「ドリームミックスTV ワールドファイターズ」の編集履歴(バックアップ)一覧に戻る
ドリームミックスTV ワールドファイターズ
【どりーむみっくすてぃーう゛ぃー わーるどふぁいたーず】
ジャンル
|
はちゃめちゃ対戦アクション
|
|
対応機種
|
プレイステーション2 ニンテンドーゲームキューブ
|
メディア
|
PS2
|
DVD-ROM 1枚
|
GC
|
GC用8cm光ディスク 1枚
|
発売元
|
ハドソン
|
開発元
|
ビットステップ
|
発売日
|
2003年12月18日
|
定価
|
6,800円(税別)
|
廉価版
|
ハドソン・ザ・ベスト 2005年3月31日/3,800円(税別)
|
判定
|
なし
|
ポイント
|
劣化『スマブラ』という見えている地雷 ハドソン贔屓の宣伝 3社共同なのにガッカリな出来 キャラの魅力や演出面で光る部分もある
|
概要
ハドソン発売、コナミ・タカラ・ハドソンの3社共同製作作品で、3社のキャラクターが架空のテレビ局「ドリームミックスTV」の格闘バラエティー番組「ワールドファイターズ」に出場し、対戦するという設定の対戦アクションゲーム。
この3社のクロスオーバーとなった理由は、当時コナミがハドソンとタカラを子会社として傘下に入れていたため。
コナミのパワプロくんやツインビー、タカラのリカちゃんやコンボイ、ハドソンのボンバーマンや高橋名人等々。
3社の人気キャラ達が最大4人対戦で戦うという、任天堂の『スマブラ』に類似した形式の対戦アクションゲームとなっている。
参戦キャラクター一覧
+
|
参戦キャラクター一覧(隠しキャラクターを含む)
|
|
問題点
バトル関連
-
基本操作やシステムがほとんど『スマブラ』である。あまりにもそっくりで、任天堂ハードで出せたことが不思議なくらい。
-
『スマブラDX』が出ているGC版を例に上げると、Bボタンで攻撃、同時にスティックを入れると強攻撃に派生、Xボタンでキャラごとの必殺技…といった感じ。
-
勝敗を決めるのは体力にあたるコイン型のハートで、ただ逃げ回ってコインだけゲットしていれば一番になれてしまうという、卑怯者有利システム。
-
使えるキャラは隠しを含め総勢17キャラ(デフォルト11+隠し6、その他使用不可のCPU専用ボス1)。
-
キャラ数だけ見れば普通の対戦ゲーム相応に見えるが、1メーカーにつき5~6人位しか参戦していない。どのメーカーも他に参戦できそうなキャラは色々いるだけに勿体ない。
-
技がかなり少ない。必殺技はほとんどのキャラが実質1種類のみ。レバー入れや、地上・空中・ぶら下がり状態で技の内容が一部変化するキャラも居るものの、バリエーションは非常に乏しい。
-
『ブラッディロア』のユーゴは格ゲー出身なのにも関わらず技がかなり少なくなっており原典と全く異なる仕様になってしまっている。
-
原作は「獣化格闘」で人間の姿と狼の姿を切り替えて戦っていたのだが、本作では常に狼姿のままであり、しかも原作とは違いほぼ突進技メインで戦うので、まるで同じ人狼キャラである『ヴァンパイアシリーズ』のガロンの劣化版のような感じになっている。
-
常に狼姿で戦っている関係上、人間時の姿は勝利・敗北ポーズや勝利メッセージ画面程度しか登場しないため、声優は原作と同じなのだが試合中は狼の鳴き声のSEが中心であり、本作ではまともなボイスを聞く機会がほとんど無い。
-
ステージはただただ単調。足場だけのステージが目立つ他、唯一ギミックが多いラスボス戦ステージは対戦で選べない。
-
悪魔城とボンバーマンと高橋名人のステージに登場する敵はただ飛んできたり投げに使われるだけ。敵自体のダメージはほんの少し。一応ボンバーマンのステージの敵は厄介だが、他のステージの敵は本当に空気。
-
リカちゃんハウスや桃太郎電鉄ステージには投げられる武器として卵があるのだが、ダメージが低く大して役に立たない。
-
シェル連絡橋と浮遊大陸のステージギミックは凝っており、途中でボスが出現して画面全体に攻撃してきたりする。他のステージにも分けてほしいところ。
-
ちなみに『ブラッディロア』の原作再現ステージはなく、アスカ等と共通で汎用のビル街風オリジナルステージになっている。クールガールはステージの出しようがないのでまだわかるがこっちは…。『ブラロア』原作の開発元がハドソンではなくエイティングだった事による関係だろうか。
-
ただし再現ではないもののステージ自体はイメージを壊している訳ではない。
-
対戦中、時たま発生する強風や停電などのハプニングはたいして影響がない。
-
対戦時に人数が足りない場合はCPUを参戦させられるが、CPUが使うキャラクターは勝手にランダム決定され、自由に選ぶことはできない。
-
対戦時、他のキャラクターが2体以上いる中で負けるとちびキャラ状態になりそのままプレイできる。しかし、この状態からは復活できず、通常攻撃しか出せず、すぐ吹っ飛んでしまう。さらにここから勝利する事は絶対にできないためやる気が起きない。
-
負けても引き続き参加できるシステム自体は悪くない。せめてチームバトルを導入し、そこ特有のシステムだったらまだ良かっただろう。
-
なお、一人用のワールドファイターズではプレイヤーが敗北した時点で試合終了となる。
-
アイテムが変な卵(3種類)しかない。
-
ゲームバランスも悪い。
-
特にリカちゃんが強すぎるのが問題。これは主観ではなく、公式で言われていること。
-
可憐な女の子キャラなので戦闘には不向きなタイプかと思いきや、離れている場所で踊ると指定の範囲にいるキャラのライフを吸収できるという恐ろしい技を持っている。
ワールドファイターズ(1人用モード)
-
前述通り架空の番組を舞台にキャラが大乱闘を繰り広げる、という設定のモード。
-
ボンバーマンシリーズの悪役であるムジョーがメイン司会を、本作オリジナルキャラである女子アナのハルナがサブ司会を務めている。
-
ストーリー(?)もエンディングも全キャラ共通。誰を使ってクリアしようが話は全く変わらない。
-
しかも、途中に挟むムービーが酷い。ハルナがムジョーをいじめているようにしか見えない。
-
進行にプロレスを意識しているとは言え、ゲーム的にもTVショー的にもプレイヤーキャラの闘いぶりを食い潰すほどに主張しすぎ。
-
「次の試合は…なんと2人相手に闘います!」「次はなななんと3人を相手にしてもらいます!」などと大げさに発表するが、『スマブラ』は初代から既に「2vs2」「1vs3」「軍団」といったチーム戦のパターン、「ジャイアント」「メタル」などの敵のバリエーションがあったのでそこまで勿体ぶる事でもない。
-
ストーリーでのラスボスもムジョーが担当するが、これも無理矢理戦わされているだけで、ハルナからは謝罪も何もない。
-
ちなみにハルナの声優はアニメ『ボンバーマンジェッターズ』のヒロイン・シャウトと同じ。「素直にシャウトを出せばよかったのでは?」という意見もある。
-
視聴率という概念があり、これが0%になると即ゲームオーバー。もっとも、視聴率でゲームオーバーになる事はほぼ無いと思われるが。また、敵キャラを休みなく順調にボコボコにすると100%に到達する。朝6時のチャチな格闘番組で視聴率100%とは、よほど見るものがないのだろうか。
-
クリアしてエンディングが流れた後に視聴率の合計で評価が出る。Aランクを取らないとライブラリーが埋まらないため、またやる羽目になる。
-
Aランク評価を取るためにはクリア時の平均視聴率を高い状態で維持するか、もしくは一度でも最高視聴率を100%にすることが必要。どちらかというと後者の条件の方が楽ではあるが、視聴率を稼ぐのがやや難しいキャラクターも居る。
-
高ランクを取るために周回しようとしても、選択キャラクター毎に対戦相手とステージの組み合わせ順が完全に固定となっているため、何度もやろうとする気が削がれてしまう。
その他
-
「ライブラリー」は、キャラクター等は小さな画像が数枚(キャラによっては1枚だけ)載っているのみで、後はそのキャラの出典作品の情報や歴史などが簡素に記載されているだけなのであまりぱっとしない。
-
前述通りライブラリーを埋めるにはAランク評価クリアが全キャラ分必要なのだが、苦労した結果にしてはあまりにも簡素。
-
高橋名人の画像はゲームキャラ版ではなく本人の実写画像1枚のみが使用されている。他のキャラは複数枚の画像が用意されているものもあるので、ゲーム版の名人のイラストもあれば良かったのだが…。
-
冒険島シリーズのパッケージ等イラストはファミ通表紙で知られるイラストレーターの松下進氏が手掛けており、使用するにあたっておそらく版権料等がかかるためこうなったと思われる。
-
司会のハルナの紹介はあるのにラスボスのムジョーの紹介はなぜか無い。彼の出る最終ステージの紹介だけ。
-
「キャラバン」は指定されたキャラでタイムアタックとハイスコア制のミニゲームを遊ぶのだが、本当におまけのようなショボい出来(ステージもそのまま使い回し)。1つのゲームをクリアすると次のゲームが出現するシステムなため、一回でもつまるゲームがでるとそこで止まってしまう。
評価点
-
キャラクター選抜は、3社合同だけに(少しマニアックではあるが)夢の競演らしさがある。リカちゃんやパワプロ君が一緒に戦うゲームはこれだけだろう。
-
特に、『メタルギアソリッド』のソリッド・スネークは『スマブラX』『悪魔城ドラキュラ』のシモン・ベルモンドは『スマブラSP』に先駆けての登場である。
-
リカちゃんは流石に格闘させる事には抵抗があったため、戦わずに踊っているという設定になっている。
-
トランスフォーマーは版権の複雑さ故か『スーパーロボット大戦シリーズ』に現時点でも未参戦であり、コラボゲームへの出場は非常に貴重。
-
パワプロ君はなぜかバットではなくハリセンを振り回す。流石にバットやボールで他キャラを攻撃させるのはまずかったのだろうか。
-
貧乏神は原典の『桃太郎伝説』からの登場になっているが、現在ではある意味本家より有名な『桃太郎電鉄』にちなんだ技も持っている。
-
キャラクターの動きや技も(前述のように技が極端に少ないのを除けば)原作を意識したものでイメージを壊していない。
-
例えばモアイは原作同様に口からイオンリングを発射する他、天井にぶら下がると張り付いて逆さまになったり、シモンの技がクロス(十字架)を飛ばすものになっていたり、ボンバーマンはボムを溜めることで巨大化していき爆風の範囲が拡大、ツインビーのベル攻撃はランダムで出る色によって効果が変わる等。
-
キャラクターのカラーはそれぞれ4色あるのだが、キャラによっては衣装の変化がかなり凝っている。
-
スネークはプリスキンやタキシードを着用可能。スマブラは基本的に同一衣装のカラー違いなので、この点はこの作品ならではの長所である。
-
声優陣はオリジナル版を尊重した豪華メンバー。
-
高橋名人の声優は、高橋名人本人である。
-
パワプロくんは行動のたびに、『実況パワフルプロ野球』でも当時実況を担当していた河路直樹アナウンサーによって、いちいち行動を実況してもらえるという凝った作り。
-
例えばジャンプすれば「ジャンプしたっ!!」と、そんなことを実況するのかということを逐次プレイヤーに伝えてくれる。シュールだが大変ユニークで、キャラのイメージを壊さない良いアイデアであると言えよう。
-
ボンバーマンのCVである金田氏は『ボンバーマンジェッターズ』準拠。デザインが『ジェッターズ』ではなく旧デザイン寄りになっているためやや違和感があるが、無関係な声優ではない。敵役のムジョーも『ジェッターズ』と同様。
-
コンボイ役には初代アニメの声優玄田哲章氏を起用。さらに本作ではメガトロン役として加藤精三氏を呼んでいる。
-
玄田氏は本作の後、実写版のスタートをきっかけに、トランスフォーマーに再度多く関わることになったが、当時は再演の機会自体が大変貴重だった。アニメ版のゲーム化もなされているがキャストの豪華さ故に吹き替え版キャストが再集合する機会は滅多になかったのである。
-
加藤氏はアニメ放送後にメガトロンを演じる機会がほとんどなかった。そのため、あまり知られていないが本作は貴重な再演例の一つだったりする。また、氏が生前にメガトロンをまともに演じた作品は、本作が最後であるため、実はファンにとっては貴重。
-
シモン・ベルモンドに初めて声が付いた。今作を除くとオールスターゲームかつキャラデザの独自性が強すぎる『悪魔城ドラキュラジャッジメント』と時系列がリセットされた『キャッスルヴァニア LordofShadow 宿命の魔鏡』のみである。
-
悪魔城シリーズを代表するキャラクターでゲスト参戦した作品も多いが、ファミコン仕様で参戦(白夜、HoD)やそもそも声が付かない類のゲーム(FC時代の作品やpop'n music等)も多く、後のパチスロでもラルフ・ベルモンドに出番を取られ、声が付く機会が異様に少なかった。
-
上記の『ジャッジメント』『宿命の魔境』はキャラデザや設定など独自性があまりにも強すぎるため、「原作悪魔城にもっとも近い声付きのシモン」は今作である。ただ今作のシモンも年代記仕様だが。
-
対戦用モード「キャラ魂サバイバル」ではこれらの各キャラがバトル終了後にきちんとボイス&字幕つきで名台詞を言ってくれる。これについては『スマブラ』では無かった仕様である。
-
勝ち台詞は数種類用意されており、試合の結果(辛勝など)に応じて特定状況でしか見られないものもある。
-
尤もここしかまともに喋るところが無いというのも事実だが…。しかも1人用モード「ワールドファイターズ」では勝利ポーズが視聴率表示画面になっているため勝ち台詞は見られない。
-
ステージ背景も、見た目や演出は中々凝っている。
-
例えば『グラディウスII』出典の人工太陽ステージは床が原作ゲームのようなパワーアップゲージになっていたり、『メタルギアソリッド2?』出典のシェル連絡橋はハリアーIIが襲来するなどの凝り様。リカちゃんハウス内で大乱闘できるシュールな光景が見られるゲームもそうそうないだろう。キャラクターが参戦していない『こえだちゃん』の木のおうちや『スターソルジャー』の浮遊大陸等もある。
-
ユーゴ等は原作ではなくオリジナルのステージだが、再現ではないもののステージ自体はイメージを壊している訳ではなく、ユーゴやアスカの雰囲気にはマッチしている。
-
ステージBGMは原作ゲームの音楽をきっちり採用しており、アレンジのセンスが良く聴ける代物となっている。タカラ勢はオリジナルBGMの他に原作のテレビCMのフレーズを盛り込んだBGMが採用されている。
-
オリジナルBGMについてもアレンジ曲に比べて遜色無い出来で、前述のユーゴ等は原作のBGMが採用されていないものの、雰囲気を壊していない。
-
それだけに、肝心のキャラ性能やステージギミックが手抜きなのは惜しまれる。
-
モードのひとつ「キャラバン」とはかつてハドソンが行っていた全国規模のゲーム大会から取られており、当時を知るハドソンファンには感慨深い。内容はともかく。
総評
当時の有名ゲームメーカー3社の共同開発という力の入り様で、新旧様々なキャラクターが垣根を越えて入り乱れる内容は非常に魅力的ではある。
しかし肝心のゲーム内容は普通に遊べるものの、「先駆者である『スマブラ』の劣化パクリ」という評判を覆すには程遠い出来となってしまった。
「素材自体はいいものが揃っていたのに肝心の料理人が下手糞だった」という感じの、かなり勿体無い作品といえる。
余談
-
『TV番組』という設定になぞらえ、タイトル画面でしばらく放置すると提供会社の名前が表示されるのだが、「この番組は、ハドソンの提供でお送りします!」というボイスと共に「提供 ハドソン」の名前しか記載されていない。本作にキャラが登場しているはずのコナミとタカラの名前は一切無し。
-
ちなみにゲーム内のメニューもボンバーマンのイラストなど明らかにハドソンメイン。むしろ「ハドソンのゲームにコナミとタカラのキャラが参戦」と言った方が近いかもしれない。クロスオーバーとはいえ、共演と銘打った作品でいいのかそれで。
-
更に、発売元の特権か、説明書の商品宣伝も全てハドソンのゲームのみで、コナミ・タカラの商品の宣伝は一切無し。ついでに、この商品宣伝に隠しキャラの卍丸のでている『天外魔境II』の宣伝がある。
-
ゲーム購入の抽選プレゼントで当たる時計のデザインが、何故かゲームと全く無関係。
-
なお、送って当たる商品は液晶テレビ5名にゲームソフト100本とかなり豪華なものだった。
-
当時のJR各駅に張られたポスターには隠しキャラが3体も載っていた。まったく隠しになっていない。
-
ハドソンは2012年3月1日をもってコナミに吸収合併され、ブランドとしても2013年年末に名実共に消滅してしまい、笑うに笑えないゲームとなってしまった。
-
今作では自身にはボイスが付かなかったパワプロくんだが、『パワプロ8』を原作とする2021年のショートアニメにおいては白石涼子氏が声を担当している。
+
|
当時の公式PV及びTVCM
|
|