ファイナルファンタジーレジェンズ 光と闇の戦士

【ふぁいなるふぁんたじーれじぇんず ひかりとやみのせんし】

ジャンル RPG
対応機種 携帯電話(iアプリ、EZアプリ)
iOS(4.0以降)
Android(2.3.3以上)
発売元 スクウェア・エニックス
開発元 マトリックス
配信開始日 【i-mode】2010年9月6日
【au】2010年12月9日
【iOS/Android】2012年8月31日
定価 【スクエニモバイル】各章300~500ポイント*1
【AppStore】一括2500円→1720円*2
【GooglePlay】一括のみ配信・1700円*3
【SEマーケット】一括1700ポイント*4
プレイ人数 1人
レーティング iPhone 9歳以上
Android 3歳以上
備考 携帯電話版は現在配信終了
判定 なし
ポイント 古き良き2Dドット絵FF再び
FFV』とは似て非なるジョブチェンジシステム
昔のFFあるある満載
少し狙い過ぎてる一面も
ファイナルファンタジーシリーズ

概要

ファイナルファンタジーIV THE AFTER YEARS -月の帰還-』(以下『IVアフター』)の反響を経て作られた携帯アプリ用FF。
今回は完全新作かつ、FC・SFC時代のFFのセルフオマージュ作品となっている。

あらすじ

かつて、世界は戦乱に明け暮れていた…。
だが、大いなる理想をかかげるアヴァロン帝国の尽力により、世界は平穏を取り戻し新たなる発展の時代を迎えていた。
のどかな小国で希望に満ちて暮らす少年たち。過酷な北の大地より、任務のため飛空艇に乗せられた少年たち。
彼らが邂逅する時、かつてない輝きを放つクリスタル。その輝きは果てしなく広がっていった。
訪れる静寂。
そして、世界は光と闇へ―。
(公式サイトより引用)


特徴

  • 『IVアフター』同様、2Dドット絵によるRPGでありシナリオは分割配信となっている。
    • こちらはオムニバス形式ではなく、「光の世界」と「闇の世界」の2つに分かれた世界から「光の戦士」と「闇の戦士」それぞれの活躍を描いたシナリオとなり、終章において両戦士が合流する。
  • パーティー人数は『IV』同様の最大5人パーティー。
    • うち、5人目は最終章までは章ごとのゲストキャラが入れ替わっていく構成であり、『FFII』に近い展開となっている。
      • 最終章では光の戦士4人と闇の戦士4人から5人を選びパーティ編成を決める。
  • 戦闘はシリーズ伝統のアクティブタイムバトル。
    • 魔法は『I』『II』『III』『V』同様、店で直接購入する仕様。
  • 『FFV』同様、ジョブレベルを上げる事によりアビリティを取得できる「ジョブチェンジシステム」を導入しているが、大きな差異がある。
    • 選択できるジョブは「光の戦士」と「闇の戦士」共通ジョブの他、どちらか片方でしか選択できない専用ジョブが存在する。
    • ジョブごとに存在するジョブレベル上限がストーリー進行に応じて取得できるジョブポイント(JP)を振り分ける事により、レベルを上げる。
    • 各ジョブとアビリティの組み合わせにより、戦闘中に使用できる強力なアビリティを閃く「フュージョンアビリティ」が導入。一度覚えれば以後は何度でも使う事が出来る。
      • ただアビリティを貼りつければいいというわけでもなく、該当の魔法や特技などを覚えている必要がある。
      • 「白魔法」と「黒魔法」の組み合わせという簡単な物もあれば、「ぬすむ」と「ねらう(ハートをねらう)」で「ハートを盗む」になるなど、ユニークな物も存在する。
    • アビリティスロット欄は『V』同様貼りつけ式だが、今回はレベルを一定まで上げる事でスロット欄が拡張できるようになった。
      • それに伴い、スロット欄を二つ以上使うアビリティも存在するようになった。
  • 携帯電話版のみ、各章クリア後に挑戦できるチャレンジダンジョンが存在する。
  • スマートフォン版はドット絵が高解像度となっている他、BGMもアレンジが加わっている。また、エンディング曲がボーカル入りとなっている。
    • チップチューンアレンジBGMも有料で配信されている。GooglePlay配信版では同時収録されている。
    • 当初はクラウドセーブ非対応だったが、後のアップデートにより新たに対応するようになった。

評価点

  • 古き良きドット絵FFの完全新作。
    • 「クリスタルに選ばれた少年少女たちが悪の帝国を打ち倒すために冒険を繰り広げる」という『VI』以前のFFで多く見られたクリスタルが主体となる勧善懲悪かつシンプルなストーリーとなっている。
    • 最近のナンバリングシリーズにありがちな複雑な固有名詞もほぼ登場せず、敷居は低い。
    • キャラクターやグラフィックなどドット絵の質も『VI』に近い。
      • ただし、スマホ版では絵の質が変わっているおかげで不評意見が多い(後述)
  • 『V』と差別化しながらも発展させたジョブチェンジシステム。
    • フュージョンアビリティの登場により、ジョブとアビリティの組み合わせに重要性が増した。
      • フュージョンアビリティは一度覚えればどのジョブでも自由に使う事が出来るなど、通常のアビリティよりも汎用性が高く使いやすい。
        その一方で、ジョブごとのアビリティの方が強力な事もあるため、どちらを優先するかでジョブを育成していく必要がある。
  • BGMは『XI』の水田直志氏が主に手掛けており、評価の高い曲が多い。

賛否両論点

  • 良くも悪くも昔のFFらしさが満載。
    • 評価点の通りのシンプルな勧善懲悪劇、悪の帝国、双子の魔法使いや神秘的な魅力を持ったヒロインの他、自己犠牲により主人公たちを前に進めるゲストキャラの存在、「死んだように見えて実は生きていた」という展開に火水雷風の四属性を持ったボスなど『VI』以前のシリーズで見られた要素が非常に多く、人によっては懐かしい気分にさせてくれるだろう。
    • 一方で、上記のようにSFCまでのシリーズで特に多く描かれた自己犠牲展開が本作でも多く描かれる他、狙ったかのように過去作に出てきた台詞が多く出てくるなど、ストーリー展開はデジャヴを感じさせる事もまた多く、先が容易に読めてしまう。早い話、微妙なところまで昔のFFをリスペクトしている。
  • パーティメンバーの一人であるアルバの強烈なキャラクター。
    • 全体的にギャル系な口調で周りを引っ掻き回しメタ発言も時折かますなどパーティメンバーの中でも一際浮いている。
      『FF』の中に一人『半熟英雄』のキャラがぶち込まれていると言えば解りやすいだろうか。
      • その一方で芯に迫った発言も多く見られ、後半のある場面ではそれまでのキャラとは違った一面も出てくるなど底の見えない面も見せてくれる。
  • ジョブ「メモリスト」の癖が非常に強い。
    • ほぼ全ての武器防具が装備可能、ステータスはHP/MP以外は各章にちりばめられたアイテム「メモリー」の使用による成長、メモリストとなったキャラが現時点で覚えている技・魔法をランダムで使用できる「メモランダム」など、『ものまね士』に通ずる使い方次第で化けるジョブと言える。
      • 一方で、その成長システムにより初期状態の各パラメータは最低値の10であるなど即戦力になるとは言い難く、最大値も99までとなるため、育てても使いづらいままとなる事もある。
    • スマホ版ではパラメータ振り分けがリセット可能となり、カンスト値も255まで上昇するなど大幅に強化された。

問題点

  • シナリオはやや単調。基本的に「敵のボスを倒して事件を解決する」パターンの繰り返し。
    • また、元々携帯電話向けにシナリオが分割されて配信していたためか、世界を自由に移動する事が終盤まで出来ないなど自由度やフィールド移動範囲はかなり低く狭い。
      • その終盤の世界も『VIII』同様に施設に制限がかかっている状態であり、基本的には終始一本道の作りになっている。
  • スマートフォン版特有の問題点。
    • ドット絵などグラフィック面はPSP版『I』『II』やスマホ版『V』『VI』で散々言われているように、本作でも全体的にのっぺりとした質感となっており、アマチュア作家の同人ゲームのようだという意見が非常に多い。
    • ゲームパッド非対応であり、斜め移動も存在しないため仮想パッドに押しても反応しない部分が存在するなど、移動の操作性があまり良くない。
      • 現在はオプションにてスライド形式を選択する事である程度解決可能。
    • 携帯電話版は物理十字キーの他、テンキーでも移動と決定が出来たため両手持ちで遊ぶことが出来るなど操作が多少は苦にならなかった。

総評

ファイナルファンタジーシリーズが『VII』以降グラフィックを特に重視した3Dポリゴン作品となって久しく、本作品のような2Dドット絵による新作FFの登場は『VI』以前からシリーズに入ったファンに応えた待望の作品と言える。
一方で、意識しすぎた過去作オマージュの多さにより「同人ゲーム的な印象が拭えない」という声も見受けられている。
良くも悪くも懐古向けの作品ではあるが、作品そのものの出来はシリーズの一作に値するに相応しい出来栄えであり、シリーズを長年追っているファンは手に取る価値は十二分以上にあるだろう。


余談

  • 海外では『FINAL FANTASY DIMENSIONS』というタイトルになっている。
    • これはサガシリーズの初期三部作がFFシリーズの外伝作品として『FINAL FANTASY LEGEND』というタイトルで発売されたため。
  • フュージョンアビリティに「イド・ブレイク」「かすみ二段」「乱れ雪月華」など、サガシリーズの技が輸入されている。
  • また、開発室には『ライブ・ア・ライブ』のおぼろ丸の技を使うスタッフもいる。

その後の展開

  • 続編として『ファイナルファンタジーレジェンズII 時空ノ水晶』が配信されている。
    • こちらは当初2015年に基本無料タイトル+ガチャ課金形式(俗に言う「ソーシャルゲーム」)として配信された後、翌2016年にリニューアルと銘打った大型アップデートが施され、最終的に2017年にサービス終了するもソシャゲ要素を完全廃止したオフラインの買い切りアプリへ転向するという経緯を辿っている*5
      • このため、ソーシャルゲームの記述がルールに抵触する本wikiでは買い切りアプリ版のみを解説する。
    • シナリオや世界観は前作からの繋がりは無く、ストーリーは過去現代未来を行き来する冒険とクロノシリーズ寄りである。
      • それもそのはず。この作品は開発中止になったクロノシリーズの新作『クロノ・ブレイク』のアイデアが転用されているのである(IGNインタビュー)。直接の繋がりは無いにしても、FFであると同時にクロノの系譜にあたる作品とも言える。
最終更新:2023年12月29日 00:37

*1 序章無料

*2 序章無料、1章250円、2章以降850円、のちに610円程度に改訂

*3 チップチューンアレンジBGM収録

*4 序章無料、1章250ポイント、2章以降600ポイント

*5 ソシャゲ時代のタイトルは『ファイナルファンタジーレジェンズ 時空ノ水晶』→『ファイナルファンタジーレジェンズII』と、ナンバリングやサブタイトルの有無が現行の買い切り版とは微妙に異なる