この書は二世紀末頃に書かれたと思われ、イエスが五歳から十二歳の間に行なった奇蹟や神童ぶりを、誠に大袈裟に叙述した伝説。モチーフはしばしば正典
福音書から採られていて、結果として幼いイエスが、後に公生涯において行なったとされる様々な奇蹟を暗示するような事を、既にやってのけた形になっているが、歴史のイエス再構成のための史料としての価値は全くない。
内容的にもかなりひどいもので、正典福音書でのイエスの奇蹟は人助けのためになされるという性格が強いが、ここでは少年イエスのお気に召さない人物はあっさり呪い殺されてしまう。イエスらしさはほとんどなく、悪魔的で高慢な少年が描かれている。結局著者は不明で、トマスでないことは明らかである。
最終更新:2017年05月14日 12:29