VS.エキサイトバイク
【ぶいえすえきさいとばいく】
ジャンル
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レース
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対応機種
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ファミリーコンピュータ ディスクシステム
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発売元
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任天堂
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開発元
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パックスソフトニカ
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発売日 ()は書換開始日
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1988年12月9日(1988年12月23日)
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プレイ人数
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1~2人
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定価
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2,600円
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配信
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バーチャルコンソール 【WiiU】2015年9月16日/524円
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判定
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良作
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ポイント
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4年ぶりの新作で何もかもグレードアップ 白熱必至のVSモード 昭和最後の任天堂ソフト
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エキサイトバイクシリーズ エキサイトバイク / VS. / マリオバトル / 64 / ワールドレース
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概要
1984年末に発売されたモトクロスレースゲーム『エキサイトバイク』の続編。
厳密にはFC版発売後にアーケードで「VS.エキサイトバイク」のタイトルで逆移植されたものの更なる逆移植版にあたる。。
主だったアクションや、障害物の種類、特性は前作をそのまま引き継いでいる。
前作はタイムの概念しか無かったが、本作はスコアが盛り込まれ、またタイトルの通り2P対戦が可能になっている。
根本的なシステムについては前作から引き継がれているため、前作の項目を参照のこと。
変更点
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クリア圏内の順位は前作の3位以内から5位以内になった。
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もちろん、これはタイムで決められるので、この点は前作と大差ない部分ではある。ただ、後述のスコアに影響する。
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チャレンジレース(予選)とエキサイトバイク(本戦)が差別化。
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チャレンジレースは1人で行う(前作の「SELECTION A」方式)1周のタイムアタック。
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エキサイトバイクはライバルと走る(前作の「SELECTION B」方式)2周のタイムアタック。
前作同様水色の1台が高性能で紫の2台が低性能。
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前作はチャレンジレースは最初の1回のみで、次のコースではハナからエキサイトバイクだったが、本作は次のコースでもチャレンジレースから行う。
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ただし7コースのエンドレスに入ると、以降はエキサイトバイクのみを繰り返す。
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前作の5コース構成は7コース構成に変更された。
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最初から選べるコースは1~3のみ(前作は5通り全て選択可能だった)。
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途中でリタイアができるようになった。
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これにより5位以内に入るタイムをオーバーして、もはや敗退確定になった場合、残りを走る手間を省くことができる。
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ただし、走行することでスコアを獲得できるので残りを完走する事は決して無駄ではない。
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スコアの概念が取り入れられた。
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順位ごとにボーナスポイントが貰える。
1位・10000点 2位・6000点 3位・4000点 4位・2000点 5位・1000点(チャレンジレース時はそれぞれ半分)
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それに伴い、トラックを飛び越えるボーナスステージも追加された。
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最初は10万点、以降は5万点ずつ(15万→20万→25万→…)で「エキストラバイク(所謂エクステンド)」が貰え、これがあると6位以下やリタイアしてもゲームオーバーにならずリトライできる。
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コース2から始めた場合30000点、コース3から始めた場合は60000点持った状態でスタート。
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2Pモードの追加。画面を上下に分けて対戦ができる(1Pが下、2Pが上)。
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デフォルトで3パターンのコースが用意されているが、下記のエディットで作ったコースを使うことも可能。
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1・3・5・7・9とそれぞれ勝負回数が決められ、その過半数ぶん先勝した方が勝ちとなる。
これとは別口にスタート前に、何周するか周回数を決めることができる。最初は1Pで2回目以降は前回負けた側が決定する権利が与えられる。
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先にゴールした方が勝ちだが、まる1周の差がつくと、その場で勝敗が決する。
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引分け(同着)の場合は選び直しとなる。
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ゲームのモードも「BATTLE」と「FREE」から選ぶことができる。
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「FREE」はお互いに当り判定がない。
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「BATTLE」はお互いに当り判定がある。
1P時のエキサイトバイク(本戦)時と異なり、両者がぶつかると後ろにいる側が転倒することになる(少しでも前にいればビクともしない)。両者が並んでいる状態でぶつかった場合は、どちらも転倒せず弾き合うだけになる。
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エディットモードも大幅に進化した。
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ディスクの特性を活かしてエディット面のセーブができる。
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障害物のコードは前作そのままだが、それぞれにアイコンが付いたのでコードを記憶しなくてもその場で分かる。
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非常に操作がしやすく、前進もバックもでき、置き直しや削除などが容易で前作よりもやりやすくなった。
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セーブもロードも不要でその場で手軽に走行テストができる。
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BGMはオリジナルのFC版及び移植元のアーケード版から刷新され、新しいタイトルBGMやレース中のBGMが新規に用意された。
評価点
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元々完成度の高かったゲームだったが、それが更にグレードアップした。
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前作は2位と3位は実質同じようなもの(1位のみ実質ハイスコアに値する最速タイム)だったが、スコアの概念が取り入れられたことで2位~5位それぞれの順位にも価値が発生するようになった。
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ボーナスステージは王道なレースコースとは全く違った面白さがある。
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単純にジャンプ台でトラックを飛び越えるだけでなく、中には敢えて抑え気味に飛んで、トラックの上のジャンプ台を利用しなければならないケースもあり、ただやみくもに高く遠く飛べばいいという単調さも無い。
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エディットに関しても、データレコーダが不要でディスク自身に保存ができ、更にエディットのツールも非常に使いやすくなっている。
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自由度が高く白熱の対戦モード。
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純粋にスピードのみを競い合うこともでき、またお互いぶつかり合いもアリなバトルは非常に盛り上がる。
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このモードは1Pよりも、転倒時の復帰などがスムーズで、スピーディーな対戦を実現している。
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軽快なBGMが追加された。
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前作はエンジン音のみだったが、軽快なBGMが1Pにせよ対戦にせよ盛り上げてくれる。
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やたらうるさかったターボからオーバーヒート時の効果音が改善された。
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オーバーヒート直前では警報音だけでなく電気らしき放電のエフェクトも発生するようになった。
問題点
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人間vsCPUの対戦ができない。
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対戦は非常に盛り上がるものではあるが、他に人間がいないと対戦ができないという点で痒い所に手が届いていない(2年後発売される『ドクターマリオ』でもそうであるように当時は珍しくなかったが)。
総評
元々完成度の高かったゲーム性が更に進化しBGMが追加され、更に前作に非搭載だったことが惜しまれた対戦モードも完備。しかもその自由度も高いという非常にいい形に仕上がっている。
1人でプレイするモードでもステージが増加し、スコアが取り入れられ、真新しいボーナスゲームなども加わり、より一層ゲームとして中身の濃いものになった。
発売時期の不遇(後述)で、あまりスポットを浴びられなかったが、ゲーム自体は元々シンプルながら良質だったゲームが順当に発展したものであり、対戦ゲームとしても高水準で盛り上がる。また当時の他のゲームでは味わえないオリジナリティがある。
その後の展開
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『エキサイトバイク ぶんぶんマリオバトル』が1997年にスーパーファミコンのサテラビューで配信された。
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タイトルの通りマリオ系キャラクターが使われている。
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サテラビューそのものの普及率が極端に低かったせいで、ほとんど触れられなかった。
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正式なパッケージソフトの続編としてN64で『エキサイトバイク64』が2000年6月23日に発売された。
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Nintendo Switchの『ファミリーコンピュータ Nintendo Switch Online』にて2019年5月15日より本作が配信されている。
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なお、Switchでは前作『エキサイトバイク』も2018年9月19日より上記『Online』で、そしてアーケード版『VS.エキサイトバイク』も『エキサイトバイク』名義で2018年9月21日よりアーケードアーカイブスで配信されている。
余談
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本作は任天堂が昭和に発売した最後のソフトになった。
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10月発売の『スーパーマリオブラザーズ3』はビッグタイトルなのは言うまでもなく、注目度は春先の頃から非常に高く、発売後も長きにわたって売上ランキングのトップを独占した。そのため11月以降のソフトの大多数が霞んでしまい、本作も例外では無かった。
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そのためかソフト売上本数はやっとこ10万本弱程度、書換えを含めても20万本程度と今一つ伸びなかった。
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「ファミリーコンピュータMagazine」「ファミコン通信」等、主力ゲーム雑誌の裏表紙は任天堂のチラシ広告が使われていた。
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このような裏表紙の扱いは、基本的に次のソフト発売後まで掲載され続けるものである。
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上記の通り本作は任天堂としては1988年最後の発売で、以後任天堂は翌1989年4月後期の『ゲームボーイ本体』まで新規広告がなかったので、本来はその間最後に発売された本作の広告が使われるはずなのだが、1989年1月に入るとそれら雑誌の裏表紙は『スーパーマリオブラザーズ3』や『帰ってきたマリオブラザーズ』に奪われてしまった。こればかりはさすがマリオのネームバリューと言う他はない。
最終更新:2023年01月24日 13:30