、下手なPS2ソフトよりも美麗。
      • 特にドラゴン戦役やエンディングのドラグーン達が飛び回るムービーはBGMの熱さと相俟って圧巻である。
    • ムービーだけではなくマップのビジュアルも実に美しい。元より幻想的なデザインの多い世界だけに、一部のマップの美しさはもはや芸術的ですらある。
      • 自然の描写も緻密で、例えば序盤に訪れる草原の川は水の質感が実にリアル。今見ても見劣りしない。
    • 反面、ムービー以外のキャラはローポリで、イメージとしては『FF7』が少し進化した程度。戦闘中のフィールドも粗め。
      • PSソフトとしては低品質と言う訳ではなく寧ろよく出来ている方だが、マップの背景があまりに美麗な為、相対的に粗く見えてしまう。
      • キャラ自体はフィールド、バトル共によく動き、プレイヤーを退屈させない。特にボス戦では勝利後にバトル画面のままイベントに突入することが多く、ストーリーを彩る。台詞が字幕のみなので音声があればもっと良かったが。
  • 独創的なデザイン。
    • 前述したが、ダンジョン、街並み共に独創的・幻想的なマップが多く、美麗なグラフィックと相まってプレイヤーをエンディネス大陸に引き込んでくれる。
    • 登場するドラゴンのデザインも秀逸。最初に対峙する「緑牙竜フェルブランド」からして八本の足と三つの目を持つカマキリに似た造形で、一般的なドラゴンのイメージとは大きくかけ離れている。
      • 他のファンタジー作品に登場するような爬虫類的なドラゴンはほぼ登場せず*12、いずれも異形の生物であるがそれ故に獰猛さや強大さが際立ち、本作にしか無い独特の味わいが出ている。
      • 特にストーリー後半に登場する最強のドラゴン「神竜王」は荒れ狂う姿がムービーで描かれ、その名に相応しい迫力を見せつける。

システム面

  • ゲームバランスのシビアさは上述した通りだが、それ故にシステムを理解しきれば戦略に富んだバトルが展開できる。
    • 「防御」は次の行動順まで魔法攻撃を含むあらゆる攻撃のダメージを半減しつつ全状態異常を完全に防ぐ効果を持ち、実行時にはHPの最大値の10%を回復する事も可能と高性能であり、使い所は多い。事実上無限に使える回復手段であり、こまめに使えば、価格・所持数の面から多用できない回復アイテムを節約できる。
    • 前述の通り、今作の魔法は戦闘中かつ変身中しか使用できない限定的なシステムだが、その分、低消費で味方全員が3ターン全ダメージを半減する「フラウアストーム」、全体回復+戦闘不能を含む全状態異常解除の「ヘブンズゲイト」など、強力なものもある為、プレイヤー側にばかり厳しいという訳でもない。
    • ドーピングや弱体化アイテムなどの戦闘用アイテムは所持数の厳しさやアイテム自体の貴重さもあってか全体的に高性能。上手く使えばボス戦でも有利に運ぶ事も出来る。
      • 最も低性能の回復アイテム「ヒールポーション」ですら、その回復量は最大HPの50%という高性能ぶり。後になると全員の最大HPの50%を回復する「ヒールブリーズ」や、1人のHPを全回復する「ヒールフォグ」も手頃な値段で売り出される。
    • 他にも普通に魔法を使ったのではコストパフォーマンスが悪いキャラをアクセサリーで補ったり、魔力の高いキャラを攻撃アイテム要員にして敵の弱点属性をどんどん突いたりなど、戦術の幅は広い。
    • このようにしっかりシステムを理解して効率的な戦い方さえすれば、あまり苦労せずに進める事ができる。決して理不尽な難易度ではない。
  • アディショナルも難しいが歯応えがあると言う事でもあり、ハマればプレイヤーを熱中させる熱さがある。
    • 最初はまるで出来なかったアディショナルでも、練習を重ねて苦も無く出せるようになれば達成感が味わえる。上手く決まれば派手な動きやキャラの叫びも相俟って爽快である。
      • 「クラッシュダンス」、「ロッドタイフーン」などは慣れてしまえば比較的簡単に成功出来、威力と獲得SPのバランスも良いので主力として使える。
      • 「マッドネスヒーロー」など、難しいようでいてコツさえ掴めば楽に出せる技もある。
      • メルの「パーキーステップ」は、最終アディショナルの例に漏れず入力が難しいが成長による威力の強化度合いが大きい。最大まで強化すれば、弓使いに次いで物理攻撃力の低いキャラでありながら、物理特化のコンゴールに匹敵するダメージを与えられる。しかも彼女の素早さはメンバー中最高(=行動頻度が最も高い)なので、入力を成功させる腕があれば非常に高いダメージ効率を出せる。獲得SPも悪くない。
  • 実際の所、戦闘のテンポは悪いが、通常攻撃には常に失敗の緊張感が漂う為、特にボス戦は相手の手強さもあってダレている暇は無い。
    • 敵の残りHPに応じてカーソルの色が変化する為、ボスの強さもあり、カーソルの色が変われば「あと少し!」と言うようなデッドヒート感が出せている。それだけにあと一歩で負けた時の虚脱感も大きいが。
  • テンポの悪さの原因でもあるが、バトル演出は凝っており、見応えがある。
    • ドラグーン変身は全員違った変身シーンが用意されており、炎の翼を纏ったり、氷を割って吹き出した冷気を浴びたりなど、それぞれの属性ならではの変身の仕方をする。デザインこそ好みが分かれるが、変身シーンは十分に格好いい。
      • ヒロインのシェーナの変身に至っては羽が舞う光の中で裸体が見えるというとんでもない代物。どこの美少女戦士ですか。
      • オプションにて変身演出を「ショート」に変更する事は可能。その場合は変身解除と同じ演出で変身する。
    • 魔法もまた凝っており、「呪文を詠唱して発動する」という一般的な魔法のイメージをぶち壊す派手なものが多い。ダートが最初に覚える「フレイムショット」からして完全にヒーローの必殺技である*13
  • バトルは突き放したようなストイックさだが、それ以外は親切に作られている。
    • 主人公の位置やマップの切り替えポイントはマーカーで表示されるので分かり易い。勿論、非表示も可能。また、宿屋と治療院は黄色、商店は青と、マーカーの色分けもされている。
      • 更にエンカウントが近付くと主人公のマーカーの色が青→黄色→赤と変わると言う目安まで用意されている。
    • クリアするまで出られなかったり長丁場になるダンジョンには回復ポイントやショップが用意されていたりと、基本的に詰み防止も行き渡っている。上述したブラックキャッスルと魔都アグリスが例外だが、詰みやすい箇所はそれぐらいである。
      • ラストダンジョンも一度向かうと元の世界に戻れないが、ある程度進めば店も回復ポイントも利用可能になるので、詰む心配はほぼ無い。唯一の鬼門は上述の弓使いのボスだが、ラストダンジョンに向かう際には「もう後戻りはできない」という警告と選択肢が出るので、ここまで辿り着いたプレイヤーなら軽々しく上書きセーブをする事は無いだろう。

ストーリー・キャラクター面

  • 練り込まれた世界観とストーリー。
    • メインのストーリーは戦乱や陰謀に巻き込まれた主人公がやがて世界の命運を賭けた戦いに挑むと言う王道の流れだが、そこにドラグーンという変身ヒーローアニメか戦隊モノ的なエッセンスを加え、独特の物語を展開している。
    • 遥か過去から続く歴史が複雑に絡み、そこに多くの思惑が交錯し、重厚な世界観と合わさって大きく展開する。序盤で主人公が身を投じる戦争は序曲に過ぎず、そこから始まった一人の男を追う旅は多くの人々や他国を巻き込み、やがて1万1千年前の戦乱、創造主による世界創生にまで繋がっていく。そのスケールは正に壮大。
    • 戦争を通じて主人公の旅が始まる第一章。異国での新たな出会いや戦いを描く第二章。最強のドラゴンの襲撃、宿敵との決着、姿を現す黒幕と、物語が急展開を迎える第三章。そして全ての謎が明かされて最終決戦に向かう最終章と展開にメリハリがあり、プレイヤーを飽きさせない。
    • 全体的に重いストーリーで暗い展開が少なくないが、熱いシーンやコミカルなイベントも多数用意されている。
    • 設定も神話レベルから細部まで作り込まれており、世界観をより奥深いものにしている。
      • 公式ガイドには本当に細かい所まで設定が組まれている事が書かれている*14。時にはマップの傍らの小物や武道大会にしか登場しない対戦相手にまでわざわざ設定がある事も。
    • 伏線も丁寧に張られており、意外な所が繋がったり、2度目のプレイで気付く事もある。
    • あまりやり込まずプレイしても、クリアまでは大体50時間以上は掛かる。上記のボス戦が長い事を加味したとしてもストーリーのボリューム自体も多い。
      • 当時のFFなど、CD-ROM3、4枚組のRPGは最終ディスクがラストダンジョンのみと言う作品が多く、最終ディスクがエンディングしか無い作品すらもあったが、本作は問題点にあるようなディスク交換の手間を設けた為か、ディスク4に入ってもまだまだ冒険は続く。
  • 魅力的なキャラ。
    • 全体的にキャラが生き生きとしている。パーティーメンバーやストーリーに絡むキャラのみならず、サブキャラ、街の一般NPCまで人間臭いキャラが多い。
    • パーティーメンバー1人1人に見せ場や個別のイベントが用意されており、ストーリーが進んでも皆程よい存在感を示しており、空気になるキャラは殆どいない。
      • 上述したコンゴールも会話に絡む機会や活躍の場こそあまり無いが、個別のエピソードはちゃんとある。
    • 主人公ダートは正義感の強い熱血漢で、赤い鎧に火属性、更には声優が関智一氏*15と、これでもかと熱血要素をぶち込んでいるが、普段は年相応に落ち着いた性格で、暑苦しさはあまりない。
      • …が、その所為で周りの濃いキャラに振り回されたリ、一部イベントではプレイヤー次第で奇行に走らされたりと苦労も絶えないキャラである。
      • アディショナルのネーミングセンスがぶっ飛んでいる事でも有名。「マッドネスヒーロー」「炎ダイナミック」と、他ではまずお目に掛かれない名前の必殺技を持つマッドネスヒーローである。
    • 他にもミステリアスで危険な香り漂う美女・ロゼ、陽気な爺さんのハッシェルと言った個性的且つ嫌味な所が少ないキャラが揃っている。中でも踊り子のメルは特に人気が高い*16
    • シェーナは正統派のヒロインであるものの、終始ダートにお熱な恋する乙女という感じで、時折プレイヤーをやきもきさせるような行動を取ったりダートにクサい台詞を言わせたりなどする事から他のキャラに比べると人気は今一つだが、上述のドラグーン変身シーンで注目を集めた。但し…。
      + ネタバレ
    • シェーナはストーリー後半で離脱してしまい、代わりに加入するミランダ(三十路)にこの変身演出も引き継がれてしまう。鎧は流石にミニスカートではなくなっているが…。
  • 熱き漢・ラヴィッツ。
    • 最初の仲間であり、ダートの相棒的存在となる騎士。父親を早くに亡くした所為かややマザコン気味だが、忠義にも情にも篤く、誠実。ダートとシェーナの仲を応援したりといい奴で、キャラ人気自体も高い。最初のアディショナル「ハードポーン」も(主にネタ的な意味で)妙な人気がある。
    • ストーリー中でも父の仇との対決、ドラグーン覚醒といった見せ場もあり、存在感の強いキャラである。しかし…。
      + ネタバレ
    • 第1章終盤で非業の死を遂げる。以降はラヴィッツの主君であり、槍術の弟子でもあるアルバート王が仲間になり、彼の方が最後までドラグーンとして共に戦う事になる。
      • その早過ぎる死は、最後まで一緒に戦うものだとばかり思っていた多くのプレイヤーの度肝を抜いた。
        • ほぼ序盤に退場すると言う事で、全体的な出番は少ないのだが、それまでの活躍とその散り様によって非常に強い印象を残すキャラである。
        • 終盤のある一幕でも彼の存在は物語に大きな影響を与え、更にエンディングの彼に関するシーンの演出は多くのプレイヤーの感動を誘った。
        • アディショナルは普通に進めてもラヴィッツの時点で最終1個前の物まで習得できるため、各アディショナルを成功させる根気さえあれば最強のアディショナルの習得も十分可能となっているのは嬉しい所。
      • 勿論、彼と入れ替わりに加入するアルバートも、若く聡明な王ながらややロマンチストで天然な一面があったりと、ラヴィッツとは別の魅力を持ったキャラである。
        • 魔法「フラウアストーム」をラヴィッツが使うと桜が舞っていたのが、アルバートだと薔薇が舞うようになるという芸の細かい演出もある。
        • アディショナルはラヴィッツのものを引き継ぐが、モーションや入力タイミングは全体的にスピーディになるなどまったくの別物に。多くのプレイヤーは困惑しただろう。

その他

  • サウンド関連。
    • 壮大且つ幻想的な世界を彩るBGMもまた全体的に高品質。特に城下町や王城の曲は人気が高い。
      • ダンジョンは地味な曲が多いが雰囲気を出せており、加えて水音、風音、鳥のさえずりなどの環境音もしっかり流れる為、その場所の空気が伝わってくるようなものが多い。BGMとしては良質。
      • 逆にイベントシーンは盛り上げる曲が揃っている。特に主人公のテーマはベタとすら言えるほどの熱血ヒーロー調で、熱い事この上ない。
    • ボイスは戦闘とムービーのみだが、演じる声優陣にも抜かりはない。パーティーキャラだけでも先述した主人公ダート役の関氏を始めとして、冬馬由美氏や岡村明美氏、三木眞一郎氏などの実力派声優が務めている他、敵役も速水奨氏に大塚明夫氏、塩沢兼人氏と錚々たる顔ぶれである。
      • ムービーの語りのみの出演ではあるが、こちらも平田広明氏や麦人氏など豪華な顔ぶれが並ぶ。
  • メインストーリー重視だが、おまけ要素もそれなりにある。
    • 全世界に散らばる「スターダスト」と言う石を集める収集要素も用意されており、数も50個と多い。一定以上集める度に強力なアイテムが貰える。
    • ストーリー上戦わなくても良いエクストラボスも複数登場する。スターダストを全て集めると最強のボスと戦える。
    • サブイベントは少なめで期間限定のものが多いが、どれも面白いものや一見の価値のあるものが揃っている。
    • 各街には小ネタがあったり、街の住人達の台詞もストーリー進行に応じて変化する事が多い*17。オブジェクトを調べた際の主人公の反応も豊富。
    • 報酬はそれほど多くないが、間違い探し、ボール当て*18野菜の千切りなどのコミカルなミニゲームも用意されている。
      • 野菜の千切りに至っては、パーティメンバー全員で挑戦可能な上、切った野菜の数、包丁を振った回数のトップのキャラがそれぞれ記録されるという凝りようである。

総評

バトル面でのストイックな作り、シビアなゲームバランス、テンポの悪い戦闘と、万人に勧められるゲームではないのは確か。
耐えられなかったプレイヤーは早々に投げ、クソゲー呼ばわりしても仕方ない作品ではある。
しかし作品そのものは壮大且つ細部まで丁寧に作り込まれており、大作RPGと呼んで差し支えない出来でもある。
その世界観に魅せられ、システムにも上手くハマれた上で最後までプレイした人には高評価を下す人も多く、今も根強いファンが存在する。
馴染めず途中で脱落してクソゲーと認識するか、上手く馴染んで名作として心に残すか、いずれもプレイヤー次第である。
以下は作中の台詞だが、本作をプレイする上でも当てはまると言えるかもしれない。

「ドラグーン集いし所、動なる戦いがあり、ドラグーン別れし所、静かなるとき訪れる……運命の鎖を断ち切るのは、あなたの自由よ」


余談

  • 主人公ダートの故郷「ニート」がある意味有名。
    • この村は18年前に滅ぼされ、僅かな生き残りしかいなかった事から「惨劇の村ニート」と呼ばれているという中々重い設定がある。
    • …が、本作発売から数年後に「若年無業者」としてのニートという言葉が日本で浸透してしまった為、今となっては「そのネーミングが一番の惨劇である」などと言われてしまっている。言うまでもなく発売当時はそんな言葉は知られておらず、スタッフとしても予期出来るはずも無かっただろうが…。
  • ノベライズとコミカライズがそれぞれ1巻ずつ刊行されている。どちらも本編の第1章のみを描いている。
    • 小説版の方は比較的本編に沿っているが、漫画版はかなり本編と異なっている。
      + 具体的には…
    • 一番の違いはラヴィッツが最後まで生き残る事である。他にも王都ベールに行かない、勇者大会が無い、ハッシェルが扉絵にしか登場しないなど本編との相違が激しい。
      • 尚、作者のかぢばあたる氏が過去に手掛けた『スターオーシャン』のコミカライズも同じく短期連載の為かオリジナル展開が多かった。
  • ストーリー序盤、「城塞都市ホークスドラゴンが攻めてくるかと思ったら巨人が攻めてきた」と言う、まるでプロ野球ネタかと思わせるような展開がある。
    • スタッフが意図したものかは不明だが、少なくとも小説版作者はそう捉えていた模様で、あとがきにその旨が書かれている。
  • 日本ではそこそこの売り上げと知名度に留まっているが、海外を含めると200万本近くを売り上げるヒットを飛ばしている。
    • 特にアメリカでは人気で、「プレイステーションソフトの現代にリメイクして欲しい作品」のアンケートの上位常連であるほど。
    • 続編の構想もあり、実際開発も予定されていたそうだが諸事情で中止になったとの事。
  • 本作のディレクター・シナリオ・ゲームデザインを務めた長谷部裕之氏は『スーパーマリオRPG』でバトルデザインを担当していた人物である*19
    • 本作のアディショナルや魔法アイテムの連打は、ある意味同作のタイミングよくボタンを押して攻撃や魔法を強化する「アクションコマンド」の発展形と言えるかもしれない。
  • 実は本作のダートは『プレイステーション オールスター・バトルロイヤル』にてDLCとして参戦予定だったのだが、それ以前の同作DLCの売れ行きが芳しくなかったので中止になったという。高品質なグラフィックでドラグーンの活躍が見られたかもしれないと思うと残念。
  • 2010年12月22日にはゲームアーカイブスで配信開始。ゲーム中の操作は必要だがディスク交換の手間は大きく軽減されている。
    • 2023年2月21日にはPSPlus クラシックスカタログに追加され、PS4とPS5でもプレイ可能に。こちらは他の配信タイトル同様、巻き戻し、クイックセーブ&ロード、トロフィー機能が追加されている。ただし、PSVitaでポケットステーションの機能が使えるGA版と違って当然ながらこちらはモグ~ルダバスはプレイ不可。
最終更新:2024年11月28日 23:27

*1 ちなみに本作の監督は過去にスクウェアに在籍し、SFC時代のFFにも携わっていた。

*2 小説版では「見えない正方形」と呼ばれ、この「四角」を見定める事で「死角」に連撃を叩き込むと表現されている。あくまで著者の解釈だが。

*3 竜騎兵の意味の「dragoon」ではなく、また、ファンタジー作品で見受けられる「ドラゴンに乗って戦う騎士」と言う意味でもない。

*4 作中で物体の転送を行える不思議な袋をダートに渡しており、それを使ってダンジョン探索の戦利品をダートの元に送っていると言う設定。

*5 ドラゴンに匹敵する力を持つ異形の巨大生物。ドラゴンと共にストーリーの根幹に関わる。

*6 実際、ラストダンジョンでメンバー全員がそれぞれ1人で挑まなければならない戦闘がある。

*7 一番多いダートで7種類、少ないロゼでも4種類ある。

*8 コンゴールが300%に対して他キャラの最強アディショナルは400~500%、メルのパーキーステップに至っては倍の600%である。

*9 最終章で第2章の舞台であるティベロアに一時戻る展開があるが、メインストーリー中に余計な交換作業をさせない為か、ここでは入れ替えの必要は無い。よって、ティベロア国内ならディスク4のままで探索できる。

*10 一部のアイテムの効果。この表示があるアイテムは使っても消費されない。一回の戦闘では一度しか使えないが、次の戦闘ではまた繰り返し使う事ができる。

*11 あるアクセサリを付ければデメリットを相殺できるが、攻撃力の上がるアクセサリを付けた他のキャラと大差無い、という状態に。

*12 ランクの低いドラゴンはそう言った個体もいるが、作中ではこれらはザコモンスターに過ぎず、主人公達にもドラゴン扱いされる描写は無い。尚、ドラゴンのランクは目の数が多い程高く、ボスは全て3つ以上、ザコはいずれも2つである。主人公達のスピリットは6つの目を持つ「神竜」格のドラゴンのもの。これは7つの目を持ち、唯一無二の存在である神竜王に次ぐ格である。

*13 剣を高く放り投げ、「うぉぉぉぉ!」という雄叫びと共に火球を生み出し、魔法名を叫びながら火球を殴り飛ばして敵にぶつける。しかも殴る瞬間は視点を変えて2回リプレイされる(いわゆる「1カメ、2カメ」の演出)。これを「攻撃魔法」と形容する作品はなかなか無いだろう。

*14 但し、作中で20歳の誕生日を迎える人物が22歳と書かれていたり、ドラゴン戦役を生き延びた人物が「最後の戦いで命を落とした」とされていたりと、間違いや矛盾した記述も僅かにあるので注意。

*15 関氏は99年当時から、『機動武闘伝Gガンダム』のドモン・カッシュなどの熱い叫びに定評のあるキャラを多く演じていた。

*16 全くの余談だが、このメルは銀髪、ハンマー使い、氷(水)属性、寒冷地出身、声優が川上とも子氏と、6年後に発売される『戦国BASARA』のいつきと妙に共通点が多い。偶然とは思われるが…。

*17 また、殆どのNPCは二回話しかけると台詞内容が変わる。

*18 このミニゲームは報酬が一切無い、単なるストレス解消ゲームである。しかし失敗すると敵に散々ボールをぶつけられて終了する。余計ストレスが溜まるような…。しかもクリアは無いので最後は必ず倒される。

*19 それ以前は『半熟英雄 ああ、世界よ半熟なれ…!!』や『ファイナルファンタジーVI』などでもバトルデザインを務めていた。