バルラームとヨサファト

キリスト教カトリックでは聖ヨサファト伝があり、10世紀ごろにヨーロッパで伝記が広まり列聖されているが、後にこれは釈迦伝であることが19世紀に判明し,教会暦から省かれた。

ヨサファトはインドで生まれた王子である。生まれる前に、予言者は王に「あなたの息子は将来、聖人になるであろう」と告げられていたので、王はそうならないために息子を宮殿に閉じ込め、この世の苦しみを味わわせないようにした。ところが、若きヨサファトは 順番に目の見えない人、身体障害者、ハンセン病の人に会い、そして仙人バルラームに会う。バルラームから洗礼を受けたヨサファトは父の反対を押して宮殿を後にする。悪魔や美女に誘惑されても揺らぐことはなく、あらゆる哲学者の邪説を論破した。

このヨサファトのモデルとなったのは、いうまでもなく仏教のブッダ(ガウタマ・シッダールタ)である。サンスクリット語の仏伝の中の「ボーディー・サットヴァ(菩薩)」という言葉が「ブダサフ」としてアラブ語に訳され、ヨーロッパでは「ヨサファト」になった。

最終更新:2017年02月16日 16:50