Snake's Revenge
【すねーくずりべんじ】
ジャンル
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ステルスアクション
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対応機種
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Nintendo Entertainment System
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発売・開発元
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コナミ
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発売日
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1990年4月(北米) 1992年3月26日(欧州)
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備考
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日本未発売
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判定
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良作
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メタルギアシリーズ
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概要
日本では評判が芳しくなかったFC版の『メタルギア』だったが、海外では当時MSX2版が知られていなかったためか大ヒット。
その結果、海外向けにFC版『メタルギア』(以下「前作」と表記)の続編として製作・販売されたのが本作である。
横スクロールなど本作独自の要素が盛り込まれている。
ストーリー
敵の基地へ潜入しているエージェントから「3年前に破壊したはずのメタルギアと思しき兵器」の情報が入った。
急遽敵基地へ向かう事になったソリッド・スネーク。ヘリの支援を受け、2人の仲間と共に暗黒のジャングルへと降り立つ…
特徴
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操作や1画面毎に切り替わるマップ、捕虜救出等、基本的なシステムは前作を踏襲している。
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ステージ数の表示は無いが、ジャングルから敵ベースへ向かえ、船内での任務を達成せよ、荒野を駆け抜けろ…といった具合の目的達成によって大まかな区切りを知る事は可能。
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横スクロール
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シリーズ初の横スクロール要素が存在する、さらに専用BGMも用意。基本は他のエリアに向かう通路だが、一部モノレール等の変り種もある。
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こちらも1画面スクロール方式。基本的には通常時と同様、敵に見つからないように進む。
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横スクロール中のみではあるが、ジャンプ操作も可能。
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新たなギミック
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敵側のサーチライトの明かりを頼りに暗闇を進む…というステージが登場。当然サーチライトに照らされたら敵に発見されるため、中々歯ごたえアリ。
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水地帯
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横スクロールのみに登場、入るとHPが減少していくが、予め酸素ボンベを入手している場合自動的に消費しHP消耗を抑えられる。勿論ボンベが切れればHP減少開始。
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電流を流す敵、障害物などが存在していることも多く、非常に厄介なギミックとなっている。
登場人物
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Solid Snake(ソリッド・スネーク)
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主人公。メタルギアを破壊した実績により、747部隊のリーダーに任命された。マーシャルアーツの達人で、様々な重火器などにも長けている。
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本作ではナイフを装備し、それで戦うことも可能。
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パイロット
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名前は出てこないが、ヘリコプターを操縦してスネークを色々とサポートしてくれる。また、パスワード入力画面でも登場。
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John Turner(ジョン・ターナー)
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6年前から海軍情報センターに勤務していた、潜入工作のプロフェッショナル。
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Nick Myer(ニック・マイヤー)
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現役の海兵隊員であり、爆発物の処理と武器の扱いに長けている。
評価点
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『メタルギア』から逸脱せず、さらに独自要素を加えたゲーム性。
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匍匐動作が無く、敵の視界も真正面のみ、そして戦闘は基本的に回避するべきもの…と、基本的なシステムは前作、もっと言えば大元のMSX版に忠実。
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横スクロールや新ギミックなど、本作独自の要素も決して本質的な面白さを損なうものではなく、総じて高いレベルで纏まっている。
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ステージは序盤のジャングルを始め、敵の基地、船上、荒野、列車、要塞など非常に多彩。
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基本的にはステルス形式で進行するが、強行突破・時間内に脱出といったシチュエーションもある。ボスとの戦闘も集団スクラムから投擲、対戦車戦まで実に多彩なバリエーションを誇る。
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後のシリーズ作品に影響を与えたであろう要素も複数存在している。単なる外伝作品と侮るなかれ。
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具体的には上述のサーチライトギミックの他「量産され、輸送船に並ぶ複数のメタルギア」や「復活する過去の強敵」「足元が弱点のボス」など。
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高品質な音楽・グラフィック。
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あらゆる場面のBGMが高品質。序盤のジャングルステージや敵の基地、さらに発見された際のBGMや、制限時間を課せられた状態でのBGMなどもゲームを大いに盛り上げてくれる。
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キャラクターやマップのドットも質が高く、見ごたえ充分。
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メニュー画面も、分かりやすい箇所から気付き難い箇所まで、様々な部分が前作から改善されている。
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LIFEの箇所は赤いメモリでの表示になり、単純に見やすくなった。現在HPと最大HPも分かりやすい。
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現在の装備品は文字からアイコン表示になった。
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枠が付いた。それだけかと思う人も居るだろうが、比べてみれば格段に見栄えが違う。
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そして何より、本作には核搭載2足歩行戦車・メタルギアがちゃんと登場すること。
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「そんなの当たり前だろ」とお思いの方も居るかもしれないが、実際前作ではメタルギアは登場せず、代わりにメタルギアを制御するスーパーコンピューターを爆破するという内容であったので…。
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そんなメタルギアの出番はというと…当然だがネタバレ注意
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まず最初は輸送船内で量産型が多数出てくる。が、こいつらはただの積荷でぶっちゃけ背景であり、スネークによって船ごと沈められ全滅する。
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その後、生き残った最後のメタルギアがラスボスとして満を持しての登場。とは言ってもMGSのようにスネークと直接撃ち合うのではなく、「核ミサイル発射までの制限時間内に障壁を掻い潜ってメタルギアの弱点に攻撃を与える。」という内容。
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メタルギア戦では専用のBGMが用意されており、しかもデモ画面で何度も聞いた曲から戦闘BGMへ繋がるという演出がなされる。こんな粋な演出をされて燃えない訳が無い。
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賛否両論点
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海外向け作品の為か、とても難易度が高い。
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特に厄介なのが敵の強さ。他のシリーズ作品はスネークの強化により敵が相対的に弱化していくが、本作ではスネークの強化と同時に敵も強化されるという仕様になっている。
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序盤の敵兵からして、集団で正確に銃撃してくるという盛大な歓迎ぶり。更に終盤になると
屋内にも拘らずグレネードやらロケランやら物騒な代物をぶっ放してくる。
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触れるだけで一発アウトというとんでもない敵まで存在している。確かに本シリーズにおいて戦闘は避けるべきものなのだが、何もここまでやらんでも…。
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本作では周波数を合わせずとも無線を使えるようになったが、その代わりなのかバッテリーが切れると無線が使えなくなるようになった。無駄な連絡は行わず、こまめな充電を心掛ける必要がある。
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攻略のヒントを好きな時に得られなくなったというのは中々に不親切であり、明確な難易度上昇要因と評してもいいだろう。
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一度クリアしたステージに戻る事はできない。捕虜やアイテムを回収しそこなうとリカバリー不可能という点も難しさに拍車をかけている。
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一方で終盤は複雑な構成となっており、何度も同じ場所を行きかう破目になる。
問題点
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海外向け作品ゆえに全編英語という点は致し方ないが、使用されているアルファベットは容量の都合か大文字のみ。小文字は無く単純に読み辛い。
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早送りも存在せず、ボタン連打で飛ばすと文章が全く表示されない。うっかり読み飛ばすと大変である。
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メニューをセレクトボタンで開く、という操作がかなり独特。
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誤操作で開いてしまった場合でも、メニューを閉じるにはWEAPON、EQUIPMENT、TRCVRのいずれかを経由しないといけない。
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ナナメ移動ができず、上下左右にしか歩けない。当然ながらハンドガンを撃てるのも4方向のみ。
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そのくせ敵側は此方の位置めがけて正確に撃ってくる。理不尽としか言い表せない。
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アイテムの所持数上限を確認できない。
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本作では部屋を出入りする度にアイテムが出現する。この為無制限に補給できるが、現時点での所持数が上限に達しているか否か判断するのが面倒。
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どうせ難易度が高いのだから、1回のアイテム入手で最大数まで入手出来る位の方が良かったのではという意見もある。
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相変わらずの、8枚もあるカードキー管理の煩雑さ。
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扉を開ける際は予め合致する物を装備しておかねばならず、切り替えが非常に面倒。何もそこまでMSX版に忠実にせんでも…。
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#1から数画面分後に#2があったり、#5よりも先に#6を手に入れたりなど入手タイミングも洗練されているとは言えず、どうしても水増し感が否めない。
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扉もどのカードキーに対応しているのかは外見では全く区別がつかない。最悪総当りを迫られる可能性もある。
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電源オフからの再開方法が、まさかのパスワード方式続投。
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パスワードが表示されるのがゲームオーバー時に「END」を選んだ時と少々ややこしいのも前作同様である。
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因みにパスワードは30文字の羅列。単純な文字数は前作よりもちょっと増えている…。
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ハード性能の都合上致し方ないかもしれないが、入力した内容を記憶する機能も無い。一旦タイトルに戻ってしまうと再入力に難儀する。
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対戦車戦において、敵側の戦車の位置が非常につかみにくい。
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痺れをきらして画面を切り替えた直後に戦車に轢かれる場合もある。
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本来はこちらが隠れている側のはずなのに、屋外の巨大戦車の方が上手く隠れているとはこれ如何に。
総評
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色々と粗が多い点は否めないが、FCの性能をしっかりと引き出しつつ
原作尊重と新要素の絶妙なバランスによって『メタルギア』シリーズの可能性を体現してみせた逸品。
冠する名の通り、シリーズ生みの親たる小島監督からも鬼子呼ばわりされた程の前作の雪辱は充分に果たせたと評して良いだろう。
シリーズファンなら「監督の関わっていない作品だから…」と食わず嫌いすることなく、是非とも挑戦してみて欲しい一作である。色々な意味で。
余談
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海外専売ゆえに洋ゲーかと思いきや、本作開発に携わったのは当時の『悪魔城ドラキュラ』シリーズや『魂斗羅』シリーズのスタッフ。つまりコレでも一応は国産品だったりする。
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なお、前作スタッフは本作開発には一切関わっていない様子。
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余談の余談だが、その制作スタッフの1人が小島氏にオリジナル版『メタルギア』の続編を作っていることを話すと共に「小島氏が作る『メタルギア』の続編が見たい」と言い、奮起した小島監督が一晩で書き上げて会社に提出したのが『メタルギア2 ソリッドスネーク』の草案書である。
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北米版の発売元は「Ultra Games」となっているが、実はこのUltra Gamesというのはコナミのダミー会社。
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当時北米(及び日本)では、サードパーティが年間に発売できるFCソフトの本数に制限があったため、苦肉の策としてこのような方式が採られたのだそうな。
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本作を元にした電子ゲームがTiger社からリリースされている。
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基本的には敵を倒しながら通路を前進し続けるシンプルなアクションゲームであり、ステルス要素は皆無。
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キーカードやC4を使って通路両側の扉を開いてアイテムや捕虜を探す、音声付きの無線で指示を受けるなど、僅かでも雰囲気を再現しようと試みた部分は見られる。
その後の展開
最終更新:2024年02月07日 16:48