新約外典使徒行伝の一つ。3世紀の後半にシリア(エデッサ)で成立したと考えられる。シリア語本文と並んでギリシア語訳が現存する。紀元52年にインドを訪問したという伝承がある使徒トマスの〈インド伝道〉を読物風に叙述する。初期シリア教会の禁欲主義的特徴や
グノーシス主義的な観念を含み,後にマニ教徒の間でとくに尊重されたが,正統主義教会の信徒の間でも大衆文学の一種として好んで読まれた。〈天的結婚の歌〉(6章)や〈真珠の歌〉(108~113章)などの伝承は史料的価値が高い。
この外伝はマニ教徒やグノーシス主義者に読まれたらしく、グノーシス主義に近い思想(とくに禁欲)が語られる。前半はインドへの布教の旅である。後半はマツダイ王のもとで家臣ほかに宣教したり、夫に性行を強要される女性を救ったりする。最後は殉教で終わる。
最終更新:2017年09月17日 11:22