高速思考 将棋皇
【こうそくしこう しょうぎおう】
ジャンル
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将棋
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対応機種
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スーパーファミコン
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発売・開発元
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イマジニア
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発売日
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1995年3月24日
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定価
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12,800円(税抜)
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廉価版
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1996年12月6日/5,980円(税抜)
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周辺機器
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スーパーファミコンマウス対応
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判定
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なし
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ポイント
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初心者お断り 4人の対局相手 100問もある詰将棋
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概要
イマジニアから発売された将棋ゲーム。
当時はSFC将棋がプロ棋士監修まで行われて盛り上がりを見せていた時期であり、本作もその1作となる。
見るからに硬派なパッケージであるが、楽しい4人のキャラと対局、そして詰将棋100問が楽しめる作品である。
特徴
4人の対戦相手
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「山名 桂子」「持田 竜一」「取山 陣馬」「福田 千香」の4人。
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オープニングでは4人の対局相手が、名前や顔グラ、更に出身地、生年月日、血液型、解説などと共に表示される。
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作中では勝ち抜き戦で4人に勝ち、将棋皇を目指す。
ゲーム内容
練習
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4人のキャラと、2枚落ちの上手~下手や、持ち時間など腕前に応じてあらゆる条件で対局できる。
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デフォは山名桂子と平手だが、いいえを選ぶと他のキャラも選べるようになる。
勝ち抜き戦
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4人のキャラと対局して将棋皇を目指すモード。練習とは違ったセリフを放ち、それぞれ専用曲も用意されている。
詰将棋
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4人から各25問、合わせて100問にもなる。記録には残らないかわりに、最初から全問選ぶことが可能。上位の方は手数が長かったり大駒の不成などトリッキーな指し手も要求されて難易度が高い。
対局
評価点
素材、グラフィックが良い
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まず電源を入れると、鳳凰の一枚絵が登場して画面上から「将棋皇」と書かれたものが登場、和紙の用紙に筆字で書かれていて味わい深い。
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メニューは、各項目が巻物で表示、カーソルは筆を使って選ぶ仕様、選択した際は巻物が展開される。
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読み上げ機能を搭載している。オフにも出来るので快適。
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4人のキャラクター
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まず対局中でも顔グラが表示される事が良い。対局中に対局相手の顔が見られない作品も結構ある中では嬉しい部類。
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瞬き口パクも用意されており、色々な表情を見せてくれる。表情も豊かで勝敗は勿論、思考中に応じて顔つきも変わる。
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台詞も勝敗の際だけではなく、指し手に応じて格言も語り掛けて来たりする。
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文字は漢字が使われている。
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しかも、アンチエリアシングが施されておりジャギーもない。
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詰将棋
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こちらでも4人のキャラが相手を務めてくれる。合計100問は各キャラが25問ずつ担当する。
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解くたびに喜んでくれるし、お手付きをした際は励ましてくれる。
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詰め上りが2通りある場合はどちらでも正解にしてくれる。何だそれだけかと思うかもしれないが、詰ませたのに不正解扱いされる作品もある。
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本作は、例えば、13問目では不成でも詰むようになっている。
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こちらは制限時間はないが、タイマーが表示されてプレーヤーにとっての目安にもなる。
賛否両論点
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初心者お断り
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山名桂子は「将棋は始めたばかりのドしろうと、弱い」とあるがそれはSFC将棋での基準であり、詰将棋でも3手詰めや5手詰めをバンバン出題して来るし、対局では駒を効果的に使ってくるため、ルールを覚えた段階では勝てないだろう。
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弱点がある
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飛車打ちの変化球から右金ブロック、角の強襲、香と銀で飛車を詰ませた後に、下段の飛成から馬で詰み上がりまで確認されている。
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奇襲戦法が刺さるのは本作に限った話ではなく、SFCで将棋を作る以上、基本的にプロ棋士監修でも他のメーカーでも強さが似たり寄ったりである。
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ただし、『早指し二段 森田将棋』に関しては将棋連盟が特殊チップを搭載してSFCレベルでは考えられない強さを誇りパックマンも通用しない。
問題点
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「勝ち抜き戦」の意味が薄い
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練習と勝ち抜きの内容が大同小異で分けた意味がない。4人に勝ってもスタッフロールもなく終わる。
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「将棋皇」と呼べる要素に関してはタイトルで出て来た画像のみである。
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練習で駒落ち上手を選ぶ方が難しいので、そちらの方が意味があるのではと言われている。
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高速思考
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本作のCPUは普通に時間を使って来るわりにSFC将棋としては特に強いと言う実感は無い。この点に関しても看板倒れと言えよう。
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色合い
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項目を暗い色にすることで使えない事を示すのが一般的だが、上部のメニューはセーブや待ったが使えるのに暗い色なので紛らわしい。
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モード選択の巻物があるが、青い色が並ぶ中で選んだものだけ灰色になる仕様、これは逆だと思われる。
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対局モード
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これは2人で対局できるのだが、「対局モード」より「2P対局モード」とでもすれば分かり易かった。
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どちらかが画面上の方を持たなくてはならないので分かり辛い点がある。手番ごとに上下反転をする作品があるが、本作にそれがないのは残念と言える。
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駒落ちが実装されているのは良いが、駒落ちの場合は先手後手ではなく上手下手とすべきである。そして王と玉をもつべきだが両者とも玉になっている。
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パッケージデザイン
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黒いデザインで武骨なイメージのパッケージや、黒地に筆の文字で彩られたカセットのラベルは硬派で敷居が高そうな印象を与えており、損をしているように思える。1週間後発売の『羽生名人のおもしろ将棋』とは真逆である。
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ラベルに4人の顔グラを描けば印象も違ったと思われる。
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対局中にセーブが出来てしまう。
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1勝ごとではなく、対局中にである。これにより形勢を損ねても特定の局面からやり直せるので楽である。将棋の「待った」でも甘いと言われている中でこれはやりすぎと言えよう。
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もっとも、こんな事をしなくても普通に勝てる強さなのだが……
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他には、指し手の駒が点滅して動くあたりの演出が安っぽいと言える。
総評
タイトルやパッケージで堅苦しい印象があるが、4人のキャラと対局・100問の詰将棋が楽しめる作りになっている。
どうしても勝てないならパックマンで弱点を突いても良いし、棋力が物足りなくても詰将棋100問に挑む楽しみがあるので現在でも選択肢に挙がると言える。
余談
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約2年後には廉価版が発売されている。
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現在は投げ売り同然で取引されており入手しやすいものとなっている。SFC将棋に興味を持ったら手に取ってみるのも面白い。
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本作の丁度1週間後にはイマジニアから『近代麻雀スペシャル』が発売。『羽生名人のおもしろ将棋』と同日だったりする。
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イマジニアは1994年にGBで4月8日『詰め将棋 ~百番勝負~』、11月25日『本将棋』を発売している。
SFC将棋よもやま話
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詳しくは『初段 森田将棋』で述べられているが、SFC将棋はプロ棋士による監修も行われている。
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当時はプロ監修第4弾『伊藤果六段の将棋道場』が発売されており、他のメーカーもそれに負けじと追従している。
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『スーパー将棋2』『スーパー五目・将棋 -定跡研究篇-』『スーパー詰将棋1000』『風雲児龍王』『将棋倶楽部』、そして本作『将棋皇』と、付加価値を詰将棋に力を入れた作品が多かった。
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1995年は将棋界にとっても色々な事があった年でもあり、詰将棋では「ミクロコスモス」1525手詰めが発表されており最長手数記録となっている。
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本作の丁度1週間後には『羽生名人のおもしろ将棋』が発売されて更なる盛り上がりを見せる。
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SFC将棋は値崩れを起こしている作品が多い模様。
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『伊藤果六段の将棋道場』でさえ投げ売りされており、『スーパー詰将棋1000』もそれなりの価格になっている。ただし、1995年末発売の『将棋三昧』はプレミア高騰している。たかが将棋シューティングの何が人をそんなに惹きつけるのか…。
最終更新:2023年02月14日 12:57