艦隊(ONE PIECE)

登録日:2021/01/23 Sat 23:09:17
更新日:2024/03/03 Sun 01:10:05
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どんなに強い奴でも“数”という力には敵わぬ!

ここでは、漫画『ONE PIECE』に登場する艦隊及び船(艦船)を紹介する。

●目次

【概要】

ONE PIECE世界は一応大航海時代辺りをモデルにしているのだが、現実の地球と比べて圧倒的な海洋面積を誇り、島単位で国や街が存在するが、航空機や飛行船の類はを除いて全く存在しないため、島から島への移動や冒険は船で行われている。

そのため戦闘は海上となることが多く、加えて世の中はひとつなぎの大秘宝(ワンピース)を求めて海賊たちが海に犇めく大海賊時代
海賊達は野望を同じくする他の海賊たちと競い合い、勝ち残っていかなくては生き残ることすらできず、
海賊を追う海軍もまた多様化する海賊に対抗しなければ平和を守ることができないという状態にある。

しかも『偉大なる航路(グランドライン)』ともなると敵以前に異常気象を始めとした常識外れな事象が当たり前のように起こるため、必然的に航海の難易度も上がり、船の精度も航海に影響してくることから、海賊・海軍双方で複数の船団を率いて戦闘や航海などを行うことがある。
作中では専ら海軍が海賊を捕らえるために艦隊を組織しているが、一部の海賊達も艦隊を率いている。

……なのだが、作中での戦闘で艦隊戦が描かれるのは極端に少ない
これは劇中の冒険は基本的に個性を舞台にしていることと、敵船に近い距離ならあっさり乗り込めるルフィ達が強すぎるため。
長距離砲が登場した976話掲載の週刊少年ジャンプ2020年19号巻末コメントにて、作者尾田栄一郎は「海戦を描きたいが大砲より強いやつらが乗っててイメージ通りいかなくて困る」と語っている。
作中で海戦がガッツリ描かれたのはアラバスタ王国出港時の黒檻部隊との戦闘とエニエス・ロビー脱出時の海軍艦隊との戦闘、ウォーターセブン出港時のガープとの戦闘、ワノ国編での百獣海賊団との海戦、東の海編のアニオリでのネルソン艦隊との戦闘の5回。


【作中世界の船】

作中で用いられている船は殆どが現実世界と同じような帆船であり、大きさも一人で操舵可能な小型船からビルに匹敵する大きさの巨大船まで様々である。
帆船のためその殆どが木造船だが、中には海軍の軍艦のように装甲の一部に鋼鉄や外輪を使用している船もあり、軍艦のような量産型以外の船は例え同型の船でも微妙にデザインが異なっている。
砲撃などを受けると当然損傷するが、作中ではよほどサイズ差がない限り普通の人間よりも巨大な大砲や巨人族を乗せても沈むことはないくらい丈夫。
ただし黒ひげ海賊団が初期の船として使用していた巨大な筏は流石に巨人族を乗せての航海は困難だった模様。

作中世界では時代柄海賊が非常に多く、「船に海賊旗(ドクロ)を掲げれば「海賊船」、海軍旗(カモメ)を掲げれば「海軍船」」という認識があり、サボは漁船で出航時に海賊旗を掲げていたことで天竜人に狙撃され、首領クリークは海軍旗を掲げて海軍に成り済まし安心している街を襲ったりしていた。


◆風力以外で進む船

動力も帆で風を受けるスタイルが主流だが、石炭や悪魔の実の能力を動力源とする外輪船などがいくつか実用化されている。
またサウザンドサニー号は基本的に風力で航行するが、装備を展開すればコーラを原料とした外輪船になり、海軍の軍艦も船底に海楼石を敷き詰め外輪を備えることで大型海王類の巣窟でもある無風地帯の凪の帯(カームベルト)を航行可能としている模様。

風力以外で動くことが可能な、名前が判明している船は以下。
厳密に船と言えるかは微妙だが、風力以外の動力で動けるハートの海賊団のポーラータング号など潜水艦などが劇中いくつか確認されている。
悪魔の実の能力を応用することで風力に頼らない移動を可能にした船も偉大なる航路ではそれなりに多い。それでも偉大なる航路の海王類や異常気象には苦戦しているケースもある。

  • フール号
動力:?
バロックワークス所有人工降雨船。動いている場面はないが、外輪らしきものが確認できる。ダンスパウダーを用いて密かにアラバスタ王国首都にのみ雨を降らせていた。
白猟のスモーカーによって拿捕され、海軍本部に運ばれた。

  • サラマンダー号
動力:石炭
劇場版『デッドエンドの冒険』に登場した、“将軍”ガスパーデが乗る蒸気船
1コマだけのフール号を除くと原作に先駆けて本格登場した外輪船となる。

  • ビローアバイク
動力:モクモクの実(自然系悪魔の実
白猟のスモーカーが乗る、厳密には船ではなく水陸両用大型バイク。
足を煙に変えてバイクの動力を高速回転させて動かすことで走行可能。
アラバスタ王国ではこのバイクで船にも乗り込み、ダンスパウダーをばら撒いていたバロックワークスの船フール号などを拿捕した。

  • ストライカー
動力:メラメラの実(自然系悪魔の実
ポートガス・D・エースマーシャル・D・ティーチ追跡時に使用していた一人乗りの小型ボート。
一応帆は付いているが、彼の足から放出される炎を動力として動いている。
エースはこのボートで偉大なる航路を新世界から逆走する形で航海していた

  • 知略天然丸
動力:ドルドルの実(超人系悪魔の実
Mr.3の船。ドルドルの実で生み出す蝋の力を動力とする。
劇中でもリトルガーデンからアラバスタ王国まで移動し、その後もキューカ島にまで辿り着いている。

  • 方舟『マクシム』
動力:ゴロゴロの実(自然系悪魔の実)・噴風貝(予備)
神・エネルが「限りない大地」到達のために独自に設計し、スカイピアの神隊を幽閉し強制労働させる事で建造したエネル専用の巨大飛行船
最大の特徴はその動力で、なんとエネル自身がゴロゴロの実の能力で生み出す電気エネルギーを動力源として多数の巨大プロペラを用いて飛行しており、その推力は洞窟程度の岩盤ならば強引に突き破って浮上可能で、尚かつ宇宙空間まで到達できる程強力。
また船体の側面にはエネルがビルカから集めた200個の「噴風貝」が取り付けられており、仮に内部機械が壊れてプロペラが機能停止しても一時的に浮遊させることができる。
扉絵シリーズでは、エネルの故郷ビルカの起源はどうやら月にあったことが明かされているが、この超技術もビルカの遺産が元になっているのだろうか。

  • 海列車
動力:石炭
ウォーターセブンの伝説の船大工トムとその弟子が10年の歳月を費やして完成させた「蒸気船」。
一見蒸気機関車にしか見えないが、実際は地面に固定されずに海に浮かぶレールの上を走るれっきとした船である。
海列車建造計画が公表された際には波によるレールの損傷や海王類の襲撃が危惧されたが、レールは水面に浮かんでいるだけのため波にのまれることもなく、線路には列車が通過すると海王類の嫌う不協和音を流す仕組みが施され、大抵の荒波にはビクともせず危険な「偉大なる航路」を安全に航行できるようになっており、線路のある島限定だが、記録指針を持たない人でも他の島へ行けるようになっている。
ただし毎年ウォーターセブンを襲う規格外の高潮「アクア・ラグナ」に対してはその規模故に運行には危険が伴うため、その期間中は運行停止となる。
作中では当初1号機の「パッフィング・トム」と、1号機完成以前の失敗作「ロケットマン」の2台が登場したが、新世界編までの2年間でガレーラカンパニーのパウリーら棟梁達が中心となって新たに2号機「パッフィング・アイス」を建造している。
また映画オリジナルではあるが、『ONE PIECE FILM Z』『ONE PIECE STAMPEDE』と2回も別の場所で登場している。

  • パフューム遊蛇号
動力:毒蛇「遊蛇(ユダ)
九蛇海賊団の本船。
猛毒を持つ巨大な毒海蛇「遊蛇」2匹を手懐け、マーガレットら九蛇海賊団が乗る船を引っ張らせて移動している。
無風地帯のカームベルトの影響を受けず、海王類も遊蛇の猛毒を恐れて船に近づかない。

  • 金獅子海賊団海賊船
動力:フワフワの実(超人系悪魔の実
金獅子のシキが自身のフワフワの実の能力で島を浮かせて海賊船として使用していた
荒波の被害に遭うことはないが、空を飛ぶ関係でサイクロンといった暴風を伴う嵐には滅法弱いため、シキは専属の航海士・気象予報士による研究チームを組織している。

  • イッショウの船
動力:ズシズシの実(超人系悪魔の実
世界徴兵により海軍本部大将となった藤虎は、能力により自分以外のものに重力をかけて重くしたり、反重力をかけて浮かせたり、横向きの重力で横に移動させたりすることが可能。
これにより自分が乗る軍艦を空に浮かせて海流に左右されず自在に移動が可能。
ただし藤虎本人が盲目のため、動かす方向を決めるには部下達のサポートも必要。そのため使用する機会は少なめ。

◆木造以外・特殊な方法で建造された船

  • ウォーターセブン
偉大なる航路前半にある水上都市
「水の都」と呼ばれる造船業が盛んな島で、ロジャー海賊団の海賊船「オーロ・ジャクソン号」や上記の海列車が建造された他、大昔には史上最悪最強の戦艦・古代兵器プルトンが建造されている
現時点ではまだ普通の水上都市で船ではないのだが、市長のアイスバーグによって島ごと船にして海に浮かべる方法が計画されている。
というのも、ウォーターセブンは大昔は一つの島の上に存在した街だったのだが、島全体が地盤沈下により水没し続けており、現在の町並みはかつて水没した建物の上にさらに建造物を載せた構造となっている。
加えて規格外の高潮「アクア・ラグナ」が毎年押し寄せるなど水害に悩まされ続けているという背景がある*1
ログが溜まる期間は1週間で、次の島は魚人島を指している。

偉大なる航路(グランドライン)前半の「魔の三角海域(フロリアントライアングル)」を彷徨う(元)王下七武海ゲッコー・モリア一味の旗艦。
彼が偉大なる航路に突入する以前に溜まり場としていた西の海(ウエストブルー)」の村一つを丸ごと人工島として移設した「世界一巨大な海賊船」。多少小さめとはいえ、アイスバーグの「島ごと船にして海に浮かべる方法」を実現させた存在
人工島中心には巨大な帆と舵が備え付けられており、島をぐるりと囲む巨大な城壁がプカプカと浮いており、迷い込んだ船を逃がさない口を模した城門も存在する。
土地は磁場を持たない西の海の土がベースなため、記録指針(ログポース)にログが溜まることは無い。
このサイズでよくリヴァースマウンテンや魚人島を越えられたものである。

  • スパアイランド号
スリラーバーク編後のアニメオリジナルエピソード382・383話に登場。
「魔の三角地帯」近海で運営している、世界政府公認のスパ・リゾート船。
開業以来、毎年100億ベリーの売上げを誇る。
50種類以上のプールや温泉、カジノや高級レストランもある豪華施設だが、中心にある煙突は巨大な大砲になっている。
支配人ドランが悪人だったこともあり、ルフィ達の活躍で破壊され沈められた。多少不憫。

  • グローセアデ号
アニメスペシャル『ONE PIECE“3D2Y”エースの死を越えて!ルフィ仲間との誓い』に登場したワールド海賊団の超巨大海賊船。
船体上部は島のように見えるがスリラーバークと異なり人工島ではなく完全な船であり、潜水艦でもある。
巨大砲台が備え付けてあり、ワールドの能力で破壊力が強化され、砲弾一発で島一つを破壊する程の威力を持つ。
元々はかつて海賊団の規模が大きくなったために新しく船を作ることとなった際に自由の象徴として設計され、ワールドがインペルダウンに投獄されていた30年の歳月をかけて建造された。
なお、潜水艦にした理由も無駄な戦いを避けるためであり、巨大砲台もワールドの能力を知っている者への威嚇のために作られたものである。

  • グラン・テゾーロ
劇場版『FILM GOLD』に登場した“黄金帝”ギルド・テゾーロが所有する世界最大のエンターテインメント船上都市。
全長10kmでほぼ全てが純金でできているというとんでもなく巨大な黄金船。
船そのものが一つの独立国家として機能しており、巨大な海ガメ・ギガントタートルを動力とし、天候や海流に影響されることなく世界中の海を移動することが出来る。
船自体が独自のルールで成り立っている巨大な街であると同時に、非武装地帯として世界政府に公認された独立国家となっており、政府すら手が出せない「絶対聖域」。
様々なアトラクション施設が揃っているため、海賊はおろか海軍や天竜人が訪れている世界最大のエンターテイメントシティとして世間に知られているが、常に移動しているため、テゾーロのビブルカードに頼らなければ辿り着けない。


【海賊艦隊】

海賊によって組織された艦隊及び船団。
ひとつなぎの大秘宝を求めて海賊となったはいいが、いざ偉大なる航路に出てもそこで待ち受けるのは三大勢力こと「海軍」「王下七武海」そして「四皇」。
そこいらの有象無象では明日生きている保証すらない。

特に偉大なる航路後半「新世界」に君臨する海賊の皇帝・四皇は大規模船団を組織できるほどの規模を誇っている。
海賊たちは「四皇の傘下に入る」か「挑み続ける」のどちらかを選ばなくてはならない環境が待っている。

お互いに利のある目的を達成するために結成された「海賊同盟」との違いは、「傘下と親分」といった明確な上下関係が存在する点である。
作中では主に「海賊団本体と傘下の海賊による艦隊」と「数百人規模の海賊団が本船の他に複数の船を所有し、幹部達を責任者とすることで組織した艦隊」に大別される。
規模が大きいためか、トップは「船長」ではなく「提督」「総督」と呼ばれることが多い。

麦わら大船団

ドレスローザ編にてドンキホーテ・ドフラミンゴ率いるドンキホーテファミリーとの戦いでモンキー・D・ルフィと共闘した者達と彼らの率いる兵団(美しき海賊団・バルトクラブ・八宝水軍・XXXジム格闘連合・トンタッタ兵団・新生巨兵海賊団・ヨンタマリア大船団)により構成された総勢約5600人・総船数70隻の大船団 *2

なお、大頭となるルフィはこの大船団を公認しておらず、傘下入りを希望した者達が勝手に船団結成を宣言しているだけである。
これは「自由」であることを好むルフィが大海賊団のトップとなることを「窮屈」と考えているからで、傘下達もそれに理解を示している。
しかし、傘下達は自分の自由を突き通すルフィに対して「それなら自分達の自由も認められるはず」という理屈から傘下としてルフィに勝手に忠誠を誓い、結果ルフィの意に反して大船団結成となった。

ただし、ルフィは大船団や大頭という形式を認めないだけであって、仲間や友達になる事は認めている。
そのため「おれは手を借りたい時に呼ぶから、お前らも助けて欲しい時におれを頼れ」と形式に拘らず仲間として認める発言をしている。
ちなみに結成時の所属メンバーには人間以外の様々な種族が入り混じっている。

更にバルトロメオを始めとした構成員の勝手な喧伝により、世界政府にはルフィが正式に率いているものと見られ、仮称だが「五皇」という前代未聞の勢力図の結成の一因となった。
さらに後に大頭のルフィがカイドウを単騎で撃破、他のメンバーも百獣海賊団の主要メンバーの撃破、元王下七武海ジンベエというビッグネームの加入と彼らの存在から、ルフィが正式に四皇に認定、これに伴い彼らも四皇の傘下の扱いになった。
また、傘下の海賊団には通し番号があるが、これはくじ引きで決められたものであり、番号による優劣は存在しない。

クリーク海賊艦隊

作中最初に登場した海賊艦隊。
首領クリークが率いる「東の海(イーストブルー)」の中で「最強最悪」との呼び声高い海賊団で、その規模は本船を筆頭に海賊船50隻・総勢5000人を誇る。
数に関してはルフィ曰く『人数が多いだけ』との事であり、実際ルフィやサンジには一蹴されている。
しかしそれは単に二人が東の海でも抜きんでた実力者だったからであって、本船船員は荒くれ出身で並の海賊程度は寄せ付けない戦闘能力を持つ海上レストラン・バラティエの一般コック達を倒している。
本人達も「俺達をそこいらの海賊と一緒にすんじゃねぇ」と自負している通り、一般戦闘員さえも東の海の平均的な海賊の水準を超えているという事でもある。

しかしいかんせん脳筋集団であり、クリーク自身が自分以上の強さを受け入れず現実的に……というより自分の持つ『常識』の枠内で考え過ぎてしまう傾向がある。
そのため、いざ意気揚々と船団を率いて偉大なる航路に突入したはいいが、ロクな対策もしておらず*3、突入7日目にミホークの「暇潰し」による襲撃と大嵐のダブルパンチを食らって艦隊が壊滅状態となり、本船は命からがら東の海へ逃げ帰ってきた。

白ひげ海賊団

元・四皇の一角で、“白ひげ”エドワード・ニューゲート率いる海賊団。
総勢約1600名で、16の部隊に分かれており、船員の多さから船は本船のモビー・ディック以外にも複数ある。船はナガスクジラ系の造形。

更に、新世界の名だたる海賊達を傘下に置いており、頂上戦争に参加したのは47の海賊団、総勢5万の大兵力。
規模・戦力共に全海賊中最強、最大と言っても過言では無い。

金獅子海賊団


つまりその答えは「今ここで殺してくれ」
という意味だよな!!?

金獅子のシキ率いる海賊団。
大海賊時代以前は現在の四皇の立ち位置であり、ゴール・D・ロジャー率いるロジャー海賊団や白ひげ海賊団、ビッグ・マム海賊団と新世界の覇権を争っており、特に27年前に新世界のエッド・ウォー沖で勃発したロジャー海賊団との大抗争「エッド・ウォーの海戦」が有名。

戦力は不明だが、数十隻もの艦隊を率いており、劇場版『STRONG WORLD』と連動して放送されたアニオリにて、ゲスト海賊の船長が金獅子海賊団から「51人目の族長」として傘下に迎え入れたいと連絡を受けていたことから、最大で50の海賊団を従えていたことになる。
しかもクリークと異なりシキは過激な性格の割に計画実行のために20年をかけて準備をするなど凄まじく用意周到であるため、危険度はクリーク海賊団を遥かに凌ぐ。

ビッグ・マム海賊団

四皇の一角である“ビッグ・マム”シャーロット・リンリンが率いる海賊団。
年季の入った家族経営が特徴で、幹部クラスは全てリンリンの子供達が務めている。
なおリンリンは海賊歴60年以上の作中屈指の古参海賊であり、金獅子海賊団でも説明したように大海賊時代以前から覇権を争った四大勢力の一角だが、かつて鎬を削ったロジャー海賊団・白ひげ海賊団・金獅子海賊団が壊滅した今、このビッグ・マム海賊団こそが最古参の大海賊艦隊と言える。

特筆すべきはその規模で、支配するホールケーキアイランド周辺の海域は、34の島々からなる万国(トットランド)と呼ばれる世界政府には属さない独立国家を形成しており、国内はお菓子で出来た建造物が立ち並ぶ不思議な場所となっている。
しかも34の島々にはビッグ・マム海賊団の支部や小隊が置かれ、それとは別に子供達の多くがそれぞれの船や独自の部下を持っており、戦闘時には大規模な艦隊を編成して物量で敵を追い詰める。
作中では最高幹部である将星スナックを倒したウルージさん一味を撃破した*4他、リンリン暗殺を企てたルフィ一行をその圧倒的な物量で追い詰め、ルフィ達を逃がすまいと、モンドールタマゴ男爵の指揮の下で迅速に大艦隊を動員している。

血縁者がトップ層を務めることで強固な連帯を可能にする一方、大ボスのリンリンがあまりに恐ろしいため失態やミスを極端に忌避し、秘密裏に処理しようとしたり保身に走った結果、本来なら起こり得ない杜撰な報連相による食い違いがたまにキズ。
もっとも実力を伴ったうえで楯突くよっぽどの命知らずかバカでない限り大抵は何事もなく無力化されるし、多少逃したところで世界屈指の情報網や追手を免れる術はまずない。

また他の四皇の海賊団と異なり、魂があればリンリンのソルソルの実の能力でホーミーズ(魂を入れられて擬人化された動物や無機物)を増やせるため、彼女が生きている限りはほぼ無限に勢力を増やせることになる。

黒ひげ海賊団

マーシャル・D・ティーチが率いる海賊団。
当初は構成員が5人で海賊船も巨大な丸太を繋いだだけという小規模な海賊団だったが、マリンフォード頂上戦争の際にインペルダウンから最凶クラスの囚人4名と監獄を裏切った看守長を仲間に引き入れて勢力を拡大していった。

白ひげ海賊団残党との「落とし前戦争」に勝利後は白ひげに代わって四皇の一角となり、初期メンバーとインペルダウン合流組にそれぞれ船を持たせることで大規模船団を組織している。

百獣海賊団

四皇の一角である百獣のカイドウが率いる海賊団。

百獣の名の通りカイドウはじめ動物系の能力者が多いのが特徴で、カイドウの下に大看板と呼ばれる3人の最高幹部、その下に真打と呼ばれる幹部たちがいる。
中でも大看板は、“火災”、“疫災”、“旱害”とその強さと凶悪さから災害と称される屈指の実力者。
更にはドフラミンゴとの取引で武器や兵器と引き換えに購入した人工悪魔の実SMILE」を入手。
SMILEにより雑兵すらも『ギフターズ』と呼ばれる500人を越える動物系能力者の部隊として編成するなど、今なお戦力を拡大中。
ギフターズは腕が狼の顔になる等、身体の一部分だけ動物のものに変化させたりと従来の動物系能力者と異なる。
その凶暴性から、幹部クラス以上の懸賞金額は非常に高め。

ジャックが指揮する「マンモス号」の一団だけで10隻近い艦隊を編成していることから、船団も相当数存在すると思われる。
主要メンバーの大半が集う年に一度の大宴会「金色神楽(こんじきかぐら)」には、黒炭オロチの部下1万人を除くと約2万人が集った。
しかも拠点とするワノ国で兵器開発・増産に取り組んで船舶用の長距離砲を実用化し、海戦にて実力者でも手を出しづらい遠距離から攻撃できるよう武装化しているなど、海上戦闘において大きなアドバンテージを持つ。

意外にも劇中、モビー・ディック号、サーベル・オブ・ジーベック号、クイーン・ママ・シャンテ号のようなカイドウが遠征で愛用するきちんとした名前のついた旗艦は登場しなかった。
金色神楽前にルフィ達によって沈められたのかもしれないが。


【海軍の艦隊】


電伝虫が不調の際は艦隊旗艦よりの指令は()(りゅう)信号
シグナル・ブックのコード“044(マルヨンヨン)
すでにコードは各艦に伝えてある
すぐに信号用意の旗を掲げ各艦からの回答旗を確認しろ


キャプスタンそのまま回せ 合図に従って力を合わせろ
急ぐな ただし力は出せ 怠けるな 回せ 回せ 回せ


風力計による観測 風力4 和風 海面は波長くやや白波多し
各艦よりの報告 いずれの船首楼の見張り
視界は良好 天気急変の兆し無し


各砲手は集合し自分たちの砲を確認せよ
砲身に亀裂はないか
砲のタッチホールが詰まっていないか
車がきちんと回って動くか
くくりつけた砲弾の数が十分にあるか
すべて確認しろ!


海軍は海上戦において艦隊を編成していることがほとんどとなっている。
海軍が所有する軍艦は大まかに三種類ほどの大きさがあり、東西南北の海や偉大なる航路の前半部では砲門の少ない中型や小型の艦が使用され、本部や偉大なる航路後半の支部では艦の前方や側方に三連装砲を備えた大型艦が用いられる。
小・中型艦は主に尉官・佐官クラスの海兵が指揮し、大型艦は将官(主に中将)が指揮を執る。

また海軍本部所属の艦は凪の帯(カームベルト)を渡るために艦底に海楼石を敷き詰め、推進用外輪*5を持っている。
耐用年数を超えて廃棄された軍艦は、『軍艦バッグ』としてモンキー・D・ガープをはじめ彼の弟子であるクザンコビーら海兵がサンドバッグ代わりに覇気の使わず殴り続けるトレーニングに用いている。

映画『ONE PIECE FILM RED』では海軍本部からの出陣の際、電伝虫を介して戦闘に備えてチェックしあう姿が描かれた。この際、電伝虫を用いない旗旒信号による連携もチェックしている。
原作1090話では、電伝虫の盗聴を避ける意味合いもあってか、各艦から手ぶりなども通じて伝達し、迅速かつ静かに戦闘準備を整えている。

ネルソンの艦隊

アニメオリジナルエピソード東の海「千年竜」編に登場。
東の海の海軍第8支部提督ネルソン・ロイヤル率いる艦隊。ネルソンタッチは使わない。
ネルソン自身は大食漢の肥満体で戦闘力もそれ程高くはないのだが、艦隊による海戦の采配には優れており、艦隊を鉄の鎖でつなぎ、逃げ場のない包囲作戦でルフィ達を追い詰めた。
元ネタは恐らくイギリス海軍(ロイヤル・ネイビー)に実在した提督「ホレーショ・ネルソン」提督で、最期の海戦はトラファルガーの海戦だったり。

黒檻部隊

黒檻のヒナ率いる部隊。
艦隊を率いて敵船を囲う「黒檻部隊名物『黒ヤリの陣』」で退路を絶ちジワジワと着実に追い詰めるスタイルが特徴
…なのだが、肝心のが弱くてあっさり突破口を開かれてしまったこともある。

バスターコール

元帥及び大将のみ所有が許されている“ゴールデン電伝虫”を通じてのみ発令される無差別集中攻撃指令
なお、大将が役人に一時的にこの権利を譲渡することも可能。
「殲滅」というスタンスのため、たとえ発令者が攻撃目標にまだ残存していようが、無関係の市民が紛れていようが、お構いなしに攻撃は行われる。
一度発令されれば取り消しは不可能であり、たとえそれが誤ってボタンを押されたものであっても例外ではない。

発令されると、その場所に近いところにいる海軍本部中将5人と軍艦10隻という国家クラスの戦力(+報告者の大将一名)で集中砲火を行い、島は生存者のいない更地となる。
四皇相手ならともかく、普通の島ならばまず壊滅する戦力が召集されており、生き残るには10隻もの軍艦の砲撃を乗り越え、最悪の場合中将5人と大将一人を相手にしなければならないと、王下七武海クラスでもないと乗り越えられないレベルといっても過言でない。
しかし大将クラスとなると当人が“バスターコール以上の実力者”ということもあり、援軍というよりは確実に島を殲滅させるために利用されている。

原作内で使用された例は以下の3回(劇場版含め4回)

西の海の島・オハラで発生したバスターコール。
発令者は当時の海軍本部大将センゴクから権限を委譲されたCP9司令長官スパンダインで、参加した中将はクザンサカズキ他3名。
攻撃対象となった原因は海外に出ていた考古学者グループが海軍に捕縛されたことで世界政府により死罪と定めている「空白の100年」及び「歴史の本文(ポーネグリフ)」の調査・研究を行っていた証拠を発見されたためであり、その後オハラに上陸した部隊が島の図書館の地下で歴史の本文を発見したことが決定的な証拠となり、正式にバスターコールが発令された。
なお、「歴史の本文」の存在を知る程度なら罪に問われることはないものの、表向きは「世界を滅ぼせる古代兵器の復活が可能になる」という理由で禁止されている。
だが、歴史の真実を求めるオハラの学者達は内容を解読していたばかりか、「空白の100年間」、「かつて栄えた王国の名前」、「それを滅ぼした敵」についてかなり詳しいことまで調べ上げていた*6
当初考古学者ではない民間人は島外へ避難させる計画だったが、「万が一抹殺対象の学者が一人でも乗り込んで島外に脱出され『歴史の本文(ポーネグリフ)』の解読法が流出した場合、古代兵器が復活して今回の犠牲が全て無駄になりうる」というサカズキの判断より避難船に乗船していた島民全員も殲滅され島は焦土と化し滅び、オハラは翌年の地図からも抹消された。
この判断は世界最高権力「五老星」にとっても苦渋の決断だった様子で「オハラは知りすぎた…」と述べている。そしてこの出来事は「歴史の本文」を探ることに対する見せしめとなった。

学者達は決して古代兵器を復活させたかったわけではなくただ真実を求めていただけだったが、世界政府の情報操作により全て隠蔽されたため、世間では20年以上経過した今も「オハラの悪魔たち」と呼ばれ恐れられている。
なお、政府のやり方に反発して海軍を出奔した元中将ハグワール・D・サウロの意志をクザンが組んで逃がしたニコ・ロビンは唯一の生存者とされ、古代文字を読むことができたことから政府は(表向きは6隻もの軍艦を沈めた危険人物として)7900万ベリーという破格の懸賞金をかけ、血眼になって彼女を探し回った。
この見せしめに対し、戦いを嫌うモンキー・D・ドラゴンは自由を勝ち取るため革命軍結成を決意することとなる。

司法の島エニエス・ロビーで発生したバスターコール。
発令者は当時の海軍本部大将・青雉から権限を委譲されたCP9司令長官スパンダム
参加中将はドーベルマン、オニグモ、モモンガ、ストロベリー、ヤマカジ。
攻撃対象はエニエス・ロビー全域で、最終的に同島は全壊したが、クザンからニコ・ロビンを生きたまま確保する指令があったこと・正義の門を盾に使われたこと・本来の発令者である大将が不在だったことなどもあって、最終的に麦わらの一味の逃亡を許している。
オハラの時と違って、こちらはスパンダムが電伝虫と間違えてゴールデン電伝虫を押したことで誤って発令されたバスターコールである。

  • 未来島エッグヘッド
ペガパンクが空白の100年を研究していたためポルザリーノにより出されたもの。
前述までと違い大小合わせて100隻という現状最大規模のバスターコールである。が、この発動はサターン聖の私怨も混じっておりエッグヘッドの最重要確保対象*7以外全てを破壊する政府・海軍共に損失が確実に大き過ぎる事が目に見えるバスターコールである。
尚麦わらの一味がバスターコールを受けるのはこれで2回目(というかロビンに至っては3回目)。

  • 詳細不明(23年前)
2019年公開の映画『STAMPEDE』にて明かされた事例。
23年前に元ロジャー海賊団のダグラス・バレット一個人に対し使用されたことが分かっている。
恐らくバレットの手によって滅ぼされた島で発動され、バレットの猛反撃による甚大な被害を出しながらも、センゴクモンキー・D・ガープらが率いる大部隊による重厚な包囲と物量差で長期戦に持ち込んでジワジワと追い詰め、更にはバレットに恨みを持つ海賊も加勢し、ついには消耗の末に疲れ切ったバレットを打ち負かして彼をインペルダウンに投獄することに成功した。




【民間の艦隊】

作中世界では島単位で国(王国)が存在しているが*8、技術水準も相まって海外渡航は非常に困難となっている。
そのため多くの島・国では海外渡航ができるのは王族や貴族、一部の富豪等が海軍の護衛の下で行う場合に限られており、殆どの一般人は自国の軍や海軍に入隊するか海賊にでもならない限り生まれ育った島から出ることは滅多にない。

比較的国力のある国は独自に冒険団や商船団を組織しているが、偉大なる航路に存在する国が赤い土の大陸(レッドライン)を超えて新世界もしくは偉大なる航路前半部へ渡航する際には世界政府によるマリージョア横断の許可が必要で、東西南北の海にある国が偉大なる航路入りする際にも同じく世界政府の許可が必要となる*9

ヨンタマリア大船団

スタンディング王国所属の開拓船団。旗艦は巨人族すら軽々と載せる巨大船「ヨンタマリア号」で、中型船の「サンタマリア号」5隻、「ニタマリア号」50隻によって構成されている。
指揮官はオオロンブスだが海賊紛いの活動を行っていたため世間一般では犯罪者集団と見做されており、麦わら大船団への参加に伴い、王国から離脱して本物の海賊となった。

ジェルマ王国

北の海に存在する世界で唯一の国土を持たない海遊国家で、科学戦闘部隊ジェルマ66を率いる。
金銭などの支払いに応じて傭兵業を行っており、裏の世界では「戦争屋」とも呼ばれている。
また世界経済新聞に掲載された絵物語「海の戦士ソラ」に敵役として登場しており、世間一般では「空想上の悪の軍隊」だと認識されている。

王国は世界政府からは正式な加盟国として認められており、世界会議(レヴェリー)への参加も許可されている。
特定の国土こそ持たないものの、保有する水陸両用の巨大電伝虫の殻の上には人工の大地や建物が乗っており、複数を連結させることで「国」となる。
しかも巨大電伝虫はなんと赤い土の大陸(レッドライン)も越えられる驚異の機動力を誇る。
そのため、北の海(ノースブルー)のみならず、他の海の戦争にも参加している。
つまり国そのものが艦隊となっている

更にジェルマ66の兵隊は全員がクローン人間であり、「ヴィンスモーク家の命令に従順に従いそのためならば死も恐れない」ようプログラムされている。





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最終更新:2024年03月03日 01:10

*1 作中で発生したアクア・ラグナはこれまでとは比べ物にならない程の規模だったことも受け、アイスバーグが本格的に計画を立て始めた。

*2 キャベンディッシュの追っかけは除く。

*3 実際、記録指針を知っていたのかすら不明。

*4 実際は空島まで逃げ延びてたが。

*5 アニメ版417話などで確認可能。

*6 レイリー曰く「少々急ぎ過ぎたのかもしれん」

*7 内通者であるベガパンクの『猫』の欲、新型パシフィスタセラフィム、パンクレコード等

*8 小さな町や村しか存在しない島もある。

*9 但しこれは回想シーンで描かれた400年前のやり取りのため、現在でも同じなのかは不明。