マリオ&ルイージRPG4 ドリームアドベンチャー
【まりおあんどるいーじあーるぴーじーふぉー どりーむあどべんちゃー】
ジャンル
|
ブラザーアクションRPG
|
|
|
対応機種
|
ニンテンドー3DS
|
発売元
|
任天堂
|
開発元
|
アルファドリーム
|
発売日
|
2013年7月18日
|
定価
|
パッケージ/ダウンロード版:4,571円 3DSLL同梱版(ルイージ30周年 パック):21,714円(各税別)
|
プレイ人数
|
1人
|
セーブデータ
|
2個
|
レーティング
|
CERO:A(全年齢対象)
|
判定
|
良作
|
ポイント
|
キャラ及びフィールド描写が3Dに ゲームテンポが悪いのが難点 ハードモード等の追加で上級者にも対応
|
マリオシリーズ・関連作品リンク
|
ストーリー
ある日のこと、キノコ王国のピーチ城に一通の手紙が届けられました。
それは「マクラノ島」と呼ばれる、島のオーナーからのバカンスの招待状。
招待を受けたマリオたち一行は、この島に向かうことにしました。
マクラノ島に到着した一行が観光をしていると、ピーチ姫が何者かによって、
夢の世界へと引きずり込まれてしまいます。
その夢世界に入るための扉は、ルイージが不思議な力を持った枕で眠ると出現することがわかります。
マクラはこの島の先住民族「マクラノ族」が、
コウモリの魔王アックームにばらまかれた悪夢のカケラのせいで固まってしまった仮の姿。
マリオは”元の世界”とルイージの”夢世界”を行き来して、
マクラノ族を開放しながらピーチ姫の行方を追います。
果たしてマリオたちは、無事にピーチ姫を助け出すことができるのでしょうか。
(公式サイトより引用)
概要
『マリオ&ルイージRPG』シリーズの第4弾で、シリーズ初の3DS専用ソフト。同時にルイージ生誕30周年に合わせた「ルイージの年」記念作品の一つでもある。
本作のテーマは「夢」。舞台である「マクラノ島」で起きた事件を解決するために、マリオとルイージが現実である「もとの世界」と、眠っているルイージの夢の中である「夢世界」とを行き来しながら冒険する。
システム
夢世界(ゆめせかい)
-
ルイージがマクラで眠ると出現する「夢ゲート」から入ることができる世界。前作のクッパの体内と同じくフィールドが2Dとなっており、マリオと「ユメルイージ(夢世界のルイージ)」を操作して冒険を進めていき、封印された「マクラノ族」を助けることが目的となる。
-
夢世界のフィールドには「レンドーパーツ」と呼ばれる、もとの世界と連動するしかけが存在しており、レンドーパーツにユメルイージを入れることで、3DSの下画面に写っている眠ったルイージをタッチ(ヒゲを引っ張ったりくすぐったりなど)して、これを操作することができるようになる。
バトル
-
もとの世界では、過去作と同様にマリオとルイージが通常攻撃の「ジャンプ」や「ハンマー」、「ブラザーアタック」を利用して戦う。
-
これまでのシリーズと同様に、タイミングよくボタンを操作することで敵に大ダメージを与えたり、敵の攻撃を回避したりすることができる。
-
夢世界では「ブラザーアタック」が大量のユメルイージと協力して発動する「ミラクルアタック」に入れ替わる。
-
大量のユメルイージが合体して巨大なボールになり敵をなぎ倒す、巨大なハンマーになって敵をたたきつぶす等々、ルイージの夢の中の世界ということで、どの技も「なんでもあり」なハチャメチャアクション。
-
「ブラザーアタック」「ミラクルアタック」は前作の『3』と同様に、フィールド上に散らばる「アタックピース」を集めることによって習得する。なお、習得・発動できるブラザーアタックは1作目と同様に、マリオとルイージで別々に割り当てられる。
-
本作ではフィールド描写が3Dとなり、バトル中のフィールドも3Dで描かれている。
-
それに合わせてブラザー・ミラクルアタックやモンスターの攻撃にも3Dの奥行きを活かしたものが登場。よりダイナミックなバトルが楽しめるようになった。
-
前作『3』にあったバッジシステムがより強化されて続投。基本的なシステムはほぼ同じだが、前作よりもバッジの組み合わせと得られる効果がより多彩になっている。
-
前作ではバッジメーターを満タンにしたときの効果を1つしかキープできなかったが、本作ではメーターが満タンになるとその効果を2つまでストックすることが出来るようになった。
-
メーターが満タンになるとバッジの効果がストックされ、メーターがリセットされる。ストックされた効果はバトル中、コマンド選択時であればいつでも下画面から呼び出して使用可能。前作よりも使い勝手が良くなった。
-
後述の「ランクアップボーナス」で効果をストックできる数を増やすことも出来る。
-
やりこみ要素のひとつとして、新たに「エキスパートチャレンジ」が搭載。
-
「ノーダメージチャレンジ」「敵の攻撃を10回連続回避」など、様々な条件のお題が用意されている。各お題ごとにポイントが設定されており、条件を達成するとポイントがたまる。ポイントが一定以上貯まると珍しいアイテムや装備品が入手できる。
-
前作『3』にもあった「巨大化バトル」が引き続き登場。本作では、巨大化したルイージともとの大きさのマリオが協力して巨大な敵と戦う。
初心者向け・上級者向けのモード
-
バトルでに負けてしまった場合、そのバトルをすぐにリトライできるようになった。
-
このときに「イージーモード」を選択すると、そのバトルの間でマリオとルイージが一時的に強くなった状態になる。
-
巨大化バトルでは「イージーモード」は選べないが、リトライを繰り返すとやはり難易度が徐々に下がっていく。
-
一度ゲームをクリアすると、そのセーブファイルにいわば二周目の「ハードモードではじめから」が出現する。
-
「ハードモード」では敵が大幅に強化され、アイテムは1種類につき10個までしか持てなくなる。またバトルに負けた際のリトライも不可能となる。
ランクアップボーナス
-
前作ではレベルごとにランク称号が存在しており、ランクに応じた特典が得られたが、今作ではこのランクが上がることで好みの「ランクアップボーナス」を取得できるようになった。
-
「ランクアップボーナス」には様々な種類があり、マリオとルイージをより強化させることができる。
-
ただしボーナスを取得出来る数には限りがあり、また一度取得したボーナスをあとで変更することはできないため、自分のプレイスタイルや戦略を考慮して選ぶ必要がある。
評価点
-
コミカルかつド派手なバトル展開
-
現実世界・夢世界のいずれにおいても、今までのシリーズにはない斬新な戦い方をする敵キャラが多数登場し、バトルを盛り上げる。
-
画面奥から攻撃を仕掛けてくるパターンが登場。ボスに至っては画面手前に向かって走るマリオたちを追い回しながら攻撃してくることもあり、アクション映画さながらの手に汗握る展開に。
-
夢世界では、四方から同時に攻撃を仕掛けてくることがある。場合によってはスティックで向きを合わせて反撃しなくてはならない。
-
強い敵の攻撃は、うまく捌ききれば大きなカウンターダメージが入ることも多い。難易度の高さに見合ったリターンが用意されている。
-
敵が手強くなった分、こちらのブラザーアタックやミラクルアタックも派手に。特に、ミラクルアタックで大群の敵を一網打尽にするのはかなりの爽快感。
-
メリハリのある難易度
-
「イージーモード」と「ハードモード」の搭載により、初心者にも上級者にも幅広く対応。それ抜きでもアクションやボス戦等、かなり歯応えがある。
-
快適性の向上
-
前作まではフィールド上に用意されたセーブポイントでしかセーブができなかったが、今作では一部のマップやイベント中を除き、どこでもセーブが可能となったおかげでより気軽にゲームを楽しめるようになった。
-
育成の自由度の高さ
-
「ランクアップボーナス」のシステムにより、前作以上に高いキャラ育成の自由度を実現した。
とことん攻撃力に特化するのも、アクションに自信がないから防御重視にするのも、バッジや防具のスロットを増やして特殊効果を活用するも良し。と、色々選ぶ自由がある。
-
どんな育成をしてもバランスが破綻して極端に難しくなったり、簡単になったりしないのも評価点である。
-
豊かなグラフィック
-
本作から3DCGも取り入れられているが、登場するキャラクターのグラフィックは全て2Dのドット絵である。ドット絵は横向きの場合、反転させて反対側を流用するのが基本だが、本作では別々に描かれているという手の込み様。
-
それでいて、3DSのウリである立体視にも対応している。立体視とドット絵のコンビネーションは本作が唯一と言って良いだろう。
-
又、平原や砂漠、山などバラエティに富んだマップの数々に因り、「観光している」気分を味わえる。
-
やり込み要素の多さ
-
やり込み要素の不足が欠点として挙げられる事が多かったシリーズだが、本作では「エキスパートチャレンジ」「ハードモード」など上級者のやり込み欲を煽る要素をふんだんに盛り込んでいる。
-
「ハードモード」は序盤の雑魚敵から確定2発でマリオがやられるほどに敵が超強化され、上級者でも手を焼く凶悪な難易度となっている。
-
これにアイテム数の制限がつくことでゴリ押しは不可能になり、RPGの範疇を超えたガチンコ勝負が繰り広げられる。
-
前作『3』に登場した「バトルコロシアム」が本作では「バトルリング」として登場する。本作でも難易度は高く、十分な育成とアクションの腕が無ければ完全制覇は難しい。
-
更にバトルリングで巨大化バトルにも再挑戦が可能になっている。前作で残念がられた部分だけに、この改善点は好評である。
-
下村陽子氏によるBGM
-
BGMは下村陽子氏がシリーズを通して担当している。本作もテンポの良い明るい曲から非常に重圧な曲まで様々なBGMが収録されており、ゲームを盛り上げている。
-
更に今回はゲームをクリアするとタイトル画面のメニューに「サウンドプレーヤー」が追加され、同シリーズにおいて初めてゲームで使用されているBGMを自由に聴けるようになる。連続再生やシャッフル再生にも対応しており、その上3DS本体を閉じてもイヤホン端子から音楽を流せる優れ物である。
-
ブレないルイージの扱い
-
ただ、本作ではこれまでと比べると若干控えめになっているという声もある。
-
又、『スーパーマリオRPG』などで断片的に語られていた、ルイージのマリオへの思いが、特に一部のシーンで非常に前面に押し出されている。
+
|
(ネタバレ注意)
|
-
前作『3!!!』でもう1人の主人公だったクッパは、完全な悪役として登場する。
-
今作における事件の首謀者と手を組むものの、利用するだけ利用し最後は裏切って利益を独占するという、『3』以前のおマヌケだったクッパからは考えられない行動を取る。『3』での成長が見て取れるだろう。
-
そして、ラスボスとしてマリオ達の前に立ちはだかる。過去作では、操られたクッパやコピーのクッパがラスボスとして登場したが、クッパ本人が正式にラスボスなのは『マリオ&ルイージRPG』シリーズでは初。
-
マリオシリーズ全体のRPGでみても、同様のパターンは他には『マリオストーリー』のみ。なお、同作の後継シリーズである3DSの『ペーパーマリオ』でもラスボスはクッパであり、両作品ともシチェーションも本作と似通っている。
-
ユメルイージとの巨大化バトルやラスボス戦でのアクション、エンディングでの一言など、本シリーズをプレイしているとニヤリと出来る描写も。
-
前作のラスボスとは違い、しっかり強い。ただし、きちんとレベルを上げていれば簡単に倒せるのでバランスが取れているといえる。
-
また、過去作に登場したキャラクターが3人程登場している。そのうち初代から久々に登場したキャラはシリーズを通してもボス回数が二番目に多い人物である。
|
問題点
-
ゲームテンポが良くない
-
『2』ではブラザーボール、『3』ではダッシュパンチ・スパイクボールといった、マップを高速で移動するのに向いたアクションがあったが、本作ではその手のアクションが無い。それに対してマップはかなり広大で、地道に歩いて目的地に移動する必要があるため、やや時間がかかる。
-
なお、ゲーム後半ではワープ土管が使用可能となり、各地へのアクセスが多少楽になる。
-
ロード時間を含む操作不能時間が長めで、夢世界の出入りや会話など、煩わしい部分は少なくない。
-
長い上にスキップできない会話やボス前イベントも多く、ゲームオーバーになると再度長いイベントを見させられる。
-
特にゲーム後半では、モーションが重くなり、ロード時間がさらに長くなる。夢世界の出入りでそれがよくわかる。
-
バトルでは、一部の敵側の攻撃アクションが非常に時間がかかる傾向がある。特に、夢世界ではそれが顕著に現れる。耐久力も全体的に硬めで、レベルカンストさせるまでの時間が歴代シリーズの中で最長。
-
各バトルの難度の高さ
-
救済措置が充実している為か、攻略の難易度は通常バトル・巨大化バトル共に前作から更にシビアになった。
-
「イージーモード」は、ゲームオーバーになった後に発動する。
「使わないに越したことは無い」事を暗に示した仕様だが、「死にゲー」的な要素に抵抗を覚えるユーザーもいる。
-
通常バトルでは、ゲーム序盤は敵のHPやDEFが強く、中盤以降は敵のPOWが強くなっている。
それに今作では回避が難しいので余計ゲームオーバーになりやすい。
-
巨大化バトルは救済措置がほとんどない上に、後半のボスはかなり厳しい戦いを要求される。
-
巨大化バトルのタッチペン操作は、そもそもExcellentを出しにくい上、後半のボスは異様に難しいジャイロ操作を要求されるので、そもそも苦手な人にとっては詰みやすく、イライラするかもしれない。
-
一部アイテムのバランスの悪さ
-
装備アイテムの1つである「ガードシェル」は、敵の攻撃で受けるダメージを一度のバトルにつき数回まで無効に出来るアイテム。無印のものが比較的序盤に入手が出来るため、雑魚戦ではこのアイテムを装備すれば、多少アクションがニガテでもかんたんにノーダメージで乗り切れてしまう。
-
バッジの効果の1つに、敵をしばらくのあいだ完全に行動不能にさせるものがある。「ランクアップボーナス」のバッジストック数増加を利用してこのパワーを多数ストックし、連発することでラスボスですらハメ殺す事が出来てしまう。
-
初心者への救済要素としては、前述の「イージーモード」があるが、『4』は雑魚戦・ボス戦ともに全体的に難易度が上昇している上装備使用は強制では無い為、これらは通常モードでの救済措置として見て取れなくも無い。
-
変化に乏しい「エキスパートチャレンジ」の内容
-
またその大半を占める「(特定のモンスター)との戦闘にノーダメージで勝利する」チャレンジにはやや語弊があり、最低1回は相手の攻撃を回避した上で勝利する必要がある。要するに高い攻撃力で先制し一撃で倒しても達成したことにならない為、狙うモンスターの適正レベルを大きく上回ってしまった場合、初手でアイテムを使うなり特定のアタックを失敗するなりしてターンを消費する必要が生じてしまう。
-
しかし、チャレンジコンプリートの報酬アイテムは強力である為、「やらない」と割り切るのは損である。
-
「ハードモード」について
-
「ハードモード」をクリアしても、特典が殆ど無い。
特典と言えば、クリア後にイラストが表示される程度。
-
但し、「通常クリアでも精一杯なのに、そんな難易度までは無理だ」という人には不公平感を感じさせない優しい仕様ではある。
本作に於いてはハードモードそのものが「物好きなチャレンジャーに向けた特典」だと捉えるべきか。
総評
メリハリのある難易度とモード変更機能により、本シリーズが初めての人も、歯応えのあるゲームを求めるコアな人にも対応できる良作。
今作では前シリーズのキャラも多少登場するが、過去作をプレイしていなくても問題ない。
ボリュームもあり、アクションゲーム好きな人やRPG好きにも、充分プレイする価値があると言えよう。
余談
-
ニンテンドー3DSでは先駆けて既に『ペーパーマリオ スーパーシール』も発売されており、ペーパーマリオシリーズとマリルイシリーズが同一ハードで発売されるのは今回が初となった。
最終更新:2024年06月25日 12:28