らじかるぼんばー!! 地雷くん

【らじかるぼんばー!! じらいくん】

ジャンル ボードゲーム
対応機種 ファミリーコンピュータ ディスクシステム
発売元 ジャレコ
発売日
()は書換開始日
1988年7月29日(1988年9月9日)
プレイ人数 1~5人
定価 3,200円
判定 良作
ポイント 根本的にはシンプルイズベストを地で行くスタイル
非常に細かく多彩なカスタマイズ
ファミコン唯一の5人でプレー可能なゲーム


概要

シンプルな「鬼ごっこ」のようなボードゲーム。
アクションスキルなどは一切不要で、戦略性重視のタイプ。
弱者数人が強者1人を追い詰める「ウサギと猟犬」やドイツ製のボードゲーム「スコットランドヤード*1」をアレンジしたようなルールである。

1988年にもなればストーリー設定の要素は大抵あるものだが、本作にそういうものはない。
最大5人までプレイ可能で『桃太郎電鉄』もなかった*2当時、このようなボードゲームは非常に珍しかった。


内容

既定のターン内に「ランナウェイ」を4人の「チェイサー」のうちいずれかが捕まえれば、「チェイサー」の勝ち、逃げ切られれば「ランナウェイ」の勝ちという、基本ルールは非常にシンプルなもの。
それぞれターンに各々1回ずつ行動する(ただしランナウェイのみ、使用回数は限られるが2回行動できる特権がある)。
地形にはいろいろ癖があり、それを活かした戦術が要求される。

NPCとして「地雷くん」というキャラがおり、ターンの最後にランダムで移動。ターンの経過に伴って増えることもある。
これと同じマスで重なってしまうと地雷くんは爆発し1回休みになるので、この動きに注意しながら追いかける、または逃げる必要がある。
また地雷くん同士が重なった場合、爆発して2体とも消滅する。

地形のパターン

・短距離ポイント(デフォルト)

  • いわゆる基本のマスで、移動は道がつながっている1つ隣のみ。

・長距離ポイント(赤マス)

  • 一直線で長距離ルート(赤色のルート)が繋がっていれば次の赤マスまで一気に移動できる。
    • ただし、途中にある他のマスへの移動は不可(すぐ隣であれば可)。

・切り替えポイント(「P」マス)

  • 繋がっている短距離ルートを時計回りで動かせる。
    • ポイント切り替えはターン開始時に、このマスにいることが条件で、切り替えたら行動終了(移動は次のターン)。

・ワープポイント(「W 01」「W 02」「W 03」「W 04」マス)

  • 同じ番号のマスへワープできる。
    • ポイント切り替え同様ワープはターン開始時に、このマスにいることが条件で、ワープしたら行動終了(移動は次のターン)。

プレイヤーキャラ

・ランナウェイ(ランちゃん)

  • 既定のターン数「チェイサー」に捕まらず逃げ切れば勝ち。
  • 2回行動できる「ダブルムーブ」と、ルートを破壊をできる「爆弾」を回数が限られるが使うことができる。
    • 破壊したルートは一定ターンの経過で元に戻る。

・チェイサー(チーくん・エッちゃん・イーくん・サーぼう)

  • 既定のターン内に「ランナウェイ」を捕まえられれば勝ち。
  • 移動するのみで特に特殊能力は持っていない。4人いるのでいかに協力して「ランナウェイ」を追い詰めていくか肝となる。

評価点

  • シンプルでわかりやすく、なおかつ変則的な面白さのバランスが取れている。
    • 単純な移動で追いつ追われつというシンプルなゲーム性だが「爆弾で道を分断」「長距離ルートとの兼ね合い」「ワープゾーン」「道のポイント切り替え」などの要素があって、単純すぎることはなく、それぞれの意味もわかりやすいのでシンプルながらも頭を使う戦略的要素で盛り上がれる。
    • チェイサー側は基本動作のみなのでそれぞれを1人ずつ4人のプレイヤーで操作すると単調さが否めないが、もちろん、そこはチームワークで戦うスタイルである。
      • 4人がかりで逃げ道をふさぎで追い詰めるだけでなく、いかに早くランナウェイの特殊能力を使い切らせるかなども重要となる。
  • コンストラクションの自由度が非常に高い。
    • ただマップを作るだけでなく、ランナウェイの爆弾の弾数や爆破したルート復旧までのターン数、ダブルムーブの回数などルールも自由に決められる。
      • 幼児と大人といった普通にプレイすれば勝負にならないような者でも、ハンデがつけやすく拮抗した対戦が楽しめる。
  • プレイ時間も適度。
    • ターン数にもよるが20ターン程度のプレイでは大体30分ぐらいなので短時間に大勢で楽しむには丁度いい。
  • NPC「地雷くん」による程よい運要素。
    • 突然現れたりするので戦略が狂いがちになるが、完全な運ゲーになるようなものでもないのでゲームを面白くしている。

問題点

  • そこまで気になるレベルではないが、移動のアクションが単一で遅い。
    • 長距離だろうが短距離だろうが、まるでワープのようにワイプで消えて「ピーッ」という音とともにワイプして現れるという形式。
      • 短距離なら走るアクション、長距離なら乗物で移動するのような差別化があれば見た目でわかりやすかっただろう。
      • 説明書を読んでいないと、長距離と短距離の仕様がわからないこともある*3
    • 一方ワープはノーアクションで画面がパッと切り替わる。
  • マップが広いわりにカーソルの移動が遅め。
    • 詰め合った隣のマスに移動するのみなら適切な速さだが遠距離ルートもあれば、隣のマスが遠い場合もある。

総評

当時のディスクカードは容量やバックアップなど優位性を失った*4衰退期であり、かつゲームジャンル上もRPGの全盛期だったため、作品そのものはマイナーな立ち位置に収まっている一方、ゲーム自体はシンプルで地味ながら大勢で楽しめるものとしてバランス良く仕上がっている。
またコンストラクションの自由度に関しても非常に高く、ルールまでカスタマイズできる点も使い勝手が良い。これによりハンデの度合いなども自由自在で、年齢差、実力差があっても拮抗した対戦を楽しみやすい。

親しみやすさ、ルールのわかりやすさ、程よいプレイ時間など、物理的な障壁抜きで楽しめるコンピューターボードゲームとしては理想的と言えるだろう。


余談

  • インターネットが普及した現在それを利用した対戦にもうってつけのゲームだが、残念ながら実現していない。

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ジャレコ TBL
最終更新:2024年01月14日 13:31

*1 追跡役の警官数人と逃走役の犯人1人に分かれての追跡劇がテーマのボードゲームの有名作。

*2 同年12月に発売された。

*3 翌年以降は小売店はもちろん任天堂自体がディスクシステムへ注力が弱くなり店頭での書換えサービスは行っていたものの説明書やタイトルシールがないことも多々あった。

*4 ただし書換えが可能で、不要になったゲームのカードがあるだけで500円という超安価で手軽に違うゲームが入手できるという経済的な強みはあった。