スーパー野田ゲーMAKER
【すーぱーのだげーめーかー】
ジャンル
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ゲーム制作ツール
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対応機種
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Nintendo Switch
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メディア
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ダウンロード
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発売元
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吉本興業
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開発元
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カヤック BeXide
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発売日
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2024年12月19日
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定価
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2,000円(税込)
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レーティング
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CERO:A(全年齢対象)
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プレイ人数
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1~2人
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判定
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良作
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ポイント
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野田ゲーを作れるゲーム制作ソフト 豊富な素材の数々 意外と高い制作自由度 肝心の野田AIはポンコツ気味
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野田ゲーシリーズ
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概要
『スーパー野田ゲーPARTY』『スーパー野田ゲーWORLD』に続く、Switch野田ゲーの第3弾。
前作までがミニゲーム集であったのに対し、本作はゲーム制作ツールとなっている。
前作・前々作同様、クラウドファンディングで資金を集め、そのリターン品として、ゲームの素材も募集しており、出資者が作成した素材がゲーム内に登場する。
特徴
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大まかに「ゲームをつくる」モードと「ゲームをあそぶ」モードがある。
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ゲームをつくる
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「野田AI」を使用してゲームを作成するモード。
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野田AIの質問に答えるだけで、質問に沿った内容のゲームが自動的にできる。
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質問に答えるのが面倒なら、Xボタンで全てAIに任せることも可能。
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作成したゲームはエディットすることが可能で、グラフィックを差し替えたり、音楽を変えたりするなど、改造することができる。
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ゲームをあそぶ
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公式が発売前に作ったゲームや、他のユーザーが作ったゲームを遊べるモード。
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オススメの欄には、サンプルゲームとして、公式側が作成したゲームがいくつか収録されている。
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ここから、他の人が作成したゲームをダウンロードして、エディットで改造することもできる。
評価点
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豊富かつオリジナリティ溢れる素材の数々
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「野田ゲー」MAKERなのである意味当然ではあるが、野田クリスタルはもちろんのこと、デッカチャンなどの芸人を素材として好きなゲームを作れる。芸人好きやお笑いマニアにはたまらないだろう。
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そもそも、著名な実在人物を素材に組み込めるゲーム制作ソフト自体、非常に珍しい。本作が他のゲーム制作ソフトと一線を画す点であろう。
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『PARTY』『WORLD』から流用されている素材もいくつかあるため、素材自体の数も多い。
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「もも鉄」や「ボルダリング姉さん」といった、昔からの野田ゲーの素材も使用可能で、すゑひろがりず・おたけ・村上といった素材も収録されている。
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吉本興業の協力を得たことによって、吉本所属の芸人たちのイラストも使用することができる。イラスト自体はグッズの流用だが、M-1ファイナリストになったコンビや「千鳥」「FUJIWARA」などの、マヂカルラブリーよりも先輩の芸人も使えるのは嬉しいところ。
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また、前作までと同様、麒麟の川島明も出資しており、そのリターンとしてか、麒麟の川島の素材も多数収録されている。
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その他、「ドラゴン」や「UFO」「車」などの、普通にゲームに使いやすい素材も入っており、まともなゲームも作ることが可能。
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その一方で、織田信長やベートーヴェンなどの歴史上の偉人の画像も何故か入っている。使うかどうかは人それぞれだが、幅広いゲームが作れるポテンシャルがあるのは間違いない。
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制作自由度は高く、様々なジャンルのゲームを作ることができる
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エディットモードでは、様々な機能が用意されており、基本的にゲーム制作の自由度はかなり高い。
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アクションやシューティングゲームといったものはもちろんのこと、『スイカゲーム』のようなマージ系パズルやブロック崩しなども作ることができる。
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また、音ゲーやクイズのフォーマットも用意されており、例えばアクションやシューティングをしながら、同時に音ゲーやクイズを行うゲームも作れる。
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AIが自動でゲームを作ってくれるというコンセプト
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後述するように作られるゲームの出来は悪いが、「AIが勝手にゲームを作ってくれる」というコンセプトそのものは評価してもいい。
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ゲーム作りに全く慣れていない初心者でも、AIが作ったゲームを好きな画像に差し替えるだけで、それなりに楽しむことができる。
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地味に面白いサンプルゲーム
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開発側の人が作ったゲームや、発売前に先行プレイした人のゲームがサンプルゲームとして、公式がオススメしている作品がいくつがあるのだが、そのゲームの中に意外と面白いものが入っている。
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ランアンドジャンプゲームとしてしっかり作られている「フワちゃん遅刻物語」や、ローグライクなアクションとしてやり込みがいのある「オニオンクエストII」など。
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ゲーム制作ツールとしてはリーズナブルな価格
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CS機で展開されているゲーム制作ツールで定価2,000円はかなり安い。
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参考までに、同じくSwitchでリリースされているゲーム制作ツールと比較すると、『ナビつき! つくってわかる はじめてゲームプログラミング』や『プチコン4 SmileBASIC』が大体3,000円前後、『RPGツクールMV Trinity』や『RPG MAKER WITH』が8,000円超えのフルプライスなので、これらと比較すると本作が破格の値段設定であることがわかるだろう。
賛否両論点
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制作自由度に関する賛否両論点
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前述したようにゲーム制作の自由度は高めなのだが、自由度が高めなせいで、ゲーム制作に慣れていない初心者からすると、少々取っつきにくい。
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まず、野田ゲー自体がタレントゲーである性質上、ビギナーユーザーも少なくないため、ゲームにそこまで詳しくない人もいる。
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そういったビギナーユーザー向けに野田AIを用意しているものと思われるが、後述した問題点がある以上、残念ながらビギナーユーザーの期待に応えられているとは、少々言い難いのも事実。
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そして、ゲーム作りに慣れたユーザーにも完璧に応えられているかと言われるとそうでもない。
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特定の数値を上回る・下回ることを感知して分岐する機能(いわゆるIF文)がない。例えば、「ボスのHPが一定数以下なら、ボスがパワーアップする」みたいな内容を作ることが難しい。
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この手のゲーム制作ツールにありがちな変数・乱数と言った要素もない。特に乱数がないせいで、ランダム要素のあるゲームを作成するのが難しい。
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とはいえ、この手のゲーム制作ツールは、自由度を上げ過ぎると初心者が取っつきにくくなり、自由度を下げ過ぎると幅広いゲームが作れなくなってしまうので、塩梅が非常に難しいところではある。
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まとめると、「今ぐらいの自由度でちょうどいい」と見るか、「もっと自由が高い方が良かった」とするか、「もっとシンプルしてほしかった」と感じるかは、人それぞれと言える。
問題点
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野田AIによって作られるゲームの完成度が低い
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前述した通り、本作では野田AIを使用してゲームを制作するのだが、野田AIによって作られるゲームの出来はお世辞にもよくない。野田本人ですら「9割クソゲーができる」と公言するほど。
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クオリティーの高いゲームを作るなら、プレイヤーの発想力と技術力が求められる点に関しては、他のゲーム制作ツールと変わっていない。
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野田AIを介さないとゲームが作れない
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上記の問題点を上回る問題点として、「ゲームを1から作ることができない」という欠点が挙げられる。
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いわゆる白紙の状態のエリアから、好きなパーツを配置して作ることができない。本格的なゲームを作りたい人にとっては、面倒な仕様。
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また、「マップの広さ」や「ゲームジャンル」が後から変更できない点も問題点。これらは野田AIへの質問によって決まるため、例えばシューティングを作りたいのにジャンルがアクションになってしまった、というケースも起こりうる。
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とりわけマップの広さを自由に決められない点に関してはかなりの欠陥で、広いエリアを使いたいのに後から広げることができなかったり、1画面で充分なのに無駄に広いマップができてしまう…なんてことも。
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一応、野田AIの質問の中に「マップの広さ」に関する質問があるため、それに答えればある程度はマップの広さを決めることができるが、その工程自体が面倒な上に、必ずその質問が出るとは限らない。
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エディットモードの説明が不足気味
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まず、この手のゲーム制作ツールにありがちな、チュートリアルが存在しない。ゲーム作りに慣れていない人からすると、かなり不親切。
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一応、初めてエディットモードを起動したときに一通りの説明は表示されるし、機能ごとに+ボタンを押すことで機能説明が表示されるが、細かい仕様などは手探りで理解する必要がある。
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他にも、「新規作成したパーツの種類ごとに、大きさ・当たり判定などの挙動が異なる」「パラメータ変更の機能が一部しか動作しない」といった、バグなのか仕様なのかよくわからない現象もある。
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保存できるゲームの数が少ない
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保存リストの最大数は50と、一見十分に見えるが、実は自作したゲームとDLしたゲームの数が共有されており、他の人が作ったゲームをDLしながら、ゲームを作っていると、すぐに上限に達してしまう。
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音ゲー・クイズのフォーマットが扱いづらい
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音ゲーとクイズのフォーマットが用意されているのだが、改造自由度が低く、使い勝手が悪い。
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音ゲーはBGMごとに決まった配置のノーツが流れるのみで、ノーツの頻度やBGMの速度などを弄ることができず、ノーツの画像を変更することしかできない。
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クイズは既に用意された問題が難易度ごとにランダムで出題されるだけで、出題内容を自由に選ぶことができない。
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そのため、上記2点を活用したゲームはやや作りづらくなっている。
総評
大量に用意された野田ゲー素材の数々の他に、豊富な数の芸人素材が収録されているため、様々なタレントゲーを作成できる点に関しては、他の追随を許さない独自性を持っている。
一方、野田AIを使って簡単にゲームを作ることができるというコンセプト自体は決して悪いものではないのだが、その野田AIによって作られるゲームの精度は悪く、結局のところまともなゲームを作るには、プレイヤーの技術力が必要なのは、少々残念なところ。
価格は定価2,000円とゲーム制作ソフトの中ではリーズナブルなので、総合的には価格以上の満足度を得られる良作と言えるだろう。
余談
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本作開発前のクラウドファンディングでフワちゃんが100万円を出資して、サンプルゲームを作ってもらえることは事前に公表していたのだが、本作発売数ヶ月前にフワちゃんがSNSで炎上し、活動自粛となる事件が発生した。
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そのためユーザーの中には「フワちゃんのゲームがちゃんと入っているかどうか」を心配する声もあったが、きちんとフワちゃんのゲームが収録されており、フワちゃんの写真を素材として使用することが可能となっている。
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これについては、野田曰く「100万円出資してもらったから出せる(=クラウドファンディングのリターンとして登場しているので、出さない方が問題となる)」としている。
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ただし炎上事件の余波が全くなかったわけではなく、当初フワちゃんのゲームに登場予定だったフワちゃんと親交の深いタレントたちが未収録となってしまった。仮にフワちゃんが炎上を起こしてなければ、それらもゲーム制作の素材として使用可能だったと思うと残念でならない。
最終更新:2025年03月25日 17:42