星のカービィ 夢の泉デラックス
【ほしのかーびぃ ゆめのいずみでらっくす】
ジャンル
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アクションゲーム
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対応機種
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ゲームボーイアドバンス
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メディア
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64MbitROMカートリッジ
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発売元
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任天堂
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開発元
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ハル研究所
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発売日
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2002年10月25日
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定価
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4,800円(税別)
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プレイ人数
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【GBA】1~4人 【WiiU】1人
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セーブデータ
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3個(バッテリーバックアップ)
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レーティング
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CERO:A(全年齢対象) ※バーチャルコンソール版より付加
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周辺機器
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GBA専用通信ケーブル対応
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配信
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バーチャルコンソール 【WiiU】2014年4月30日/702円(税8%込)
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判定
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良作
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ポイント
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グラフィック一新&追加要素あり 遊び易くなった良リメイク
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星のカービィシリーズリンク
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概要
『星のカービィ 夢の泉の物語』をGBA用にリメイクした作品。
当然のことながら、リメイク作品故にFC版をベースにしつつグラフィック等は全てGBA準拠のものに新しく作り直されている他、バランス面なども細かな調整が入っている(詳細は下記にて)。
特徴・変更点
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一部オブジェクトの削除(ヒマワリ等)、一部ステージの地形変更及び追加、塔ステージの演出と一部で有名な「HALブロック」ネタ削除(データ自体は残っている)、一部BGMにアレンジが加わっている、ラスボス前のカービィの表情は原作では驚いていたのに、リメイク版ではナイトメアオーブが出たことに慌てているなど、FC版との細かい差異が多く見られる。
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ステージに関しては単調な地形をやや起伏に富ませたり、中ボスを倒した後などにそのコピー能力で練習したり遊ぶためのマップが用意(あるいは元のマップを変更・拡張)されているなど、新旧のプレイヤーに配慮している部分が多い。
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一部の敵キャラクターが置き換えられている。ただし、置き換えられても攻撃パターンは同じ。
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敵キャラ「バグジー」の見た目が本作のみ他の作品とは大幅に異なる。
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他の中ボスが全体的に大型化しているので目立ちにくいが、オリジナル版や『SDX』のそれと比較すると明らかに体格が大きい。
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原作であった全てのボスと連戦するモード「ボスと たいけつする!」の名前が、「かちぬきボスバトル」に変更された。
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さらに、新たにクリアタイムが記録されるようになった。
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原作と異なり、クリア時に流れるエンディング(+カービィがボスの攻撃を受けてダメージを受けているスタッフロール)はなくなった。原作にあった「ヘビーモールを倒すと体力が全回復する」という仕様も削除されている。
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ただし、この「カービィがボスの攻撃を受けてダメージを受けているスタッフロール」は削除されたというわけでなく、別の形で残っている。今作ではエキストラモードのクリア時に「通常と異なるスタッフロール」が流れるようになっている。
評価点
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グラフィックの進化
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CGで描かれた綺麗な背景は必見。これ以降カービィシリーズにおいて背景を評価されることが多くなった。
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ただしFC版『夢の泉の物語』の頃から背景には一定の評価があった。そのためどちらの背景が素晴らしいかで意見が割れることもしばしば。
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SDX以来コピー能力を得た時に帽子を被るようになり、コピー能力の判別がよりわかりやすくなった。さらに水中では水中ゴーグルとシュノーケルを装着したり大砲に入ると工事用ヘルメットを被ったりと細かい部分の演出にも活かされている。
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なお、クラッシュやマイクなど回数制限のあるコピー能力は外見が変化しない。
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施設やコピー能力の説明に漢字とイラストが使われるようになり、読みやすくなった。
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コピー能力に調整が入った。
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スロウは当たり判定拡大、バックドロップは技を出すための準備が「吸い込み→ダッシュ掴み」のスープレックス仕様への変更、ボールは攻撃判定が生じる条件の改善、ハイジャンプは空中でも発動可能など。また、ソードは火力が上がる等全体的に使い勝手が向上したため、メタナイト戦の難易度はやや緩和された。
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「刹那の見斬り改」「爆裂!ボンバーラリー」「カービィのエアグラインド」のサブゲームが登場。
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今作ではこれらのサブゲームを最初からファイル選択画面で選ぶことが可能。
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原作ではサブゲームをファイル選択画面から遊ぶためには100%クリアが必要だった。
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「メタナイトでゴー!」というメタナイトを操作する新モードが追加された。
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レベル1からスタートして、レベル7のボスのデデデ大王を倒すまでのクリアタイムが記録される(レベル8のナイトメア戦はない)。「エキストラモード」をクリアすると出現する。エキストラモード時のカービィの体力と同じく、メタナイトの体力は3が最大になっている。
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サブゲームは出来ず、セーブも不可能だがコンティニューは出来る。
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メタナイトは剣で導火線に火を付けたり、ハンマーやストーンで壊せる硬いブロックを破壊可能だったりする(いわゆる「万能能力」)。
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カービィを操作する普通のモードと同じように一部のステージには隠しスイッチも設置されている。ただし、このモードのクリアには全く影響しない。
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BGMなどを一新
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BGMは原作をアレンジしたものが大半だが、新規のものも少し追加されている。
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新規BGMの一部は原作のものと差し替えられた形で流れる。
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具体的には、一部ステージでメタナイトの手下達と戦う際のBGMが『64』のルームガーダー(中ボス戦時に流れるBGM)に、7-2の中ボス達との連戦時のBGMがデデデ大王のテーマ(サビあり版)に、レベル7のボスのデデデ大王戦時のBGMが『スマブラDX』で使われた夢の泉のステージBGMをアレンジしたもの(元は『SDX』のグルメレースのBGMのアレンジ)に変更されている。
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原作から進化したシステム
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「エキストラモード」の進行状況がセーブできるようになった。
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原作と異なり、「サウンドテスト」を最初からファイル選択画面で選んで聴く事が可能になった。原作ではエキストラモードのクリアが必要だった。
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本作ではその名称も原作の「ゲームのおんがく を きく」から「サウンドテスト」に変更された。
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通信ケーブルを用いることで同時プレイが可能になり、通常のストーリーモードを多人数(最大4人まで)で進めることができるようになった。サブゲームも4人まで同時に遊ぶことができる。
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ただしストーリーモードを多人数で遊ぶためには人数分のソフトが必要。一方でサブゲームはソフト1本だけでも多人数で同時に遊ぶことが可能。
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SDX以来、コピー能力の説明が復活した。
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以後の作品でもコピー能力の説明が導入されていく。
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…なのだが割とまともだったコピー能力の説明が、かなりフリーダムになっている。
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能力説明の一例(原文ママ)
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ソード:この剣にかけて、わたしはまけない。よったらきります。(よらなくてもきります)
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フリーズ:やめてっ!ワタシにちかづかないで!心までこおりついてしまうわッ!
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クラッシュ:最終兵器取扱注意
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スパーク:びりびりびりびりびりびりびり あそれ びりびりびりびりびりびりびり
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パラソル:ひがさして パラソルさして さんぽして てきもふせげて ふわふわおちて
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問題点
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ゲームボーイアドバンスの画面比率に合わせているためか、リメイク前と比べるとステージが狭く感じられる。
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さらにほぼ全てのキャラクターが全体的に大きくなった。特に中ボス、大ボスは当たり判定・攻撃判定ともに拡大し、リメイク前やそれまでのシリーズともプレイ感覚が異なる。
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画面がスクロールする度に倒した雑魚敵がすぐに復活するため、画面スクロール時にいきなり敵に攻撃されることがある。
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先述の画面の狭さの問題も相まってそこそこの頻度で発生するため、ストレスを感じやすい。
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リメイク前のステージの一部には、良い意味で統一感のない幻想的な趣きがあったのだが、リメイク版では全てステージ中の雰囲気が統一された。
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それ故、思い入れのあったプレイヤーの中には逆に違和感を覚える声もあった。
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当然ながら特に気にならないという人もいるため、完全にプレイヤーの好みの問題であるといえる。少なくとも支障は出ない。
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オブジェクトの削除など、演出の変更は不満も見られる。
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特に回転ギミックの削除された塔は「霧が晴れて扉が開くまで待機以外にすることがない」というまったく意味のない作りになってしまっている。
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これは通信プレイとの兼ね合いだという話があるが、もう少し何とかして欲しかった所だろう。
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他の回転ギミックマップは丸々別の地形に差し替えられ、単に足場を伝って上へ登っていくマップになった。
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『初代』を再現した白黒ステージでは敵とアイテムがカラー表示になってしまい、再現度が下がってしまっている。一応見落としにくいという利点はあるが。
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ドットアニメが細かくなった反面、そのせいでプレイヤーのあらゆる動作に隙が生じるようになった。
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例えば、ソードの場合は攻撃始めのエフェクトが出る一瞬に隙がある。ダッシュしながら使う際は注意が必要。
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一部の隠し扉がはっきりと表示されているので、もはや隠しとしての体を為していない。おそらく初代GBAの画面の暗さに合わせた調整と思われるが…。
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ただし一部はちゃんと背景に溶け込んでいる他、シリーズ初心者には分かりにくいものもある。
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BGMは基本的に好評なのだが、GBA初期ということもあって音質面に難色を示す声もある。
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また、極一部アレンジが不評な曲もある。ある曲は完全に別物。
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当然ながら特に気にならないという人もいるため、これに関しては完全にプレイヤーの好みの問題だといえる。
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原作のミニゲーム「たまごきゃっちゃ」「早撃ちカービィ」「クレーンフィーバー」が削除された。
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次のリメイク作である「ウルトラスーパーデラックス」ではリメイク前のミニゲームはそのまま収録されている。ただし、通信対戦に対応していない。
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「刹那の見斬り改」は、綿密に描き込まれたグラフィックと多人数プレイが可能になった点は「改」と言うに相応しいのだが…。
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1人プレイにおける5人の対戦相手は、『SDX』での原作から変化なし。この為3人目は、『夢の泉』に本来登場しないコックカワサキのままである。
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それだけならまだしも、原作ではカービィが対戦相手に応じて様々な攻撃を繰り出していたが、「改」では終始ハリセン(1人目のワドルドゥへの攻撃)だけとなっている。
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イントロを上手く使ったラスボス戦前の演出がずれてしまっている。
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空中における挙動に一部おかしい点がある。
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ホバリング以外の空中での移動速度が常にダッシュジャンプ時の速度を適用されているらしくホバリング以外の空中での挙動がおかしい。結果的にスピーディーなプレイが出来るともとれるが。
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「メタナイトでゴー!」でのボス戦に関する問題点
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「メタナイトでゴー!」は自分がメタナイトを操作するにもかかわらずメタナイツ戦やレベル6のボスは特に変化せずメタナイトのままのため、メタナイツ戦ではメタナイトがメタナイトに嗾けている。レベル6のボス戦ではメタナイトVSメタナイトという状況になってしまっている。外見はどちらも全く同じため、どっちがどっちなのかややわかりにくい。これも個人差があるが。
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「テレビアニメが放送されてからでは初の星のカービィ」だった事を考えると、他のボスに差し替えるのは難しかったかもしれないが…それでも色などを変える事は出来たのでは…
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中には「ボスをカービィに差し替えて欲しかった」という意見もある。一応、それでも支障は出なかったとはいえ、流石にボスが本来の主人公というのは無理があったと思われるが…
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これを踏まえてか、次回作以降の作品では場所自体が削除されていたり、全く別のボスと戦うようへと変更されている。
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「スターアライズ」ではフレンズヘルパーとボスの両方として登場するキャラクターもいるが、こちらはフレンズヘルパーとボスで攻撃方法や外見などが大きく変わる。
総評
一部原作と違う地形になったステージがあり、原作にあったミニゲームが削除される等の変更点はあるものの、原作の良さは概ね引き継げている。
グラフィック面の進化だけでなく、新たに4人プレイが可能になった事や、エキストラモードがセーブ可能になった、「かちぬきボスバトル」でクリアタイムが記録されるようになった、新たなモード「メタナイトでゴー!」が追加された等やり込み面でも強化され、リメイク作品として見てもゲーム単体で見ても十分に良作といえる内容に仕上がっている作品といえる。
余談
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まだ本作が2002年5月頃に『星のカービィGBA』という仮称だった時は製品版に存在しないステージ画面が紹介されており、開発段階では『夢の泉の物語』のリメイクではなく完全新作として製作が進められていたものと思われる。
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海外版『Kirby:Nightmare in Dream Land』ではパッケージを含むアートワークのほとんどがアニメ版の物を使用している。
さらにそのパッケージには本作には登場しないファイターカービィが描かれている。
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ただし、デザインのみで言えばバックドロップが近い。
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開発途中、グラフィッカーが「スパデラのドットには適わない」と思い、誤魔化そうとしてアニメパターンの数を格ゲー並に増やそうとしていたが桜井氏に怒られ撤回したらしい。
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氏曰く「滑らかなアニメだけでゲームの質をごまかすような事はしたくない」とのこと。
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携帯機では初めて、デデデ大王のテーマのサビあり版が収録された。
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ただし、使用場面は前述通りデデデ大王戦ではなく7-2の中ボスタワー。
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ちなみに後に発売された『Wii』の中ボスタワーでも、本作の影響なのかデデデ大王のテーマのアレンジ曲が使用されている。
最終更新:2024年08月23日 00:49