燃えプロ!最強編

【もえぷろ!さいきょうへん】

ジャンル スポーツ(野球)
対応機種 ファミリーコンピュータ
発売元 ジャレコ
発売元 トーセ
発売日 1991年11月22日
プレイ人数 1~2人
定価 6,700円(税別)
判定 良作
ポイント はじめての選手名、球団名公式認定
前作の難点を克服(歴史は繰り返す?)
ペナントレース復活
過去作のいろいろいいとこ取り
燃えろ!!シリーズ


概要

燃えろ!!プロ野球』のシリーズ第5弾であり、ファミコンでの最終作。 基本的に前作のスタイルを踏襲しつつ、前々作までのようなペナントレースが復活した。

また本作は日本プロ野球公認で選手名や球団名が実名になった。
パッケージでも全12球団の球団旗が顔を揃えている。

試合のシステムは全体的に前作に準じている。
本項目では前作からの変更点を中心に記述する。


変更点

  • 球団名、選手名が全て実名になった。
    • 初代でも実名だったが「実際の球団・人物とは関係ありません」という形ではなく、日本プロ野球機構公認で正式名称になった。
    • その一方で前作で登場した、往年の名選手たちは姿を消している。
    • 選手データは1991年シーズン終了時に準拠している(一例として高沢秀昭がロッテに戻っている*1)。
  • 再びペナントレースが復活。
    • 現実同様130試合制で70勝すると優勝となる。もちろん長丁場なので旧来通りパスワードで再開できる。
    • 日本シリーズも元通り再現され、日本一を達成する(4勝する)とエンディングになる。
  • 「守備レーダーシステム」を導入。
    • 守備のアングルは前作のままだが、本作ではレーダーのようなグラウンドの縮図が追加され、外野手のポジショニングが把握できるようになった。
      • そのため、外野手が画面外にいる状態でも操作してボールの落下点に近づけることが簡単になった。
  • 前作のような不公平なDHも解消された。
    • プレイヤー同士対戦できるオープン戦では、後攻側のチームに合わせてDHの有無が決定される。
      • つまり後攻側がセ・リーグならばDHなし、パ・リーグならばDHあり。
  • 前作のファインプレーなども「テクニカルポイント」としてしっかり踏襲。
    • ファインプレーを決めたり、ピッチャーなら三振を取ったりするとプラスされ、逆に三振やエラーなどによるマイナスがある。
    • 白い星マークがプラスで、黒い星マークがマイナス表示。

評価点

  • 前作のおかしな点は全て解消された。
    • 前作のような不自然に広いバットの当り判定もなくなり自然になった。
    • 異常なほど遅いスローボールはバッチリ修正された。
      • まるで『初代』→『'88決定版』の歴史を繰り返している?
  • 守備時も「守備レーダー」のおかげで外野守備もグンとやりやすくなった。
    • これにより、自動補正がなくても外野手を予め動かすことができるようになり、一層リアル野球に近づいた。
      むしろこれはもっと早く導入するべきだったのでは?
      • ただ、画面外に消える打球の高さに関しては感覚で慣れなければならない。
  • 球場再現もなかなかリアル。
    • 前作よりも観客のグラフィックがよく描けている。
    • 試合前に球場の外観を再現したカットが入るのだが、これが当時の本物をしっかり再現できている。
    • 試合前に入るたったの1カットだというのに、非常にこだわりが感じられる。
      • ただ、スコアボードに関しては一昨年の『』に比べれると、再現度は低い。
  • ファインプレーなどもバッチリ盛り上げている。
    • 上記のテクニカルポイントの中で、守備でファインプレーを見せると専用のカットが入り、派手にフラッシュしてそのプレーをとことん盛り上げている。

問題点

  • 実名になったのはいいが不完全な部分もある。
    • 外国人選手まで平仮名な上に、文字数も少なく濁点や半濁点まで1文字扱いなので再現できていない選手もいる。
      例・「ブラッドリー」(巨人)*2の表記が「ぶらどり」
  • 折角公認で実名になったのに、守備ポジション概念は復活せず。そのため現実のキャッチャーはハナから打力の高い外野手あたりにポジションを奪われる。
    • 元々リアルをウリにしており、実名化でそれが一層強まったにもかかわらず、これが復活していないのは残念なところ。
  • 「ワー」の歓声とバッティングの効果音が混じると、後者の方が消される。
    • 歓声よりもバットの音の方が大事なので優先度が間違っている。
      • 一応、画面が投球に切り替わったとき、歓声が消えるまで落ち着いてワンテンポ置けば避けられる。
    • また前作同様3アウト後でも2塁(得点圏到達)で「ワー」という不自然な点は直っていない。

総評

前作をベースに旧来スタイルのゲームに戻したような形になったが、結果的には元々理想としていたスタイルになったと言えるだろう。
初代以来実名となり(しかも公式で)、『'88』で完成されたペナントレースシステム、また『新』での実在球場の再現、更に前作のような好プレーをフィーチャーするテクニカルポイントなど、まさに「これまでのシリーズのいいとこ取り」のようになった。
リアル路線ながらポジションは復活しないままという残念な部分もあるが、ファミコンでのシリーズ最終作として、「最強」という名に恥じないものになった。


その後の展開

  • 本作を最後に年次リリースは打ち止めとなる。
    • 次に正式な名前でのリリースは1994年のスーパーファミコンソフト『スーパー燃えろ!!プロ野球』まで待つことになる。

余談

  • 1988年に日本プロ野球の公認ライセンスがなければ実名を使えなくなってから、ライバルシリーズはいずれも選手名は変名してきたが、1992年3月に『スーパーファミスタ』(FCでは1992年12月の『ファミスタ'93』)、1993年12月に『スーパー究極ハリキリスタジアム』、更には1994年3月にはファミスタシリーズに代わって野球ゲームの覇権を握った『実況パワフルプロ野球'94』など、続々と公認で実名を使うようになった。
    • そう考えると本作自身はヒットとは程遠いが、その流れを作ったと言えなくもない。
    • 上記の『スーパーリアルベースボール '88』はリーグもない単戦のみで、しかも細かい操作こだわりすぎたせいで過度に複雑なものになり現在は野球クソゲーの最高峰のように扱われているが、野球ブーム真っ盛りだったこともあって「日本プロ野球公認、選手はすべて実名」という触れ込みの影響は大きく*3、実は当時60万本というかなりのヒットを記録している。
      • そう考えると本作もそのブーム全盛期である『'88決定版』の頃にちゃんとライセンスを取って実名を使用していればその初代同様ミリオン達成も夢ではなかった*4かもと考えると遅きに失したことが惜しまれる。
最終更新:2023年01月22日 14:02

*1 1990年シーズン前、広島にトレード移籍し、この年の途中にロッテに出戻った。

*2 フィル・ブラッドリー 前年限りで退団したウォーレン・クロマティの穴埋めに巨人が獲得した外野手。

*3 本シリーズの初代や'87年版までのファミスタのように、それまで普通に実名だったが、翌年になれば『パワーリーグ』や『究極ハリキリスタジアム』などで選手の名前がなまっていたことから、当時のユーザーにも「実名が使えなくなった」ということがうすうす伝わっていた。

*4 『'88決定版』も50万本程度は売れている。