マリア崇敬

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聖母マリアに三位一体の神との仲介者 (Mediatrix)として取り次ぎを願うことなどを中核としたカトリック教会の教義における宗教概念。トマス・アクィナスを始めとするスコラ哲学者が使い始めた用語。 外典ヤコブ原福音書にみられるように、母マリアを特別視する思想は2世紀初めには成立していたと思われる。 プロテスタントでは、聖書に根拠がないとして、マリア崇敬を一切認めない。 マリア個人については[[聖母マリア]]を参照されたい。 *マリア崇敬のさきがけ 1世紀前後の地中海世界では、文化の中心はエジプトのアレクサンドリアにあった。ユダヤ教も初期のキリスト教もここが神学の一つの中心地となっていた。ところがこの地はエジプトの伝統的な信仰「イシス信仰」の地だった。この信仰はヘレニズム時代からギリシャに受容されてギリシャ文化の地に根付いていた。イシス神とは、我が子ホルス(王権のシンボル)を抱いているイシスは母なるもののシンボルであり、また彼女は死後の再生の神オシリスの妻であり、それ以上にオシリスを生き返らせたのも彼女である。このように、イシスは「再生」への導きの女神となっている。人々がこの「母なるもの」「再生への導き」をキリスト教に求めた時、そこに「イエスの母マリア」を見出すことは不思議ではない。 ギリシャ・ローマ世界においても、彼らは「ゼウス・ジュピター」という男神を主神にはしていたが、日常的には「かまどの女神、ヘスティア・ヴェスタ」を中心に生活の祭儀を行っており、「女神アテネ・ミネルヴァ」を守護神として都市を守り、「女神ヘラ、ユーノ」に母性を見て民族の繁栄を祈っていた。こうした信仰がマリア崇敬につながったと考えられる。 このような大地母神信仰は各地にあったと考えられる。マリア崇敬が生まれたきっかけは、各地における大地母神信仰に結びついたことが要因と言える。 *カトリックにおけるマリア崇敬 カトリック教会における公式なマリア崇敬の教えは、第2バチカン公会議の『典礼憲章』および『教会憲章』などに記載されている。『典礼憲章』では、第5章103において、カトリック教会が1年を通じて「神の母聖マリアを特別な愛情を込めて敬う」ものとしている。理由はイエス・キリストの救いの働きとマリアが、解くことが出来ない絆で結びついているためとしている。『教会憲章』では、「神の恵みにより、キリストの諸神秘に関わった聖なる母として全ての天使と人間の上に高められたマリアが、特別な崇敬をもって教会から讃えられる事は当然である。」と記されている。 マリア崇敬のポイントは次の三点である。 -マリアの生涯を通して示された神の恵みをたたえること(教会憲章第55-59条) -マリアの取り次ぎを願うこと(教会憲章第60-62条) -マリアの模範にならって生きること(教会憲章第63-65条) #image(https://img.atwikiimg.com/www65.atwiki.jp/trinity_kristo/attach/594/376/mary-is-not-the-mother-of-god_waifu2x_art_noise2_scale_tta_1.png) マリア崇敬は、聖母マリアの「無原罪の御宿り」や「聖母の被昇天」と共に、唯一・聖・公・使徒承伝を軸とするカトリック教会の特徴の一つに挙げられる。カトリック教会では、聖母マリアを「祈りと神への取次ぎ」をもってキリスト者を助ける存在、神の母・教会の母として、崇敬の念を持ち、神への取り成しを願う対象としている。聖母マリアに対する崇敬は、[[三位一体]]の神に向けられる「礼拝」(Latrīa)よりは下位であるが、他の「天使や諸聖人に対する崇敬」(Dulia)と本質的に異なる唯一の高い崇敬「特別崇敬」(Hyperdulia)と扱われている。この信心についてマリア像が教会にあることや、聖母マリアへ祈ることから、しばしば偶像崇拝であるとの批判がある。 それに対してカトリック教会は「礼拝を捧げているものではなく、神への取次ぎを願い祈る対象である」「崇拝ではなく崇敬であり、信仰の対象ではない」と主張している。 なお、カトリック教会の、「神の母」としてのマリアに関する伝承は次のようなものである。 -マリアの誕生まで --ヨアキムの神殿からの追放 --アンナへのお告げ --荒野で祈るヨアキム --ヨアキムの夢 --黄金門での出会い -マリアの誕生から結婚まで --マリアの誕生 --マリアを神殿への奉納 --夫ヨセフの選定 --マリアの結婚 --結婚の行進 カトリック教会はこれを聖伝によるものとしているが、この内容は外典福音書で2世紀前半に書かれたとされる外典[[ヤコブによる原福音書]]に一致する。
聖母マリアに[[三位一体]]の神との仲介者 (Mediatrix)として取り次ぎを願うことなどを中核としたカトリック教会の教義における宗教概念。トマス・アクィナスを始めとするスコラ哲学者が使い始めた用語。 外典ヤコブ原福音書にみられるように、母マリアを特別視する思想は2世紀初めには成立していたと思われる。 [[プロテスタント]]では、聖書に根拠がないとして、マリア崇敬を一切認めない。 マリア個人については[[聖母マリア]]を参照されたい。 *マリア崇敬のさきがけ 1世紀前後の地中海世界では、文化の中心はエジプトのアレクサンドリアにあった。ユダヤ教も初期の[[キリスト教]]もここが神学の一つの中心地となっていた。ところがこの地はエジプトの伝統的な信仰「イシス信仰」の地だった。この信仰はヘレニズム時代からギリシャに受容されてギリシャ文化の地に根付いていた。イシス神とは、我が子ホルス(王権のシンボル)を抱いているイシスは母なるもののシンボルであり、また彼女は死後の再生の神オシリスの妻であり、それ以上にオシリスを生き返らせたのも彼女である。このように、イシスは「再生」への導きの女神となっている。人々がこの「母なるもの」「再生への導き」をキリスト教に求めた時、そこに「[[イエスの母マリア]]」を見出すことは不思議ではない。 ギリシャ・ローマ世界においても、彼らは「ゼウス・ジュピター」という男神を主神にはしていたが、日常的には「かまどの女神、ヘスティア・ヴェスタ」を中心に生活の祭儀を行っており、「女神アテネ・ミネルヴァ」を守護神として都市を守り、「女神ヘラ、ユーノ」に母性を見て民族の繁栄を祈っていた。こうした信仰がマリア崇敬につながったと考えられる。 このような大地母神信仰は各地にあったと考えられる。マリア崇敬が生まれたきっかけは、各地における大地母神信仰に結びついたことが要因と言える。 *カトリックにおけるマリア崇敬 カトリック教会における公式なマリア崇敬の教えは、第2バチカン公会議の『典礼憲章』および『教会憲章』などに記載されている。『典礼憲章』では、第5章103において、カトリック教会が1年を通じて「神の母聖マリアを特別な愛情を込めて敬う」ものとしている。理由は[[イエス・キリスト]]の救いの働きとマリアが、解くことが出来ない絆で結びついているためとしている。『教会憲章』では、「神の恵みにより、キリストの諸神秘に関わった聖なる母として全ての天使と人間の上に高められたマリアが、特別な崇敬をもって教会から讃えられる事は当然である。」と記されている。 マリア崇敬のポイントは次の三点である。 -マリアの生涯を通して示された神の恵みをたたえること(教会憲章第55-59条) -マリアの取り次ぎを願うこと(教会憲章第60-62条) -マリアの模範にならって生きること(教会憲章第63-65条) #image(https://img.atwikiimg.com/www65.atwiki.jp/trinity_kristo/attach/594/376/mary-is-not-the-mother-of-god_waifu2x_art_noise2_scale_tta_1.png) マリア崇敬は、聖母マリアの「[[無原罪の御宿り]]」や「聖母の被昇天」と共に、唯一・聖・公・使徒承伝を軸とするカトリック教会の特徴の一つに挙げられる。カトリック教会では、聖母マリアを「祈りと神への取次ぎ」をもってキリスト者を助ける存在、神の母・教会の母として、崇敬の念を持ち、神への取り成しを願う対象としている。聖母マリアに対する崇敬は、[[三位一体]]の神に向けられる「礼拝」(Latrīa)よりは下位であるが、他の「天使や諸聖人に対する崇敬」(Dulia)と本質的に異なる唯一の高い崇敬「特別崇敬」(Hyperdulia)と扱われている。この信心についてマリア像が教会にあることや、聖母マリアへ祈ることから、しばしば偶像崇拝であるとの批判がある。 それに対してカトリック教会は「礼拝を捧げているものではなく、神への取次ぎを願い祈る対象である」「崇拝ではなく崇敬であり、信仰の対象ではない」と主張している。 なお、カトリック教会の、「神の母」としてのマリアに関する伝承は次のようなものである。 -マリアの誕生まで --ヨアキムの神殿からの追放 --アンナへのお告げ --荒野で祈るヨアキム --ヨアキムの夢 --黄金門での出会い -マリアの誕生から結婚まで --マリアの誕生 --マリアを神殿への奉納 --夫ヨセフの選定 --マリアの結婚 --結婚の行進 カトリック教会はこれを聖伝によるものとしているが、この内容は[[外典福音書]]で2世紀前半に書かれたとされる外典[[ヤコブによる原福音書]]に一致する。

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