WACCA S
【わっか えす】
ジャンル
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リズムアクションゲーム
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対応機種
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アーケード(ALLS HX)
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発売・開発元
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マーベラス
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稼働開始日
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2020年1月23日
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料金
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1クレジット:100円 VIPメンバー特典(30日分):300円
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判定
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良作
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ポイント
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前作の長所を強化し、欠点を改善 やり込み要素が強化 楽曲解禁速度は鈍化
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WACCAシリーズ WACCA / WACCA S / WACCA Lily・Lily R / Reverse
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概要
「Second」だったり、(ようやく登場した)新モードの頭文字だったりという意味の『S』をタイトルに付けた、
マーベラス製音ゲー『WACCA』(以下「前作」)における初の大型アップデート。
此処では主にバージョンアップに伴う変更点を記述する。基本的な情報については前作の頁を参照されたし。
新要素・変更点
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やりこみ要素としての新機能「ゲート」が実装された。
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楽曲のプレイ終了後に貰えるようになった専用ポイントを一定量まで溜める事で、楽曲や称号・アイコンを獲得できる。他音ゲー作品で採用されている「マップシステム」のようなもの、と考えればわかりやすいだろう。
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貰えるポイントの量はプレイ内容によって変動する。MisslessやFull Comboなど、良い結果を残せればそれだけポイントも多く溜まるようになっている。
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選曲するだけでゲート専用ポイントを多くもらえる、所謂ボーナス楽曲も存在している。ゲート毎に異なるボーナス楽曲が指定されており、選曲画面でボーナス楽曲か否かを確認可能。
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ゲートが複数存在している場合は、プレイモード選択前にどのゲートでポイントを溜めるか選択可能。2020年7月時点では常設のゲートは「ベーシックゲート」のみだが、イベント開催中に期間限定のゲートが幾つか追加される事がある。
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前作では存在が示唆されているだけで遊べなかった追加コンテンツ「ステージアップ」が、満を持して実装された。
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予め指定された楽曲を、特定の条件を満たしつつクリアしていくモードである。他音ゲーの経験者には「段位認定」や「段位道場」と言えば分かりやすいか。
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条件は基本的にGood以下(ステージIX以降はGreat以下)の判定を一定数以上出した時点で強制ゲームオーバーという、所謂「ライフ制」となっている。楽曲クリアの度に一定量ライフが回復するが、あまり当てにしすぎないようにしたい。
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ステージは2020年7月時点で全13種類存在しているが、初期状態ではステージXまでしか選択できない。ステージXI以降は一つ下のステージをクリアする事で解禁され、選択可能となる。
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ステージを無事クリアした際にはユーザーネームの横やステージ選択画面に、クリアした証であるエンブレムが追加される。
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このエンブレムの色は3曲目終了後の残りライフによって色が変化する。ステージXIIまでは初期ライフの半分未満で青色、半分以上8割未満で銀色、8割以上が残っていれば金色となる。
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最終ステージであるステージXIIIのみ「Invisible Frenzy」を始めとする難曲群を切り抜けなければならない都合上、エンブレム変化に必要な残りライフの割合が異なっている様子。
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ステージクリア時にはエンブレム以外にも、専用の称号とアイコンも手に入る。
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逆に言えば、ステージアップの報酬はエンブレム・称号・アイコンの3種類のみ。コレクション要素に拘らないというのであれば、ステージアップを攻略しないデメリットはほぼ存在しないと言い切ってしまっても差し支えない。
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第4の難易度「INFERNO」が実装された。
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事前にINFERNOが実装された対象楽曲を解禁し、その楽曲のEXPERT譜面をランクAAA以上でクリアしておく必要がある。
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上記の条件を満たした上で、1プレイ中の1曲目&2曲目で対象楽曲と同じアーティストの楽曲を選び、EXPERT譜面でランクSS以上の成績を叩き出すと、一時的に対象楽曲のINFERNOが開放され選択できるようになる。
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3曲目で対象楽曲のINFERNOをランクSS以上でクリアできれば常駐させる事もできる。勿論失敗した場合はやり直しだが、回数制限は存在していない。
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INFERNO実装から一定期間が経過すると、開放・常駐に必要な条件がある程度緩和される。また実装から3週間経過するとWPを支払い解禁する方式に移行する。
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当然だが、事前に対象楽曲のEXPERT譜面を遊べるようにしておかないとWPでのINFERNO解禁はできない。またINFERNOをWPで解禁する場合、1曲につき9,000というカンストすれすれの量を要求されるので、自力での常駐が可能であればそちらの方が断然お得。
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多くの音ゲー作品において見られる「EXTRA STAGE」とは異なり、隠されているのはあくまで高難度譜面のみ。楽曲自体はゲートを攻略していけば、高難度に挑めるような腕を持たないプレイヤーでも遊べるようになっている。
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現時点でINFERNO実装の対象となっているのはUSAO氏の書き下ろし楽曲「XTREME」と、REDALiCE氏とcosMo@暴走Pの合作曲「天使光輪」。この2曲は実質的に本作におけるボス曲と考えていいだろう。
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難易度の数値自体は、前作ボス曲「Exitium」「Invisible Frenzy」と同じレベル14となっている。隠し難易度を実装したからと言って、過剰な攻略難度のインフレまで引き起こすつもりはないという意思表示と捉えるべきかもしれない。
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新たにクレジットやワッカポイント(WP)を消費して購入・使用できるアイテムが登場。プレイモード選択時の「ショップ」から購入画面に行ける。
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これまではプレイモード選択画面から直接飛んでいたVIPメンバー登録画面もショップに統合された。
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クレジットを消費して購入可能な「ブーストバッジ(100円)」「ブーストバッジS(200円)」は、楽曲終了時に貰えるWPやゲート専用ポイントをそれぞれ2倍/3.1倍にするという効果を有している。イベント開催期間中に十分なプレイ時間が確保できなかった等の理由で、期間限定ゲートを素早く攻略したいという時にどうぞ。
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譜面難度選択時に消費すれば、HARD譜面Sランク達成という条件を満たさずともEXPERT譜面を遊べる「EXオープンチケット」を3,000WPで購入可能になった。
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VIPメンバーになった際の恩恵に「ゲート専用ポイントの獲得量を1.2倍にする」「追加ゲートの解放日が1日早くなる」という2点が追加された。
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1か月で14回以上本作をプレイできるのであれば、ブーストバッジとブーストバッジSを1個ずつ買うのと同等の支出でそれ以上の効果を得る事が可能となっている。
評価点・改善点
前作で指摘された問題点を改善
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前作で最大の問題の一つとして挙げられていた「UI面の粗」について、特に不評の声が強かった要素が幾つか改善された。
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筐体上での項目選択について調整が行われたのか、カーソルの移動範囲が足りなかったり、逆に移動しすぎて選択したい箇所をオーバーしてしまったりといった事態が発生し難くなった。コンソールのスライド操作でも思い通りの箇所にカーソルを止められるようになっている。
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楽曲・難易度選択後の最終確認画面から難易度選択画面に戻れるようになり、ノーツ速度の調節や判定タイミングの調整を行った後でも楽曲・難易度の選び直しができるようになった。
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選曲画面ではFull Combo・All Marvelousの他に、Misslessを達成した楽曲についてもその旨が表示されるようになった。
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「現在何曲目のプレイか」について選曲画面でも情報が表示されるようになり、エリザベスのボイス以外でも残り何曲分プレイ可能かを把握できるようになった。
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リザルト画面にハイスコアが表示されるようになった。また見事ハイスコアを更新できた場合、エリザベスのボイスによるお知らせと共に、どれだけスコア更新ができたかも表示されるようになっている。
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ホールドノーツにおいても判定詳細(FAST/LATE)がちゃんと表示されるようになり、スコア詰めがやりやすくなった。
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同じく「ガイド音(アンサー音)のズレ」についても、普通にプレイする分には気にならない程度まで軽減された。
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ガイド音を頼りにノーツ回収の精度上げを行うプレイヤーにとっては死活問題であっただけに、この点の改善は極めて大きな前進と評せるだろう。
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問題点として指摘されていなかった要素ではあるが、前作でも8曲まで登録できた「お気に入り楽曲」が、バージョンアップに伴い100曲まで登録可能となった。
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「ヤケクソ気味の増量」「流石に使い切れない」という声がちらほら見られるものの、登録可能楽曲数の増加それ自体については好評の声が多数を占めている。
変わらず聴き応え抜群のオリジナル楽曲
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『S』へのアップデート直後に収録されたHARDCORE TANO*Cメンバーの書き下ろしオリジナル楽曲は、Srav3R氏の「Murasaki」とaran氏の「Mazy Metroplex」の2曲。
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Murasakiは「オシャレな曲調で譜面も遊びやすい」と好評の声が多く、一方Mazy Metroplexは「楽曲自体は間違い無くかっこいいのだが、リズムと譜面が明らかに音ゲーマーを殺しに来ている」と畏怖されているそうな。
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HARDCORE TANO*Cコラボ第二弾・タノシーコロシアムでは、上述した「XTREME」「天使光輪」の他にも「Metamorphose」「MAGiC4LG1RL M3GA S7R1KE!」「METEOR BURST」と、合計5曲もの書き下ろし楽曲が新規収録されている。
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また外部アーティストも、新たにHommarju氏とonoken氏が参戦。それぞれ書き下ろし楽曲として「Demon’s Rave」「GASHATT」を提供してくれた。
版権楽曲の大幅増量
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版権ポップスについては、前作から引き続き相当に力が入っている。
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アップデートと同時にフレデリックの「オドループ」とEve氏の「ドラマツルギー」を収録、更にアップデートで「シャルル」「U.S.A.」「新宝島」といった楽曲群も収録された。
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バーチャルYouTuberグループ「ホロライブ」とのコラボでは、公式楽曲第1弾の「Shiny Smily Story」と所属VTuberのオリジナルソング2曲を収録。
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ホロライブコラボでは期間限定で特別なイベントゲートが解放され、VTuber「ときのそら」「AZKi」のアイコンや、彼女達の言動等を元ネタとした称号を入手可能であった。
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アニメ方面では新たに「only my railgun」と「ストライク・ザ・ブラッド」を収録した。only my railgunについてはイントロの尺が原因なのか、
奇術サイドの登場するMVは未収録となっている。
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更に他社AC音ゲー作品に先駆ける形で『ブレンド・S』とのコラボを開催し、同作アニメ版のOP曲「ぼなぺてぃーとS」とED曲「デタラメなマイナスとプラスにおけるブレンド考」を収録した。コラボ期間限定ゲートの報酬も同作メインキャラ7名のアイコンと、彼らにちなんだ称号が揃っている。
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VOCALOID楽曲は「ロストワンの号哭」「いーあるふぁんくらぶ」「セツナトリップ」「天ノ弱」「ダンシング☆サムライ」等、これまた他音ゲー作品でおなじみの楽曲群を新規収録。
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前作で目立っていたDECO*27氏の楽曲についても、新たに「ゴーストルール」を収録している。
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バラエティジャンルでは「EU over Progress」「ベースラインやってる?笑」「GOODWORLD」「Altale」そしてお待ちかねの「Brain Power」を収録した。前作後期における楽曲収録と合わせて、バラエティ楽曲不足に悩まされていた稼働当初から見違える程に選択肢が増えている。
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Brain Powerのジャケット絵はRinne.6氏による描き下ろしとなっている。本作をイメージしたデザインとなっているが、目を凝らすと他作品収録時のジャケ絵やあの歌詞が見えなくもなかったり。
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LAM氏の初個展「目と雷」のテーマソングであった、PSYQUI氏による「Eyes on me feat. Such」もバッチリ収録している。
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東方Projectアレンジ楽曲についても、アップデートと同時に「悪戯センセーション」と「Mami Mami Zone」、かめりあ氏による「ナイト・オブ ・ナイツ」リミックスを収録。更には『東方風神録』コラボを行い「ケロ⑨Destiny」を始めとする有名所のアレンジ楽曲収録を果たした。
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『東方風神録』コラボでは、HARDCORE TANO*Cメンバーによる書き下ろしアレンジも満を持して登場。t+pazolite氏による「神さびた古戦場」アレンジの「神寂」が収録された。
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権利関係の調整にかかる労力の都合上、長らく追加の無かった2.5次元ジャンルであったが、シリーズ稼働1周年を目前に控えた時期に突如として楽曲収録を果たした。
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収録されたのはまさかのテニミュこと『ミュージカル・テニスの王子様』3rdシーズンより「ガンガン・ドンドン」「スマイル・アンド・ティアズ」「STILL HOT IN MY HEART」の3曲。
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HARDCORE TANO*Cメンバーの既存楽曲からは、TANO*C TOUR 2018のアンセム「Shiny Memory feat. Yukacco」や、Vineのネタ動画で一躍有名になってしまった「LOSE CONTROL」、くじ引きの結果誕生したもう一つの世紀末コア
「ALIVE†TENGOQ ~嘆きの下道渋滞貴族~」…もとい「†DOOF†SENC†」等の楽曲群が新規収録された。
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HARDCORE TANO*Cがリリースしたアルバムに収録されているという理由からか、C-Show氏の「ツアー・ファイナル」もTANO*Cジャンルの楽曲として収録されている。
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ゲーム関連の楽曲は下記グルコスコラボでの収録曲の他に『閃乱カグラ Burst Re:Newal』の主題歌「燐廻」と『幕末Rock 超魂』の劇中歌「WHITE」を収録している。マーベラスが世に出した魅力的な作品群の数と比べるとまだ物足りないのは確かだが、今後のIP展開や相互コラボにも十分期待できるだろう。
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中でも特筆すべきは『GROOVE COASTER』の『4MAX』へのアップデートに合わせて開催された相互コラボイベントと、同作から移植された楽曲群である。
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コラボイベントで移植されたのは「君のStarlight Road」「FUJIN Rumble」「聖者の鼓動」の3曲…のみに止まらず、本作スタッフ側の要望によりまさかの「BUCHiGiRE Berserker」収録まで果たしてしまった。
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嘗て天下一音ゲ祭に参加していた他社機種の皆様を差し置いて、真っ先に新参の本シリーズへと狂戦士が侵攻してくる事になろうとは、一体誰が想像できただろうか…。
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グルコス側でおなじみナビゲーター3人娘も、期間限定イベントゲートの報酬アイコンとして登場してくれた。またこのゲートで入手可能な報酬称号は、グルコス側で条件を満たせば取得可能な楽曲別称号等が元ネタとなっている。
ますます遊び心にあふれる演出
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アニメ・版権POPやバラエティ楽曲において、MVを流す事ができる楽曲が増加。「オドループ」や「新宝島」ではあの妙に癖になるPVを流せるし、「GOODWORLD」では流石神の奮闘を拝む事が可能である。
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ホロライブ関連の楽曲でもMVを収録している。「Shiny Smily Story」では水着で踊る特別版MVを流す事が可能だが、流す際は念の為に後ろを確認しておくべし。
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譜面演出も、所々でMVに合わせたダンスを要求される「U.S.A.」EXPERT譜面や、ネタ動画と同じ動作を求められているとしか思えない箇所が存在する「LOSE CONTROL」EXPERT譜面といった具合に、(主にネタ方面での)パワーアップを遂げている。
賛否両論点
やりこみ要素の大幅強化と、その副作用
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ゲートという明確な目標が追加された事で、プレイ継続の為のモチベーションを維持しやすくなった点は概ね評価されているが、これに楽曲解禁を絡めてしまった事で、前作の評価点であった楽曲解禁の手軽さが大分後退してしまった。
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ベーシックゲートにおける最初の解禁楽曲「Murasaki」解禁に必要なポイント数は300。これは余程酷いリザルトを叩き出さない限り、1クレ分のプレイで十分達成可能な数字ではある。
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Murasaki解禁以降は徐々に解禁に必要なポイント数が増えていき、最後の解禁楽曲「Mazy Metroplex」を解禁するには累計で13,300ポイントを貯める必要がある。
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ブーストバッジやVIPメンバー制度を利用せず、且つ確実にFull Comboできる楽曲のみをプレイした場合、1クレ分のプレイで手に入るポイントは330ポイント前後。ログインボーナスが加算される初回プレイ時や、ボーナス楽曲をプレイした場合は多少多くなるが、それでも前作と比較して相当な手間暇とクレジットを費やさなければならなくなった。
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一応、あくまで音ゲー作品中でもトップクラスに楽曲解禁が手軽な前作と比較した場合の解禁速度低下である事は強調しておきたい。
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『東方風神録』コラボの期間限定イベントゲートにも楽曲解禁要素が存在しており、最後の「神寂」解禁までには累計で6,300ポイントの蓄積が必要となってしまう。
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イベント期間中に楽曲を解禁していない場合、イベント終了後の15日間は該当楽曲を遊べなかったが、2020年6月16日のアップデートに伴いWP消費によって楽曲を解禁できるようになった。1曲につき3,000WPが必要となる。
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恐らく今後の期間限定ゲートにおいて楽曲解禁が絡んだ場合も、同様の「ゲートで手早く解禁するか、WP解禁入りを待つか」選ぶ方式になると思われる。全楽曲を解禁しようとする場合WP解禁とゲート解禁とでかかる手間の差はほぼ無い為、アイコンや称号が貰えるゲート解禁の方が若干お得。
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ベーシックゲートにおいて、10個目のゲート完走報酬を入手した後、以降のゲート完走に必要なポイント数のノルマが20,000まで跳ね上がる。10回完走するまでに溜めたポイント累計よりも、その次の報酬入手に必要なポイント数の方が多いという有様である。
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しかもこれでもまだマシな方であり、29個目の完走報酬からは桁が一つ上がって200,000ポイントもの蓄積を要求される。一体幾らクレジットをつぎ込めば入手できるのやら。
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ノルマが跳ね上がる11個目以降のゲート完走報酬は、ただ一つの例外を除き全て特殊な称号となっており、あくまでも「欲しい人だけがやればいい」というやりこみ要素の範疇に留まってはいる。
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唯一の例外が11個目の完走報酬なのだが、その内容はたったの1,000WP。明らかに20,000ポイントというノルマに見合わないしょぼさである。…或いは、敢えて最初にしょぼい報酬を提示する事で「この先は無理してやりこむ必要は無いんだぞ」と暗示する、スタッフなりの計らいなのだろうか?
マイページのリニューアル
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前作では、未入手の物を含めた称号・アイコン等のアイテム入手条件をマイページから確認可能であったのだが、バージョンアップと並行して行われたリニューアルによって未入手アイテムの入手条件を確認できなくなってしまった。
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幸いにして本作で実装された新規アイテムは、その大半がゲート機能での入手となっている。適切なゲートを選択した上で普通にプレイしていれば、新規アイテムを入手しそびれる事はほぼありえない。
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また例外についても「Brain Power」や本作オリジナル楽曲のジャケット絵を使用したアイコン・ステージアップ報酬・JAEPO2020の来場特典と、実際に入手できるかはともかく条件自体は分かりやすいものばかりである。
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入手済みアイテムについては引き続き筐体の設定画面やマイページで入手条件を確認できるので、その情報を基にある程度までなら未入手アイテムの入手条件を類推する事はできる。
また先人の調べた情報が外部攻略サイトに纏められているので、どうしても入手条件が分からない場合はそちらを頼ってしまってもいいだろう。
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但しこのリニューアルによって、マイページ上での各種データ確認や設定の調整が格段にやりやすくなっており、一概に改悪と断じる訳にはいかない部分もある。
2.5次元楽曲のチョイス
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紆余曲折を乗り越えて本作への収録を果たしたテニミュ楽曲だが、一部のテニミュファン層(?)からは「あいつこそがテニスの王子様」や「勇気vs意地」「ザ・レギュラー」を収録してほしかったという声もちらほらと上がっている。
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とはいえ今回の収録についても、マーベラスが難題解決に向けて真摯に取り組んだ結果と推察する事はできる。他人気楽曲群の収録も時間の問題であろう。
改善がなされなかった要素・賛否両論点編
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WPの上限自体は9999で変わっておらず、こまめにEXオープンチケットに換えないとすぐカンストしてしまう。
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2020年4月時点の本作では新規楽曲の解禁方法がゲート機能に集中しており、WP消費で解禁する要素はコラボ終了後の救済措置と、WP解禁に移行したINFERNO譜面位しか存在しない。この為HARD以下の譜面攻略(俗に言う下埋め)を苦にしないプレイヤーや、INFERNO攻略に手を出さないライト層等にとっては余計にWP消費の機会が減ってしまっている。
問題点
ステージアップの難易度調整
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満を持して実装されたステージアップだが、やはり音ゲー作品の運営経験不足故か、難易度面について洗練されているとは言い難い部分が見られる。
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その最たる例がステージIX。後に控えるステージXはあっさり合格できたのに、ステージIXは全く合格できる気配がないと嘆くプレイヤーが複数確認されている。
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マイページから確認可能な各ステージのランキングで確認できる限りではあるが、実際にステージXよりもステージIXのスコアの方が低いプレイヤーは多い。
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最大の原因は3曲目に控える「ぼくの夢、メチャクソ無限湧き」EXPERT譜面。アップテンポな曲調に対して腕を大きく素早く動かす必要のある譜面にしてしまった事が災いし、操作が追い付かずGREAT以下の判定を量産させられて強制終了に追い込まれるプレイヤーの続出に繋がってしまった模様。
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また一部プレイヤーから、ステージXIとステージXIIの難易度差があまりに開きすぎているという意見も挙がっている。
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流石に何時ぞやの10thSP八段を思わせる程の事態には至っていないが、改善の余地が存在している事は否定できない。
あまりに早すぎる楽曲削除
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本作初期から収録されていた楽曲「EZ DO DANCE -K.O.P. REMIX-」が、2020年7月16日に削除されてしまった。
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その収録期間は364日。流石に20日間という前代未聞の記録には及ばないものの、ギリギリ1年未満という収録期間の短さ、そしてシリーズ稼働開始から1年と経たずに初の削除曲が出てしまったという事態に対しては「いくらなんでも早すぎる」という困惑の声も聞かれる。
改善がなされなかった要素・問題点編
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選曲画面で詳細なレートを確認できないという問題点はそのまま。前作から引き続き、レートを確認したい場合は難易度選択画面に移るしかない。
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一応ハイスコアは小さいながらも表示されているのでそこから類推する事は可能だが、何とも歯がゆい。
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楽曲ソート機能も、相変わらずレートやスコアによるソートは不可能となっている。
やっぱり発生したアップデート直後の不具合
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この手のアーケード作品において恒例となってしまった感もあるアップデート時の不具合だが、本作も例外ではなかったようだ…。
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不具合の詳細。現在は全て対処済みとなっているので折り畳み
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用意された全譜面を1回以上クリアする事でジャケット絵のアイコンを入手可能な楽曲のうち、バージョンアップと同時に収録された「Murasaki」「Mazy Metroplex」の2曲は条件を満たしてもアイコンを入手できない状態となってしまっていた。
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この不具合は2020年2月4日のアップデートによって解消された。アップデート前に条件を満たしていた場合は、アップデート直後のプレイで無条件入手が可能。
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報酬をすべて獲得したゲートには「COMPLETE」という表記が追加され、次回プレイ以降は選択できなくなる。しかし2020年3月3日のアップデート以降、報酬を全て獲得してしまったイベントゲートを再度選択可能となってしまうバグが発生していた。
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不具合の発生条件は「3月3日のアップデート以前にイベントゲートの報酬をすべて獲得している」事。アップデートがちょうどホロライブコラボの期間中であった為に、条件を満たしてしまうプレイヤーが続出してしまった。
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報酬を全て入手したゲートでもう一回ポイントを貯めてもアイテム入手の演出がもう一度発生するだけで、アイテムが2個手に入ったりバグで変なアイテムが手に入ったりといった事態は発生しなかったらしい。一部プレイヤーからはクラッシュ報告も寄せられていた為、今後同様のバグが発生した場合において、好奇心から不具合再現を試みるのは止めておくべきであろう。
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こちらはアップデート翌日の修正データ配布によって対応された。また一部のプレイヤーに対しては、手動の遠隔修正で対応するとの事。
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前作では楽曲解禁に2,000WP消費が必要だったオリジナル楽曲「CHECKER FLAG」が、バージョンアップと同時に解禁作業無しで遊べるようになってしまった。
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公式の想定していなかった動作ではあるものの、WP消費で解禁せずとも遊べる事以外は何ら問題なくプレイ可能な為、楽曲自体を無条件解放扱いとする事で対処(?)された。本バージョンから始めるプレイヤーにとっては、解禁作業無しでCOSIO氏の書き下ろし楽曲を遊べる為若干お得。
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前作で態々WPを支払って解禁してしまったプレイヤーへの補填は無いが、本シリーズにおいて2,000WPというのは1日1クレのプレイを2~3日程度続ければ余裕をもって蓄積可能な程度の数字である事は記述しておく。
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総評
前作と比較しての楽曲解禁速度の鈍化はどうしても気になる。
しかしその点を除いた他の要素については魅力的な楽曲群という長所を強化し、UI面の粗やガイド音のズレといった最大の欠点をしっかりと克服した。
一つの音ゲー作品として、先駆者達と対等に渡り合うに十分なパワーアップを遂げたと評してもいいだろう。
余談
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前作から引き続き、イベント期間中に特定の楽曲を遊んでいると、ゲーム終了時の画面が特別なものに変化する。
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条件を満たせばときのそらやAZKi、『ブレンド・S』のキャラ達、セイネやイレギュラー等の面々がプレイヤーの健闘を称えてくれる。セイネは
グルコス側の使い回しボイス付き。
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中でも『東方風神録』コラボでお目見えした、LAM氏描き下ろしの東風谷早苗については好評の声が多く見られる。
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相互コラボにおいて、本作から『GROOVE COASTER』側には「Let you DIVE!」「Gate One」「Poseidon」「Exitium」の4曲が移植された。
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Exitiumについては、本作スタッフ側の要望でBUCHiGiRE Berserker移植が決まった後、それならばWACCAからもBUCHiGiREに相当するボス曲を移植しようという事になり白羽の矢が立ったらしい。やっぱり互いのボス曲での殴り合いじゃないか!
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エリザベスもグルコス側にドット絵アバター、及びナビゲーターとしての出張を果たしている。
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音ゲー界隈の風物詩となって久しいエイプリルフールだが、本作では他作品のようなネタ曲・ネタ譜面ではなく、別方向にぶっ飛んだネタを提供してきた。
エイプリルフール当日にプレイすると「騒がしい連中がやってきたぞ!鑑賞を許しますか?」というメッセージと選択肢が表示されるのだが、この時「はい」を選ぶとプレイ中HARDCORE TANO*Cメンバー扮するギャラリー界のボイスが流れるようになるのだ。
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楽曲クリア時は勿論、100コンボ毎に「まさかの300コンボイ!?」等のボイスが流れる。更に、コンボを達成せずとも一定時間毎に自動で「すげすげすげヴォー!」といったボイスが流れる為とてもうるさい。
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自動で流れるボイスはプレイ内容と連動していないらしく、完全にハイスコア更新が狙えないような状況下でも「自己べ!自己べ!自己ベ出るよ!」等と言ってきたりする。
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一応、最初の選択肢でギャラリー勢の鑑賞を拒否すれば、エイプリルフール当日であっても普通にプレイする事が可能となっている。
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この他にも、当日にプレイするだけで「うそはうそであると見抜ける人でないと(WACCAを使うのは)難しい」という称号を獲得可能。元ネタは勿論、某掲示板における(元)管理人のあの台詞である。
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…とまぁ、ネタ曲・ネタ譜面が無いなりに工夫を凝らしたイベントだったのだが、2020年のエイプリルフールは大都市圏において不要不急の外出を控えるよう要請がなされていた真っただ中であった。他社音ゲー作品がプレイヤーの外出に繋がりかねない筐体上でのイベントを中止する一方、唯一本作だけが筐体上でのイベントを開催してしまったのである。
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その後、自粛要請期間中のコラボイベントに関して「イベント用のデータを既に配信してしまっており、配信済みのデータを遠隔操作で急遽停止させるのも技術的に難しい」という旨の説明がなされた。エイプリルフールイベントについても同様の事情が存在していたと推察できるが、結果的に悪い意味で話題を集めてしまったのは否定できない。
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2020年4月の緊急事態宣言と外出自粛を受けて、本作では当時開催中だったイベントの開催期間大幅延長と、30日分のVIPメンバー権利付与という対応がなされた。
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VIPメンバー権利付与については、2020年6月8日までにICカードを使って本作を遊んだプレイヤー全員が対象となる。既にVIPメンバーとなっていた場合は期間が30日分延長された。
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『GROOVE COASTER』コラボイベントについてはグルコス側の協力を得た上で、次回作でのコラボイベント第2弾と同時の復刻もなされている。
最終更新:2023年09月14日 23:17