本項は完全版であるSwitch/Win版について記載しています。
Apple Arcade版は余談扱いとして記載しています。
【わーるずえんどくらぶ】
ストーリーアドベンチャーに2D横スクロールアクションの要素が融合されたAADVで、『デスカムトゥルー』に続くイザナギゲームズ発売のゲーム第二弾。
「12歳の少年少女12人による1200kmの旅」をテーマに、登場人物である「ガンバレ組」の小学生達がある謎を解明を求めて日本を横断するジュブナイル・ロードムービーを彷彿とさせる冒険物語となっている。
2020年にApple Arcade専用コンテンツとして配信され、後の2021年にSwitchに完全版として移植・販売された。同年12月にはSwitch版ベースのWindows移植版もSteamにて配信が開始されている。
ディレクター・シナリオは『極限脱出』シリーズの打越鋼太郎。クリエイティブディレクターは『ダンガンロンパ』シリーズの小高和剛。
そしてもう1人のディレクターを『I/O』や『ルートダブル -Before Crime * After Days-』の中澤工が務めた。
打越氏と小高氏が設立したトゥーキョーゲームス(*1)が設立当初から発表していた作品であり、有名シリーズを手掛けた両氏がタッグを組んだ作品としても話題になった(開発自体はグランディングが行なっている)。
但し、実際に開発を主導していたのは打越氏と中澤氏のinfinityコンビであり、小高氏はそこに自分の意見を出す(氏曰く「わがままを言う」)立場だったとの事(参照)。
発表当時は『デスマーチクラブ』というタイトルだったが、Apple Arcade版のリリースと共に本作品名の『ワールズエンドクラブ』に変更された。
東京のとある小学校に、全国からおちこぼれだけが集められた「ガンバレ組」と呼ばれるクラスがある。
れいちょ達はそんなクラスに所属する、ちょっと周りと変わった子供だ。
ある夏の日のこと。
彼らが修学旅行に向かう途中、乗っていたバスが事故に巻き込まれる。
目覚めると、そこは海中に建造された遊園地。
だいぶ前に閉園し、人気のない寂れた廃墟のような場所にれいちょ達は閉じ込められる。
そこで、どこからともなく現れた謎のピエロ、仲間同士で「殺し合いのゲーム」をするように命じられる!
事態を飲み込む間もなく、その命がけのゲームに巻き込まれる一同。
このあまりにも異常な局面を、子供達だけでどう乗り切っていくのか?
途方に暮れる一同だったが・・・
そんな中、彼らに不思議な能力が目覚め始める。
一方その頃・・・
地上では「ある異常な事態」が発生していた。
※ 公式サイトより転載
+ | 登場人物 |
本作はプレイヤーとして主人公である「れいちょ」を操作してゲームを進める。
ADVパート、2Dアクションパート、キャンプパートの3つに分かれており、各パートが入れ替わる形で進行する。
ADVパート
2Dアクションパート
キャンプパート
キャラクターデザイン
シナリオ
元気が出るテーマ曲
豪華声優陣
個性豊かなキャラクター
シナリオ面
※シナリオの展開の都合上、全てが本作のネタバレに繋がるため折りたたんでいます。
+ | シナリオ全体に関わるネタバレ |
ゲームボリューム
アクションパート全体
本作のアクションパートだが、残念なことに完成度が高いとは言いにくい内容となっておりこれが評価を下げる一因となってしまっている。
アクションパート全体のテンポと操作の悪さ
難易度が低すぎる謎解き要素
誰も協力しようとしない同行者
シナリオの細かいツッコミ所
+ | ネタバレ注意 |
展開に関する問題点
+ | ネタバレにつき折りたたみ |
ルート分岐と整合性の取れていないシナリオ
アドベンチャーとしては使いづらいUI
アクションパートや序盤の展開、シナリオの細かいところで問題はあるものの、シナリオに関しては全体的にうまくまとまっている。
アクションとしてではなく、アドベンチャーとしてプレイするなら十分楽しめるだろう。
ただ、本作のコンセプトの関係上、大人向け要素と子供向け要素が混在した構成になっているのだが、「大人も子供も楽しめる」と言うよりは「どっちつかず」になっている印象も否めない。
それでも『infinity』『極限脱出』『ダンガンロンパ』といった作品を作ってきた製作陣には珍しい「綺麗なシナリオ」であり、それを見たい方は本作はある意味お勧めである。
シナリオを見る際にも、これら過去作のような作風は一旦忘れ、小高氏が言った(後述)ように「子どもに戻って子どものような気持ち」で手を出すのが良い。
+ | ネタバレ:Apple Arcade版発表時の展開について |
*1 中澤氏も在籍。
*2 小高氏としては「これはライターの仕事じゃない」という部分のみに関わったという認識らしい。
*3 前述の作品にも参加しているが、元を辿れば打越・中澤両名の初期作品『Close to 〜祈りの丘〜』に出ていた声優もいる。
*4 ダンガンロンパシリーズでさえ、『絶対絶望少女』の悪役「希望の戦士」もその悪行にも拘わらず子供だからという事なのか全員生存している。
*5 元はアダルト同人ゲームだが、コンシューマー用にフルリメイクする際に中澤氏が監督を務めた。
*6 4Gamerのインタビューでは、インタビュアーが「ファミコンライク」「真のデスゲーム」と語っているほど。
*7 橋や海底トンネルを建設する「太平洋新国土軸豊予海峡ルート」の構想はあったものの様々な事情で凍結している。
*8 確かに『名探偵コナン&金田一少年の事件簿 めぐりあう2人の名探偵』ではシナリオの展開上殺人事件が幾度となく起こるのだが、表現面では直接的なものを可能な限り避けており結果CERO:Aとなったと思われる。
*9 80年代~2000年代前半頃のコロコロ読者をメインターゲットとした大人向けのコロコロコミック。休載後は連載漫画をコロコロオンラインに移している。
*10 実際のSwitch体験版は確かにデスゲーム部分を抜き出したものとなっている。
*11 この思想自体はダンガンロンパシリーズの頃から(作品の内容とは裏腹に)片鱗が見えてはいた。
*12 一応「2021年春にSwitch版で発売決定」とは告知はされていたが、完全版の存在については触れられていなかった