柿木将棋
【かきのきしょうぎ】
ジャンル
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将棋
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対応機種
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スーパーファミコン
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発売元
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アスキー
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開発元
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酒田エス・エー・エス
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発売日
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1995年9月1日
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定価
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12,800円
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周辺機器
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スーパーファミコンマウス、ターボファイルツイン対応
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判定
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なし
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ポイント
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初心者お断り 美麗なタイトルCG 思考表示
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概要
柿木将棋はアスキーから発売された将棋ゲームとして知られており、本作はそのSFC版である。
特徴
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本作には「対局」と「詰将棋解答」が用意されている。
対局
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3段階のCPU
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戦う事が出来る。AIの強さはレベル1から3まで用意。SFCとしてはかなり強い。
詰将棋解答
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詰将棋を解く
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最長で19手詰めまで解いてくれる。
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サンプルも10問用意されており、「棋譜」→「詰将棋問題」で読み込める。勿論「対局」→「詰将棋を解く」で実際に解いてもらえる。ただし、問題によっては1時間以上かかる事もある。
本作独自の仕様
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思考表示
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CPUが長考している際は、盤上や手持ちの駒と、その移動若しくは打つ場所の候補を青く照らす。これが目まぐるしく変わるので見ていて面白い。
評価点
タイトル画像
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盤面の上に角行を立たせただけである。何だそれだけかというかも知れないが、当時としてはかなり高度なCG画像である。
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実写ではなくCGである。それは歪みぼやけは一切ない事、角行が映り込んでいる際も鏡に近い盤面は実在しないためである。
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レンダリングにありがちなジャギーも殆どなく、角行も盤上と移り込んだ彫文字を良く見るとハイライトが異なる、これは駒の画像をただ反転させたのではなく法線マッピングでもしないと実現できない。
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派手さは無いが精緻にレイトレーシングされている。粗探しをするならばSFCの色数ではグラデーションは完全に表現出来ずディザがやや気になるところである。
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専門的な事はともかく、SFCとしては最高峰クラスであり、後継機種N64やPSの作品と比べても遜色は見られない。
ゲーム構成
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AIは強い
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レベル1からしてレーディング200・14級はある。レベル3にもなると長時間かけて深く読んで来るので尚更強い。
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パックマン戦法にも乗って来るのだが、15角に対しては、レベル1では3枚替えが通用してしまうものの、レベル3では最善手77飛とするので容易ではない。
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CPU同士の対局も可能
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また、任意の局面でCPUに考えさせる事も出来るようになる。(中断して対局者変更でCPUを選んで、継続対局から指させる)
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思考表示
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思考中では、候補にある駒に目印があり分かり易い。ただ待たせるのに比べると待ち時間のストレスが緩和されていると言える。
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これはプロ棋士監修のSFC将棋にすらなかった魅力である。後にPS『永世名人II』でも採用されている。
細部まで作り込まれている
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読み上げ
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棋譜の読み上げも非常に質が良い。音声も滑らかで自然であり、同歩などは同じく、金上がりは直ぐと細かい。
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棋譜の保存
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所要時間まで記録されており、どこで長考したのかまで分かる。
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駒落ちの表示
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手合いに応じて上手下手と表示されており、王将玉将も使い分けられている。
賛否両論点
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価格は高い
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本作に限った事ではないが、SFCの囲碁将棋とは高額ソフトばかりでSFCソフト高額ランキングでも囲碁将棋が大半を占めるくらいである。
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CPUの時間がかかる
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かなり強いのであるが、その分だけ時間がかかってしまう。レベル3同士ともなると1局で数時間はザラである。
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SFCの火力では棋力と時間を天秤にかけるのは、どうしても仕方のない所である。
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とはいえど、CPU同士の対局や詰将棋解答を寝る前にセットしておいて翌朝には終わっているので、それを記録に残すという事は可能。
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尚、BGMをOFFにしても思考時間に変化は出ない。
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タイトル画像
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盤上の角行がどう見ても1マスに収まるようなサイズではない。
問題点
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内容
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モードが対局と詰将棋解答しかないのは寂しいところである。
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詰将棋の時間表示
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所要時間は、サンプル1問目で1分39秒。サンプル10問目で1時間00分11秒かかる。『早指し二段 森田将棋2』『将棋最強』と似たり寄ったりでSFCの性能では仕方のないところである。
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ゆえに、経過時間が表示されるべきであるが「(奇数3、5、7、9…)手詰めを読んでいます。」の表示で隠れて見えない。解き終わってから所要時間が表示されるので不便。
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「思考表示」も詰将棋では出てこないので勿体ないところである。
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メニュー画面が簡素
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タイトル画面のグラフィックが高品質だったのに対し、メニュー画面の方は白地に黒い文字で簡素なもの。SFCと言うよりも、グラフィックが弱かった頃のパソコンのインターフェイスのようである。
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素材の選択
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盤面と駒の質感を4つずつ選べるのは良いがプレビューが無く、決定してからでないと分からないのは不便である。
総評
SFC将棋としては高品質のタイトル画面に、素材の良さ、そして「思考表示」という機能も魅力的であるが、CPU対局のみにとどまっている。
既に、SFC将棋はプロ棋士による監修まで行われており『羽生名人のおもしろ将棋』『早指し二段 森田将棋2』まで発売されており、本作の半月後には『朝日新聞連載 加藤一二三九段将棋 心技流』が発売。他のメーカーからは『スーパー詰将棋1000』、魔法株式会社『将棋最強』があるので、更に対局以外の要素を求めるならそちらが良いだろう。
余談
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意外と思われがちだが、昨年度12月22日はPS版の方が先に発売されている。およそ丁度PlayStation発売と同じ月でありPS将棋の第1弾としても知られている。
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ちなみにPS版柿木将棋と同じ日に『本格将棋 風雲児龍王』も発売されている。
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後に、PSで『柿木将棋2』、PS2で『柿木将棋IV』が発売されており、『柿木将棋IV』では棋力の高さに加え詰将棋100問や江戸時代の棋譜など付加価値も充実。
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現在においては『柿木将棋IX』まで出ており、常人では太刀打ち出来ないところまで来ている。
最終更新:2021年07月05日 20:07