忍者じゃじゃ丸 銀河大作戦
【にんじゃじゃじゃまるぎんがだいさくせん】
ジャンル
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2Dアクション
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対応機種
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ファミリーコンピュータ
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発売・開発元
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ジャレコ
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発売日
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1991年3月29日
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定価
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5,800円
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プレイ人数
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1~2人
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判定
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ゲームバランスが不安定
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ポイント
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シリーズ随一のさくら姫活躍作品 一定水準の作りではあるが尖った仕様が人を選ぶ
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忍者くんシリーズ
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概要
ファミコン後期に発売された忍者じゃじゃ丸シリーズ。
本作ではなんと地球を飛び出し宇宙が舞台。更にさくら姫がプレイアブルキャラクターとなった。
なお、パッケージでは「忍者じゃじゃ丸 ★銀河大作戦★」と星記号つきのタイトルだが、ここでは『忍者じゃじゃ丸 コレクション』公式サイトでの表記に拠った。
各ワールド4ステージ制の全7ワールド(=7つの星)で、各ワールドの最終ステージはボス戦となっている。
ワープはないが、ゲームオーバー時はそのワールドの初めからコンティニューが可能。
物語
1000年に一度の流星群が見られる日、星見をしていたじゃじゃ丸とさくら姫は、山の向こうに宇宙船が落ちるのを目撃する。
恐る恐る入ってみると、船内のモニターが「銀河大王」なる人物からの通信を受信した。
「ドン・デストロイダという奴がわしの大事な星を恐怖の機械惑星に変えてしまったのだ! そして、平和だった宇宙がもう、無茶苦茶なのだ!」
「何だか面白そうだぜ!」――じゃじゃ丸たちはその宇宙船に乗り、銀河の星々へと向かうのだった。
評価点
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ポップな世界観
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従来の忍者くん・忍者じゃじゃ丸くんシリーズのシックで和風妖怪絵巻的なイメージからうって変わり、青空や明度の高い背景が画面の大部分を占めるようになった。
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この傾向はおいらじゃじゃ丸! 世界大冒険でも見られるが、ファミコンでカラーつきになったことで、より広い層、特に低年齢層も親しみやすいものになった。
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戦うさくら姫が見られるようになった
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さらわれる対象だったさくら姫がじゃじゃ丸くん並の体術を身につけ操作できるようになった。
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ダッシュ性能はじゃじゃ丸くんが上だが、ジャンプ性能はさくら姫の方が高い。
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本作は1Pであってもキャラ選択制で好きな方を選べるが、基本的にジャンプ力の必要な場面が多く、
忍者ゲーで男女主人公がいる場合の常もあり、
結構な割合のプレイヤーがさくら姫を選んだものと思われる。
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豊富なアイテム
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シリーズの特徴でもある様々な忍術は健在。「三日月型のブーメランを投げる」「ダメージを1度だけ無効化するコスモスーツを着る」「一定時間すべての敵を動かなくする」など、忍術かどうか議論の余地のあるものも含まれるが、基本的に攻略に役立つ術であり、ゲームプレイの魅力になっている。
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更に一定時間、シリーズおなじみの「ガマパックン」に化ける術も存在。ジャンプ移動しかできなくなるが、口元に敵が触れると捕食し1UPする。
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なお機械の星でのガマパックンなので「メカガマパックン」が正式名称。
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忍者くんシリーズからはかなりのイメージチェンジが図られている本作だが、こうしたところで従来作をしっかり踏襲しているところはニクい。
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縦横無尽に拡がるステージ構成
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本作のステージは横一直線ばかりではなく、縦方向に長かったり、或いは縦横に大きく作られたものがあり、ファミコン後期らしい広がりを感じさせると共に、各ステージを個性的なものにしている。
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妙にクセになる音楽
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ジャレコサウンドを支えた高芝泰彦(じゃんきーたかしば)・鈴木康行両氏が手掛けたBGMは、本作の知名度の低さもあり広く知られているものではないが、ファミコン後期らしく凝った作りとなっている。
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世界観に合わせたためかかなりポップなテクノサウンドが中心となっており、忍者らしさ・和風らしさは全くないが、キャッチーで耳に残りやすい曲が多い。
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一方、4-3、6-1で用いられる「ステージBGM 5」は、アップテンポながら暗く気味の悪いメロディラインに拍子感をつかませない難解な構成と、その4-3のステージの雰囲気があいまって一部プレイヤーのトラウマ曲となっている。
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とはいえ一番のトラウマ曲は間違いなくタイムアップ前に鳴り続ける『ハリーアップ』だが……(後述)
賛否両論点
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変わり種のダッシュシステム
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本作にはいわゆる「Bダッシュ」は存在せず、Bボタンを押しっぱなしにしている間、その場で高速足踏みをするような動きを行う。
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これが助走の扱いであり、その助走状態で十字キーとAボタンを入力しながらBボタンを離すと入力方向に向けて急激な加速を伴いながら飛び出す、といった挙動になっている。これを利用して高所や底なし穴を飛び越えて進む。
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バネを押さえ込んで離した際に飛び上がるようなイメージ、と言えるだろうか。
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また、一定時間以上Bボタンを押し続けるとその場で前転し続けるようになる。この状態には攻撃判定があり敵に体当たりして倒せるようになるが、有効時間は短く、回転終了時に逆にこちらが1ミスとなることもしばしば。
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更にBボタンを押し続けると息切れして数秒の間行動不能となる。
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とにもかくにも独特な仕様であり、操作タイミングを誤ると狙ったアクションがとれず不発しやすい(特にAボタンのタイミングが合わず少し跳ねる程度で終わることが多い)。
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これはこれで面白味のある操作体系なのだが、2Dアクションならではのダッシュジャンプを求めるシーンが全編通して非常に多いので「普通にダッシュさせてくれよ」という気持ちになりがち。
問題点
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最初から難度高めのステージ群
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本ゲームは1-1~7-4まで全28ステージがあるが、最初の1ワールド目から2Dアクションとしては難しめの地形・敵配置がそこかしこに現れる。
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例えば1-1の後半には早くも画面横幅半分に及ぶ大穴が2連続で出現するし、1-3では落ちたら即死の感電地帯を横幅1~2キャラ分のリフトを伝っていく場面がある。
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まあ発売年を鑑みればユーザ層もある程度ゲーム慣れしているはず、とフォローすることもできなくはない。
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と思いきや中盤から終盤にかけては、ほぼ何も考えず落下するだけの捨て駒のようなステージもあり、いまいちバランスが悪い。
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凶悪難度ステージ2-3
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そして、数多くのプレイヤーが散っていったのもまさかの序盤「2-3」である。
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2-3は左右に壁がそびえたつ超縦長ステージ。この壁に向けて十字キーを入力しつつAボタンを連打するとよじのぼることができるが、Aボタンを押していない間は壁にくっついたままずり落ちてしまう。
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そうして壁をのぼりながら、途中、ステージ中央の足場やリフトなどに壁蹴りの要領で飛び移っていくのが基本的な進行だが、Aボタン未入力時の降下が意外に早く、壁蹴りのタイミングをつかみにくい。
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更に絶妙に離れた足場、ちょうどジャンプを阻む位置にある頭上のブロック、敵の妨害などがあり、操作ミスによる飛び移り失敗と落下を発生させやすい。
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一度失敗してしまうと底(スタート地点)まで落ちてしまいがちなため、プレイヤーの心を高い確実性を以て折ってくる。
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加えて、タイムが一定未満になるとステージBGMの代わりに前述の「ハリーアップ」が鳴るが、これが「テレレレレー!」という半音階の下降が延々繰り返されるというもの。ただでさえ「ミスればふりだし」の精密操作を要求されるなか、「テレレレレー! テレレレレー! テレレレレー!」と狂った目覚まし時計のような音が鳴り続けるため、まともな操作などできるはずのない地獄となる。
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この以降にもいくつか難しいステージは無くもないが、2-3以上に残機を消費するステージはなく、適切な難易度曲線とは言い難い。
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ポーズをかけたまま離れられない
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本作はスタートボタンを「押しっぱなし」にすることで、その押している間だけゲーム全体の動きが静止するというかなり謎めいた仕様となっている。残りタイムもあるため、1人プレイで始めたが最後、エンディングまでトイレに行くことは不可能となる。
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ゴールシンボルの不統一性
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2Dアクションにおいてゴールシンボルは「マリオと言えば旗」「カービィと言えば星飾りのついた扉」のように何らか統一された意匠が施されているものだが、本作の場合は以下の通り、なぜか統一されていない。
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基本的には「宙に浮かぶ謎の円」に触れるとゴールになるステージが多い
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ステージ最奥の床に触れたら突然床が消え失せ、落下してゴール
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ステージ最奥に2×2マスの暗闇がありそこに触れると画面全体が大きく波打つように歪み、ゴール
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ステージ最奥に2×2マスの正方形をでたらめに組み合わせたようなバググラフィック一歩手前の物体があり、それに触れるとプレイヤーキャラクターが音もなく画面外へ急上昇してゴール
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ステージ最奥に上矢印が大量に書かれた縦長の帯があり、そこに触れると急上昇すると思いきや画面全体が大きく左にずれこみながら歪んでゴール
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特にゴール専用のファンファーレや音楽もなく、直後に何事もなく次のステージが始まるため、正常に動作しているのに不具合でも起きたかように見える。
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また、中~終盤にかけては何の意図もなく地形をただデコボコにしただけのステージが頻繁に現れるようになるため、上記も含め、ゲーム全体を通して雑な印象を受けやすい。
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あまりに弱いボスたち
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ここまで記載した通りステージ道中はやけに難しい一方、ボス戦は基本的に「4回踏んだら倒せる」うえ無敵時間がないため、出現直後に頭上で飛び跳ねているだけで撃破可能となる。
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ラスボスも例外ではない。恐怖の機械惑星を作った技術力は直接対決には全く活かされなかったようだ。
総評
決して駄作ではなく凝った所も多い楽しい作品ではあるが、少々アクションゲームとしての仕様の独特さや難易度のいびつさが目立っており、どことなくまとまりのない印象を与える不思議なゲームと言える。
ただ、ダッシュジャンプを除けば操作のレスポンスは良好であり、通常プレイで遭遇する不具合もほぼ無いため、変わり種のアクションを求める向きには楽しめることだろう。
2019年以降は『忍者じゃじゃ丸 コレクション』に移植収録されているので、ファミコン実機がなくとも手軽にプレイ可能である。
余談
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なお本作は、縦横に大きなステージ、ワールドごとにコンセプトの異なる世界観、ボスを倒すとその星の王が助け出されお礼を言う、といった点から、『スーパーマリオブラザーズ3』との類似を指摘されることがある。背景色に明るい橙色が使われている点など、ゲームの端々から影響を想像することができるので、それもひとつの楽しみ方になるかもしれない。
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ちなみに4回踏んだら死ぬラスボスのドン・デストロイダは語尾に「どん!」がつく上、「おまえをみていると、すこしずつ優しい気持ちが広がっていくみたいだ…どん!」「よ~く考えてみると、みんなにはずいぶん悪いことをしたどん。」と即改心する。
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いくらなんでも、惑星を7つもいいように作り変えた極悪人がそんなオチでいいのだろうか。
移植
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Switch/PS4『忍者じゃじゃ丸 コレクション』(Switch版2019年12月12日/PS4版2021年5月20日、シティコネクション)
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本作を含めたFC版5作品の移植に加え、新作を追加。詳細は該当ページを参照。
最終更新:2022年09月06日 11:36