写本(新約聖書)

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新約聖書はギリシャ語で書かれており、したがってここではギリシャ語写本に限定して述べる。

様式による写本の分類


一般的には以下の4種類に分類される。

パピルス写本

エジプト原産の多年草であるパピルスから作成された書写材に書かれたもの。年代的にはもっとも古く、安価ながら保存的には問題があり、大半は断片で残されたもので、数も多くは内。

大文字写本

皮紙に書かれたもののうち、大文字書体(とくにアンシャル体)で書かれたもので、代表的なものにシナイ写本やバチカン写本がある。パピルス写本に次いで重要視される写本である。

小文字写本

皮紙に書かれたもののうち、小文字書体で書かれたもので、9世紀以降に出現するもので、大文字と比べると効率的に書くことが出来、キリスト教の拡大に伴い、その数も圧倒的に多くなるが、時代的には新しいものとなる。

聖書日課

皮紙に書かれたもののうち、修道院等で定期的に読まれる聖書箇所を抜書きしてまとめたものでで、7世紀以降のものが、比較的多数現存している。その性質上、新約文書全体を含むものではないが、新約本文再構成のための資料として活用できると考えられている。

内容による写本の分類

『新約聖書』のギリシア語テキストは多くの写字生によって書き写され、後世に伝わった。写本は古代では巻物(スクロール)の形をとっていたが、やがてコデックス(冊子本)の形式が主流となった。『新約聖書』のギリシア語テキストと一言で言っても多くの異同を含むものが多数あり、それら研究・分類するといくつかのタイプに分けることができる。このようなタイプを「型」といい、ウェストコットとホートによれば新約聖書のギリシャ語写本には4つの型があるという。

アレクサンドリア型

現代ではもっとも原文に忠実であると考えられているのがこのアレクサンドリア型である。アレクサンドリア型ではほとんどの文章が簡潔で飾り気がない。特に有名なものとしてバチカン写本、シナイ写本、アレクサンドリア写本、ボードマー・パピルスなどがある。新約聖書の底本でも比較的新しいウェストコット・ホートや最新のネストレ・アーラントはアレクサンドリア型に基づいている。

西方型

西方型は文章がより装飾的で長くなっていることに特徴がある。たとえば西方型の『使徒言行録』は他のタイプのものと比べると一割近く長い。ベザ写本、クラロモンタヌス写本、ワシントン写本、古ラテン語聖書などがそれにあたり、マルキオン、タティアノス、エイレナイオス、テルトゥリアヌス、キュプリアノスらの新約聖書の引用もこの型である。

カイサリア型

カイサリア型はアレクサンドリア型と西方型の混合であるとみられる。チェスター・ビーティー・パピルスやエウセビオス、エルサレムのキュリロスの引用に見られる。

ビザンティン型

中世以降に、アンシアル書体で小文字で書かれたもので、護教的な後代の付加が多い。混合型ともよばれ、アレクサンドリア写本がこれにあたる。エラスムスが『新約聖書』のギリシア語批判版テキストである「テクストゥス・レセプトゥス」を作成する際にこれを用いたため、そこから英訳した欽定訳聖書にも大きな影響を与えることになった。

代表的なアレクサンドリア型ギリシャ語写本

新約聖書の写本には完全なものは残っていない。しかし、3つの同時期の写本が相補的に内容を補っている。これらはいずれもアレクサンドリア型に含まれる写本である。
これらは七十人訳旧約聖書も含み、マソラ本文(アレッポ写本、レニングラード写本)との差がしばしば問題となる。



詳しい解説は、モジャロス氏の「My聖書研究デスク」における「新約聖書の写本の分類」を参照されたい。