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不思議のダンジョン 風来のシレンGB2 砂漠の魔城
【ふしぎのだんじょん ふうらいのしれんじーびーつー さばくのまじょう】
ジャンル
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ローグライクゲーム
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対応機種
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ゲームボーイカラー(専用)
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発売元
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チュンソフト
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メディア
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32MbitROMカートリッジ
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開発元
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チュンソフト、スティングレイ
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発売日
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2001年7月19日
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定価
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4,725円
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判定
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良作
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風来のシレンシリーズ関連作品リンク
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概要
携帯機では第二作目となる風来のシレン。砂漠の町イルパとその郊外にそびえ立つ魔城を舞台に、シレンの新たなる冒険が始まる。
シリーズ異質のシステムが多いながらも、そのバランスに準拠した内容になっている。
そこから出る相変わらずの中毒性や、GBとは思えない異例のボリュームから今でもファンは多い。
後にシリーズのお約束となる「風来救助隊」が初登場した作品でもある。
特徴・評価点
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「奈落の果て(もっと不思議)」だけにとどまらない、非常に個性的なクリア後ダンジョンの追加。
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「トンファンの穴」 いわゆる肉ダンジョン。後述する旅仲間「ンフー」の能力を活用しながら進んでいく。
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「天下一ワナ道会」 いわゆる罠ダンジョン。罠をアイテムとして持ち運んだり、別の罠に作り替えることができる。
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「鍛冶屋のかまど」 アイテムを持ち込めるが、1Fから強い敵が出てくるダンジョン。やまびこの盾など、ここでしか販売されていない装備品が多数ある。
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「壺の洞窟」 1Fから敵が強い上にアイテム持ち込みが不可能で、シレンのレベルも1から上がらないため、まっとうな戦いをせずにひたすら逃げ回るダンジョン。
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全体的な装備品の調整
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各武器・防具に、『シレン2』から登場した「印数」に加え、新たに「強化限界」が設けられた。
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過去作では原則どの装備も+99まで鍛えられたが、本作では装備ごとに設定された強化限界までしか鍛えることができなくなった。
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これにより、初期攻撃力は低いが印数と強化限界に優れた「マムルの剣」、強化限界は低いが初期防御力は高い「百鬼の盾」など、装備ごとに様々な個性が発揮されるようになった。
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特定の装備の組合せで発生する、「共鳴」システムが初登場。うまく使えば戦いが有利になる。
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「ドラゴンキラー」と「ドラゴンシールド」の組み合わせのような特定の装備品を同時に装備すると、特別なプラス効果が発生する。
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攻撃力や防御力が上がる以外にも、「最大HPが20増える」「ワナにかからなくなる」「腕輪が壊れなくなる」といった強力な効果が得られる組み合わせもある。
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「バトルカウンター」と「ちからの腕輪」など意外な組み合わせで共鳴が発生することもあり、共鳴相手を探すのも楽しめる。
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武器と盾だけでなく腕輪も合成できるようになった。今までより腕輪の実用性が上がった。
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「ハラヘラズの腕輪」と「回復の腕輪」を合成して「満腹度が減らなくなる上にHPが高速回復する」といったような、強力な性能の腕輪も作れる。
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腕輪は攻撃を受け続けるとヒビが入って壊れるが、前述のように腕輪を壊れなくする共鳴がある他、「金の腕輪」など元々壊れない腕輪も登場する。
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マイナス効果の腕輪は印数が多く、壊れる確率も低く設定されている。特に「ハラヘリの腕輪」は印数が多く、ハラヘラズを合成することでデメリットを打ち消せるため、不要品とされてきた旧作から一気に最強格の腕輪として躍り出た。
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装備品以外のアイテムも呪われるようになった。また、呪いの対となる祝福システムが初登場。
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装備品以外の呪われたアイテムは使用できなくなり、ぶつけてダメージ2以外の能力を発揮できなくなる。
そのため、呪いをかけてくるノロージョ系は今までの作品より難敵になった。
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一方、一時的だがアイテムの性能を大きく上げる祝福も登場。
特に巻物は祝福されていると複数回読めるので強力である。「復活草」も祝福すれば2回使えるようになった。
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桁違いの性能を誇る旅仲間「ンフー」。
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クリア後に仲間にできる彼は、肉を与えられることでその肉のモンスターの能力を使えるようになるのだが、肉を厳選するととんでもない性能になる。
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何よりシレンが該当モンスターの肉を食べるよりも遥かにノーコストで技を出せるのは大きい。トンファンの穴では厳選した特殊能力持ちのンフーが戦闘の要になる。
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クリア後の仲間であり、当然「もっと不思議」では使えないためバランスブレイカーにはならない。
むしろ、鍛冶屋のかまど素潜りプレイという新しい遊び方を開発した素晴らしい仲間といえる。
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特訓ダンジョンというものが実装された。これは以前に潜ったことのあるダンジョンに潜れるというもの。
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これだけだと「直接ダンジョン行くのと何も変わらないんじゃ?」と思われるだろう。
が、通常帰りにくい「奈落の果て」でも確実に指定した階層で帰ることができるし、何より全く同じ構造・アイテムのダンジョンに再挑戦出来る事が大きい。
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毎回構造が変わるのはちょっとハードルが高いという初心者にも、やりこみの為に特定のアイテムを大量に集めたい上級者にとってもお得である。
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クリア後以降はパスワードとして出力・入力が可能になる。特定のアイテムが出るダンジョンを残したり受け取りたい、という場面で活躍できる。
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今後のシリーズでもおなじみとなる、風来救助隊が初めて実装された。
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ダンジョンで死んでしまった!復活草も無い!という状況、今までならもう終わりだったが、今回からは
他のプレイヤーに救助を頼んで死んでしまった階層まで潜ってもらうと、その階層からやり直せるようになった。
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通信ケーブルをつないで直接友達に救助してもらうほか、パスワードを使えば顔も知らない風来人に救助してもらう事も可能。
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助けた側のプレイヤーにも、「ご褒美」としてアイテムが貰えるメリットがある。ご褒美でしか入手出来ないレアアイテムもあるため、救助活動も活発になっていた。
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ただし、「1回の冒険につき救助要請を出せるのは3回まで」であり、救助隊に頼ってどこまでも潜れるわけではない。
それとは別に、「同じフロアで2回倒れたら救助要請できない」という制限がある。ドロボウ失敗時も救助要請不可。
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ステータス異常「おにぎり状態」に、「まずそうなおにぎり」や「焼きおにぎり」になって倒れるという小ネタが取り入れられた。
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おにぎり状態になると、装備品の効果が消えてアイテムが使えなくなるという特徴は前作までと共通。これらの効果に加えて、今作では「おにぎり状態でデロデロの湯のワナを踏むと即死、地雷などの爆風やドラゴンなどの炎のダメージを受けると即死」というルールが加えられた。
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のちの作品と違い、本作では「おにぎりのワナ」が存在せず、「にぎりもとじめ」や「ガイコツまおう」は炎攻撃をするモンスターと同時出現しないため、狙わない限りこれらの死因にするのは難しい。そのため、一種のネタ要素という面が強い。
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ちなみに次回作の『外伝』では、焼きおにぎりはアイテムとして登場することになる。
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『シレンGB1』にあったトロフィー機能「パスワード」は、「冒険の履歴」と「風来人格付け」に分割されてパワーアップ。
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後の『シレン5』の「エキスパート証明書」に先んじて、「奈落の果てを剣なしでクリア」などのアイテム縛りプレイの実績が用意されている。
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上記の「おにぎり状態で炎や爆風を受けると焼きおにぎりになって倒れる」のほかに、「イカキング系モンスターにおにぎりを投げるとイカスシになる」といった本作から増えた小ネタの冒険の履歴もあり、それらを埋める楽しみもある。
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風来人格付けは、達成した実績に応じて「旅ガラス」「一流風来人」「伝説の風来人」などの名誉ある称号を貰えるようになっている。
賛否両論点
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モンスター関連
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コクワガッター系レベル3・ノコギガッターの凶悪さ。
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見えない位置に居るシレンを認識してモンスターを投げてくる(他のシリーズの同能力モンスター「タイガーウッホ」はシレンを視認しないと投げてこない)。
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ノコギガッターが2体いると、シレンのキャッチボールを始めて、一方的にたらい回しにされることもしばしば。
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他の凶悪モンスターと比べて、出現フロアも圧倒的に多い。モンスター1種類を出現させなくするアイテム「ねだやしの巻物」の対象としては筆頭候補。
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あまりにも有名になりすぎたせいか、リメイク版の『DS2』でのノコギガッターは弱体化した。
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ほかにも、あらゆる効果を2ダメージ化する能力を得たギャザー系は壺の洞窟できわめて理不尽な存在となったり、
イカリ・倍速・オオイカリの杖を振るうようになったバットカンガルー系など、過去作から強化されたモンスターもいる一方、
新モンスターであるウツボカズラ系レベル3・祝福カズラは、使い方次第でこちらの装備品をお手軽に最強状態にできる。
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プレイヤースキルを上げれば、運のみならず腕で凶悪なモンスターを対処できるし、お手軽な強化法も使わずにクリアすることはできる。
「理不尽」や「お手軽強化」をどうとるかがこの点の分かれ目となる。
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武具の強化限界が低い。過去作のように+99まで鍛えられる武具は2つしかなく、それ以外の装備は高い物でも+50までしか鍛えられない。
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強化限界自体も「カタナの強化限界>こんぼうの強化限界」なので、弱い武器は本当に要らない子になってしまった。弱い武器は共鳴も弱い。
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ただし、今作は祝福された「天の恵みの巻物」や「地の恵みの巻物」で大幅に強化できてしまうため妥当との声も。
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冒険の履歴に難易度や手間がメチャクチャなものが存在する。
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まあやり込み要素なので難しいのは問題ないが、「全ての装備を身につけた」「全てのモンスターをワナにかけた」「全てのモンスターに肉で変身した」の3つは達成した装備・モンスターを確認できないため、いくらなんでも手間がかかりすぎる。
問題点
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仲間キャラクターの使い勝手について
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仲間はレベル上限が10ほどに設定されているが、仲間自身が敵を倒さないと経験値が得られない仕様になっている。
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前述の通りンフーはかなり強いが、仲間は1人しか連れていけない仕様のせいで、それ以外の仲間の活躍を食っているともとれる。
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ペケジは『初代作』と違っておにぎりを強請る事がなく、純粋な高火力アタッカーとして活躍できるが、特殊能力がない上にレベルの上限も7と低めに設定されている。
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ンフーは能力を抜きにしてもペケジを上回る攻撃力・防御力を持っているため、ンフーを仲間にできるようになるとペケジは留守番になりがち。
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お竜は今作でも目潰し攻撃ができるが、その射程範囲は
隣接する敵のみ
。同じ部屋にいる敵全員に目潰し攻撃ができた『初代作』と比べて大幅に弱体化している。
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正面の敵だけを目潰しにしたところで大した意味はない。なぜかといえば、
目潰しされた敵は「目潰しされる前に向いていた方向に進み、障害があれば攻撃する」よう組まれているためである。
つまり、お竜が敵と殴り合っている最中に目潰しをしても、敵は攻撃する方向を変えてはくれないので、そのまま攻撃を食らってしまう。
目潰ししたところでお竜は敵を避けてから攻撃することはない。目潰し攻撃自体にダメージはないため、これではただ無駄にダメージを受けているだけである。
それどころか既に目潰しした敵に目潰しする無駄行為を行うこともあり、お竜にタイマンを任せると劣勢に追い込まれやすい。
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そのため、シレンとの戦いにおいての補助として目潰しを期待するぐらいしか活躍を見込めない。
しかし、お竜のレベルを上げるためにはお竜に倒させる必要があるので、育成が難しい。
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ンフーは「イカエンペラーの肉」を食べさせることで、初代作のお竜と同じ部屋内にいる敵全員を対象とする目潰しを使えるようになる。
お竜の目潰しを弱体化させる必要はあったのだろうか……
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お竜はリメイク版の『DS2』で再強化され、初代作と同様に部屋にいる敵全員を効果範囲とする目潰しに戻った。
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マーモは『シレン2』と同じく、戦闘は行わないがアイテムを10個預けることが可能。
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本作では、投げたアイテムも収納してくれるように強化された。そのため、セルアーマー系に弾き飛ばされたアイテムが消滅するのを防いでくれる。
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反面、攻撃を食らうごとにアイテムを1個落とすという弱点が増えており、倉庫係として安心してアイテムを持たせることができなくなっている。
聖域の巻物を預けてしまった際は、落としたら回収不能になってしまう。
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そもそも、シュテン山の守り神の化身という設定なのに、なぜイルパの街にまで流れ着いたのかが謎なところである。
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「人形(ゼンマイガー)」という仲間キャラクターに至っては、上記の3人の比にならないくらい役に立たない。
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ダンジョンの奥に連れて行き「生かしたまま帰る」と最大9段階パワーアップするのだが、最高まで鍛えてもそんな強くない上、
1度でも倒されると1段階目に戻るため、はっきり言って全く使えない。なぜ戻るかというと「倒された=壊れた」という設定のため。
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こいつを仲間にするには町の人形屋から買うのだが、壊してから再び仲間にしようとすると修理代を取られる。
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本作の仲間キャラクターは、にぎり変化の特技を受けるとまずそうなおにぎりになって即死するという弱点がある。
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初回挑戦の「トンファンの穴」はンフーを20Fまで連れて行くのが目的だが、17Fからにぎり変化が出現する。
ンフーがおにぎりにされてしまったら問答無用で冒険失敗になってしまう。何故こんな理不尽な仕様にしたのだろうか。
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幸いにも、トンファンの穴以外の仲間を連れて行けるダンジョンでは、にぎり変化系は自然発生しないのが救いである。
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GBCというハードの制約故か、操作性が厳しく、ゲームの処理やテンポも遅い。
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GBCとGBAで若干操作方法が異なっている。GBCではセレクトボタンでマップが表示できるのだが、GBAではその操作は「ナナメ移動モード」になる。
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恐らく、初期型GBAのボタン配列では十字とスタートボタンの同時操作がし辛いための代替措置だと思われる。
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初期型GBAはもちろん、ボタン配置がGBC準拠のGBASPもボタンの数が豊富なGBプレーヤーもGBAには変わりないため、これらのハードで『シレンGB2』をプレイするとマップをワンタッチで表示させることができなくなってしまう(ウインドウから開くことは出来るが、それはGBCも同様)。
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ちなみにGBCで斜め移動を使いたい場合は「スタート+十字」。操作方法の具体的な違いは以下の通り。
ボタン操作
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シレンGB1
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シレンGB2(GBC)
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シレンGB2(GBA)
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攻撃
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A
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ダッシュ
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B+十字
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ウインドウ
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Bちょん押し
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アイテム整理
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道具画面でスタート
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振り向き
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スタートちょん押し
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斜め移動
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スタート+十字
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セレクトちょん押し
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矢
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セレクト+A
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マップ
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セレクトちょん押し
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足踏み
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B+A
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旅仲間と入れ替わり
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B+十字
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十字のみ
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セーブデータが1つしか作れない。セーブデータのコピー(バックアップ)も不可能なので、アイテムロストの危険が増えた。
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従来の作品ではデータは2~3つ作れたが、これ以降の携帯機作品(『DS』、『DS2』、『4』)はセーブデータ1つのみが基準になってしまった。
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かつては『シレンGB1』の取説にてバックアップを推奨するくらいバックアップには寛容だったものだが、
当時の緩さから打って変わって完全にバックアップを殺しにかかっている、この心変わりっぷりは衝撃的かもしれない。
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次回作の『外伝』では、倒されても紛失・劣化しないエレキ箱などでバランスを取っているが、本作にはまだそういった救済措置もない。
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おそらくは、アイテム交換機能を利用してアイテム増殖を防ぐためと思われる。
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ゲームの進行を著しく妨げる、続行不可能になる、
セーブデータが破壊される
といった致命的なバグが多数存在。特に有名なものは公式ページでも警告されていた。
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具体的に言うと、倉庫でダッシュなどの動作を行うと、なぜか冒頭の魔城の牢屋に放り込まれるシーンに移る。
そのままでも進行可能だが、街の人間が全員いなくなる状態に移り、ゲームを続行できなくなる。
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また、エンディングの終わりの途中で電源を切ってしまうと、街の人間消失バグが発生することがある。こちらは充電切れ等でもない限り起きないことだが、
この場合、クリア後のイベントが起きなくなる。ラスボスとは戦えるが、倒してもなぜかレベル1の状態でまたラスボスと戦うという無限ループに陥る。
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レア武器である「秘剣カブラステギ」を入手するのに、別のカートリッジとの道具交換が必須。
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周りに本作を持っている知人がいなければ、自分で複数のカートリッジを買う必要がある。
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9種類のアイテムを集める必要があるのだが、1つのカートリッジにはうち7種類しか出てこないので、ソフトが2つだけだと出てこないアイテムが被る可能性がある。
実際、ファンブックで我孫子さんと河内さんがやったときに1個かぶっていた。
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今までの作品では秘剣カブラステギが最強武器だったが、本作では優秀な共鳴相手がいないため、強さにおいても不遇な立ち位置になってしまった。
総評
GBCのソフトながらそのボリュームは圧倒的。
バグや調整不足気味な要素も多く見られる一方、独特なギミックや設計から本作を支持するプレイヤーは多い。
風来救助隊・特訓ダンジョンなど初心者に向けた要素やシリーズで定番となった要素も多く、シリーズの中でも革命的一作である。
その後の展開
2008年11月13日にDSで『不思議のダンジョン 風来のシレンDS2 砂漠の魔城』のタイトルでリメイクされた。