【くろっくたわーすりー】
ジャンル | ホラーアドベンチャー | ![]() |
対応機種 | プレイステーション2 | |
発売元 | カプコン | |
開発元 |
カプコン サンソフト フラグシップ |
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発売日 | 2002年12月12日 | |
定価 | 6,800円(税込) | |
判定 | シリーズファンから不評 | |
ポイント |
完全に別ゲーム ホラーから魔法少女物の特撮劇へ 一番の被害者はシザーマン |
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クロックタワーシリーズ クロックタワー / 2 / ゴーストヘッド / 3 |
子供がやってはいけない、
鬼ごっこがあるのを、
知っていますか?
ヒューマン株式会社制作のホラーアドベンチャーゲーム『クロックタワー』シリーズの続編で、ナンバリングタイトル3作目。
シリーズ作品としては前作『ゴーストヘッド』から4年ぶり、ナンバリングタイトルとしては『2』以来、6年ぶりの新作となる。
倒産後、シリーズの版権を引き継いだサンソフトとカプコンの共同開発によって制作された作品で、カプコンとフラグシップが主導となって開発した。
「殺人鬼から逃げつつ謎を解いて脱出する」という従来のコンセプトを持ちつつ、従来作とは大きく異なるゲーム性を取り込んでおり、ストーリー、演出面においても従来のシリーズの作風からかなり変化している。
イベントCGムービーの監督に『仁義なき戦い』や『バトル・ロワイアル』で有名な映画監督・深作欣二氏を起用しており、セールスポイントとして大きく宣伝されていた。
深作氏は本作発売翌月の2003年1月に逝去したため、これが遺作となった(*1)。
親元から離れ実家から遠く離れた寄宿学校に通う14歳の少女アリッサ・ハミルトンのもとに、母からの手紙が届く。
久しぶりの連絡となる母からの手紙に心躍らせるアリッサだったが、その内容はあまりにも不可解だった。
アリッサに身の危険が迫っていること、そして15歳の誕生日が過ぎるまで隠れているようにと諭すその内容を読んで不安に駆られたアリッサは、言いつけを破って実家の下宿館に帰ってしまう。そしてそこにいた謎の老人との出会いをきっかけに恐ろしい怪異に巻き込まれていく。その中で、自分が魔性の力を与えられたことで不死身の殺人鬼と化した人間「魔のモノ」と戦う力を持つ一族、「ルーダーの家系」の末裔である事を知ったアリッサは、魔のモノの王となるため自身の命を狙う老人と、その配下の魔のモノ達との戦いへと身を投じる事となる。
概要の通り、本作では「敵に追われる恐怖」という従来と共通のコンセプトを持ちつつ、大幅なゲーム性の改編が行われている。
ここでは、従来作からの変化点を中心に述べる。
アクションゲーム的な構成のゲーム性
謎解きのシステム
敵撃退・回避関連
追跡者との戦闘
アイテム一覧
ゲーム面
+ | ネタバレ |
演出面
設定面の粗や矛盾
+ | ネタばれ |
その他
従来作とのコンセプトの乖離
アクションゲーム寄りの構成に変化したこと。
シザーマンの扱い
台詞が日本語音声(のみ)
設定面、システム面双方で、従来シリーズから大きな変貌を遂げた本作であるが、旧作そのものが「ホラー映画の視聴者視点で追われるヒロインを導き助ける」という独特な視点でゲーム性を構築していたのに対し、本作は文字通り「プレイヤー自身が追われる恐怖を体感すること」に主眼が置かれている。
バイオハザードタイプのアクションアドベンチャーとして見れば、粗は多けれど根本的な面で破綻してはおらず、クソゲーと言うほどプレイに堪えない訳ではない。旧シリーズ未経験の新規プレイヤーの意見や感想の中には「普通に遊べる」「直接追われる感覚が純粋に怖い」との肯定的な声も多くあり、「これはこれで好き」という旧作プレイヤーの声も皆無ではない。
しかし、旧作における「現実世界を舞台に非力な少女が怪物に襲われる」という舞台立てから大きく逸脱した世界観やキャラクターの設定によって多くの旧作ファンから失望と反感を買ってしまったことは、シリーズものとしてはやはり致命的と言わざるを得ない。
演出面においてもミュージカル風のくどくて小恥ずかしい演出やモーションのおかしさ、敵キャラクターのデザインや声のミスマッチ感など、多くの要素がホラーゲームとして悉く噛み合っておらず、珍妙な出来栄えになってしまったのは否めない。
『クロックタワー』シリーズの1作としても深作監督の遺作としても、残念な出来栄えになってしまった。
*1 氏が最後に携わった作品は『バトル・ロワイアルII 鎮魂歌』だがクランクインから間もなく容体が悪化し、復帰する事なく亡くなったため、完成まで関わった作品としては本作が最後となる。
*2 海外版のプレイ動画ではすぐに起き上がれず喰らってしまう場面も見受けられる。仕様を変更したのだろうか。
*3 この時にかなり隙が生じるので、断ち切る→タメ撃ちで鎖に繋げる、でハメられないこともない。結局、作業じみているが。
*4 コンサートホールのキャットウォークから死体が落ちてきた時は、僅かに上昇するが、死体そのものには全然恐怖していない。
*5 頭蓋骨の入っていたオーブンを再度調べると「もう開けたくない…」と表示され、やはりショックを受けている様子を見せる。
*6 あるムービーでは斧男の薙払いを頭を下げてギリギリ回避するという芸当を二度も続けて披露する。
*7 この時の「何だコノヤロー!」という叫びも相俟って完全にギャグ。
*8 主人公を追いかけた拍子に高所から落ちる等はあった。
*9 ゲーム中でも本人が公言している。
*10 最初は怒涛の超展開に驚き、建物の中を飛び回る時計板の上で障害物にぶつからないよう身をすくめているものの、時計板が建物の外に飛び出してぶつかる心配がなくなると、急に立ち上がって笑い出す。神経が図太いのか、緊張感が無いのか…。
*11 犠牲者であるメイの境遇を考えれば理解できないこともない演出だが、そもそもメイが殺されたのは自宅であり、ピアノに返り血が付いたりもしていない。
*12 「死ね!」「殺してやる!」だのと平然と言い放ってくる。
*13 例えるなら、ファンタジー作品でよくある「試練を与えてくる遺跡」のようなもの。
*14 その癒しも「異臭を消すためにラベンダーを使う」だけ。
*15 第一章では殺害シーン前から仕立て屋は荒れており、壁には夥しい血が付いている。第二章では殺害シーン前に犠牲者の霊と遭遇する。
*16 強いて言えば、当時配布されていたオンラインブックにその事が書かれているのと、PVや公開ムービーで仄めかすシーンが映る程度。
*17 2周目だと大剣のデザインまで特撮チックに変わる。
*18 同じく脚本家の上原正三氏・高久進氏・宮下隼一氏の3名、演出家の三ツ村鐵治氏、本作の美術担当でイラストレーターの野口竜氏など。
*19 アリッサ役の藤村ちか(現・藤村知可)氏は数年後から声優活動もしている。また、デニス役の程島鎮磨(現・程嶋しづマ)氏は現在では『ファイナルファンタジーIV』のセシル役としても知られる。
*20 単行本『桜井政博のゲームについて思うこと』収録「『クロックタワー3』の本気」
*21 『ザ・コンビニ2』発売は『ゴーストヘッド』の3ヶ月前。
*22 下から3番目の質問への回答。ただし、全文英語なので注意。