*名称 ヘブライ名"קהלת"(qōheleṯ, "集会者、教師、伝道者")は、この著者が「コヘレト」であることによる。 ギリシャ語名"Ἐκκλησιαστής"(Ekklēsiastēs、伝道者)は、ヘブライ語名のギリシャ語訳による。 ラテン語名"Liber Ecclesiastes"はギリシャ語名の音写による。 英語名"Ecclesiastes"はラテン語名による。 口語訳・新改訳での和名「伝道者の書」は、ヘブライ語名の和訳による。 新共同訳での和名「コヘレトの言葉」は、著者が「コヘレト」による書であることによる。 *著者 冒頭には「ダビデの子、コヘレト」とあるが、ダビデの子であればソロモン王であり、コヘレトではない。 ところでコヘレトとは、ヘブライ語の「コーヘレス」という語であり、これをギリシャ語七十人訳で「エクレシアステース」と訳して以来、エクレシアすなわち集会で語る者というふうに解され、ドイツ語訳の聖書ではルター以来 Prediger(説教者)と訳されてきたし、日本語訳の聖書でも「伝道者」と訳されてきた。しかし最近では、コーヘレスをヘブライ語のカーハール(集会)からきた普通名詞と見る従来の解釈はすたれ、ほとんどの学者がこれを固有名詞あるいはペンネームと見て、原語のままコーヘレスと呼んでいる。(この記事中では以下「コヘレト」で統一する。) 恐らく、冒頭の一節は、構成の人間がコヘレトとソロモン王を同一視して追加したものと考えられる。 高等批評では、ヘレニズム時代の単語が用いられていることから、ヘブライの詩人が前3-2世紀に書いたと考えられている。 *内容 『コヘレトの言葉』は[[旧約聖書]]の全文書の中においても、取り分け名言の宝庫とされている。同書からの引用や同書由来の慣用句は、ユダヤ教文化、及び復興ヘブライ語文化の評価を高め、かけがえのないものにしている。 『コヘレトの言葉』は[[知恵文学]]に属しており、コヘレトを介して、宗教、民族を超えた普遍的な疑問(人生の空しさ、諸行無常、「国破れて山河有り」といった国や社会について)の哲学的考察が試みられている。同書において提示される世界観は、旧約聖書の中で異色である。そのため、[[キリスト教]]やユダヤ教を信仰していない異教徒や無宗教者、さらに不可知論者などにも、大きな違和感を与えることが少なく、比較的馴染みやすい。 *構成 全12章 -プロローグ(1:2-11)-自然と人間についての観察と判断 -知恵の探究(1:12-2章)-事業の空しいことをソロモンに擬して語る http://james.3zoku.com/kojintekina.com/monthly/monthly71202.html