シアトリズム ファイナルバーライン
【しあとりずむ ふぁいなるばーらいん】
ジャンル
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シアターリズムアクション
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対応機種
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Nintendo Switch プレイステーション4
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発売元
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スクウェア・エニックス
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開発元
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インディーズゼロ
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発売日
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2023年2月16日
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定価
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通常版: 6,380円(税込) デジタルDXエディション: 9,680円(税込) PRデジタルDXエディション: 11,880円(税込) |
プレイ人数
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1~2人
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レーティング
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CERO:B(12才以上対象)
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判定
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良作
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ポイント
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『シアトリズム』シリーズ今度こそ最終作 総楽曲数505の大ボリューム 操作系統はAC版準拠へ変更
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ファイナルファンタジーシリーズ
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シアトリズムシリーズリンク:TFF / TFFCC / TDQ / TFFAC / TFBL
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概要
『シアトリズム』シリーズ通算第5作。久しぶりに家庭用ゲーム機でのリリースとなり、初のマルチ展開かつシリーズ最終作と銘打たれた。
また、タイトルから『ファイナルファンタジー』が外され、他スクエニゲームの楽曲も増加している。
ただし従来通りメインが『FF』シリーズであることは変わらず、キャッチコピーも同じである。
システム
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全体的なシステムは『オールスターカーニバル』(以下AC)と同じである。
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操作系統もAC同様スティックとボタン操作のみになった。このため3DS版には無かった同時操作も導入されている。
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Criticalの判定が虹色と黄色の二段階なのも同じ。
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曲の難易度は「基本」「熟練」「究極」「超絶」の4段階だが、ACとは異なり最初から超絶を選択可能となっている。
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召喚獣もゲージが溜まると発動する攻撃技としての扱い。
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召喚獣とキャラの紐付けがなくなり、パーティ編成時にセットする「召喚石」によって呼び出されるようになった。
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他、2人同時協力プレイである「ペア」や譜面からスライド操作が無くなりタッチのみとなる「シンプル」などのモードが登場した。
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シリーズクエスト
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『カーテンコール』のクエストメドレーに相当。最初はメドレーステージにアンロックがかかっており、鍵を使うことでアンロックを解除できる。
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鍵はシリーズを途中までクリアすることで入手できるのでアンロック解除だけならステージを全てクリアしなくてもよい。
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ステージをクリアするとパーティキャラクターがさらに加入する。登場するのは主に敵キャラクター。
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ステージごとに課せられた様々なクエスト(お題)をクリアすることでアイテムやコレカなどが手に入る。
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「特定のキャラを編成してクリア」といった難なく達成できるものから、「HPが大幅に増えたケフカを倒す」などの鬼畜なものまで多種多様。
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エンディングを迎えた後はやりこみモードである「エンドレスワールド」が解禁される。こちらは1ステージごとに最大3曲まで用意される曲を1つだけ選択し、延々とクリアしていく内容。
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曲ごとに設定されたクエストをこなしていかなければライフが減っていきゼロになった途端にゲームオーバーとなる。
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DX限定楽曲やDLC楽曲も「エンドレスワールド」のお題として選ばれることも。
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ミュージックセレクト
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お馴染み好きな曲を選んで遊ぶモード。機能は『カーテンコール』と同様。
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マルチバトル
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オンライン対戦機能。最大4人までマッチングが可能。
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DX限定楽曲やDLC楽曲は、部屋の全員がアンロックしていれば選択可能。
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プロフィカ
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プレイヤーごとに用意されるプロフィールカード。プロフィカモード内やマルチバトル後にプレイヤー同士で交換を行うことが可能。
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召喚石も付与できるため、召喚石の交換もできる。
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DLC
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本作では『カーテンコール』と異なり曲のみの配信。また、1曲ごとの配信はなくパック形式での配信となる。
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プレイアブルキャラ一覧
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太字は『オールスターカーニバル』からの新規参戦(本作で新規参戦したキャラはいない)。
名前に「2nd」と付いているキャラクターは別衣装や別バージョン。
FFRKはスマホゲーム『ファイナルファンタジー レコードキーパー』。
MFFはスマホゲーム『メビウス ファイナルファンタジー』。
チョコボは本作では『チョコボの不思議なダンジョン 時忘れの迷宮』名義で参戦。
FF1
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ウォーリア・オブ・ライト、セーラ姫、ガーランド
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FF2
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フリオニール、ミンウ、マリア、ガイ、レオンハルト、皇帝
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FF3
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オニオンナイト、シド、暗闇の雲
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FF4
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セシル、カイン、ローザ、リディア、エッジ、ゴルベーザ
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FF5
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バッツ、レナ、ファリス、ガラフ、クルル、ギルガメッシュ、エクスデス
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FF6
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ティナ、ロック、エドガー、セリス、モグ、ケフカ
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FF7
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クラウド、エアリス、ティファ、バレット、ユフィ、ヴィンセント、セフィロス、レッドXIII
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FF7AC
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クラウド2nd、ティファ2nd
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CCFF7
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ザックス
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FF8
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スコール、サイファー、リノア、ラグナ、イデア、アルティミシア
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FF9
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ジタン、ビビ、ガーネット、エーコ、クジャ
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FF10
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ティーダ、ユウナ、アーロン、ジェクト、シーモア
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FF10-2
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ユウナ2nd、リュック、パイン
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FF11
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シャントット、プリッシュ、アフマウ、リリゼット
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FF12
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ヴァン、アーシェ、バルフレア、フラン、ガブラス
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FF13
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ライトニング、スノウ、ホープ、ヴァニラ、シド
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FF13-2
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セラ、ノエル
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LRFF13
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ライトニング2nd
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FF14
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ヤ・シュトラ、サンクレッド、イダ、アルフィノ、ヤ・シュトラ2nd
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FF15
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ノクティス、グラディオラス、イグニス、プロンプト、アラネア
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FFUSA
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ザッシュ
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FFT
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ラムザ、アグリアス、オルランドゥ
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FFCC
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キアラン
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DFF
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コスモス、カオス
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DFFAC
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マーテリア、スピリタス
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FF零式
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エース、マキナ、レム、クラサメ
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FFRK
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デシ
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MFF
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ウォル
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チョコダン
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チョコボ
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評価点
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収録作品がさらに豊富になった。DLCも含めると怒涛の500曲オーバーとなる。
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ACでの選曲を準拠にさらに曲数が増えており、ゲーム作品だけでなくアレンジCDアルバム、ライブアルバム、果てはコラボレーションタイトルからも曲が収録されている。
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DX版ではさらに『Eyes On Me』『Melodies of Life』といった歴代シリーズでの主題歌を中心に収録されている。なお、DX版のみの収録なのは権利関係によるものとのこと。
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DLCも新規参戦作品が増えたことに加え、参戦済の作品にも『カーテンコール』『オールスターカーニバル』になかった新曲が追加されている。
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楽曲以外の部分でもボリューム感がある。
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高難度のクエストやエンドレスワールドの高次面では、キャラをしっかり育てていても尚苦戦するような場面が多く、やり込み甲斐がある。
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これらのクリア時には大きな達成感がある一方で、報酬はキャラや楽曲ではないのでクリアを強制されることもない。
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LV99に達したキャラはさらに経験値を与えることで「スターランク」が上がり、ステータスとアビリティの威力が上がっていく。
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スターランクは9まであるが、最大まで上げてもステータスはカンストには程遠いので極めようとするとドーピングアイテムの量産も必要となる。
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その気になれば、お気に入りのキャラを延々と育て続けられる時間泥棒ゲー。キャラ数も総勢104名と破格の大所帯なので育成のし甲斐もある。
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『カーテンコール』同様に実績もかなりの数があり、やり込み要素は充分。
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本作もミュージックプレーヤー機能が搭載。Switch版では画面オフ再生も出来るため3DS版同様に携帯プレーヤーとしても楽しめる。
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プレイリストも3つまで作成可能。お気に入りの曲を集めて作業用BGMにできる。
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ACで簡略化されていた一部の要素が復活した。
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EMSが復活し、ACからの一部の収録作品に初めてEMSが用意された。
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アビリティの付け替えも手動で行う形式へと戻った。
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『カーテンコール』のキャパシティポイントが廃止され全キャラ一律でアビリティ枠が3枠になり、より自由度の高い編成が可能になった。
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さらに全員に専用アビリティが実装され、キャラの個性がより際立つようになった。それ以外の習得アビリティも全面的に見直されている。
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専用アビリティ名もエーコの「マダイン・サリの祈り」、ゴルベーザの「まいれ こくりゅう!」などファンならニヤリと出来るものばかり。性能もどれも強力。
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今作もアビリティの書があるので回復役に攻撃アビリティを覚えさせるなど、ある程度は自分の好みの役割を持たせられる。
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家庭用機へ戻ったこともありカスタマイズ、収集要素も活かせるようになった。コレカの数も多い。
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コレカは『カーテンコール』の「消費してキャラを強化」から「集めると該当キャラのステータスUP」に仕様変更。エリクサー症候群には嬉しい。
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敵キャラのコレカは撃破時の経験値が上昇し、召喚獣のコレカは与ダメージが増える。
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アビリティ「コレカ入手アップ」など収集の助けとなる要素も複数登場。
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召喚石もランダムで3つまで追加効果がつくので、BMS用・FMS用・対戦用・アイテム収集用など用途別の強力な召喚石を集めていく楽しみがある。プロフィカを通じた交換も可能なので収集が捗る。
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実益はないがお供のモーグリの着せ替えをしたり、ステージ開始時にパーティが降りてくる飛空艇の見た目を変えたりすることもできる。飛空艇のモデリングは原作再現度が高く必見。
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ACでは簡略化・汎用化されてしまっていた背景演出もBMSを中心にカーテンコールからいくつか専用演出が復活しており、新規に追加されたものもある。
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『ゼロ』のラストで風にたなびく朱雀の旗、『GO!GO!ブリキ大王!!』の炎上するちびっこハウスなど、DX限定楽曲やDLCにも力が入っているものもある。
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過去作で面倒だった要素が廃止され遊び易くなった。
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シリーズクエストを最後まで進めるだけで、該当シリーズの全楽曲が開放される(クエストのクリアは不要)。
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プレイアブルキャラもシリーズクエストのみで開放されるようになり、過去作のように周回してクリスタルを集める必要がない。
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『カーテンコール』でのLV99以降の育成はLV1から育て直すので一時的に戦力がダウンしていたが、本作ではLV99の強さを保ったまま育成を続けられる。
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総じて作業的な部分や不便だった部分が改善され、音ゲーや育成だけに集中できるようになった。
賛否両論点
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タッチ操作の廃止
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前述の通り、操作系統が『オールスターカーニバル』同様になりタッチ操作が撤廃されている。このため、携帯機版の過去作を遊んでいたプレーヤーにとっては違和感のあるものとなっている。
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これには理由があり、当初はSwitchのタッチパネル操作も検討されていたが、3DSでの感圧式タッチパネルとSwitchでの静電式タッチパネルとではどうしても操作性に違いが生じてしまう上に誤動作なども起こりうるために、それらを考慮した結果、完全な再現はできないとしてタッチ操作を撤廃したことがインタビューにて語られている。
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過去に初代『シアトリズム』がスマートフォンに移植されていたことやPS4のコントローラーにもタッチパネル部分が存在することから「やろうと思えばできたはずでは」と看做すユーザーが多く見られているが、「やろうと思えば」でかかる労力や時間が販売価値になるかどうかはプレイするだけのユーザーが問題点として指摘できる内容とは言い難いだろう。
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一方、本作のベースとなったAC版のプレーヤーから見ても操作デバイスの違いにより下記のような問題がある。
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難易度の上昇
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ACと異なり、コントローラーによる小さなボタンとスティックでの操作のため、ACから操作性に違いが生じた他、使用するコントローラーごとにタイミング合わせなど操作感覚に違いが生じる事も。
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PSパッドではスライドトリガーを入力するアナログスティックが手前側にあるのに対し、AC版はタッチデバイスが手前、スライドデバイスが奥側にあったためAC版をやりこんでいたユーザーほど脳内混乱を引き起こしてしまいやすい模様。
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また、3DS版と比べてボタン押しとスティック倒しの同時操作など複雑な操作も多くなり、譜面を把握していないと混乱することも多い。
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AC版と比べてもそちらにあった「スライドホールド」トリガーを削除した代わりなのか高難易度におけるタッチ操作の密度や複雑さが増しており、譜面自体は4レーン式なのだが指を5本以上使い分けないとまともに取れない譜面なども存在している。
問題点
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『FFXIV』の曲はバージョンごとに整理されておらず、全て一緒くたのカテゴリに分類されているため、所望の曲を探しにくい。
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選曲に露骨な作品格差が見られる。
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全体的にナンバリング作の曲数は多めで、外伝作の曲数は少ない傾向にあり。
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『FFXIV』は全部で32曲収録。単一のシリーズ作の収録としては最高数で、他ナンバリングの1.5〜2倍の曲数ある。
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ただし、『XIV』はそもそも楽曲が400曲近くある作品であるため、むしろ割合からすれば少なめとも言える。
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『FFXI』はナンバリングでありながら新規楽曲はDX版の1曲のみ。
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他、『FFVII』関連の楽曲も新規収録分含めて多め。『VIIリバース』の発売を控えているなど今が旬の作品ではあるが…。
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しかしながら最も旬であろう『FFVIIR』の楽曲は少なめなうえ、既存曲のアレンジが中心のチョイスである。
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『クリスタルクロニクル』もシリーズと謳っておきながら大半が初代のリマスター版からの収録で他は『クリスタルベアラー』から1曲のみと寂しい内容。
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FMSにおける背景演出の減少。キャラクター・楽曲だけでなく、曲ごとの背景も原作再現の大きな要素だったのだが、カーテンコールに比べ大幅に削除。
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ほとんどの曲が汎用のマップ(街・海岸・城など)の中から近いイメージの物が選ばれるだけになってしまった上に、マップの種類も少ないので、『Balamb GARDEN』に城など、違和感のある選定もある。
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『ルーファウス歓迎式典』の視ちょう率演出などもカット。
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相変わらず一部の楽曲の区切りがおかしい。
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例を挙げると『片翼の天使』が曲の途中から始まり、『Awaiking』は途中でフェードアウトする。
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『片翼の天使』は派生作のアレンジ版が何種類も収録されており、そちらでは頭からプレイできるが、『Awaiking』は2ヴァージョン共に途中でフェードアウトしてしまう。
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多くは過去作からの流用の結果だが、中には今作で新たに区切りがおかしくなった曲もある。
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新規収録でも『GO!GO!ブリキ大王!!』はフルではなく1番のみで演奏時間が極端に短いなどがある。
総評
実質的には『オールスターカーニバル』の家庭用移植と言える内容だが、そちらで指摘されていたカスタマイズと収集要素の改善とボリューム面の大幅な増加が図られている。
音ゲーガチ勢にも向けた調整が多く行われたこともあり、これまでの『シアトリズム』シリーズで物足りなく感じた人にもより満足できるようになったといえる。
無論、ライト勢にも取っつき易い作りは変わっておらず、これまでのシリーズ同様に万人向けな作品とも言えるだろう。
余談
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タイトルの『ファイナルバーライン』は楽譜の終止線を意味する用語である。楽譜最後にある右側が太い2本の縦線がそれ。
発売前のインタビューによると、本作が『シアトリズム』シリーズ最終作であるという意味合いを込めて、この用語を採用したという。
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「シンプル」モードは入力トリガーが1種類になるため、認識さえさせれば様々なコントローラーや持ち方でプレイすることが可能になる。
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片手プレイはもちろんのこと、某リングコントローラーを用いてトレーニングを兼ねることに成功したなどの例もある。
最終更新:2024年02月03日 06:28