この記事では『三國志14』・同作の大型拡張ディスク『三國志14パワーアップキット』を取り扱っています。
判定は前者が
良作
、後者は判定なしです。
三國志14
【さんごくしふぉーてぃーん】
ジャンル
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歴史シミュレーションゲーム
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対応機種
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Windows 8.1/10 プレイステーション4
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メディア
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【Win】DVD-ROM 【PS4】BD-ROM
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発売・開発元
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コーエーテクモゲームス
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発売日
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2020年1月16日
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定価
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パッケージ版 【Win】10,780円 【PS4】9,880円(各税別)
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判定
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良作
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ポイント
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追加機能のDLC化 『三國志』35周年記念作品 中国全土の壮大な塗り絵
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三國志シリーズ
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概要
『三國志』シリーズの14作目。『三國志』シリーズ35周年記念作品となる。前作『三國志13』から4年の歳月を隔てて製作された。
今作は全武将プレイだった前作から君主プレイに戻り、また、『三國志IX』や『三國志11』で見られた中国全土1枚マップを採用しており、1枚のマップの中で内政や戦争の要素が完結するようになっている。
全体的には『IX』と『11』の両方の流れを汲み、さらに占領による領地の細分化などの独自の味付けがなされた作品となっている。
システム
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全国一枚マップと細分化された領地
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先述の通り、中国全土は広大な1枚のマップとHEXによって表現されている。
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今作独自の要素としてそれぞれの「都市」の周りには複数の「府」が存在し、それらを占領して武将を配備して内政を行い、徐々に自勢力の「占領地域」を広めていく形になっている。
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府には合肥や定陶といった三国志で登場する地名や彭城といった三国時代以外で有名な地名が付けられており、これらの地をめぐって他勢力と争う事になる。
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ゲーム開始直後は未所属の府が多く、他勢力に奪われる前に占領していく必要がある。『信長の野望』シリーズで言えば13作目の『天道』でいう「町並み」の概念に近い。
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核となる都市と存在する複数の府とその周りの地域を全て支配する事で、初めてその土地の全ての収入を手にする事が可能となる。今までの作品では領地は都市単位だったが、府によって細かい領地まで表現されるようになった。
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自勢力の影響下に置かれたHEXは自勢力の色に塗りつぶされていく。内政ないし部隊を差し向ける事で自勢力の影響下を広げて収入を増やしていく形となり、中国全土を「塗り絵」の如く自勢力の色で塗りつぶしていく。
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武将が配備された府では旬(10日)毎に武将の「魅力」や「個性」に応じて周辺のHEXが塗りつぶされ、部隊の場合は「陣形」や「規模」に応じて占領できるHEXの数が変化する。
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同時に自勢力の影響下に置かれたHEXは「兵站」の概念も担うため、部隊と自勢力の都市を結ぶHEXが他勢力によって分断されてしまうと兵糧が届かなくなり混乱や大きな弱体化を招く。
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都市を落とした際は所属する府を奪う事が出来るが影響力自体は最低限となるため、いきなり全ての土地を入手できるわけではない。このため、都市攻略後も自勢力の影響力を高めるために武将を派遣して占領を進めていく必要がある。
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「府」自体は部隊に接触されるか計略の「地域懐柔」で支配下に置ける。このため、戦争で都市は奪えずとも府を奪う事で他勢力の領地と収入を掠め取って弱体化を図る事も可能。
また、都市に隣接する府を奪った場合は奪い返さんと執拗に部隊を差し向けてくるため、戦闘が起こりやすい。
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シリーズ最大となる1,000人の武将
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本作では『III』以来久々の登場となる呂公や荀爽など。そしてシリーズ初登場となる段煨、龐林、盧毓、柳隠、谷利、羊衜といった武将が大量に追加され、シリーズ初となる1,000人の大台に乗った。
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一つの都市でも大量の府が存在し、それぞれに武将を配備する必要があるため、それまでのシリーズに比べても多くの武将が必要となるのでどの武将にも活躍できる目がある。
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シナリオは従来の物に近いが、近年ではパワーアップキットでなければ実装されなかった後年のシナリオがいくつか最初から実装されており、
デフォルトで「227年 出師の表」が存在。また、DLCでも早期購入特典で無料だった「249年 正始政変」等が実装されているため、後期の年代でもプレイしたいファンの要望にも応えている。
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個性豊かな武将
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武将の特徴として『三國志11』で見られた「特技」をより細分化し、最大5つの「個性」を持つ事で表現されている。
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戦闘時に周囲の部隊を強化させる「神将」や、内政の際の占領範囲を増やす「名声」といった優位になれる「個性」の他、兵站が切られると全能力が低下する「酒乱」
部隊の方針設定で自主退却や敵接近時の無視が出来なくなる「猪突」といったマイナス効果を持つ個性も多数存在している。
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これにより、張飛や孫権の酒乱や功名にあせる黄忠といった今までのシリーズで表現されなかった負の個性が描かれるようになっている。原作で罠にはまって戦死した武将などは「直情」や「猪突」といったマイナス個性を持つ。
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武将毎に主義と政策を持つ。
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政策は武将毎に「戦闘」「支援」「謀略」「内政」「人事」のいずれかを強化させる政策を持つ。戦闘ならば特定の陣形を強化したり、支援ならば部隊の兵糧消費を減らすといった政策を持ち、それぞれレベルとコストが設定されている。
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主義は君主になった際の「施政」コマンド内での勢力の主な方針となる。オールマイティな「王道」や戦闘に特化した「我道」等の主義が存在し、主義によって設定できる項目の数が変動する。これにより人事や内政を得意とする孫権や戦闘を得意とする呂布といった勢力の傾向が表現されている。
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君主と同じ主義を持つ武将の場合は政策に必要な「コスト」が減るため、低コストで強力な政策を実行可能となる。
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戦闘面では戦法や陣形といった従来のシリーズに近いもので個性を表現している。
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内政
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先述の通り、府に武将を配備し、「商業」「農業」「兵舎」の数値を高める事で収入を高めるのが主になる。数値だけではなく影響下に置かれた土地の数も影響するため、手早く収入を上げたければ部隊を差し向けて「占領地域」を増やすのも内政の一環になっている。
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各コマンドの実行には「命令書」が必要となり、毎ターン命令書の数までしか命令を実行できない。「地域内政」で府に配備された武将はターン毎に金を消費しつつ自動的に内政を行うので、
配備するのに命令書を使用すれば後は放置すればいい。必要に応じて配置換えをするか解任する際に改めて命令書が必要となる。
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また、従来のシリーズでは人材登用や外交以外に主だった要素が無かった「魅力」が占領地域拡大に影響を及ぼすのも大きなポイントとなる。能力が低くとも魅力に特化した武将を配備させて早期に占領地域の拡大を済ませる事も重要である。
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内政は「治安(統率)」「兵舎(武力)」「農業(政治)」「商業(知力)」と、いずれの能力も関わるため、少しでも得意な分野や内政に有利な個性があれば活躍できる。
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「都市内政」として、都市毎に募兵と訓練担当を任命できる。これによって都市の軍備を賄う形になるが、どちらも金を消費するので財政と相談する必要がある。
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評定を開いて武将からの「提案」を聞く事も可能。自勢力の状況に応じて武将が様々な提案をしてくるので金を消費してそれらを採用する事で実行できる。
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戦闘中の勢力があれば敵の部隊に「計略」をしかける、消耗している部隊があれば兵力を「補充」するといった従来のシリーズではコマンドで表現していた要素は提案で採用する形で初めて行われるようになった。
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内政面でも財政がひっ迫していると改善せんと提案をしてくるが、武将によっては「兵糧の売却」や「略奪」と違った方向で提案してくれるためにらしさがにじみ出ている。賊将なら略奪を好み、それ以外の将ならば略奪は最後の手段にする等。
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これらの要素は従来の作品からすれば任意に行えていた物が多く、あえて不自由にする事でゲームバランスの一環としており、実行にも説得力が出るようになっている。
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戦闘
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ベースとなった『IX』と同じく戦略画面で部隊の進路や方針を選択し、「進行パート」で見守る形となる。進行中に敵の接近に気が付いたとしても近年の作品のように即座の対応は出来ずに次のターンまで待つ必要がある。
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本作では勢力が大きい順にターンが回り、進行パートで一斉に進行する仕様上、後手(弱小勢力)ならば先手(大勢力)の都市の出陣状況、部隊の目標などを予め見る事が出来るため、有利に進める事が出来る。
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逆にこちらが大勢力になると、敵勢力の咄嗟の出陣に対応出来なかったり、こちらの部隊の目標を見られた上で部隊の方針を決められるために裏をかくのが難しくなる。
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このため、近年の作品では増加傾向だったリアルタイムで操作する場面は少ないのでよく考えて方針を定める必要がある。一応、任意のタイミングで戦法を発動できる「采配武将」という概念は存在するが、これも任命できる人数が限られており、ここぞという時の切り札的扱いである。
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『IX』や『11』と同じく物資や兵も都市毎に管理され、輸送も不自由なのですぐに動かす事は出来ない。どこに配備するかが非常に重要となる。
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一つの部隊に複数の武将を所属させる副将の概念はなく、全ての部隊は一人の武将で率いる形になった。このため、猪武者の部隊が計略に弱いという弱点が露呈するが、本作では任意の部隊に計略を仕掛ける事が出来ず、
武将によっては計略を受けた周辺の部隊を素早く回復させるといった個性を持つ者も存在するため、従来のシリーズほど重篤な弱点ではなくなっている。
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相性のいい武将や義兄弟などの部隊が近くで戦法を発動させると連携する事がある。『IX』と同様に平凡な将でも相性のいい武将を固めて連携させると活躍が出来る。
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出陣の際には陣形を決める必要がある。こちらも『IX』と同様に陣形によって様々な個性を持つ。機動や攻撃力に優れた「鋒矢」や攻撃力は低いが占領範囲の広い「鶴翼」、凡庸な能力だが山地に入ると強力なバフがかかる「長蛇」等、用途に合わせて陣形を定める必要がある。
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全国一枚マップでも触れたが、自勢力の影響下のHEXがそのまま兵站の概念を持つため、敵が突出した所で兵站を切って混乱させる事で、再序盤に到底かなわないような大勢力に襲われても対処が出来るようになった。
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兵站が切られた状態が続くとどんな名将の大部隊でも死に体といえるほどの弱体化を受けてしまう。大軍で攻めたとしても兵站が切られるとあっという間に全滅する事も珍しくないため、パワープレイは通じにくいばかりか兵力を大幅に失う羽目になる。
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「反董卓連合」シナリオでいきなり董卓と呂布に最大兵力で攻められる曹操勢力や「三顧の礼」シナリオの劉備ではこの兵站切りを巧みに生かす事で何とか切り抜けられるバランスにもなっている。
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CPUも兵站切りを狙ってくる他、敵の内政による領地拡大でこちらの兵站が切られる事もあるため、攻める際は注意が必要となる。陣形によっては占領範囲が狭い物も多く、計画的に侵攻しなければいとも簡単に兵站が切られてしまう。
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マップには「火罠」「櫓」「土塁」「落穴」等の建造物を設置可能。こちらもベースとなった『11』の要素を引き継いだ形となる。
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ある程度勢力が拡大すると「外征」を行えるようになる。自勢力の都市や軍団に州ごとの全ての都市をオートで攻めさせる事が可能。細かな操作が不要となるため、ゲーム終盤の消化試合に向く。
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外交
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外交面では従来のシリーズより大きな変更点は少なく、一部のコマンドはある程度勢力が大きくならなければ使用出来ず、最初は「親善」や「同盟」「捕虜返還」ぐらいしか行えない。
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敵に攻められた際の援軍要請や共同作戦が無いので従来ほど頼りにはならないため、兵站の確保や不可侵条約、勢力が大きくなった際の連合防止の意味合いが強い。
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勢力が大きくなって地位を得る事で初めて同盟国に「攻撃要請」したり弱小国に「降伏勧告」する事が可能となる。
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コマンドを使用できる頃には国力が高まっており降伏勧告もそれなりに成功するため、中盤のテンポを速める事が出来る。原作視点でも張魯や劉琮といった勢力を次々と降伏させた曹操のようなプレイが出来る。
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勢力に敵視されてしまうと親善で関係を改善する事が不可能に近くなるが、戦争で得た捕虜を解放ないし返還要求に応じると関係を改善できる。
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アップデートとDLC
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それまでのシリーズでもシナリオや顔グラフィックといった要素をDLCで販売する事はあったが、本作はそれらに加え、能力の編集機能や新たな難易度などもDLCとして販売される予定となっている。
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このため、シリーズでは初となるシーズンパスも販売されている。これらを導入する事で実質パワーアップキットにあたる要素を無印に備えることが出来るようになる。
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アップデートにより無料で仮想シナリオや三国志時代以外の武将が追加される事もある。恒例の『古武将』『水滸伝』『信長の野望』の他『蒼き狼と白き牝鹿』からも武将が追加され使用出来るようになった。
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チュートリアルやシナリオをクリアする事で「項羽と劉邦」等の古武将も解禁される。
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歴史イベント
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歴史イベントは全て発生条件を確認できるようになり、発生後に何が起こるのかが事前にわかるようになった。また、一部のイベントは条件を満たしている状態ならば任意に発動できるようになった。
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これにより『12』~『13』で見られた勝手にイベントが発生して勢力版図がガラッと変わるといった問題点が改善されている。
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あえて実行しない事で徐庶が劉備の下を去らずに諸葛亮と共存できる。孫策を死なさないまま全土を統一するといった歴史のIfも可能となっている。
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その他
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劉備・曹操・孫権・関羽・張飛・趙雲・諸葛亮・周瑜・呂布・貂蝉といった一部の有名武将は顔CGでモデルが動くといったシリーズ初の試みがなされている。
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またシナリオ後期になると張飛の知力が上昇している。これまでのシリーズでも呂蒙といったシナリオによって能力が変わる将はいたが張飛の知力が変化するのは『11』以来。原作では劉備入蜀の際に策略を用いて厳顔を捕らえるといった知勇兼備の将として成長した場面が描かれており、これが反映された形になる。しかし個性から「酒乱」は消えていないので、酒が遠因となって命を落とした張飛らしさも損なわれていない。
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孫権は後継者問題を拡大させた晩年の迷走が反映されており、一部シナリオでは能力が低下しているうえ、プラス個性がマイナス個性に置き換わっている。これまでのシリーズでは後期シナリオで能力が上がる将はいたが、逆に下がるというのも『11』以来。
評価点
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ベースとなった『IX』や『11』の評価点となった要素を取り入れてより昇華させている。
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リアルタイム戦闘や陣形による部隊編成(『IX』)、妨害施設による防衛(『11』)特性による武将の個性付け(『11』)をより発展させた事で純粋に面白さに繋がっている。
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戦争システムは『IX』に近いが、IXには存在しなかった罠や妨害施設、今作から登場した兵站の要素の追加により、より深い読み合いと工夫が可能になった。
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『11』では特技を持たない武将も多かったが、細分化された事で全ての武将が何かしらの個性を持つようになった。
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『11』で見られた武将の様々な固有台詞も継承しており、さらに一部の武将には一騎打ちの固有名乗り、部隊編成時の固有台詞、果ては専用の音声で個性付けがなされている事もある。
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両方の作品で見られた全国一枚マップも作り込まれており、巴蜀から長安を攻めるための北伐のルートや火計を狙いやすい夷陵や非常に進軍しにくい巴蜀の地などの個性がみられる。
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一部のシステムやコマンドが不自由になった事が思わぬドラマを生み出し、熱い展開になる事も多い。
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兵站の概念の表現
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それまでのシリーズではあまり注目される事の無かった要素だがシンプルながらも表現されており、兵站が切られた部隊は大部隊でも簡単に倒す事が出来るために戦術面としても面白い。
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内政の影響力増加で思わぬ所で切られたり、囮で釣って遊軍に切らせる、はたまた勢力が大きい状態ならば周辺の府を落として「包囲占領」を発動させて一気に兵站を切るといった様々な戦術が取れ、うまくハマった時はかなり爽快。
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武将数の増加
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同じく過去最大数の武将数を謳っておきながらほとんど武将に出番が無かった同社の『信長の野望 大志』とは異なり、武将は幾らいても足りないほどのゲームデザインなのでうまくかみ合っている。
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本作で初登場となった谷利等、有名なエピソードがありながら今まで全く登場していなかった知る人ぞ知る武将も多い。
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過去最大数ではあるが「胡赤児(『III』)」「張譲(『VI』)」『IX』の末期の武将等、過去作には登場したものの本作には登場していない武将も存在する。
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「個性」や「陣形」の取り合わせによって武将の個性はかなり感じられる。
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「錐行の陣(機動力最高)+脱兎(退却時はZOC無視+機動力増加)+強運(負傷、捕縛されない)」持ちで積極的に兵站切りを狙える劉備や、「医術」を持つために積極的に負傷した武将の治療を提案する張魯と虞翻、最高の武力と強力な固有戦法を持つが3つものマイナス個性により扱い辛さも天下無双な呂布、等、それぞれの武将の得意分野を理解する事で大いに活躍させることが出来る。
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2級戦の武将といえど、親愛武将による能力バフを駆使すれば最強クラスの武将にも立ち向かえる。また、親族同士でもバフがかかるので一族が多い曹操や関羽などは結束するととんでもない強さになる。
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内政による占領土地の増加量を大幅に増やす「名声」募兵時に効果を底上げする「召募」といった個性は持つだけで超一流武将を上回るほどの効果を発揮するため、それらを持つ武将は能力値が低くとも重宝出来る。
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過去作と同様に義理や野望はマスクデータになっている。特に遠征による忠誠度低下が起こりやすい為、呂布は少しでも気を抜くと即寝返ったり反乱を起こして独立するなど近年のシリーズではあまり見られなかった最強だが扱いづらいクセモノといった面が表現できている。
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骨太なバランス
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兵を待機させるだけでも兵数に応じて兵糧が消費される。訓練や提案でも金が消費される等で物資はいとも簡単になくなる。
特にリソースはかなり限られている序盤は適当にプレイするとすぐに赤字になるので、適材適所な内政を心がけて素早く収入を上げたり不要な官位を剥奪して俸禄を抑える等の倹約を徹底しなければならないため、骨太な難易度に仕上がっている。
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兵糧の消費量が多く管理に悩まされる。金さえあれば大量に買えるが商人が常駐する都市はないので、内政で賄いきれない場合はよく枯渇する。巴蜀の地を攻める時等、年単位で部隊が出陣する場合は消費量が馬鹿にならない。
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特に出陣後は部隊と出陣元都市が離れる程、兵糧の消費量が増えるため、大軍で遠征する際は十分に確保しないとすぐに兵糧切れを起こしてしまう。
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戦闘面でも部隊が壊滅すると忠誠が下がり負傷や捕縛される確率も低くない。負傷した場合は回復に時間がかかり、捕縛されると忠誠度が下がりやすくなる等のデメリットも多いため、慎重になる必要がある。
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武将数の多さから弱小勢力プレイでも未発見の在野武将がざくざく見つかるので詰みになりにくく、兵站や罠の要素も含めて大勢力に抗う術は多いので、序盤プレイや弱小勢力プレイはシリーズ屈指の面白さと言える。
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中だるみを防ぐ仕様
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勢力が大きくなった時点での降伏勧告、軍団委任や外征コマンド等により制圧速度を速める事が出来、中だるみやプレイ時間の短縮に繋がっている。
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アップデートにより、中間エンディングも実装。近年の『信長の野望』シリーズにある惣無事令と同じくある程度支配した時点でゲームをクリアする事も出来るようになっている。
賛否両論点
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歴史イベント
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従来の半分ほどとなり、ムービーによる盛り上げも無いため、三国志を再現して楽しみたいという層には不向きになった。
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戦争関連の歴史イベントが無い事も多く、三国志でも屈指のエピソードである「赤壁の戦い」のイベントが無いという点は不満点としてよく上げられる。
劉備と孫権が同盟する所まではイベントがあるが、その後は自力で曹操軍を撃退しなければならない。
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前作にあった次々に発生する歴史イベントによってゲームのテンポが悪くなっていた部分が解消され、内政や戦争に集中できるのでキャラゲーではなく戦略ゲーに回帰したともいえる。
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また、一部のイベントはDLCによるシナリオと共に追加されるため、導入しなければより淡白になってしまう。
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知力100軍師の仕様
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本作では初期シリーズ同様、知力が100を超えると助言が極めて的確になり、絶対に助言が当たるパーフェクト軍師となる。登用出来る武将を確実に拾え、降伏勧告や同盟の成否も確実に言い当てるため、非常に頼りになる。
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反面、知力が99以下ならば助言に外れがそれなりに混ざるのであてにならない。
特に知力90~99の軍師では差がほとんど感じられないので官職や名品を与えていかに知力100にもっていけるかが一流軍師の基準になる。
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当然ながら諸葛亮は初期状態で知力100なので何もしなくとも的確な助言となる上に本人の専用個性や戦法のいずれもチート性能というシリーズ最強クラスの諸葛亮となっている。伏龍を得る事で天下を獲れるという司馬徽の言葉にも説得力がある。
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このように知力100と99以下では使い勝手に差があり過ぎる為、もう少し調整をして欲しかったという声も聞かれる。
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もっとも、本作ではコマンドを実行するまでに日数が必要となる為、知力100軍師の助言といえど、コマンド実行後に対象の武将が移動した事による状況の変化で失敗といった事は起こりうるし、負傷して知力が下がれば助言が外れるようになるといった弱点もある。
問題点
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全体的にわかりにくいことが多い
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戦法はいつ発動するのか、個性とは何なのか、どんな個性がありどのように作用するのか、収入の決まり方等、わかりにくい要素が多く初心者に優しくない
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できる要素、存在する要素に対して、低層のUIやオブジェクトとして表現されている要素の割合が少なくなにかとわかりにくさを助長している
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三国志11程度の情報量であればやりながらわかっていくでも通用したが、本作ほど情報量が増えると把握するだけでも大変
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官職が少ない
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指揮できる兵は官職に応じて変動するのは従来のシリーズ通りだが、武将数が圧倒的に増えた割には官職の数はさほど変わらないのであっという間に埋まってしまう。
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このため、勢力拡大中に有能な武将を登用した場合は既存の武将の官職を奪う必要があるため、忠誠が下がってしまう。
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本作の場合、無官だと3,000~4,000人までしか兵を率いられないため、官職のない武将が戦場で活躍するのが厳しくなっている。従来のように統率が高い武将ならば指揮できる兵も増えるといった要素はない。
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一部の説明不足
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以下の点は説明がないまま不利益の原因になる点
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特に都市の規模で最大兵数が決まるのだが、輸送や移動などで兵数や物資が最大値を超えてしまった時は特に断りなく、消滅してしまう。
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提案や外交等で使用される金は君主が所属する都市の物で固定されるため、戦争や移動などで攻略直後の物資が乏しい都市に移動すると金が無いためにほとんど何も出来なくなってしまう。
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他国の武将を登用する時はその武将が何らかのコマンドで都市から移動すると即座に失敗になってしまい無駄足を踏む確率が非常に高い。
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自勢力に所属する武将の親愛武将を処断すると忠誠度が大幅に低下する。交戦中の勢力から降ってきた武将ならばよく該当するため、知らぬ間に大幅に忠誠が下がってしまう事がある。
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チュートリアルが簡易
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チュートリアル自体はあるものの数は少なく、シリーズ経験者を対象にしたような内容なのでシリーズ初心者には向かない。
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初級モードならば自勢力への補正やAIが緩く、かなりの接待プレイになるのでこちらで試行錯誤しながらルールを覚える方がいい。
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ただチュートリアルをクリアする事で張良や白起といったチートクラスの古武将が解禁されるのでこれらを使う事で初心者のフォローにはなる。
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バランス面
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進軍や輸送に時間がかかる。
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これ自体は原作再現ともいえるので一概に問題点とは言えないが、1ターンが10日単位であるのに場所によっては数か月あるいは年単位でかかってしまう。特に巴蜀の地を攻める際は非常な面倒を強いられる。もっともこれは補給が寸断しやすいことも含めて歴史上正しいので、ある意味評価すべき点である。
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太守を任命できない。
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仕官年数や官職等から自動で決められてしまい、任意の武将を太守に出来ない。特に黄巾の乱シナリオでの曹操や袁紹といった野心の高い武将が太守になると「駆虎呑狼」の餌食になりやすい。
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太守でなければ発動しない個性(仁政)といった物もあるので使い勝手が悪くなってしまった。
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政策の1つ「侵略荒廃」がとにかく邪魔。
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進軍した地域の内政値を下げる効果だが、敵に使われると鬱陶しいだけで自分で使うと役に立たない。
というか地域を落とせば内政値減少の損害を受け自分が受けることになるため、ない方がマシですらある。
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自身の評価の低さに留まらず、謀略系全ての効果がある「上兵伐謀」までもこれを嫌って避けるというプレイングが一般化してしまっている。
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外交
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基本的に同盟ぐらいしかする事が無く、その同盟も互いに攻め込まない事と同盟国の領地も兵站になるといったメリットしかないので頼りない。
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攻撃要請も使用できる頃には自勢力は十分に大きくなっているので役に立つとは言い難い。
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援軍要請や停戦が無いため、殊更外交の影が薄い。せっかく捕虜返還や解放で関係が改善される要素があるのだからそこから停戦を持ち掛けるといった事が出来ても良いハズだが…
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特に捕虜を返還して関係を改善しても大抵は交戦中なので即座に「敵視」の状態まで悪化してしまい、ほとんど意味が無くなる。
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同盟の延長が不可能なので一度解消された後に結び直す必要があるのだが、使者が到着するまでの間に相手勢力に攻撃される可能性も高い。
同様の問題は『信長の野望 創造』や『信長の野望 大志』でも見受けられたのだが…
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近隣の勢力が手を結んで大勢力に立ち向かう「連合」は今作でもあるが組んだ所でどの勢力も動かないために空気と化している。
「反董卓連合」シナリオでは史実通りに連合軍が何もしないのでそのまま前線に立つ曹操が董卓軍に屠られる光景も珍しくない。
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信長の野望や過去作ならば連合を組まれた瞬間に一斉に出兵される為に大勢力と言えど窮地に陥る要素ではあったのだが、今作の場合は組まれた所で全く怖くない。
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内政
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内政開発による発展の幅が小さく、領地を塗り切ればもう大半の開発は済んでしまったも同然であり、あとは物資の倉庫の拡張目的として都市のレベルを上げるぐらいである。
そのため高い政治を持つ武将を選んで任命するよりも武将や頭数をとにかく並べて置いておくだけになってしまう。
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たまにしか来ないとはいえ商人との交易レートが内政収入のそれと全く見合わないものになっており、特に序盤に物資のやりくりに悩んでいる最中に商人が現れると一気に潤って開発もへったくれもなくなってしまう。
府の収入の成長量自体の小ささと相まって開発の意義はだいぶ小さい。
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部隊が出陣元の物資を消費するという兵站システムにより戦闘部隊が物資を運び込めない仕様になっており、占領した都市の物資の多くが消え、固定値が補充されるという歪な物資ルールとなっている。
大規模な勢力での連戦がやりづらくなっており、非常に脆い輸送隊を後詰めとして付けるという危うい用兵をAIが要求される。
また賊にわざと都市を明け渡して取り返すことを繰り返し補充された多くの物資を延々と蓄積させるような裏技まで存在する。
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一騎打ちの簡素化と舌戦の廃止
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一騎打ちは五合打ち合うのを見るだけという方式になりプレイヤーが介入する要素は一切なくなった。
また舌戦は完全に廃止された。
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また、一騎の個性を持ち武力差があっても負ける事が多く安定しない。
従来のシリーズでは専用の補正を持ち、最強の武力でほぼ無敵を誇る呂布ですらその辺の猛将に普通に負けるので油断ならない。
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ゲームが重い
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発売当初は一部のPCでマトモに動かない等の問題も多く、動いたとしてもかなり重たい事が多かった。
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コンシューマー版でもターン毎にオートセーブが行われ、その度に時間を食うので不評だった。
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武将の寿命
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武将の死因として「自然死」と「不自然死」(戦死や事故死など)が設定されており、不自然死の武将は設定されている没年を迎えた後もしばらく生き続けることができる。
しかし武将の年齢に関わらず没年+数年程度で寿命を迎えてしまうため、若くして不自然死した武将は結局長生きはできなくなってしまっている。
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例として上述の「正始政変」シナリオでは、史実で司馬一族に粛清された曹爽勢力でもプレイが可能だが、シナリオ開始時点で主要人物が悉く没年を迎えているため、不自然死とはいえゲームクリアまで持たないことが多い。
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設定で寿命を「長寿」や「なし」にすることもできるが、そうすると今度は高齢の武将がいつまで経っても死亡しなくなってしまう。
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寿命を延長できるイベントやアイテムも存在するが、イベントは対象がランダムであるため狙った武将の寿命を延ばすのは難しく、アイテムは絶対数自体が少ないうえ他の勢力が保有している場合も多い。
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前作『13』では不自然死は一律20年間長生きできたうえ、寿命延長アイテムも豊富だったため、一層短く感じる。
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発売当初の問題点(改善済み)
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反乱や引き抜きが異様に多い。特に第二軍団以降に所属する武将に褒美をやれなかったため、遠征を繰り返すと忠誠がぼろぼろになり、引き抜かれる事が多かった。
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太守が任命出来ない上に褒美を与えられないので後半になると「駆虎呑狼」が猛威を振るい、次々に太守が独立する悪夢が繰り広げられた。「駆虎呑狼」はこちらが使う分にも成功しやすいのでシリーズ初期クラスの凶悪さを誇っていた。
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一騎打ちがランダムで発生する都合上、突然文官同士が一騎打ちをしたり、文官が一方的に呂布とか張飛といった猛将に一騎打ちを仕掛けられて殺される事が多かった。これも方円の陣に一騎打ち回避効果が加わる事で改善された。
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陣形のバランスが悪く、特に防御系の陣形は選ぶ価値が無いほど使い勝手が悪かったが、アップデートにより戦法の発動率の調整といった調整が行われた。
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人材捜索の失敗報告や兵糧の買い付けなど、無意味にクリック回数が増える事が多いクリックゲーと化している部分もあったがアップデートにより簡略化された。
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歴史イベントで「登場人物がイベントに参加可能」の条件が厳しく、「出陣」「関に所在」「移動中」では参加できないため、虎牢関に呂布が引き籠っている間に王允が引き抜かれて連環の計が起きなかったり、
曹操軍に攻められまくるのに諸葛亮に会うために一定期間引き籠らなければならない桃園三兄弟等の不自由が見られたが、アップデートで条件が緩和された。
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CPUの「地域懐柔」がうざい。
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かなりの頻度で地域懐柔で府を取られる割には防衛手段に乏しく、知力の高い軍師や太守を配備したとしてもあまり意味が無い。アップデートにより成功率の調整や懐柔を防ぐ「輿望」の個性が追加された。
総評
ユーザーの中でも人気の高い『IX』及び『11』の流れを組む上に府や兵站といった新システムも領土を塗り絵に見立てたシンプルでわかりやすいシステムであるために敷居はそれほど高くない。
システムこそシンプルではあるが、様々な個性や陣形を持つ武将を取り合わせる事で奥の深さもあり、施政や政策によってプレイ感も千差万別に変わるために自由度も高い。
近年の『信長の野望』及び『三國志』シリーズは「無印の時点では計略や災害、軍団委任といったあってしかるべき要素を省いてパワーアップキットで大々的に新要素として実装する」といった事が多く、
無印は買わずにPK待ちという扱いを受ける事が多かったが、本作は発売された時点でいつもの不満点は概ね解消されており、久々に無印の時点で満足が出来る完成度を満たしている。
発売当初には上記のような問題点も見受けられたが早い段階でアップデートによって改善されており、今後の展望が望める状態になっていた。
余談
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近年の作品と同じく様々なコラボをしており、『銀河英雄伝説』や『ライザのアトリエ』『パリピ孔明』等の武将をダウンロード出来た。
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これらの特殊版権キャラは設定にかかわらず処断する事が出来ないという仕様となっている。
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本作は久々に無印の時点で満足が出来る完成度を満たしているのだが、これは純粋に過去作の反省点を活かしたというよりは、同社の無双シリーズにおけるとある事件が尾を引いている可能性が高いと言われている。
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『戦国無双4』発売と同年の2014年にカプコンが「無双シリーズの"MIX JOY"がカプコンの所有する技術の特許に抵触している」としてコーエーテクモゲームスを訴える事件が発生。
裁判は泥沼化の様相を呈した末、2017年12月に"MIX JOY"の特許に対するカプコンの訴えを退ける判決が下ったものの、カプコンが控訴。2019年9月の控訴審ではカプコンが勝訴し、最高裁でコーエーの上告が棄却されたためカプコンのほぼ完全勝訴が確定した。
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これにより『戦国無双4』以降、無双シリーズにおける『猛将伝』は完全に独立した別作品やDLC拡張に形を変えて事実上廃止に追い込まれた経緯があるため、コーエー側も神経質になっている可能性がある。
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『信長の野望』及び『三國志』シリーズにおけるパワーアップキットは『猛将伝』などとは異なり追加要素のみ遊べる単独ディスク方式ではないため、裁判の影響は受けないと思われるが、追加要素を前提としたいわゆる「コーエー商法」は以前からファンの間でも批判があったため、『猛将伝』の廃止を機にSLG系でもPKを廃止すべきだというユーザーも居る。
三國志14パワーアップキット
【さんごくしふぉーてぃーんぱわーあっぷきっと】
三國志14withパワーアップキット
【さんごくしふぉーてぃーんうぃずぱわーあっぷきっと】
ジャンル
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歴史シミュレーションゲーム
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対応機種
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Windows 8.1/10 Nintendo Switch プレイステーション4
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メディア
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【Win】DVD-ROM 【Switch】ゲームカード 【PS4】BD-ROM
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発売・開発元
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コーエーテクモゲームス
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発売日
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2020年12月10日
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定価(各税別)
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PK 【Win】6,830円 【PS4】5,830円 with PK 【Win】11,880円 【Switch/PS4】10,780円
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判定
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なし
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ポイント
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結局発売されたPK商法 発売当時はバグまみれ 編集に代わる新たな目玉の不在 異民族が『12』以来の登場 無印プレイヤーに厳しい金額設定
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三國志シリーズ
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概要(PK)
今作はPK(パワーアップキット)の従来要素をDLCに、PKでは遊び方が変わるものを出すという触れ込みであったが、システムに大きな変更は見られなかった。
ユーザーの信頼を裏切ったものの無印の評判は良く、僅かながら期待する声もあったのだが…。
追加要素(PK)
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新シナリオやイベントの追加
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襄陽の戦い直前である「二袁の思惑」「赤壁の戦い」「関羽包囲網」といった事象の直前のシナリオが追加。後期シナリオも238年の「遼東征討」が追加されている。
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追加仮装シナリオの「英雄乱舞」は「英雄集結」の亜種だが劉備三兄弟や孫堅と2人の子がそれぞれ独立勢力になるなどかなり細分化されており、呂布軍以外は武将が15人で構成されている。人数バランスの良さに加えて、「ジジイ軍団の黄忠軍」「病弱な曹仲軍」「公式コメントに匙を投げられた夏侯楙軍」「曹操が君主でなく関羽配下」などネタ要素も多く好評である。
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無印ではスルーされた「孫堅の戦死」や「赤壁の戦い」の歴史イベントも実装され、従来の作品に近い内容となった。
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「偽報」の追加
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部隊を罠に誘い寄せるといった「偽報」の要素が追加。これによって偽報に関する個性も増えている。
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無印の問題点であった「外交」での同盟延長が出来るようになった
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人材コマンド「仲介」の追加
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武将同士に婚姻や義兄弟を設定出来るようになった
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CPUは使用しないプレイヤー専用の機能
評価点(PK)
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新モード「戦記制覇」の追加。
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決められた勢力ごとのクリア条件をクリアしていくショートシナリオ。短時間でクリア出来、クリア時の成績に応じてスコアが残せるのでスコアアタックをする楽しみもある。
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シナリオごとに専用イベントが用意され発生させる事でスコアが良くなったり、不利になったりする。
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イベントが発生すると不利になる事が多いのでスルーしてクリアする事も可能だが、したとしてもスコアは望めなくなる。
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またDLCでシリーズ初となる三国時代の最終期である呉討伐のシナリオが初めて登場した。
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ゲームをセーブする事でも減点対象となるのでリロードによるズルも通用しづらい。
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「地の利」の追加
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州の過半数(2都市以下の州は全域)を支配する事で州に応じた「地の利」が得られる。各種補正や他国との「交易」が含まれる。
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補正は移動の短縮、自動占領範囲の拡大、登用成功率上昇など、内政や人事に関わるものが中心。
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異民族・交易は特に要素として大きいのでそれぞれ単独項目を参照。
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異民族の追加。
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『IX』のようにマップに異民族の拠点が追加され、桁違いの兵力と異民族武将が控えている。
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特定の都市を支配することで外交する事ができ、友好イベントを発生させると戦争で使える武将を派遣してもらえる。
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また本拠を武力で制圧することで異民族の武将が配下になる。
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異民族武将は内政に参加できないといった制限があるものの専用の非常に強力な戦法を持っていたり、個性の面で優遇されていたり、率いられる兵数が20000になっており捕縛もされないと戦力としては非常に頼りになる
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「交易」の追加
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上述の「地の利」の一種であり、交易相手として「ローマ帝国」「パルティア王国」「クシャーナ朝」「インド」が登場し、それぞれ司隷・雍州・益州・交州の「地の利」を得ることで交流可能。武将と物資を派遣する事で交流し、友好度を高める事で様々な名品や新技術、戦法を取得できる。また、武将にも大きく経験が入るので育成にも向く。
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名品は各地域に1種類あり、それぞれ統率・武力・知力・政治の各能力+10に加えて、前者2つは退却確実・後者2つは寿命延長の効果を兼ね備えている。強力であるうえ、寿命延長の医書が手に入りづらい蜀と呉が寿命延長の名品を手に入れやすくなっているためバランスも取れている。
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戦法の書は「クシャーナ朝」で得られる阿修羅陣が特に強力であり、特に北伐以降のシナリオの蜀では知力上昇の名品と併せて交易のない無印版とは比較にならないほど闘いやすくなる。
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ただし、交易相手同士で争いを始める事もあり、敵対勢力に肩入れすると友好度が下がってしまう事もある。
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新個性、新戦法の追加
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負傷兵がいなくなりやすい「粗暴」等の個性が追加。一部の武将の個性がさし変わっている。
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新戦法も追加。于禁や曹丕、馬騰などに固有の戦法が増えた。
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アップデートにより、制限はあるものの新個性を自作する事も出来るようになった。
問題点(PK)
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武将編集のデータが読み込めない(現在は改善)
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発売当初は編集した武将データが読み込めず強制的にリセットされていた。
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かなり深刻で能力を弄っただけでも読み込めなくなることがあった。
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強気すぎる値段設定。
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無印から買っていたプレイヤーは安い方のPS版でも無印で9,680円、PKは5,830円、シーズンパスは1と2があり各4,950円であり、全て買い揃えるのに2万5000円以上必要と相当割高である。
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withPKであれば10,780円となりPKが実質1,100円であるため、シーズンパスと合わせても20000円少々で済むがそれでも割高には変わらない。
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シーズンパス2は戦記制覇モードおよび本編の追加シナリオと旧作の顔CGがメインとなり、機能としては「新名品作成機能」ぐらいしか増えずに旨味が少ないため、シナリオに拘りがなければ買わないという選択肢も取れる。
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withPKの差額1100円自体はDLCシナリオのDLCが315円であることを考えれば、PK追加シナリオ5本を目当てで買うだけでも元が取れる額である。
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PKの追加内容が薄い。
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武将編集、ゲーム中編集や超級難易度、新名品登録といった従来のPKに含まれていた要素がシーズンパスに含まれてしまったために未収録。
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特に編集機能はPKが初登場した「IV」にすらあったので実質有料化されたものとなる。
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また、無印と共通する問題点となるが、本作の武将編集はマスクデータ(義理、野望、好戦等)の編集が不可というかゆい所に手が届かない。これも初出となる「IV」ですら可能であった。
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マスクデータの存在は編集機能の販売後にアップデートによって公になったが、編集機能のアップデートは行われなかったので、見えるのにいじれないという中途半端な状態が放置されたままとなっている。
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新武将のマスクデータがいじれないので、ライバルとして強力な新武将の勢力を作成してもAIが弱く、大した脅威にならずに消えていくことも珍しくない。
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無印の時点で既に武将数が多かったこともあり、史実武将は追加されていない。
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異民族はOFFにすることができない。
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プレイヤーに関しては使いたくなければ使わなければいいだけの話だが、異民族武将はCOM勢力も使用してくる。味方で頼りになると言うことは敵に回すと厄介ということでもある。
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特に弱小勢力で耐えている際に大軍で攻め込まれると消耗させられるうえに捕縛登用もできず鬱陶しいことこの上ない。二虎競食で関係を悪化させれば去らせられるが、弱小勢力だと計略が満足に使える保証もない。
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またある意味、下記の項目にも繋がっている。
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晋陽バグ
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都市が晋陽のみ、もしくは+幽州の都市のみで異民族の鮮卑の武将がいる勢力を降伏勧告すると、降伏したはずの勢力の武将が全て在野になるというバグが発生する。最終アップデートでも修正されることはなかった。
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晋陽は山に囲まれている上に隅っこの都市なので勧告で済ませたくなる都市であり、バグの影響は大きい。
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二虎競食で関係を悪化させるのが一般的な回避方法である。
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偽報の問題
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CPUがあまり使用してこないので空気と化している。
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「偽報」に関する個性が多数追加された事やそれに伴う変更で既に個性枠が一杯の武将は一部の個性が差し替えられる形になってしまった。
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特に龐統は「人脈(登用・探索にかかる日数が半減)」が「察知(周辺の部隊の「偽報」状態を解消)」に変更されたため、明確に弱体化させられる憂き目にあってしまった。
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後期シナリオの問題点
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早期特典として無印の「249年正始政変」よりもさらに進んだ「263年 蜀漢の滅亡」が追加されたが、そのままの状態ではプレイが困難
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末期武将が追加されていない上に、武将が167人しかおらず、不自然死の仕様から蜀の武将の大半が没年を迎えており、すぐに死んでいくなど通常プレイが著しく困難となっている。
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『晋書』日本語訳の公開が進んでおり、新武将作成も難しくないので、この時代の人物を大量に登録するのも手。なお、新武将枠150人を全部使っても、全盛期の武将数には及ばなくなっている。
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また、新武将に設定できる生年は250年が下限なので、あまりゆっくりしているわけにも行かない。
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武将不足を補うための「古武将」も開始時点で全員が94歳となっているため、仕様の壁を越えられずに6年ほどで死んでしまうのも痛いところ。コラボ武将ならば不死身なので使用可能だが…
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結果、武将不足で内政が行き届かずに賊が跋扈し、戦闘は異民族武将を雇い入れる事となりがち。
ある意味五胡十六国時代を先どっている
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この状況では「後方の都市を放置してでも前線に武将を集中させる」ことができるプレイヤーが圧倒的に有利であり、滅亡寸前であるはずの蜀でもあっさり統一できてしまう。作業感に耐えられればだが……。
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コンピュータに任せると、寿命の関係で、高確率で蜀呉の武将が死に絶え、魏が生き残り勝利となる。
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無料アップデートで追加された内容の説明不足
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詳細不明な設定値や組み合わせの可否が解りづらい「新個性編集」
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アップデートで追加されたが内容が一切不明な「異民族大進軍」
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発生条件や効果の不明な「大統合」
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上記の3つの追加機能は公式からの詳細な説明も無く、マニュアルにも追加されなかった
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特に「異民族大進軍」に関しては、ゲーム内のどの要素を指しているのかすら不明
総評(PK)
内容的には良作であった無印を引き継いでおり、新個性エディタやイベントやシナリオの増加と言った改良点もあるが。
シーズンパスによって従来のPKであって当然だった機能が省かれてしまい、有料化した上にシーズンパスを導入したとしても機能が不完全という新たな問題点まで生む結果となってしまった。
なまじ無印の時点で満足の出来る完成度に達しているため無印から購入したプレイヤーはさらにフルプライスの金額を払って購入するほどとは言い切れないところであり、実際に購入を見送る無印プレイヤーも少なからず見られた。
withPKでの差額1100円であれば問題のない値段であるため、三國志14自体を今から始めるプレイヤーはwithPK版で問題ないだろう。
念を押すが間違ってもバラバラに買わないように。
最終更新:2024年10月12日 09:09