The GG 忍
【ざ じーじー しのび】
ジャンル
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アクション
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対応機種
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ゲームギア
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発売元
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セガ
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発売日
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1991年4月26日
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定価
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3,800円(定価)
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プレイ人数
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1人
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配信
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バーチャルコンソール
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3DS
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2012年6月27日/286円(税別)
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判定
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良作
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ポイント
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携帯機初進出作 5人の忍者で戦え!
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忍シリーズ
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概要
忍シリーズ初の携帯機初進出作。
今作の発売はGGの本体発売から約半年後なのだが、これまでの同ハードは家庭用からの移植が大半だったのに対して、
今作は初めて発売された「ゲームギアオリジナルタイトル」でもある。
システムはMD『ザ・スーパー忍』(以下「原作」)がベースで、
ジョー・ムサシをはじめとする5人の忍者を操作してステージクリアを目指していく。
時系列としては、原作の前日譚となる内容で、同作の主人公「ジョー・ムサシ」の若き日を描いている。
システム
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基本的な操作方法は十字パッドでプレイヤーの移動、Aボタンでジャンプ、Bボタンで攻撃。スタートボタンでポーズメニュー。
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十字パッドを斜め下に押し続ける事でしゃがみ移動。
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ポーズメニューでは、スコア確認の他に、プレイヤーキャラ(忍者)の変更や忍術の発動にも使用。
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ゲームの進め方
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今作は『ロックマン』よろしく、ステージ選択制のアクションゲームになっている。
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ゲームを始めるとステージ選択画面になり「HIGHWAY」「VALLEY」「WOODLAND」「HARBOR」のどれかを選択してスタート。
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ステージをクリアするとステージボスとして洗脳されている仲間の忍者を救出する事が出来る。救出した仲間の忍者はプレイヤーキャラとして操作が出来る様になる。
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一度クリアしたステージには二度と入る事が出来ない。
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最初から出現している4ステージをクリアすると、最終ステージの「NEO SITY」が出現する。
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5人の忍者(プレイヤーキャラ)
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今作は主人公の「ジョー・ムサシ」をはじめとする5人の忍を使い分けながら進めていく。
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赤忍(ジョー・ムサシ)…『忍シリーズ』の主人公で今作におけるデフォルトから使えるキャラクター。今作において、他のキャラとの差別化に伴い、「赤」のパーソナルカラーが与えられている。
これまでのシリーズ作品では多彩な武器と忍術を駆使していたが、今作の彼の武器は刀で通常では近距離攻撃のみで戦う事になる。特殊能力は無い。
忍術は「烈震の術」。地震で画面全体に攻撃を行う他、画面内にある特定のブロックを破壊して先に進む事が出来る。
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桃忍…「HIGHWAY」ステージをクリアすると使用可能になるくノ一。シリーズ史上初となる女性プレイヤーキャラでもある。
プレイヤーの斜め下に高威力の爆弾を投下する攻撃をメインウェポンとしている。
特殊能力は「逆さ張り付き」。ジャンプ中に十字パッドの↑を押しながらジャンプボタンを押すと、天井に張り付き移動するが出来る。
忍術は「閃光の術」。まばゆい閃光を浴びせ敵の動きを止める効果を持つほか、特定のエリアの暗闇を照らしたり最終ステージに存在する毒水のトラップの水位を下げる事が出来る。
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黄忍…「HARBOR」ステージをクリアすると使用可能になる。
攻撃をチャージする事によって強力な一撃を放てる「波動拳」をメインウェポンとしている。
特殊能力は水上移動。他のプレイヤーでは落ちるとミスになってしまう川をミス無く移動しショートカットとして利用する事が出来る他、特定ステージの吹き出す水にも乗る事が出来る。
忍術は「雷の術」。敵の攻撃を防ぐバリアーを貼る。
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青忍…「VALLEY」ステージをクリアすると使用可能になる。
非常にリーチの長く攻撃力の高い鎖鎌をメインウェポンとしている。
固有アクションとして、特定の地形に鎖鎌を引っ掛けて空中移動を行う、所謂「ワイヤーアクション」を行う事が出来る。
忍術は「昇龍の術」。自身を竜巻に変化させ体当たりで攻撃する。また、変身中は上下左右に移動する事が可能で、ステージによってはショートカットを狙える事も。
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緑忍…「WOODLAND」ステージをクリアすると使用可能になる。
単発の攻撃力こそ最低ではあるのだが、シリーズ本編と同様に手裏剣での遠距離攻撃を行う事が出来る。
特殊能力は原作でお馴染みの「八双飛び」。ジャンプ中の特定のタイミングで再度ジャンプボタンを押すと、二段ジャンプを行う事が出来る。八双飛びは高所への移動に使える他、八双飛び中に攻撃ボタンで下方向に手裏剣をバラまく「八双手裏剣」を繰り出せる。
忍術は「微塵の術」。使用した際に1ミス扱いになってしまうのだが、体力を全回復した状態でその場から復活する事が出来る。ただし、1ミス扱いになってしまうので、忍術のストックが全て無くなってしまう点に注意。
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アイテム
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今作では原作同様にステージ内に設置してある木箱を破壊するとアイテムが出現。「爆弾」以外のアイテムは接触すると入手する事が出来る。
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ハート・・・取得すると体力ゲージ2つ分を回復する。
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爆弾…出現すると数秒後に爆発する爆弾。爆発に触れるとダメージを受ける、唯一の「罠」アイテム。
デザインは原作では時限爆弾の様な見た目だったのだが、GGへの移植に際して一般的なデザインの爆弾に変更されている。
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1UP…入手すると現在のプレイヤー数が1つ増える。
特定のエリアでこのアイテムを入手せずにクリアすると、スペシャルボーナスとして5,000点獲得する事が出来る。
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ライフアップ…今作初登場のアイテム。
最初から選択できる4ステージ内のどこかに存在しており、取得すると体力の上限値が2つ上昇する。
評価点
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携帯機で再現された『ザ・スーパー忍』の世界
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今作は十字受けや武器のパワーアップ、忍術の一部こそカットされてしまったものの、忍術や二段ジャンプからの八双手裏剣、近距離攻撃といった原作ゲームのアクションの多くを行う事が出来る。
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更に、今作の忍術はカットイン演出も追加されていて、これまでのシリーズ以上に派手な戦いを行う事が可能に。
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グラフィックにこだわっている携帯機であるゲームギアで発売された作品という事もあってか、ゲームのグラフィックの完成度は高く、原作ゲームと引けを取らないレベルになっている。
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流石に原作の初期版の様なヤバさこそ無いのだが、原作同様に和風と現代的なデザインが混じったステージやボスも健在。
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ハードの性能の限界からか、ボス戦は背景こそ一色になっているものの、原作同様の巨大ボスが動き回るのは、携帯機ながら迫力がある。
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原作には存在しない、今作独自のゲーム性
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今作のプレイヤーキャラとなる5忍は、攻撃方法・特殊能力・忍術共に実に個性的な面々ばかり。使っていても飽きない工夫がなされている。
使用可能なキャラが増えたという点は、原作で行えなかったアクションも出来る様になっている事から、結果的に「アクションの幅も原作から更に豊富になっている」と言っても良いだろう。
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今作は原作のステージクリア制からステージ選択制に変更され、攻略ステージの順番を決めていく戦略性が存在。
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各ステージのどこかにはライフアップ入りの箱が存在している。
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ライフアップ入りの箱は別のステージで仲間になる忍者の力を使わなければならない位置にも設置されていて、クリア済みのステージに入れない仕様も相まって、攻略するステージを選択していく戦略がある。
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良好な楽曲群
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今作は原作同様に古代祐三氏がBGMを手掛けているという事もあってか、耳に残るBGMも多い。
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中にはボス戦BGMなど原作で使われていた楽曲も存在していて、原作ファンはニヤリとする事間違いなし。
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今作は「タイトル画面で↑+ABを押しながらスタート」というコマンドを入力すると発動するサウンドテストモードが存在するので、ゲームで使われている楽曲の数々をじっくりと聴く事が出来る。
賛否両論点
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忍術について
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今作で使える忍術は演出がより派手になっている反面、使用の際にいちいちポーズメニューを開かなければならないので、ゲームのテンポが崩れやすい。
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特に最終ステージで顕著になっている。
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同ステージは各キャラの忍術を駆使して先に進む構成になっているのだが、忍術の際にポーズメニューとカットインが挿入される形式、かつ忍者を切り替えながら進む必要があるので、操作が煩わしくなってしまいがち。
問題点
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最終ステージ「NEO SITY」における急激な難易度上昇
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今作は選択4ステージは攻略するステージの順番を把握しつつ進めばアクションゲーム初心者でも十分に攻略が可能な難易度なのだが、最終ステージの「NEO SITY」に突入すると一転。プレイヤーキャラを場面ごとに切り替えながら、複雑なルートや仕掛けの数々を攻略しなければならない高難度ステージへと変貌する。
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今作は携帯機向けという事もあってか、ゲームのボリュームはそこまでではないのだが、本ステージの攻略に掛かる時間は非常に長い。気が付いたら、今作のプレイ時間の大半が最終ステージ攻略に費やされていた事も…
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このステージでは仕掛けを解くために忍術を多用する必要があるのだが、ミスして1機失ってしまうと忍術のストックもゼロになってしまい、ステージ攻略の難易度も上昇してしまう。
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バックアップ・パスワードコンティニュー無し
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今作は携帯機らしいボリュームではあるものの、パスワード入力によるコンティニューが存在せず、ゲームを中断する事が出来ない。
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主人公「ジョー・ムサシ」の存在の薄さ
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今作は5人の個性的な忍者を操作して攻略するゲーム性なのだが、5人のうち主人公の「ジョー・ムサシ」は特殊能力が存在せず、かつ通常攻撃も近距離専用の刀という事から、今作のプレイヤーキャラの中でも性能が低い。
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4ステージに存在しているライフアップは各忍の特殊能力を使用して入手するのだが、彼の能力で取得できるライフアップが存在しない点も存在の薄さに拍車を掛けている。
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一応、彼の忍術のみで破壊可能なブロックがあったり、ラスボス第1形態では彼の攻撃のみが有効だったりと、見せ場自体は存在しているのだが、主人公の割にはこの性能ではいただけない。
せめて原作から十字受けが引き継がれていれば、もっと活躍出来たのだが…
総評
今作は忍シリーズ初の携帯機オリジナル作品という事もあってか、良質なグラフィックはさることながら、細かなグラフィックやアクションの豊富さから、黎明期のゲームギアの底力を見せた作品。
近年ではバーチャルコンソールやゲームギアミクロへの復刻版が存在している関係で、比較的気軽に触れやすいのも良いだろう。
その後の展開
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今作の発売の翌年の1992年12月11日には続編となる『The GG忍II』が発売された。
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同作は今作のグラフィックやシステムをパワーアップさせた正統派な続編になっているのだが、残念ながらVCやゲームギアミクロといったレトロゲーム復刻の機会に恵まれておらず、初代と比べてレアな作品と化しているのは否めない。
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なお、忍シリーズは翌1993年に発売されたMD『ザ・スーパー忍II』にて、スピード感を重視したスタイリッシュ忍者アクションへと路線変更した事から、同作はこれまでの家庭用シリーズにおける路線の最終作となった。
余談
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今作の記事の内容を見て分かる通り、攻撃方法の一部には、当時流行していた『ストリートファイターII』を思わせるような名称が採用されている。
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今作のプレイヤー5忍はスーパー戦隊を彷彿とさせるキャラ付けなのだが、後にセガ自身がスーパー戦隊のスーツアクターを務めていたJACとタッグを組んでSS『新・忍伝』をリリースした。
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更に『新・忍伝』の発売と同年には東映特撮ともタッグを組み1995年公開の映画『人造人間ハカイダー』を生み出した他、翌1996年にはテレビ東京の『超光戦士シャンゼリオン』で再度タッグを結成。特に後者は後に平成仮面ライダーシリーズを手掛けるスタッフが数多く参加している事で知られている。
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また、東映側では1994年に忍者をテーマにした『忍者戦隊カクレンジャー』が制作された。
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今作はある意味ではそれら東映作品の先駆け的な作品なのかも知れない…
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今作ではシリーズ初の女性プレイヤーキャラが登場したのだが、後にPS2で発売されたシリーズ作品の『Kunoichi -忍-』にて、正式な女性主人公の作品をリリースする事になった。
最終更新:2022年05月29日 08:47